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近所の歯医者は、母校(中学校)の卒業生

 朝起きると、右側の奥歯がズキズキしていた。毎日、欠かさず歯磨きしているのに、何で虫歯になるんだろうなんて思いながら歯を磨く。磨き終わると母に聞いた。

「虫歯ができたみたいだから歯医者に行こうと思うんだけど、何時までだっけ?」

「今日は十九時までやってるけど、いつも混んでるから予約しないと行けないよ」

「そっかぁ」

 家から一番近い歯医者は人気みたいで、いつも混んでいた。前日に予約しないと診てもらえないくらいの盛況らしい。困ったなあと思っていると、母が思い出したかのように言った。


「そういえば、できたばかりの歯医者があるわよ」

 母はゴソゴソと新聞の広告を漁ると、食卓の上に紙を置いた。地図を見ると、そんなに遠くない。しかも、今月できたばかりだ。

「新しいから先生の腕とかは分からないけど」

 僕はすぐに診てもらいたかったので、全く気にならなかった。ただ、混んでて診てもらえなかったら困ると思い、昼休み電話をした。そしたら「いつでも大丈夫ですよ」と言われて安心。夕方に予約した。


 四限が終わったあと、歯医者へと向かった。少し余裕を持った時間に設定したこともあり、三十分くらい早く着いた。建物の外観も室内もできたばかりという感じで明るい。待合室に一人くらいいると思ったが、自分以外に誰もいなかった。診察シートを書くと、すぐに名前を呼ばれた。

「こんにちは、今日はどうされましたか?」

 見た感じだと、四十台の男性だった。僕は症状を説明して、すぐに治療してもらった。治療のあと待合室で待っていると名前を呼ばれ、お金を払うと男性の先生に声をかけられた。


「すぐ、そこにある中学に通ってたんですか?」

 僕は聞かれたので「はい、そうです」と返した。すると、男性の先生から衝撃の一言が返ってきた。

「僕も通ってたんです」

 なんと男性は、自分の先輩だったのだ。しかも、自分より二十歳以上は上であろう。僕の母校は「こんなバカな学校は見たことない」と言われるくらい学力が低いと言われている学校だ。さらに先生は続けて聞いてきた。


「大学生ですか?」

「はい、この春からです」

「大学に行くって、すごいですね。」

 口には出さないが、いやいや歯医者になっているんだから、あなたの方がすごいよと思った。そもそも、母校の卒業生で歯医者がいるなんて夢にも思ってなかった。

「そこまで、すごくないです」と返すと「同級生で何人くらい行ったんですか?」と聞かれた。

 僕は何人くらいだろう?数えたことなんてなかったので考えていると、今でも忘れない衝撃の数字を言われた。

「僕のときは、五人です」

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