補助教員ボランティア 初日
「行ってきます」
僕は朝七時半過ぎに家を出た。打ち合わせのときもだけど、スーツを着ていた。鏡で自分の姿を見て、大人になったと勘違いしてしまいそうだ。中学校に着いたのは、九時半分頃。あれっ、大学に行くのと、たいして時間が変わらない。
「おはようございます」
僕は図書室に入った。今日は自分を含めて、ボランティアの先生は五人。九時五十分になると、生徒たちが続々とやってきた。当たり前だけど、幼く見えた。でも、三年生とは、四つしか変わらない。学年ごとに分かれて座ってもらったが、一年生が一番多かった。
「それでは、挨拶をします。おはようございます」
女性の先生が、ビシっと言う。僕も気が引き締まった。
「では、せっかく学校に来てるんだから、しっかりと勉強をしましょう」
それぞれが宿題を持ってきているので、勉強を始めた。
「ほらほら、集中してやらないと」
「こんなに多くの先生たちが来ているんだから、分からないところは聞く」
けっこう、ビシバシ言ってくれるので、こちらとしても助かる。初日は大きな問題なく終わった。最後は校長室に行って、コーヒーを飲みながら少し雑談をした。
「江本くん、吹奏楽やってたんだ。私もやってて」
他大学から来ている女性、少し大人っぽいと思ってたら、大学四年生だった。
「コンクールの予選の会場が普門館だったから、もう満足って感じで」
吹奏楽をやっている人は、みんな憧れるという普門館。なんと予選の会場だったとのこと。これには、僕も驚いた。副校長も吹奏楽をやってたみたいで、盛り上がった。
「じゃあ、明日もよろしくお願いします」
昼過ぎに終わり、僕はゆっくりと帰宅した。




