聖騎士と女王
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山頂へ行く道を上っていくアサギ達
途中で兵隊蟻が何度か湧いてアサギ達の行く手を阻むが兵隊蟻は先ほどまでのクエストで倒していた蟻と大して変わりはないので何も問題はない
一度に何匹化に同時に襲われはするが「蟻の巣」前もかなりの量の蟻がいたので囲まれる環境には慣れていた
終わりが見えるだけまだ余裕があるというものだ
更に山頂を目指し登っていくと今度は近衛兵蟻が兵隊蟻の集団に混ざり始めてきた
近衛兵蟻は兵隊蟻と比べて身体が大きく動きは鈍重だが攻撃力と防御力が大幅に上昇していた
しかし外殻が硬くなった所為か蟻酸での攻撃は無くなっている、その代わり体当たりを繰り出すようになっていた
「うわ!近衛兵の体当たりめっちゃ重いよ、後ろに体重かけたら突っ込んでくるから気を付けてね」
「これは兵隊と近衛どっち先に倒したらいいか悩むな」
「んー、まだ攻撃通りやすい兵隊からの方がいいかな、さっさと片付けた方がよさそう」
「近衛には物理はそこまで効かないみたいね、ヘイト管理気を付けなさいよ」
山頂へもうすぐ辿り着くくらいまでになると数は減ったが近衛兵蟻のみとなっていた
「そろそろ着くだろ、女王蟻んとこに」
「そうだね、もう少しでてっぺんだね」
「兵隊から近衛兵になったら相当強化されたし女王はどんな強さなのかしらね」
「よし、それじゃあ行こうか!」
「「「「「おー!」」」」」
アサギ達は食事や支援魔法などの準備を済ませ山頂まで続く道を一気に駆け上った
そこに居た、いや、そこにあったのは巨大な蟻の顔である
「おいおい・・・まじかよ・・・」
「今までの中で1番大きいね」
「さ、流石にこのサイズは・・・気持ち悪い・・・」
山頂の上にというよりもアサギ達が登ってきた山の反対側に山の大きさの三分の一ほどの大きさの蟻の身体が横たわっていた
「これだと後ろを向かせる事ができないね、どうしようか」
「あー、そうだな、確かに横から攻撃する感じしかないか?」
「範囲攻撃は全員で避けないといけない感じだね、通常攻撃もどんな感じかな」
「それよりもあの巨体よ?アサギのVITでも防ぎ切れるかどうかわからないわよ」
「あー、確かに攻撃は凄く重たそうだね」
「んー、でも掲示板にはクリア報告結構あるんだろ?しかも調査クエストな訳だし、そこまで強くはないんじゃないか?」
「レベルも低い訳じゃないしな、アサギさんで防ぎ切れなかったら他の奴でできそうな奴は考えつかないな」
「いや、私なんてそんな・・・」
「まあ、でもレベルも装備も揃ってる純粋なタンク職でだめなら流石にバランスが悪いわよね」
「んー、それはそうだね、まあ、まずはやってみないとわからないか」
「それはそうね、食事の効果時間も限りはある訳だしとりあえず始めましょうか」
「「「「「おー!」」」」」
アサギは若干緊張しているのか息を大きく吸い込み深呼吸を繰り返す
それも仕方がない事だろう、女王蟻の顔はとても大きい、こんな大きな敵は今まで戦った事がない、緊張してしまうのも当然だ
「よし!いきます!!女王蟻よろしくおねがいしまっす!!」
アサギは気合を入れ女王蟻の顔目掛けて走り出した
アサギが女王蟻の索敵範囲に入った時、アサギの足元に影が広がっていく
女王蟻の前足がアサギを圧し潰そうと降ってきたのだ
アサギは必死になってそれを避けるが地面が少し揺れ足を止めてしまった
そしてその足がゆっくりと空中に戻っていくと今度は逆側の前足がまたアサギ目掛けて迫ってくる
「ちょっと1回受けてみるね!」
アサギはその場で立ち止まり盾を頭上に掲げて女王蟻の攻撃を受ける
ぐっと盾に重さが伝わってくる、結構なダメージである、だがそれでもアサギは盾を頭上から降ろさなかった
「やば、おっもい!!」
「ダメージ的にはなんとかなる程度で済んでるわ、どうする?避ける?耐える?」
「んー、あんまり避けて敵の攻撃がふらふらしちゃうとまぁちゃんとダガー君が戦い難いと思うから耐える感じで!」
「了解、頑張りなさい」
「うん!」
頭上に上げた盾から重さが無くなっていく、女王蟻が足を上にあげた様だ
アサギはその隙に自分の攻撃が女王蟻に届く所まで近づいた
「うへぇ、顔でかすぎる」
そんな事を言いながらアサギは剣をそして盾を振り回し攻撃を始める、と言っても顔に直接攻撃は当たっていない
傍から見れば空中を斬ったり殴ったりしてるだけなのだがあまり近づけないような設定なのかそこからの攻撃でも届いてはいるようだ
あまりプレイヤーが近付きすぎると女王蟻自体の攻撃が自身に当たってしまう為に設けられた設定である
「ダメージは入ってるっぽいけどやっぱり硬い感じはするね、攻撃場所は顔しかないのかな?」
その時アサギの上にまた蟻の前足が下りてきた
「攻撃は前足の先でやってるから範囲的にはそんな広くないね、反対側からなら攻撃できるかな、いいよー」
普段は敵の背中を向けたら攻撃開始なのだが今回はそれが出来ないのでアサギの合図で攻撃開始となった
「うわ、ほんとだ、結構硬いね」
「だな、マーリン頑張ってくれ」
「おう、任せておけ、って、おおおお!?」
マーリンが攻撃を始めたそのタイミングに女王蟻が前足以外の攻撃を見せた
アサギに噛みついてきたのである
「あー、今の攻撃は盾でダメージ減少させられないな、どうしよう」
「よくあんなでかい顔に噛みつかれてそんな冷静な判断が下せるな、今のは避けれなさそうなのか?」
「んー・・・今度きたら後ろに下がってみようかな、試してみるね」
女王蟻の攻撃パターンは片方ずつの前足で踏み潰そうとしてくるのと噛みついてくる事のようだ
だが相手はボスクラスのモンスターである、それだけで終わるとは思えない
噛みつき攻撃は結局後ろに下がっても身体を伸ばして噛みついてくるし、噛みつき終わるまで行動を止めなかったので耐える事になった
そして攻撃を続けHPを25パーセントほど減らすと女王蟻が大きく羽根を広げ始めた
「お、特殊行動きそうだぞ、多分飛ぶんじゃないか?」
「飛ぶとなると・・・蟻酸かな」
「とりあえず後ろに下がった方がよさそうよ」
アサギ達が後ろに下がると同時に女王蟻はその巨体を空中に浮かせはじめる
「よくあんなうっすい羽根で飛べるな、あんなでかいのに」
「多分魔法の力だよ」
「あー、魔法は便利だなー」
ブーンという羽音を響かせて女王蟻が空を飛んでいく
すると地面に魔法陣が広がった
「きた!」
その魔法陣に女王蟻の蟻酸が飛んでくる
兵隊蟻が出す蟻酸よりも濃い色をしているそれはダメージもなかなかありそうだ
「げ、消えない」
「おいおい、流石にそこは歩けないだろ、どんどん歩ける場所小さくなるって事かよ」
二度目の魔法陣が広がりそこにまた蟻酸が降り注ぐ、三度目の魔法陣が広がる時ようやく最初の蟻酸が消えて歩けるようになった
「お、消えた消えた、これならなんとかなりそうだな」
何度か蟻酸を避けた後、女王蟻がお尻の先から蟻酸を噴出させながら最初に居た場所まで戻った
最後のその蟻酸のみ魔法陣の出現から攻撃までがはやくアサギはその攻撃を受けてしまった
「うわ、結構ごっそりHP持っていかれちゃった」
「しかもDOTダメージも入ってるわね、解除不可よ」
「うーん、ごめんね、次は気を付けるよ」
「大丈夫よ、問題ないわ」
蟻酸を浴びたアサギは再度女王蟻に攻撃を再開するために近づいて行く、女王蟻の前足がアサギを圧し潰そうとするがそれはしっかりと盾で受け止めて更に近づいて行く
その次の噛みつき攻撃に変化が現れた、先ほどまでは噛みついて終わりだったのだがアサギを噛みついて持ち上げた、そしてその後アサギは地面へと叩きつけられた
「うっわ、スタンだ、身体動かせない」
「なかなかやっかいな攻撃ね」
アサギがスタンしてしまうという事はヘイトを稼ぐ時間が減るという事である、スタンしている時間が長ければ長いほどターゲットが移りやすくなってしまうのだ、噛みつき攻撃はそこまで頻度が高くはないのがせめてもの救いだろう
アサギ達はスタンに悩まされながら攻撃を続けていく、そして女王蟻のHPが半分になった時また女王蟻が飛び始めた
「やれやれ、また蟻酸がくるぞ」
「アサギで結構ダメージあったんだからしっかり避けなさいよ」
女王蟻の蟻酸を何度か避けると女王蟻はまた同じ場所に戻っていく
アサギ達は先ほど帰る時にも蟻酸を噴出していたのを見ていたのでそれに備え当たらない様に動いていた
だが今度の女王蟻はお尻から蟻酸以外の物を落としてながら帰っていった
「げ、卵じゃねぇか!!!」
女王蟻のお尻から産み出された卵は地面に落ちた瞬間に近衛兵蟻を孵化させた
アサギはすぐにサインを付け範囲挑発を発動する、マーリンはそのサインを見て移動不可などで近衛兵蟻を妨害する
アサギが女王蟻と近衛兵蟻両方からの攻撃に耐える
近衛兵蟻は数こそ多いものの産まれたてだからなのか山の中腹らへんで襲ってきた近衛兵よりもHPも防御力も低いようでアサギのHPが無くなる前に全てを倒し切る事ができた
「あっぶな!今噛みつききてたら流石にまずかったかも!」
近衛兵蟻を倒し切ったのを確認したアサギは再度女王蟻を倒す為に近づいて行く
しかし女王蟻がまた羽根を広げ始めた
「おいおい、また蟻酸か!?」
「ええ、また来るの!?」
女王蟻が巨体を浮かし始める、アサギ達は蟻酸を避ける為に地面を見渡す、しかし魔法陣が広がっていかない
「あ、見て!」
女王蟻を確認しようとアサギが上を見上げた時、女王蟻が背中を向けどこかへ飛んでいった
「なるほど、決着は「蟻の巣」の中って訳ね」
「そうか、ここで女王蟻倒したら「蟻の巣」のボスってなんだろ、って思ってたけどここじゃあ倒せないんだな」
「そうみたいだね、クエストも進んだよ、これで村長に報告すれば「蟻の巣」に行って女王蟻を倒して来いとか言われるんだろうね」
「ああ、なるほど、そう繋がっていくわけね」
「蟻かー・・・ドロップは期待できそうにないなぁ・・・」
「んー・・・確かにな、まぁちゃんも流石に蟻の羽根の装備はいらないだろ?」
「いらないいらない!そんなの装備したくないよ!!」
「んー・・・それは私もいやかな・・・」
「多分皆いやよ、そんなの、まあそれでも報告はしないとね、さ、村長の所へ戻りましょう」
「「「「「おー!」」」」」
アサギ達は山を下り村長が待つ「ヨーセノ村」に戻っていった




