新入生の自己紹介タイム4
自分の番が終わり、ほっとした。
「次の方、どうぞ」
すっと背の高い男子学生が出てきた。百八十、いや百九十くらいありそうだ。
「古庭孝太郎です。茨城県出身で牛久南高校、身長は百八十九センチあります」
後ろから、めっちゃデカいと大騒ぎだ。高校の後輩で百九十はいたが、同級生では一番大きい。
「部活は何をやってたの?」
「テニスです」
「バレーとかバスケじゃないんだ」
「俺、団体行動苦手で個人種目のスポーツしかできなくて」
それを聞いて教員は協調性を求められるなんて言われてるけど、大丈夫かなと思ってしまった。
「なりたい校種は?」
「今のところは高校ですかね。歴史が好きなんで、日本史、世界史を中心に」
埼京大は高校も取れるけど、小学校、中学校が中心と言われてたから高校と聞いて意外だった。
「最後に何かアピールポイントがあれば」
「みんな仲良くしてください」
後ろから、そうだねと聞こえてきて、みんな拍手した。
「次の方~」
まわりと比べても少し化粧が濃く、女子というより大人の女性が出てきた。
「濱野里佳子っていいます。東京都出身で、出身校は都立北千住高校です」
話し方も落ち着いていて、明らかに年上って感じだ。
「なりたい校種は、小学校です。テレビで子育てしながら働いている先生を見て決めました。それと…」
なんか言いづらそうな感じで黙ってしまった。後ろから、頑張ってーと声が聞こえてくる。
「実は私、二十二歳なんです。結婚もしてて、二歳の子どもがいて」
教室中、えーという声が響いた。
「旦那にばかり頼っちゃいけないと思ったので、私も一歩踏み出すことにしました。四年間、よろしくおねがいします」
深くお辞儀をすると、教室中が拍手に包まれた。