近隣の中学校、廃校の危機
今日から五月になり、五連休だ。ほとんど予定は入ってないが、少し気持ちに余裕ができていた。
「ねえ、近隣の公立中学校、廃校になるかもしれないって話を聞いたんだけど知ってる?」
母に言われて、僕は返した。
「えっ、そうなの?学校が荒れすぎてるから?」
「そうみたい」
近隣の中学校は、非常に荒れていることで有名だ。卒業生に逮捕者が多数いて、殺人犯、殺人事件の指名手配犯がいるなんて噂があった。小学六年生のとき、尾崎など数人と公園で遊んでいるときに絡まれたことがあったが、当たり前のようにタバコを吸っていた。特に自分のひとつ上の代が大荒れで、先生の頭をホウキで殴って救急車で病院送りにしたということがあった。これは内密にしてほしいということで、あまり知られてはいない。
選挙のポスターを破く、公園の遊具に落書きも多かった。他にもコンビニやスーパーの万引きも多いと言われていた。しかも、これは子どもではなく、中高年など大人が中心だ。学校だけでなく、地域全体に問題があるという感じだ。
「最近は、百二十五から百三十人の四クラスなんだけど」
「あー、知ってるよ」
「今年の新入生、いつもより少なくて、百十五人くらいのギリギリ三クラスって言われてたんだけど」
「ふーん、そうなんだ」
「それが八十人の二クラスなんだって!」
「はっ、何それ?」
理由としては、そんな荒れてる学校に行きたくない、そもそも履歴書に書きたくない。そういう想いから、約四十人が中学受験して私立に行ったそうだ。
「すでに教育委員会が調査に来て、教室の数を数えたみたい」
もし、廃校になった場合、全員ではないが間違いなく母校に通うことになるはずだ。当然クラス数が増えるため、教室の数も必要になってくる。
「最終的に教室の空きがないので無理ですって、断ったみたいよ」
「いやいや、無理でしょ。特に学年室っていう物置部屋があったし。どうやって、ごまかしたんだ?」
「それは分からないけど、うちの地域としても入ってきてほしくないのよ」
たしかに、その通りだ。地域同士で見ても仲がよくないから、できれば来てほしくない。冗談抜きで治安が悪化することも考えなければならないだろう。
「今度、非公式で教育委員会が説明会を開くみたい」
約一か月後、説明会が開かれた。区の方針として、子どもの増減で学校を減らしたり、増やしたり、学区を変えたりするということだった。
参加者のひとりに一期生の男性がいて「こうなったのは、僕たちのせいだ。僕たちがちゃんとしなかったから、今も荒れたままなんだ。それに公立だから十年も経てば先生だって変わる。それなのに、ずっと荒れてるって言われてる。これは先生ではなく、地域の問題です。僕たち地域が変わります。だから、潰さないでください」
僕をそれを聞いて、ちゃんとした人がいてよかったと思った。それ以降、心を入れ替えたようで、近くを通っても雰囲気が変わったなと感じるようになった。だいぶ後になって知ったが、この学校は歴史が浅く、八十年代初頭に開校していた。開校して二十年程度なのに、犯罪者多数って言われてたことに驚いた。なお、この中学校に通っていた生徒が事故で死亡しているが個人の問題。




