表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/137

聖騎士と穴の中の女王

皆様の声を聞かせてくださると幸いです

感想、評価お待ちしております

 インスタントダンジョン「蟻の巣」、アサギ達はダンジョンの1番奥であろう部屋の前までたどり着いた


「マップ的に見るとここが一番奥だろうな、ここから奥が表示されてない」


「そうだね、部屋の奥は真っ暗で見えないけど奥に行ける感じではなさそうかな」


「それよりもあそこから崖っぽくなってるみたいよ、多分あそこから女王蟻が頭を出してくるんでしょうね」


 部屋に入らずに中を覗いてみるとその部屋はとても広くそして奥の方に地面がない事がわかる

 あの巨体である女王蟻とどうやって洞窟の中で戦うんだろうと考えていたアサギ達だがこれなら納得である

 部屋の奥の地下から顔だけだした女王蟻を攻撃するのだろう


「しっかし地下だから飛ばないと思ってたけどこの部屋だけ天井高いな」


「ほんとだね、これなら確実に飛んでくるだろうね」


「姫蟻の時みたいな感じで出してくる可能性もあるから気を付けないといけないわね」


「攻撃パターン的には山の上と同じような感じかなぁ?」


「えーっと、あの時は踏みつけ、噛みつきが通常で特殊行動が蟻酸と雑魚召喚って感じだったかな?」


「うんうん、25パー削ったら噛みつきに叩きつけも追加してきたね、あれ結構精神的に来るものがあるんだよね」


「そりゃまあ、あんなでかい口に咥えられて振り回されたらそうだろうなぁ・・・」


「蟻酸は円形に飛ばしてくるパターンと戻る時の直線パターンの2種類は見たわね、全部が同じとは思えないわね・・・」


「結局どのくらいまで削ったら逃げたんだっけ?半分だっけか?」


「うんうん、半分減らした後の蟻酸を避けたら戻る時に近衛兵の卵を産んでそれを倒したら逃げたね」


「ってことは女王蟻の行動の半分しか見てないって事だからな、それ以外にもあると思ってもいいんだろうな」


「ギミックで難しいボスってよりも攻撃力が高くて難しいボスって感じかしらね?アサギはどう思う?」


「んー・・・ギミックってあの蟻酸くらいしか魔法陣の攻撃予兆はなかったからねぇ・・・確かに踏みつけも噛みつきもダメージは結構あったしそんな感じかなぁ?」


「「蟻の巣」内部で蟻の種類も増えたしそこは気を付けないといけないね」


「うんうん、近衛兵以外も産む可能性はあるね」


「考えられるのはこんなものかしら?あとは大丈夫?」


 セッキーが五人の顔を一人ずつ見回す、全員が何もないと首肯する


「よし、じゃあ逃げていった女王蟻退治といきますか!アサギ、頼んだわよ」


「任せて!じゃあ皆いくよー!」


「「「「「おー!」」」」」


 アサギが女王蟻がいるであろう部屋の前に立ち深呼吸をする


「・・・ふー・・・よし!進むよ」


 アサギは女王蟻の住処に足を踏み入れ前に進んでいく

 部屋の中央くらいまでアサギが来ると地面が少し揺れ始める、ドシンドシンという音を立てながら女王蟻が奥から顔を出した


「女王様!よろしくおねがいしまっす!!」


 アサギは完全に顔を出した女王蟻へと走り出す

 相変わらず完全に女王蟻の顔に辿り着く前にガツンと何かに当たったような感触がした

 どうやら今回も女王蟻の顔の前を攻撃するとダメージがはいるようだ


「これあんまり好きじゃないんだよなー、まあ、敵の大きさがこれからどんどん大きくなっていくだろうから仕方ないんだろうけど!」


「そうね、そこらへんはゲームだししょうがないわね、多分これからドラゴンとか巨人とかくるでしょうから多分増えていくんじゃないかしら」


「んー・・・やっぱ人型くらいの敵と戦うのが1番やりやすいね」


「あっちゃんはそうかもだけど私的にはやっぱ的が大きい方がありがたいけどねー」


「あー、そうだね、火力的にはそうかもしれないね」


 アサギは踏みつけ攻撃を盾で防ぎながら挑発スキルを続けて使いターゲットを固定している


「よし、そろそろいいかな、お願いー」


 自身が持つ挑発スキルを一通り使い終わりアサギは他のパーティメンバーに攻撃開始をお願いする

 女王蟻の攻撃にアサギ以外が巻き込まれないようにアサギは女王蟻を見て右側、まぁちゃん、オネ、ダガーは左側から攻撃を繰り出す

 セッキーとマーリンはその中間らへんの後方にいた


「とりあえず75パーまでは問題ないだろうね」


「そうね、大丈夫じゃないかしら」


 今の所女王蟻は山の頂上で戦った時と比べて変化はない

 25パーセントを削り特殊行動に移ったがやはり空を飛び蟻酸を降らしてくるのでそれを避けた

 元の位置に戻る時に蟻酸を垂れ流してくるのも同じだったのでそれもしっかりと避ける


「変わらないな、となるとやっぱ問題は半分からだな」


「そうね、最後に卵落としてくるから気を付けないとね、あとアサギはこれからスタンもはいるから火力気を付けなさいよ」


 セッキーが言った瞬間にアサギは女王蟻に噛みつかれ持ち上げられそして地面に叩きつけられた


「これ連続できたら絶対酔うと思う・・・てか仰向けで寝てる所に踏みつけ攻撃はまじで怖い」


 大の字に寝ているアサギの上に女王蟻が踏みつけ攻撃をしてくるのでこのタイミングが一番ダメージが大きくなる


「動けない所に来る訳だからほんと怖いよね、大丈夫?」


「ふぅ・・・まあ、なんとか」


 起き上がったアサギは再度女王蟻の顔の前の空間目掛けて剣を振るう


「上から真っすぐ来る攻撃って今まであんまりなかったからちょっとタイミング掴みにくかったけどようやく出来そう」


 アサギは踏みつけ攻撃を盾で防ぐと同時に女王蟻の顔の前の空間に蹴りを入れる

 結構いいダメージがはいったようだ


「よしよし、今のいい感じに入った」


「相変わらずそれを狙ってやれるのが凄いね」


「踏む足がないから蹴りいれるしかないからな」


「あの前足は踏んでもダメージもなければヘイトも稼げないだろうねー」


 アサギの蹴りで女王蟻のHPを削る速度は更に高まる、そして女王蟻のHPは半分となった

 女王蟻は飛びあがり蟻酸をばらまく、だが山の頂上で戦った時とは違い蟻酸と一緒に卵を飛ばしてきた


「おいおい、卵が蟻酸まみれだぞ、母親としてそれでいいのか?」


「そんな心配よりも数の心配をした方がよさそうね、全部の攻撃に卵が入ってる訳じゃあないみたいだけど結構多いわよ」


 女王蟻の蟻酸が飛んできている間にももう卵は孵化し始めている

 卵の中からは近衛兵蟻が出てきた


「ん?HPが減ってるな、女王蟻の蟻酸はどうやらあいつらにもダメージがあるらしいぞ?」


「んー・・・」


「どうしたの、セッキー?」


「ううん、とりあえず今は大丈夫、あとでちょっと確かめさせて」


「うん、わかった」


 アサギ達は飛んでくる蟻酸を躱しながら産まれてきた近衛兵蟻を倒す

 そして蟻酸を飛ばし終えた女王蟻が戻っていく、その時も女王蟻は卵を産んできた


「どんだけ産むんだよ、まったく」


 そして元の位置に戻った女王蟻はアサギ目掛けて踏みつけ攻撃を再開してきた

 アサギ以外が近衛兵蟻の対処をしている


「アサギ、近衛兵蟻が片付いたらちょっとそのまま女王蟻から離れて見てくれる?」


「うん?わかった」


「なんだ?なんかあったのか?」


「今の卵の量と蟻酸でダメージが入ってる蟻をみてちょっとね」


「ふーん?」


 近衛兵蟻は蟻酸にまみれていたので処理にそこまで時間はかからなかった


「じゃあちょっと離れてみるね」


「うん、お願い、他の皆は攻撃ちょっとやめてね」


 アサギがセッキーの言う通りに女王蟻の前から少しずつ離れていく

 女王蟻はその場から動かずに、しかし長い手足を使いアサギを踏みつけてくる


「どうー?大丈夫ー?」


「うん、ありがとう、戻っていいわよ」


「はーい」


 アサギが女王蟻の前まで戻り攻撃を再開する


「皆も攻撃はじめていいわよ」


「んで?何が知りたかったんだ?」


「今産まれた蟻って結構な量だったけど蟻酸でダメージが入ってたから結構楽に倒せたじゃない?」


「うん、そうだね、あれ蟻酸のダメージがなかったらちょっと時間かかってただろうね」


「あの卵がもしもっと増えたとしても時間さえ立てば私達が攻撃しなくてもあの蟻は死ぬわよね」


「んー、そうだね、でも攻撃痛いよ?」


「私達はね、でもアサギがそれを無敵スキルを使って全部引き寄せてくれたら蟻放置できないかしら?」


「あー・・・あのスキルか、確か30秒間ステータスの数値が変わらなくなるって奴」


「んー・・・30秒以内に蟻が死ぬならできるかも?でも一斉に蟻が孵化する訳じゃないでしょ?」


「問題はそこね、でも山で戦った時と比べて産む卵の量が多い事にひっかかってるのよね・・・」


「最終的にもっと増えるって事か?」


「多分だけどね」


「それだと討伐結構難しくない?一応「蟻の巣」は攻略してる人多くないの?」


「そこまではわからないわね、最初は色々情報仕入れずにやりたいから調査クエ関連の情報を中心に掲示板見てたからね」


「んー・・・まあ、「魔竜エドラ」みたいなDPSチェックを蟻の数を増やす事でしてると思えばありえそうな話か」


「なるほどね、それを私が一人で受け持つ事で女王蟻の討伐ははやくもなるしね、面白そうだしやってみようか」


「多分最後の25パーが1番多く卵を産むと思うから25パー前でちょっと止まって範囲挑発のCTを回復させておいてね」


「うん、わかった、大丈夫だったらいうね」


「うん、お願いね、さっきから噛みつかれて叩きつけられてるのにごめんね」


「あはは、大丈夫だよー!」


 HPを半分減らした女王蟻の攻撃は踏みつけ攻撃が速く強くなった事と噛みつき攻撃の攻撃範囲が少し広がった事くらいしか変化がなかった

 噛みつくときに口を広げる角度が増えたのだが最初から当たる場所に居なかったので特に問題はない

 口を広げてから噛みついてきてるからなのか多少ダメージは増えたが

 そして女王蟻のHPが残し25パーセント近くになった


「CTは両方大丈夫、このまま攻撃しちゃっていいよ」


「じゃあ行くぞ」


 女王蟻のHPが25パーセントを下回った

 しかしそこで予想外の事が二つ起きる


『我が子らよ、呼びかけに応じて召喚されし外遊人よ、我が声が聞こえるか?我は光の神ヒッカリー、予言を与えるものである』


「まじかよ!このタイミングでイベントの告知かよ!!」


「気になるけど後よ、後!今は女王蟻に集中して!なんか叫んでるわよ!」


 女王蟻が空を飛ぶと蟻酸を撒き散らしながら何かを叫ぶかのように口をパクパクと、いや、バクバクと動かし始めたのだ

 すると今まで女王蟻が居た所から近衛兵蟻が大量に現れる

 現れた近衛兵蟻は全て蟻酸を浴びていた、セッキーの予想が別の形で当たってしまったのだ


「皆後ろに行ってて!こいつら持ってちょっと走るから!ヒールいらないからね!」


 アサギは範囲挑発を近衛兵蟻に発動する、全ての近衛兵蟻の殺意がアサギの方へと向いた

 アサギは部屋の中を走り始める、少しでも無敵スキルを使う時間を稼ぐ為だ、途中で少しずつ挑発スキルを使いセッキーやオネの回復魔法で高まったヘイトでターゲットが変更されないようにした

 女王蟻が更に卵を産んで元の場所に戻る


「アサギ!卵追加したぞ!こっちはいけるか!?」


「大丈夫、任せて、セッキー無敵スキル使うよ!」


 アサギは新しく産まれた近衛兵蟻の近くでスキルを発動させ、範囲挑発も発動させる


「皆女王蟻よろしく!!」


 アサギは蟻酸まみれの近衛兵蟻を引き連れアサギ達が入ってきた方へと走り出す

 女王蟻は元の場所から前足を伸ばしアサギを踏みつける、近衛兵蟻は蟻酸でHPを減らしながらアサギの後を追っていく

 どうやらターゲットしているキャラが遠くなると噛みつき攻撃は使わなくなるようだ

 これはこれで攻略に使えそうダなセッキーは思ったが頼りになる前衛がいるので必要ないかとすぐにその考えは頭から消えていった

 アサギは無敵スキルでダメージを負わない

 大量の近衛兵蟻に囲まれながら少しでもHPを減らそうと範囲攻撃などで近衛兵蟻の数を減らしていく

 もう最初に穴からでてきた近衛兵蟻は少なくなってきている

 後は女王蟻が蟻酸と一緒に飛ばしてきた卵から孵った近衛兵蟻くらいである

 アサギが無敵スキルを使ってから30秒が経過した


「はー・・・これで最後!」


 アサギは剣を1匹だけ残った近衛兵蟻に突き刺した


「ふぅ、お待たせ、今行くね!」


 女王蟻の前足に踏まれながらもアサギは女王蟻に近づいて行く

 最初の索敵範囲内にアサギが入った瞬間に女王蟻は身を乗り出してアサギに噛みつき、戻りながら持ち上げ穴の近くにアサギを放り投げた


「あはは、移動する手間が省けた」


「あっちゃんおつかれさま、そろそろ終わるわよ」


「うん!もうちょっとだ!」


 立ち上がったアサギは肩に剣を担ぐ、見慣れた光景である


「エクスッ!!!カリバァァァァ!!!!」


 光の剣が女王蟻の顔まで届きダメージを与える

 光の中で女王蟻の巨体が倒れこんでいく、光が消えていくと「蟻の巣」の女王蟻のいた部屋で動く蟻は居なくなっていた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ