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第二話:調査①

「ふぅ……」


 いつも止まっている宿についた俺は、ベッドに腰をおろす。

 もう夜は更けきっており、蝋燭の灯りだけが部屋を照らしていた。


 普段なら寝ている時間だが、今はそれよりも確かめたいことがある。


「……しかし、ステータスってのは、どう確認すれば良いんだ?」

『ステータスを表示しますか?』

「うおっ……!」


 いきなり流れた声に、俺は毎度のごとく声を上げる。


 ……俺の声を認識しているのか?

 いまいち分からないことだらけである。


「ああ、頼む」

『ステータスを表示します』


 その声とともに、俺の目の前には文字が大量に浮かんできた。


――――

【名前】ヨハン = アイヒベルク

【性別】男性

【レベル】3

【体力】10

【攻撃力 5

【防御力】5

【魔力量】0

【魔法攻撃力】0

【魔法防御力】1

【移動速度】10

【割り当て可能ポイント】5

【習得スキル】なし

――――


「……驚いたな」

 

 その文字は虚空に浮いていた。

 ただ浮かんでいるだけで、触ることは出来ない。


 どういう仕組みになっているかはわからないが、とりあえず情報を纏めるとしよう。


レベルってのが何かはわからないが、キラービーを1体倒した時に1から2。

2体倒した時に2から3に増加した。

そして、1上がるごとに割り当て可能ステータスポイントとやらが5増えるってことなのだろうか。


「移動速度が、さっき上げた項目だよな……」


 移動速度とやらが文字通り移動する速度の事を指しているのは、既に実証済みである。

 帰り道に試したが、移動速度は上げる前のほぼ2倍。

 

 50mをおおよそ7秒で走れたのが、3.5秒程度にまで短縮されていた。

 数値が2倍になったことでそうなったとすると、後30ほど数値を上げれば50mを1秒以内に走りきれるということになる。


「3.5秒でも十分常人離れしてるのに、そこまで行けば上位スキルレベルだな」


 もちろん、そうなるという確証はない。

 だが、そうなる可能性はとても高いということだけは言えた。


「他にも体力や攻撃力があるが……、具体的にどういう力なんだ?」


 体力っていうのは、持久力のことなのだろうか。

 そして攻撃力は攻撃の力……、いや、よく分からないな。


 仮にナイフで俺がキラービーに攻撃したとして、その場合の力はナイフ自体の切れ味や付加要素に関わってくる。当然だが、ナイフじゃなくて大剣であったならばすべてが変わるはずだ。


「……試しに上げてみるか」


 貴重なポイントであるのは事実。

 だが、冒険者にとって攻撃の力はあまりにも無視して通ることが出来なかった。


「攻撃力に1だけ割り当ててくれ」

『命令を確認。攻撃力に1ポイントを振り分けます。攻撃力が5から6に上昇しました』


 その言葉とともに、俺の身体を白い光が覆う。

 移動速度のときほどじゃないが、身体が軽くなる感覚。度合いが小さいのは、ポイントが少ないからだろう。


『現在のステータスを表示しますか?』

「いや、大丈夫だ」


 俺はそう言って、腰に下げていたナイフを手に取る。


「……軽くなったか?」


 いつもよりも手にかかる重さが少ないように感じる。

 もう何年も使ってきたナイフだけに、感覚を間違えるわけがなかった。


 となるとすると、攻撃力というのは筋力のことを指すのだろうか。

 勿論、わざわざ攻撃力と書いているのだからそれ以外の要素もありそうだが、想定通りの結果に俺は満足する。


「その他の項目については……」


 防御力というのも気になるが、いかんせん試す方法が少ない。

 まさか自分にナイフを突き刺して、痛みの度合いを測るなんてことはしたくなかった。


 魔力量や魔法攻撃力、魔法防御力は本当に言葉通りなのだろう。


 スキルが何もない俺にとって、魔法というものはとても心惹かれるものだが、少しだけ懸念点があった。

 仮に魔力量があったとして、俺は魔法を一切覚えていないのだ。

 である以上、使えるようになるという確証は一切なかった。


 魔法防御力はそのうち上げるかもしれないが、魔力量や魔法攻撃力は、よほどポイントが余ったときのみ使おう。

 なにせ、今の俺にはレベルとやらがどうすれば上がるかも分からなければ、どこまで上がるか予想もつかないのだから。


 習得スキルの項目は、まあそのとおりであった。


「今日はもう寝るか……」


 俺は、ベッドに身体を投げ出す。

 すると、溜まっていた疲れが一気に出てきたのか、睡魔が大きくなっていく。


 ……今まで、未来は常に灰色だった。

 でも、明日は少しだけ輝いて見える。


 そんなことを考えながら、俺は眠りについた。



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