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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

サイコパス主人公の異世界転生もののプロット 第1部

作者: ねんどーる

名前が決まっていないので主人公の名前を仮にAってします。


Aは魔術も神の奇跡も存在する中世ヨーロッパ風の建物がたち並ぶ異世界に生まれた。両親曰くとてつもなく手のかかる子だったらしい、例えば言語の学習に人一倍時間がかかり感覚が敏感なのか少し抱きしめられただけで泣き出し、物事に興味がわいた際なかなか寝付けなかったそうだ。

そしてAは魔道学院に入学する。Aが生まれた国では世界大戦が勃発しており魔道学院卒業後は自動的に徴兵される決まりとなっているからだ。

魔道学院でもやはりAは問題児となっていた。先生の話は聞かない事と落ち着きがないこと、友達を作らないのはまだいいとしてもなぜ1+1=2になるのかだとかなぜ人を殺してはいけないのかだとかを先生が居残りで2時間説き続けても理解するには至らなかったという。そのように知的能力、共感能力が乏しい人間であるのだから当然魔道の学習には困難を極めた。

魔法は神の力を媒介にし人々の信仰心によって超常的な力を引き起こす者だが、Aはまず神とは何かとそれが存在する証明を求めた。宗教国家であるこの国において神の存在を学んでいないAに対する憎悪はAのみならずAの両親にも向けられた。AもAの両親も忌み嫌われ、挙句の果てにはAの両親が法で死刑に処されることとなった。だが不思議なことに、そのことに関してAは怒りも悲しみも感じなかった。感じた事といえば理屈もなく頭に常識を叩き込まれる毎日からの解放感だった。

そんな異常者として噂されていたAを引き取ったのは皮肉にも人に興味がなくただ日々を怠惰に過ごす60代の老人だった。老人の目的はわからなかったが不思議と老人は金持ちであったので生活は何不自由なく暮らせた。この国は義務教育国家であったので学校はまだ続いてはいたのだが、あまりにも周りのいじめや大人からの陰湿な視線が低レベルな思想によるものと感じたのでAは復帰から1週間もたたないうちに不登校となった。

Aは家で興味のある事柄に打ち込み、その内容は多岐にわたった。どうして物体は高度の高い場所から低い場所へ落ちるのか、神の災いとされた気候状況の変化の原因は何か、そしてさいだいの謎である神とは何か、魔法の発動させる仕組みは何か。

(中略)様々な実験を繰り返していくうちに魔法の発動構造を発見した。一般的に魔法の発動には使用者が炎、氷、鉄などの自然環境に存在する物質を聖書に従って想像しその組み合わせによって発動するものだが、聖書に書いてある組み合わせはあまりにも非効率的であると発覚した。

そして聖書には神の力を媒介にするとあるがそんな存在しなかった。初めから神は存在せず、上級階級の人間が神権を得るために知らしめたただの迷信であったと気づかされた。魔法は物質を原子レベルに分解し杖という拡張機能でこの世界の人間が原子構造への干渉を可能にしそれを変化させる事によって水から金が作り出せたり身の回りの酸素を猛毒ガスに変化させている。Aはこれを発見した際人生で初めてといっていいレベルの喜びに満ち溢れた。ようやくこの世の常識を覆す発見ができ、長い間縛り付けていた概念から解放されることができたからだ。

すぐAはこの発見を人類の思考を停止させる養成施設の学校をはじめとして世間の愚かな人類に知らしめようとしたが、彼の暴走を止める人間がいた。Aの両親が死んだ際Aを引き取った老人だ。

老人曰くAを引き取ったのは金目的ではなくAの世の常識をここまで疑う姿勢に知的好奇心がわいたからだという。というのもこの老人はこの世界で最も有名な定理を提唱した数学者だった。しかし数学者間の名誉や金を醜く競いあっているだけの人間たちに嫌気がさし、定理は公表したが教科書や新聞記者たちに「私は名誉のために数学をしているのではない」といった意味を込めてあえて名前を公表しなかったという。

「お前はとてつもなく優秀だ。部屋にある大量のノートを拝見したがよくぞ0から全ての現象を「神」を使わず証明した。ただ人々はこの世の理を全て「神」に頼ってきたゆえに愚かだ。いずれお前の両親のように処刑されることになるだろう。」老人はそう言い放ち発見は頭にとどめておくよう説得した。

しかしAは12歳になろうとも世の倫理観に遥かに乏しかった。「大量の発見を通して大規模な魔法を次々と開発し人々に武力で力を示してやろう」、そう思った。Aは自分が虐げられてきたのが怒りの原因ではなかった。ただ聖書や杖を製作したものがいるならこうした魔法の発動構造は「神」を用いて説明せずともとっくに解明されていたはずだ。彼らはAに対し教えを禁止したこと、自分の知的好奇心を妨げられたのが何よりも許せなかった。

Aは次々と実験していくことになる。老人もAの興味の妨げになるだろうと真意を深くは尋ねなかった。

数週間後、ある実験の最中にAは意識を失った。彼は物質を原子レベルで分解できることを生かし、人類がいままで誰もたどり着けなかった人間を作ることにしたのだが、解体新書もなかったこの世界で人間の構造を知る方法などなかった。周りの人間を殺そうにも騒がれでもしたら厄介だし人気のない場所におびき出す対人能力もなかった。そこでAは大量の血のサンプルや髪の毛、唾や排拙物に至るまで自分で獲得し調べた。貧血状態になるくらいまでの自傷行為に及んだがそれでも体の大部分はわからず特に脳の構造だけはわからなかった、そこで彼は電気信号を頭の中に送ったりなどの実験を自分で行った。

しかし甘かった。彼は数か月の間生死をさまよい続けた。もともと武力行使のためだったはずだがいつしか「人を作る」ことが興味の対象になっていった。

(いろいろあるが略)

目が覚めたころにはAは前世の記憶を思い出した。前世はこの国とは違い魔法もなく宗教国家でもないの「二ホン」の「トウキョウ」に住む普通の「ダイガクセイ」だった。特に何の変哲もない普通の大学生だったが世の倫理観に関してはまともだったので、今までの自分の思考の異常性に即座に気づいた。

前世で学んだ世界史にも宗教観念に反した言動で処罰されたケースは存在する。世の常識観念に疑問を持つのはいいとしても生き残るためにある程度従わなければいけないという結論に至り、彼は不登校生活は一旦終わりを迎えた。


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