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ウイニングイレブン 

 テスト期間が終わり、夏休みに入った。テスト期間中も毎日登校というわけではなく、日程によって休みになることもあった。レポートなどの課題提出もあったが、中高と比べると緊張感に欠けてしまった。肝心の出来も、あまりよくなかったと思う。難しいというより、どう勉強していいか分からなくなってた。


みんな、テストお疲れ~。

新しいウイイレやりたいな~。

持ってる人、返信ちょーだい。


 廣川から届いたメールに、僕は返信した。テストでバイトを休む代わりに、店長にウイニングイレブンを買わされたのだ。時給八百五十円×四、五時間×二回=七千六百五十円。ソフトは七千円超えるから、アルバイト二回分。正直、買いたくなかったが、店のノルマ達成のためというのもあって仕方なく買った。そんなときに、このメールが届いた。


返信ありがとう!

ムリヤリ、買わされたのか?ヒドイ、店長だ

でも、大丈夫。今度のウイイレ大会で大活躍、間違いなし。


 気づいたら、ウイイレの大会に参加することになってしまった。その日は、特に用事もなかったし、まあいいか。しかし、大学近くで一人暮らしをしている同級生の家が会場になってしまったから遠い。しかも、定期は切れてるから、駐輪場代も含めて往復で千四百六十円もかかる。


 大会当日、駅集合だった。

「江本くん、参加するんだ」

「ウイイレ持ってるって返信したら、いつの間にか参加することになってて」

「そっか。まあ、いいじゃん。ソフトは?」

「持ってきたよ。それと少し練習もしたし」

 時間になり、みんなで同級生の家に向かった。


「このアパートか、外観きれいだね」

 中に入ると、意外と広かった。

「よし、順番にプレイしてこうぜ」

 最初は面倒なことに巻き込まれたなって思っていたが、意外と楽しかった。


「みんな、下手っぴだな。よし、ハンデあげるよ」

 廣川が圧倒的に上手いため、能力の低い若手選手ばかりを選んでアレンジチームを作っていた。

「よし、これならいい勝負になるはずだ」

 その試合を見ていて、僕は気づいた。最初は見間違いかと思ったが、実況が選手名を言うので確信に変わった。終わったあと、僕は指を差しながら言った。


「この選手なんだけど」

「どうしたん?何かあった?」

「ステータス画面にしてくれない?」

 僕は選手のステータスを確認して言った。

「小学校のときの同級生だ」

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