死体の山
次の日 、朝食をとりギルドに向かった。
「おはよう、昨日は大変だったね」
「ええ、本当に」
「でもレン君が無事で良かったわ」
レノさんは俺のことを心配してくれていたようだ。
「ところで、レン君」
「今日受けたい依頼が無かったらある依頼を受けてほしいの」
「えっと、それはどういう?」
「この地図を見てくれるここの辺りに小さな村があるんだけど近くに魔物が急に増えたらしくてその調査に行ってほしいの」
「それ俺なんかで行けるんですか」
「大丈夫よ、今回は調査だけだし、それにね増えた魔物はGやFランクの弱い魔物ばっかりらしいのよ」
まあ、確かに俺も早く強くなりたいし良い機会かもしれないな。
「ええ、本当はアイアンランク以上の冒険者に頼みたかったのだけどね」
「君は昨日、アイアンの冒険者を圧倒したじゃない、だから安心して任せられると思ったのよ」
「まあ、ちょうど暇なので受けますよ」
「本当!ありがとう、誰も行きたがらなくて困っていたのよ」
俺は依頼をこなすための準備をする と言ってもほとんど持っていくものなんて無いが そして、俺はギルドを出て、依頼の場所へ向かう。
「そういえば村の名前を聞いてなかったな」
まあいいか、どうせ行ってみれば分かるだろ そんなことを考えながら歩いていると村にたどり着いた。
「ここか、思ったより小さいな」
村は家がいくらかあるだけであとは畑が広がっているだけだった。
「おお、あんちゃん冒険者かい?」
すると一人のおっさんが話しかけてきた。
「そうだけど」
「なら村の中に入るのに金がいるんだ2000ダール払ってくれるか」
「は?」
「村に入るのに金が要るのか」
無茶苦茶な話だ俺はこの村が困ってるっていうから来たのに。
「ああ、そうだ」
「村長に言われてんだよ、冒険者が来たときは金を出せってな」
「なんでだよ、俺は依頼でここに来たんだぜ」
「依頼をうけたなら知ってるだろ最近、魔物がふえてそれに加えて、なぜかわからねえがこの村の人が減っていく、それで村長が残った奴ら全員で近くの国に避難することになった」
「それで今その分の資金を集めているんだ」
なるほどな、それで村人達は避難のためにお金を貯めているのか。
しかし、納得はできないな 俺はポケットからお金の入った袋を取り出す。
「なあ、その増えた魔物を全部駆除してやるからチャラってことになんねえか」
「無理だ、魔物をやったところで避難が速くなるわけじゃねえ」
「そうか、残念だよ。でいくらだっけ?」
「2000ダールだ」
俺は仕方なくお金を渡す これで俺の手持ちは残り2000ダールか 仕方ない、
「なあ、残った人は何人くらいいるんだ」
「元々は200人くらいいたんだがなあ、今は50人もいないぞ」
結構やばい状況じゃないか それにしても、よくこんな状態で村を残せたな。
「魔物はどこの辺りにいるんだ」
「ここから真っ直ぐいったところの洞窟にいるはずだ」
「分かった、ありがとな」
それから俺は洞窟入っていった しばらく歩くとそこには大量の魔物がいた。
ゴブリンやスライム、ホーンラビットなど雑魚ばかりだが数がかなり多い。
「とりあえずやるか」
まず最初に【ウィンドカッター】を飛ばす 風の刃は次々と魔物を切り裂いていった。
「よし、次」
今度は雷魔法を使おう。くらえ!昨日寝る前に考えた俺の魔法!
「【サンダーウィップ】」
雷魔法を鞭のように伸ばして、周りの敵を一掃する。
「うーん、ちょっと物足りないかな」
そう思いながらどんどん倒していく。
(そういえば鑑定って魔物にも使えるのかな?)
試しに使ってみる
【ステータス】
名前:エルトン・ガート
種族:ゴブリン
・Lv.2
・HP……40/40・MP……15/15
・魔力……5・力……21
・防御……18・魔防……14
・運……21 ・俊敏性……16
・魔法適正……土
【スキル】
〈ノーマルスキル〉・該当なし
〈アーマースキル〉・火耐性+10
〈マスタースキル〉・農作業Lv42
「は?」
なんだこれ人の名前?それにまるで人だったみたいなスキルをしている何なんだ、分かんねえ。
(と、とりあえず戻ろう)戻って一回考えよう。
俺は来た道を戻り村に戻ることにした辺りはもう日が落ちかけていた。
「おお!戻ってきましたか」
言葉をかけてきたのは年老いた老人だった。
「あなたが依頼を受けてくれた冒険者様ですね」
「えっと、はいそうだけど」
俺が答えるとこの老人は安心したようだった。
「ああ、良かった、実は私、この村の村長をしております」
「ささ、どうぞ良かったらこちらに」
案内されたのは民家だった。
「今日はこの村に来てくれたお礼として私の家で休んでください」
「いいんですか!」
正直助かる。流石に野宿は嫌だからな 俺は家の中に入り椅子に座って少しくつろぐ。
「さてと、冒険者様少々よろしいでしょうか」
「ん、どうしたんだ」
「いえいえ大した事じゃありません少々神に祈りをささげようと思い」
ああ宗教ねまあこんな状況じゃ神にも頼りたくなるか。
「一緒にどうですか」
「いやいや俺は無宗教なんだ」
「ははそうですか私も10年前まではそうでしたよ」
「でも人は頼るものがあると安心できるものです」
「そういうもんなのか」
「ええ、では私は祈りに行ってきますので」
村長は家を出て村の中心にある台座に立つ。
俺は少し見てみることにした。
そこには村の人々が集まっていた。
「皆さん今はとても苦しいと思いますですが依頼を受けてくれた冒険者様が来てくれました」
「私たちの祈りが神に届いたのです。今日も教祖様おられないので私が代わりに祈りを捧げさせていただきます」
そう言うと村長が杖を高く掲げた。
「我らが神よ、今地の者が祈りを捧げます。哀れな我々にどうか救いを」
「どうか救いを」
村の人々が口をそろえて言うそのあとはきっちり3分間祈りをささげていた。
★
俺は村長の家に戻りくつろいでいた。
「見ていたのですね」
「あ、うんごめん勝手に見ちゃって」
「構いませんよできれば見てもらいたいものでしたし」
「そう、なら良かった」
「10年前、教祖様がいらしてから毎日続けておりましてね」
「昔は村の人々は貧しい暮らしをしていました。しかしある時村に一人の旅人が訪れました」
「そして、その方は言いました『お前たちは何をしているんだ』と」
「私たちは答えられませんでした、なぜか作物が育たず何も出来なかったのです」
「するとその方はこう言われました」
「『祈りをささげるのだ、さすれば救われる』とそうして我々は藁にも縋る思いで祈りをささげたのです」
「すると、次の日から畑にはたくさんの野菜ができ、それに加え良いポーションの元となるガーポ草があたりに生え始めました」
「食料と特産品ができ村は活発になりました」
「人々は喜び感謝しました。それからというもの毎晩必ず祈りをささげるようになったのですよ」
「なるほどな」
神を信じて救われることもあるんだなあ。
「なあ、教祖さんはいないって言っていたけど何にしてんだ?」
「最初の教祖様は死にました、病死でした。今は教祖様の娘が代わりをしていたのですが、急に消えてしまいまして」
「娘がいたのか」
「ええ、とても美しく聡明な方でした」
「行方不明になったってことか」
「はい、なので私どもは必死に探し回っているというわけです」
「もし見つけたらすぐ知らせるよ」
「ありがとうございます」
「それと、明日も魔物を倒しに行かれるようでしたらこれを」
そう言って村長が渡してきたのは瓶数本だった。
「私たちの特産金、ハイポーションです」
「いや、返すよ。これを売ったら金になるだろ」
「ははは、いえいえお金になりもしませんよこの村に来て買ってくれるならまだしも近くの国に売りに行っては結局損になるだけです。」
そう言うもんなのか?
「分かった受け取るよ」
まあ無駄になるよりいいだろ。
★
俺は案内された自分の寝室にいた。
(うーんよく分からねえ)
俺はあのゴブの件を聞き忘れた、自分で考えてみても結論はでない。
村長に聞こうとも思ったがすでに寝ていた。だがそもそもあれが普通だったら
何言ってんだこいつ?って感じだしな。
(あー悩むのはやめだやめ!寝よう)
★
俺は起きてから前の洞窟ではなく魔物が数匹いる平原にきた。
理由は簡単名前付きゴブの件を確かめに来たからだ。
俺は近くにいるゴブリンを見ながら【鑑定】を使う。
【ステータス】
種族:ゴブリン
系譜:鬼
ランク:G
・Lv4
・HP……45/45・MP……5/5
・魔力……5・力……24
・防御……16・魔防……12
・運……2・俊敏性……14
【スキル】
〈ノーマルスキル〉・不運[運が低くなる]
〈アーマースキル〉・棍棒術Lv2[棍棒の熟練度を表す][棍棒の攻撃力を上げる]
〈マスタースキル〉・該当なし
やっぱり俺の予想は正しかった。
(戻ろう何が起こっているのかを確認しないと)
急いで村に戻ろう。何か嫌な予感がする。
土魔法のテンプレート
・ロックショット
・アースウォール
・ロックブレード