水泳の授業
「テスト前、最後の授業なので気合を入れてやっていきましょう」
「テスト前ですが、いつも通りです」
「テスト前になると、いつもより教室に人が多いですね」
来週から、テスト期間が始まる。しかし、テスト前なのに一番最後の授業が時間割の関係で、なんと体育。しかも、水泳をやるとのこと。中学以来なので、少し不安だ。
「みんな水着、持ってきた?」
水着は特に指定はなく、それぞれが着てきたものだ。
「女子といっしょだったら、もっと楽しかったな」
思春期の学生らしく下らない話をしていた。
「時間になったので、男子学生のみなさん入ってください」
先生の声かけで、中に入った。そこには、二十五メートルプールがあった。
「大学だから、もっといい設備だと思ったら、小中のプールと変わらないな」
しかも、屋根はなく、完全に屋外だった。
「ちなみに付属中高は、屋内プール」
谷岡の一言に、みんなが驚く。
「じゃあ、水泳の授業あったの?」
「あったよ。しかも、普通に冬もあったし」
「温水だからか」
谷岡の話だと、付属中高の水泳部は強豪とのこと。水泳部目当てで入学する生徒も、ごくわずかだがいたらしい。学校の部活ということもあって、全く泳げませんという人も受け入れていた。もちろん、練習メニューも教える先生も違うが。
僕は先日、母から聞いたばかりのことを思い出した。頭ひとつ抜けるくらい背が高く、水泳をやっていた幼稚園時代の同級生(男)。中三のとき、たまたま区の会報を見たら、関東大会優勝と書かれていた。アテネ五輪を目指していたが、強化選手に選ばれなかったので引退したとのこと。
肝心の水泳の授業だが、本当に自由だった。みんなで、ワイワイ楽しくやった感じだ。ただ、教職課程のために設定されてたから、技術指導や水の管理の仕方をさらっとでもいいから教えてくれたらなって思った。




