登校2日目の朝
僕は目を覚ました。時計を見ると朝五時過ぎだ。まだ家族は誰も起きてないので静かに動く。とりあえず、シャワーを浴びて目を覚ますことにした。約半日ほど寝て、だいぶ元気になった。
シャワーを浴びたあと、事前に配布された予定表を見る。最初のオリエンテーションの集合場所は、どこだろう?隅から隅まで読んだが見あたらない。数分ほど困ったなと思っていたが、携帯電話を触って思い出した。
もしかしてと思い携帯電話に届いていたメールを見ると、大学から一通届いていた。昨日の午後のオリエンテーションで「これにメールアドレスを登録すると、授業の休講や教室の変更などが届くので登録してください」と言われ、その場で登録した。メールに場所が記載されていて安心した。
「あらっ、ずいぶん早いわね」
母が起きてきた。時計を見ると六時前だった。思い出したように母は言う。
「昨日、夕飯も食べずに寝たわね。お腹空いてないの?」
「そんなに空いてない」
「じゃあ、パンだけ食べる?」
「それで大丈夫」
僕はオーブントースターに食パンを置いた。
「今日は何時からなの?」
「今日も九時」
「大学は始まりが遅いのね」
母は高卒なので大学のことは、よく分かってない。いや、全くというくらい知らない。
「帰りは?」
「どこにも寄らなければ、昨日と同じくらいだと思う」
チンと音がしたので、ちょうどパンが焼けたようだ。僕は取りに行く。いつものように新聞を読みながら食べていると父親、妹も起きてきた。
家にいても仕方がないので、昨日より三十分ほど早く家を出た。駅までの道のりは変化ないが、電車の中は変化があった。乗ってる人が少ないので、席も空くので早く座ることができた。とはいえ、まだ慣れてないので疲れる。結局、着いたのは、八時半前だった。
校門の前に着いて、思わずため息をついてしまった。やっぱり通学時間が長くてしんどい。それにオリエンテーションの時間まで、三十分ほどある。どこで過ごそうなんて考えていると、誰かが11号館に入っていくのが見えた。そういえば、この教室がホームって言ってたことを思い出し寄ることにした。
建物に入ると、上の階から声が聞こえてくる。階段を昇り、教室の中に入っていった。
「おはよう」
すでに五人ほど先客がいた。
「おはようございます」
「おいおい、堅いな」
事務の補佐の池村もいた。朝から元気なジャイアンといった感じだ。
「ところで今日のオリエンテーションの集合場所、分かる?」
「昨日、メールが来てたので分かります」
僕は携帯電話を出してメールを確認した。
「おっ、やるね。君たちも言われたら、すぐに登録しないと」
どうやら、ここに来たメンバーは集合場所が分からなかったようだ。
「てか、せっかくホームを作ったんだから、ここに集合すればよくない。それから、みんなで動けばいいのにね」
池村が嘆く。たしかに、その通りだ。
「よし、集合場所も分かったことだし、時間までお互い話をしようぜ」
結局、池村の話が中心だったが意外なことが分かった。教員採用試験に落ちてしまい、臨時採用をするつもりだった。しかし、勉強する時間を確保したいと思い、事務の補佐になったそうだ。どちらに転んでも、一年契約。他の学部でも、そういった人がいるそうだ。
「みんな遊びすぎには注意。俺みたいになるなよ」
笑いながら池村は言った。あっという間に九時になり、集合場所の5号館に向かった。