騙されて…
高坂玲
20の大学生
裕福な家に生まれ大学に行く時に親から大量に金をもらっている。
「お待たせ、まった?」
「ううん全然」
「今日はどこに行くんだ?」
「それは着いてからのお楽しみ。ほら早く行こ!」
そう言って手を差し出してくる彼女の手を取り2人で歩き出す。
俺達は今、デート中だ。
「ここ、ここが近道なの」
そう言って彼女は人気のない路地裏を指さした。
そしてそのまま何も言わずについて来るように促す彼女。
(なんだ? 何かおかしいぞ)
「なぁ、本当にこんなとこ通るのか?」
俺は不安になり聞いてみる。しかし――
「いいからついて来て」
彼女はそう言うだけで歩みを止めない。
仕方なくついていく事にする。
「バイバーイ馬鹿な人」
「え?」
俺は一瞬何が起こったのか理解できなかった。突然後頭部に激しい痛みを感じたと思ったら意識が急速に薄れていく。
(やばい……このままじゃまずい……逃げないと!)
必死で体を動かそうとするも全く力が入らない。
そんな俺を見て満足げに微笑む彼女。
「まったく女ってやつは怖いなぁ」
意識が薄れ行く中、陰から男が出できた。
そこで俺の意識は途絶えた。
★
「やあ」
目の前に現れた女性はそう言った。
「誰だ?」
「私かい?私は神だよ」
「神?」
「ああそうだとも」
理解が追い付かなかった。
「君は残念ながら死んでしまったよ」
さらに頭がこんがらがった。
「は、はは嘘だ嘘に決まってる」
「嘘じゃないさ」
即答だった。
「嘘だ!、夢だ夢に決まってる」
「あいつが俺を殺す?なんで理由がない」
「理由ならあるさ簡単で単純な理由が」
「どんな理由だよ!」
俺は怒鳴りながら神とやらに理由を聞く。
「お金だよ、お金」
「金だって!?」
「彼女は君の通帳番号をどうやら知っているみたいだしね」
俺は困惑した俺はそんな理由で殺されたのかと。
それはつい口にも出ていた。
「は、それだけ」
「それだけで俺は殺されたのか」
「まあそういう事だねそれとこの彼女、常習犯みたいだしね」
「常習犯?」
「君以外にも被害者がいるんだよ」
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」
「しつこい、君は死んだんだその事実を受け止めてくれ」
「そんなの、できるかよ」
「もういいか、そろそろ僕の本題に入らせてもらうよ」
「は?」
「君は転生して異世界に行きたいかい?」
「俺に異世界転生しろって?」
「は、ハハハハハ」
俺は思わず笑ってしまった。
涙を流しながらどんな気持ちになればいいのか分からず
笑うしかなかった。
「いいぜ行ってやるよ異世界に」
「その言葉を待ってたよ」
神と名乗る女性の顔が笑顔になる。
「それじゃあさっそく送るよ」
「待ってくれ一つだけ教えてくれ」
「ん?何だい?」
「どうして俺だったんだ」
「うーん、たまたまかな」
「偶然か……」
「まあ気にしない方がいいよ」
「分かったよ」
こうして俺は異世界へと旅立った。
「ふぅ、やっと行ったか」
「よしこれでノルマも達成!」
「あの子は災難だったけど
僕の仕事のためだしそういう運命だったってことだ」
「さて、次の仕事に取り掛かるか」
★
「何なんだよ」
「何だよあいつ」
俺は高坂玲彼女に騙され異世界転生した大学二年生だ。
突然だが今やばい状況だ。なんでかって?
飛ばされたところにとんでもない化け物がいるから!
普通異世界転生したら
最初に出会う魔物かモンスターってスライムとかゴブリンとか
弱そうなやつに出会うのが定番だろ。
なのに何でこんな奴がいるんだよ!
そいつは3m近い巨体でグレー色の体色の化け物だ。
「グガァア」
そいつは俺を見つけるなり襲いかかってきた。
「ふざけんなぁ」
怒りをあらわしながら森の中を逃げる。
それしかできなかった。
★
「ん、あれは」
「どうしたリーダー」
「不味いな、誰かアルトデモンに襲われてる」
「色的に後十分で鎮まると思うが」
「助けに行く」
「フェイ、グレイここにいてくれ」
「ちょ、リーダー」
そう言って青年は一人森の中に入ってく。
「むー自分勝手な」
★
「チクショウ」
必死に走っているのに化け物との距離は縮まる。
このままでは二度目の死を迎える。
「ここで死んだらあの神恨んでやる」
「大丈夫、死なないよ」
突然後ろから声が聞こえてきた。
「え、誰?」
そんな事を聞いている場合では無いのについつい口に出てしまう。
「今それいるかな?」
そう言って現れたのは右手に剣を持った二十代くらいの男だった。
「危ないから下がって」
化け物が男を殺しにかかった。
しかし男は避けようとせずむしろ前に出た。
「もらうよお前の速度」
そう男は言い放ち左手をかざしたすると。
あのバケモノが数秒とまった。
「あっちに僕の仲間がいる」
男ある方向に指をさした。
「行ってここは僕に任せて」
「わ、わかりました、ありがとうございます」
男が俺を右手で押した。
俺は男が指さした方向に走った。
「速!」
体が軽くいつもより速く走れている気がする
いや気ではなく実際に速くなっている。
俺は森の中を軽快に走った
そして数分後
★
「あ、あれあの子じゃない」
「あ、襲われてた子」
「あれがさっきの人が言っていた仲間なのか?」
俺は女の子に近寄った
「君、大丈夫?」
「え、はいおかげさまで」
「リーダーが助けたんだよグレイ」
「そらそうだろ」
「そうじゃなきゃなんで森に入るんだよ」
「も~」
少女は頬を膨らませながら怒っているようだ
「あの大丈夫なんですかあの人?」
「あー大丈夫だよリーダー強いし」
「そ、そうなんですか?」
俺は疑問を持ち質問をした
「あの、あなた達は一体」
「あ、自己紹介がまだでしたね」
「俺はグレイ・グレード」
「グレイで頼む」
「私はフェイ・ダウン。フェイでよろしく」
「俺は、高坂玲」
「レイさんですね、よろしくです」
「よろしく」
「でもなんでこんなところにいたの?」
「見たところ武器も防具もないし」
「それはえっとその」
俺は言葉を詰まらせた。
でも頼る所も無い俺は一か八かで言ってみることにする
「あの俺、それが……」
「異世界転生!」
二人が口をそろえて驚いた口調で言った
「はい…」
「お前、まじか」
「まさかリーダー以外にも合うことになるなんて」
「人生でまさか二人も会うなんてな」
意外にも俺以外にも転生者がいるようだ。
「それ…本当ですか!」
「え、うん本当だよ」
「合わせてくださいそのリーダーに!」
俺は大声で言ってしまった。
「んーとそろそろ来るんじゃない?」
「おっと噂をすればなんとやらだね」
「やあ、無事に出会えてたようだね」
そこには先程の青年がいた。
確かにさっきよりも傷が増えていた。
どうやら戦いを終えたらしい。
「えっとその先ほどはありがとうございます。」
「いいよ別に」
「すいませんお礼もできなくて」
「気にしないでくれ僕はただ助けたいと思っただけだよ」
「あ、じゃあ敬語はやめてくれ慣れないんだ」
「え、ああ分かった」
「そういえば、なんであんな所にいたんだ?」
もう一度説明しようとしたが代わりにフェイさんがしてくれた。
「君も異世界転生者なのか」
「ああ、まあ」
「僕はレオン」
「よろしく」
「ああ、よろしく」
★
「どうする」
グレイが突然聞いてきた。
しかしすぐに理解した。
そうかこれからのことだろう
確かにどうしようと悩む。
すると迷っていた俺にレオンが話しかける
「君は家もないお金もない頼れる人もいない」
いきなり現実をたたきつけられた気分だった。
「だからしばらくは僕の家で住むといい」
「いいのか?」
「ああもちろん」
「同じ異世界転生者のよしみだ」
すっぱり言ってくれた
爽やかな奴だた心の底から思った
★
フェイ・ダウン
・身長160cm程度 青髪の美少女
年齢21歳
グレイ・グロード
・身長180cm程度 金髪のイケメン
年齢25歳
明石礼音
・身長170cm程度黒髪の好青年
年齢24歳 イケメン(中性的)
★
「じゃ、戻るかクレド王国に」
「クレド?王国」
「僕たちの家がある国だよ」
「そっか」
俺達は森の中を歩き始めた。
「じゃ行ってる間にこの世界の説明でもしようか」
そうレオンが問う
「本当かサンキュー」
「まず魔法について」
「おお、ファンタジー」
「この世界の人間には魔力が宿っている」
「そして魔法の種類は属性が8個あるんだが」
「まず火、水、土、風、電、の5と闇と光そして熱これはまあ、おまけみたいなものだけどね」
「でこの人には宿っているマナによって使える属性が決まるんだよ」
「まあ他にもあるにはあるんだけどね」
「ほうほう」
なるほど普通だ、ラノベの設定によくありそうだな。
と内心思っているのは内緒にしておこう。
「一人につき基本は1個か2個多くても3個だね」
「次はスキルだね」
「まず区分がいくつかあって」
「まずノーマルスキルと呼ばれるもの」
「【鑑定】だったり【透視】だったり」
「個人の能力で多少の差はあるけど基本的にずっと効力が変わらないスキル」
「次にアーマースキル」
「簡単に言うと耐性や防御関連のスキルだね」
「そしてマスタースキル」
「名前は派手だけどこれはレベル制のスキルで」
「【剣術】だったり【槍術】とかが当てはまるかな」
「で最後にキングス」
「これに関してはかなり特殊で」
「ある素質がある人にだけ持つスキルで」
「一人一つ進化するスキルだよ」
「進化?」
「そうマスタースキルにもレベルシフトって言って進化のようなものはあるんだけど」
「このスキルが進化したら大幅にスキルの能力が変わるんだ」
「なるほど」
話を聞いていると本当にラノベの世界に来たみたいだ。
「レオンたちはそのキングスっての持ってんの?」
「俺とフェイは持っていねえよけどレオンは持ってるぜ」
「なんて物なんだ?」
俺は興味本位で聞いてみた。
「僕のは速度交換」
「左手で触れたもの速度を奪い取って」
「右手で触れたものにその速度を渡すスキルだよ」
「すごい便利そう」
「確かに便利だよ」
「戦闘中だと相手の動きを遅くしてその間に攻撃できるからね」
「へえー」
しばらく歩いて開けた場所に着いた。
するとそこにあったのは大きな門だった。
「これが僕らの拠点」
「ようこそクレド王国へ」
「ここが僕達の国、クレド王国」
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