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大学入学前のアルバイト

「みんな、アルバイトどうしてる?」

 ゴールデンウィークも終わり、同級生とアルバイトの話になった。すでに始めている人は、コンビニ、居酒屋、塾講師など様々だ。僕がこれまでやったことがあるのは、郵便局の短期バイト、ピッキングの短期バイトだけだ。


「ピッキングって、何やるの?」

「リストを見て、その製品と同じものを集めるだけだよ。数や大きさによって、ダンボールの大きさは考えないといけないけどね。あまり雰囲気のよくない職場だったよ」

 僕は大学入学前の春休みにした短期バイトのことを思い出していた。社員が三人ほどいて、みなクセがある感じで十八歳の僕は完全になめられていた。僕と同じ立場の人は年配の人が多く、次が決まるまでのつなぎで働いている人が多かった。若い人の場合、学費を貯めるために働いていた人もいたが、基本は学歴のないあやしい人が多かった。高校中退した小中時代の同級生も二人いて、まさかの再会。また、一日だけの派遣もいるので、毎日のように新しい人がやってくる。


「なんか、あやしいバイトやってたんだね。場所は?」

 僕は地名を行っても分からないと思い、地図で指をさした。あまり変な目で見られるのも嫌なので、会社名を言った。

「なんだ、テレビのコマーシャルもやってる大手じゃん」

「やっぱ、運送系の会社ってキツイんだね」

 重い物を運ぶというのはなく、誰でもできる単純作業だ。ただ、同じことの繰り返しなので飽きてはくるし、集中力も落ちる。そして、ミスが出ると叱責される。さらに賃金が発生しないことはないが、月の半分以上は残業が発生していた。もちろん断ることもできるし、賃金の未払いはない。しかし、断りすぎるのもよくない。

「先週、〇〇の人が残業をして頑張ってくれたので、いつもより〇〇の人を多く取ってます」

 毎日やってくる派遣の割合に影響が出ていた。


「あと本当か分からないけど、同じ建物内で階が違うけどアイツがいたらしいんだ」

「アイツって?」

「酒鬼薔薇聖斗」

「えっ、マジ?」

 酒鬼薔薇聖斗が少年院を出所した後、すぐに話が回ってきた。ただし、階が違うため会社も違った可能性が高い。だから、本当かどうかは分からない。僕はまわりと比べて年齢が若いため数人から「もしかして、君が酒鬼薔薇くん」と聞かれた。もちろん笑いながらだから冗談だ。僕も少し笑いつつ「年齢が違います」と言って否定した。もし、本当だとしたら言えるわけないのだが。


「その建物に行ったら、会えたりして」

「いや建物の解体が決まってるから、もう誰もいないみたい」

 僕は辞めた後、少しだけ仲良くなったお笑い芸人のさまぁーず大竹似の人と連絡を一度だけ取った。メールには「前から噂はあったけど、今月で終わるんだ」と書いてあった。建物の解体の噂は、僕も聞いていた。それが早まったのは「酒鬼薔薇聖斗が本当にいて、居場所がバレたからかもね」とも。結局、本当のところは分からないが、あやしい人が集まる現場だったのは間違いない。


 最終的に僕はコンビニで働くことにした。レジ打ちをしたことがなく、基本だと思ったからだ。

2025年11月23日(日)追記

大学に入学する前にしたアルバイトの話ですが、本当の話です。

2004年3月時点では、SNS、X(旧Twitter)というものは、ありませんでした。

だから、話が広まることもなく、結局のところ本当かどうか分からないです。

話の中で「君が酒鬼薔薇くん?」と言ってきた方、当時50代くらいのおじさん。

自分が働いていた店に来たんです。しかし、お互い、あれどこかで?って感じでしたが気づかず。

向こうは分かりませんが、自分は接客した後に思い出しました。

なお、18禁の女子高生ものの本を買っていきました。

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