健康診断
登校三日目、今日は健康診断だ。学部ごとに分かれていて、九時~十時の間に来るように書いてあった。先輩の話だと検査の場所によって待つことはあるが、そこまでストレスが溜まるようなことはないとのこと。その代わり、正当な理由なく遅刻した場合は、先生に話がいく。ただし、怒られるか怒られないかは、その先生次第らしい。
僕は予定より二十分ほど遅く出てしまった。間違いなく授業があったら、一限には間に合わない時間だ。今日は少し遅くてよかったと思いながら大学へ向かった。電車は相変わらずというより、さらに混んでいる感じだ。三つ目に乗る電車が座れるので、ようやくリラックスできた。健康診断の書き間違いがないかチェックできるのも、長時間通学の利点だ。
九時半前、大学に到着。受付がある7号館に行くと、すでに列ができていた。
「おはよう、みんないるから並ぼうぜ」
五、六人ほど同じクラスの男子が並んでいた。場所によっては十分以上待たされることもあったが、みんなで回っていたので楽しかった。
「登校初日にやってくれたら、校舎の場所を覚えられて便利なんだけどな」
古庭が言うと、みんながうなづいた。
「たしかにな。三、四年生が先に受けてたみたいだから、日程を逆にしてもね」
谷岡も同調した。
「みんな、結果どうだった?」
廣川が言うと、普通に結果を見せてきた。
「俺、自己紹介のときにも言ったけど、二浪してるから高校卒業以来だ。身長も伸びたし、体重も増えてた」
「なんだ、それ」
みんなで笑ってしまった。
「それと一番大事なのは、尿検査だからな。前日の夜に自分の息子と戯れたか分かるんだぜ」
廣川の説明だと、どうやらマークがついていて分かるらしい。
「おっ、いいね。誰とは言わないが、何人かしてるな」
僕はそんなことしないが、なんか恥ずかしくなってしまった。
「よし、昼前だから、ラーメン屋にでも行こうぜ」
朝から何も食べてなかったし、お腹もすいていた。午前中で終わったこともあり、みんなで向かうことになった。ラーメン屋は、大学から歩いて五分ほど。
店の中に入ると、サッカーのユニフォームが飾られていた。
「埼玉だから、浦和レッズファンみたいだね」
「熱狂的というか、ちょっと怖いイメージがある」
そんな話をしていると、すぐにラーメンが来た。
「いただきます」
一口食べて、おいしいのが分かった。サッカーファンだけでなく、リピーターの多い人気店だそうだ。うれしいことに店主が新入生だと気づき、餃子をサービスしてくれた。
「ごちそうさまでした、また来ます」
そう言って、僕たちは店を後にした。




