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オープンキャンパスのアルバイト

 大学に通いながら、お金を稼ぐって大変だ。僕は今まで長期休みのときしか働いてなかったので、通いながら働くのは初めてだ。僕が働いている店は、シフトが完全に固定制。現在、毎週火曜日と木曜日の夕方に働いているが、それ以外の曜日と時間帯は他の人で埋まっている。時給が八百五十円で、四時間半の勤務だ。一度、奨学金の説明会で休んでしまったので、八回しか働いてない。先月の給料は、約三万円だ。


 昼代として一万円はもらっているが、それ以外は何もない。教科書代、携帯代だけでなく、駐輪場代も払っていた。みんなとの付き合いもあるし、もう少し増やしたいなと思っていた。

 そんなときに見つけたのが、学内のオープンキャンパスのアルバイト。九時~十七時で、日給七千円。すぐには貰えないけど、翌月くらいに大学の窓口で貰えるシステムだ。僕は楽しそうだと思ったし、大学のためにもなると思って応募した。


 そういえば、日曜日に大学に向かうのは初めてだ。土曜日と似ているが、日曜日も雰囲気が違うなと思った。電車の本数も少ないし、乗ってる人も少ない。


 大学に着くと、仕事内容が発表された。改札を出てすぐのところで、看板持ちだった。正直、微妙な仕事だと思ったが仕方ない。僕は駅まで行って、改札の前に立つ。オープンキャンパスは、九時半~十五時くらいまで。天気が雨予報の曇りだったということもあって、おそらく人が少ないという予想だった。


 十分くらい経つと、制服を着た高校生が改札から出てきた。おそらく僕の持ってる看板を見て進んでいた。その後も、それの繰り返しだ。私服だと高校生か大学生か分からないが、制服だと一歳しか変わらないのに幼く見えた。自分もちょっと前まで高校生だったのに懐かしく感じた。


 昼休憩はポジションによって違うと言われたが、誰からも連絡が来ない。あれっ、いつまで立ち続けるんだろう?途中、神奈川の高校で働いているおじさんの先生と話していたが、それ以外はほとんど話すことなく。気づけば、十四時を過ぎていた。


「あれっ、休憩取った?」

「まだです」

「ごめんね、しかも、ひとりで看板持ちってヒドイことするな。すげー、暇だったでしょ?」

 話を聞くと、学生会に所属している男性の先輩だった。毎回、オープンキャンパスのアルバイトに参加しているみたいで、アルバイト名簿の休憩のチェック欄に印が入ってなかったから来てくれたとのこと。どうやら自分の存在が忘れられてたみたいだ。


「休憩、行ってきていいよ。だいたい十四時半以降は来なくなるから、看板持ちは終わりなんだ」

「はい、分かりました」

「てか、大学の職員も適当だな。これに懲りずに、また参加してな」

 僕は大学に向かい、朝集合した教室に行った。案の定、誰もいない。そして、休憩が終わるタイミングで片付けが始まり、十六時過ぎに終わった。


「十七時までってなってるけど、いつも一時間くらい早く終わるんだ」

 僕はそれを聞いて、少しおいしいなと思った。

「今回は外れだったけど、何度も参加していれば違う仕事をふられるし。また機会があれば」

 僕はこの後、少し間を開けるが何度か参加することになる。数少ない大学生活で続けた活動だった。

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