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1話

「セックスがしたい・・」



 気が付いたら、私の口がそんな言葉を言っていた。私はそんな人間でもないくせに。どうしてしまったんだろう私の口。


 ねぇ。とてつもない寂しさに襲われることってない?ある?あるよね?え?ないの?そんなおかしなこと、私だけなの?私おかしいの?

 そんなわけのわからない想像が頭の中をぐるぐる回っている。どうすれば、この思考を止められる?これはきっとヒステリーとかいう、一部の女という人間にしか起きない症状だと私は確信した。

 私には、付き合って2ヶ月しかたっていない彼がいる。まだ2ヶ月というのに、もうこの上なく愛している。彼がいれば地球なんかなくなってもいいとさえ思う。そんな彼。とっても淡泊な彼。付き合ったことのないタイプ。彼は学生で、今就職活動真っ只中。一週間に2、3日会っていたけれど、最近会う時間がなくなってきた。そんな私。もちろん、不安だらけ。淡泊だから余計に不安。

 ねぇ?好き?好きなの?私たち付き合ってるの?ねぇ?浮気なんかしてないよね?どうして明日泊まっちゃいけないの?私のことどう思ってるの?私のこと好き?友達と私どっちが大事?猫と私どっちが好き?どうしてエッチしてくれないの?

 もう、自分は何を言っているんだろうか。そんなこと聞いても、なんの答えにもならないことは自分自身が一番よく知っているバズなのに・・。それに、友達と私なんて、比べられるわけないじゃない。ばか。わたしのばか。何いってるのよ。どうして私の口はそんなこと言うのよ。なんでよ。


 そんなことを考えていた。毎日考えている。常に考えている。仕事をやめて2ヶ月が経つが、私はいっこうに就職活動一直線になれない。彼・・・のせいかも知れない。彼の存在が私の心を、すべてを不安でぐちゃぐちゃにしていく。



「俺のせいでそんなに落ち込んでるの?」


 こんなことを言われたことがある。ううん。あなたのせいじゃないの。私が勝手に思い込んでね、勝手に悪い想像をして、自分で苦しんでるの。あなたのせいじゃない。

 本当はそれが事実。まぎれもない事実。だけど、私の心の中は、そうよ。あなたのせいで私は毎日毎日不安で泣いてるのよ。あなたがどこで何してるか知りたいのよ。あなたのことを愛してるのよ。あなたがいないと私は何もできない人間なのよ。あなたにほっとかれるより、むちゃくちゃにされたいのよ。


「ううん。あなたのせいじゃないの。私が勝手に思い込んでるだけだから・・。ごめんね」


 本当のことは言えなかった。言ったら私の本当の姿さらすことになる。こんな姿。だれがみてもひどい女じゃない。だれがみても、わがままな女。欲望に満ちた汚い女よ。


「何を思い込んでるの?」


 あぁ。淡泊な彼。もう、どんなことを思ってそんな言葉を発しているのかさえわからない。あなたの心の中が見えない。真っ暗。ずっとずっと闇の中。感情のない言葉の裏を想像する私。きっと、こんなわがままな女の言い訳なんかききたくもないだろうな。私が落ち込んでいようが、何しようがあなたには関係のないことなのでしょう?


 私はいったん落ち着いてみることにした。私はまぎれもなく彼に満足していない。でも、彼を死ぬほど愛している。彼とセックスしたのはいつだっただろうか?まただ。また変なことを考えはじめてしまう私の脳みそ。この連鎖を止めてほしい。誰かでなく、私の彼に止めて欲しい。

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