表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/137

聖騎士で脳筋は少ない(いないとは言ってない)

携帯なので(以下略

「ああ、今日も空が青い・・・」


 昨日はとても楽しかった!

 盾を構えているダンチョーに攻撃を加え、こう来たら盾をこう出して受け流すんだ!と見本を見せてもらった

 その後自分がやってみるもなかなか上手くいかなくて何度も吹っ飛ばされたが最後らへんは少し上手くなったと思う

 レベルは上がらない稽古だけれどフルダイブのゲームだからこういったプレイヤースキルは大事だろう

 まあ、パラディンのスキルに敵の攻撃を認識したら自動で盾を出し攻撃を防ぐものがあるし多分それは取得するとは思うがきっと役に立つはずだ

 NPCとプレイヤーで同じ職なら覚えられるスキルは同じらしいし、ダンチョーさんもそのスキルは持っていたが盾の使い方が上手くなればなるほどそのスキルの動きは滑らかになるし、防ぐだけでなく受け流しすぐ攻撃に移れるようにもなるらしい


「スキルやステータスだけが大事な訳ではないんですね!ダンチョー!!」


 教えてもらった時にそう言ったらダンチョーはそうだ!その通りだ!と笑っていた


 これからも稽古は続けていこう、なにせ今まで平和な世界でしか生きてこなかった私だ、盾なんてプラスチック製のレプリカしか持った事がない

 昔やっていたゲームのキャラの盾でそのキャラは当然聖騎士だった

 盾を持って写真を撮った事はあっても攻撃を防いだりなんかはした事がない、だって傷ついたらいやだし、結構高かったのだ


 ああ、それにしてもフルダイブとは素晴らしい

 完全にはまってしまった


 正直に言うともうずっと土の教会で聖騎士に囲まれて稽古だけしててもいいくらいだ

 あそこは私の天国だ!!


「おはよう、またにやけてるよ、昨日は「まおクエ」どうだったの?あの後もやってたんでしょ?」


「おはよう、席子ちゃん、聞いてよ聞いてよ、あっちの聖騎士さんに稽古つけてもらったんだよー!しかも団長だよ、団長!凄い強い、って言うかうまい!って感じでね!私がどこから攻撃しても全部止められるか受け流されるかされてね、重心がぶれる事もないから凄い安定してるし、凄い頼もしいって言うかね、とにかく凄い人だったの、そんな人がね、直接稽古つけてくれたんだよ!?ねぇ、凄くない!?」


「あー、はいはい、よかったね、で、レベルはどこまであがったの?ソードマンでしょ?聖騎士様を見てるだけじゃ満足しないでしょ、貴女」


「あー、いやー、んー・・・んんー、席子ちゃんならいいかー」


「うん?」


「いや、実はね、まだレベルは1のままなんだけどね」


 昨日あった事を私は伝えた

 席子ちゃんがもしクレリックならエルダープリーストになってもらいたいがそもそもお互いのプレイスタイルの違いで一緒に遊ばなくなるかもしれない、それなら最初から期待させない方がいい、多分そこまでの情報は公開されていないだろうし伝えた事でそれに縛られるのはなにか違う気がする、私だってやりたい事をやっているのだ、席子ちゃんだってその方がいい


「え?じゃあ告知されてた意図しない方法でのクラスチェンジって貴女の事だったの?しかもバグでも不正でもないからクラスそのままなんだ、へー、でもよかったね、念願の聖騎士様に早速なれた、って訳だ」


「そーなんだよー!なんかプレイヤーで1番最初のクラスチェンジだって言われたー」


「そりゃそうよ、だってまだ初日だもん、私だってまだまだクレリックよ、まあ、昨日ご飯の時間に気付かないでやってて怒られちゃったから夜は出来なかったけどね、でも差をつけられたかな、って心配してたけどそんな事なくてよかったわ、今日は一緒に遊ぼうよ、ご飯の前か後だけ稽古にしてさ」


 おっと、席子ちゃんはクレリックだったのか

 これは言うべきか・・・?


「なんだ、お前らも「まおクエ」やってんのか?」


 前の席の前野人男が座りながらくるりと身体をこちらに向けた


「あれ?前野君もやってるの?じゃあやっぱり昨日はずる休みだったんだね」


「うわぁ、隣野!あんまでかい声で言うなよ、先生に聞こえるだろ!!」


 焦って慌てた前野君を見て席子ちゃんは笑っている


「ごめんごめん、で、前野君はどの職選んだの?やっぱ物理職?」


「いや、最初はそうするかなー、って思ってたんだけどさ!フルダイブのゲームなんか始めてじゃん?だから魔法使ってみたくてさ!よくね?使ってみたかったんだよなー、魔法」


 わかるわかると私は頷く


「お?わかる?だよなー!・・・でもさー、王都の近くに犬の雑魚いるじゃん?ノンアクティブだから詠唱自体はできるんだけど1発じゃ倒せなくてさ、でその後は殴って倒してるからまだマジシャンっぽくないんだよねー」


「じゃあ、ちょうどいいね、私はクレリックでこの子は前衛、前野君が後衛火力ならバランスが取れてるから狩りも楽になるはずよ」


「え、お前やっぱりタンク職なのか?相変わらずだなー、流石の聖騎士オタクだ、・・・いや、褒めてないぞ?なんで今頭を掻いて「それほどでもー」って顔をしたんだ」


「この子からしたら聖騎士オタクはもはや褒め言葉よ、で、折角3人バラバラの職なんだし今日の夜、そうね、ご飯食べた後くらいだから8時?くらいに遊びましょ、私の名前はセッキーよ」


「あ、私はね、アーサーが使われてたからアサギにしたよ」


「俺は魔法使いだからな、マーリンだ」


 わかるわかると私はまた頷いた


「貴女達、読んでる漫画がそっくりね」


「「んー・・・確かに・・・」」


 その後一緒に遊ぶとなるとどうせばれると思っていたのでパラディンロードになった事、誰にも言わないで欲しい事を前野君に話した


「話したら昨日のずる休みの事先生に言うからね」


「ぜ、絶対言わないから大丈夫だよ、だからそんな大声だすな、って・・・」


 席子ちゃんは焦った前野君を見てまた笑った





 学校が終わり帰宅部の私は速攻で帰宅した

 夜ご飯の時間を確認し、その時間を席子ちゃんと一緒に遊ぶのだからと連絡先を交換した前野君にメールで知らせておいた


「よし!まずは稽古からだ!土の教会にいくぞー!!」


 私は「まおクエ」の世界に飛び込んでいった






「失礼しまーす、ダンチョー団長さんは居ますかー?」


「ん?団長なら仕事で王城に行ってるけど、っと、ああ、君が団長が言っていた子かな?私は副団長のフクフ、よろしくな、話は聞いてるよ、稽古したいんだろう?」


「あ、アサギって言います!よろしくお願いします!はい、団長に稽古をつけてもらおうと思って来ました!」


「いやー、初日にしごかれてまた来るとは思わなかったよ、結構厳しかったらしいじゃないか、大したもんだ」


「いえ、あ、確かに厳しかったですけど優しく教えていただきましたので!それに私強くなりたいんです!!」


 瞬間フクフはなにかを見極めようとするかの如く眼を細める、しかしらそれは一瞬の事だった

 少し疑問に思ったのだが・・・


「あのダンチョー団長が優しい、ねぇ・・・」


 なるほど、疑問に思ったのはそこだったか


「はい、何度か吹き飛ばされましたけど盾の使い方が上手くなったような気がします!」


「ふぅむ、では今日は私が君に稽古をつけてあげようか、なに、団長よりかは強くはないが盾の使い方は私の方が上だよ、言うなら団長は剛の盾、私は柔の盾だ」


 柔の盾!かっこいい!それにダンチョーが剛の盾は納得だ、私は興奮して何度も首を縦に振ったのだった


(見た感じでわかったのはわりと根性がある事と本人がちゃんと強くなりたいと思っている事くらいか・・・裏があるようには見えないな、あー、あとは・・・ちょっと変な子だな)


 変な子だと思われてるても知らずにアサギは「では稽古場にいきましょー!」とフクフを促す


「よし、じゃあ行くか」


 フクフは今にも走り出しそうになっているアサギを見て少し駆け足になった


(やっぱり変な子だな)





 稽古場につくとアサギはまだ2回目の癖に慣れた手付きで倉庫から木剣と盾を取り出し構えた


「では軽く打ち込んできなさい」


「はい、いきます!」


 剣の握り方、振り方、力の入れ方、色々な所を注意されつつ私は剣を振るう

 何分か経った後に、じゃあ次は交代だ、とアサギが攻撃を盾で受ける事になった

 昨日の教えを思い出しながらアサギは大分手加減されている攻撃を時には防ぎ時には受け流していった


 相変わらず吹き飛ばされそうになったが団長とは違い副団長は手加減が上手いようで空を見る事は一度もなかった

 流石柔の盾!そんな事を考えていると唐突に


「そう言えばアサギ君、君は盾で殴るスキルを覚えているのかな?」


 アサギの手がピタリと止まる


「いや、それは・・・その・・・取ってない、です・・・」


「ああ、じゃあ魔法系のパラディンなのかな?」


「あ、いや、そう言う訳では・・・なくてですね・・・そちらも・・・取ってない、です・・・」


「ふむ、そうなのか、じゃあVITを犠牲にするスキルは?」


「え?VITを犠牲に?そんなのありましたっけ?STRを下げる代わりにヘイト値をあげるスキルなりあった気がしましたけど・・・?」


「おっと、言い間違えた、すまないすまない、そうそう、STRだ、それもないかい?」


「は、はい・・・」


「ああ、そう言えばアサギ君はレベル1だと言われていたのを忘れてたよ、すまないな、悪気はなかったんだ、許してくれ、この通りだ」


 フクフ副団長が頭を下げる


「いえ!そんな大丈夫です!誰にだってあると思いますから!!」


「そうか、ありがとう、ふむ・・・聖騎士道、か・・・」


「え?あ、はい!私の聖騎士道はそんな些細な事は気になりません!」


(団長の勘は本当によく当たる・・・しかも聖騎士道とかいう団長の訳の分からない言葉まで・・・これは本格的な調査が必要か・・・)


「よし、では気を取り直して稽古再開だ!こちらから行くぞ!」


「はい!よろしくお願いします!!」





 当然副団長まで登り詰めた人間が自分の生命線であるスキルの事を間違える訳がない

 アサギは試されていたのだ

 本当にパラディンの職についているのかを

 NPCは他の職業のスキルについてはあまり詳しくない

 知った所で使えないからだ

 ただ攻撃スキルを発動させる時にわざわざ叫びながら打ってくる奴は少なくないので攻撃スキルの事は割と知られている

 だがアサギに聞いたスキルはあまり広まっていないスキルだ

 それに対して疑問を持ち似たようなスキルを口にした、これによりフクフはダンチョーの勘の信頼度を上げた

 他の職業のスキルマニアとでも言うなら色々なスキルを知っているであろう、だが目の前のアサギはそんな風には見えない


(まあ、パラディンが好き過ぎて色々調べた、って事も考えられない訳ではないから確定はできないが・・・この子がパラディンのスキル一覧を持っているのは間違いないだろうな・・・強くなりたいと言う気持ちも本物のようだ、団長が肩入れするのもなんとなくわかる・・・聖騎士道か、んー、そっちはさっぱりわからんな)


 アサギとダンチョー団長にのみわかる聖騎士道

 わかりあえる人はこれから増えていくのだろうか・・・


「増えないだろうなー・・・」


「フクフさん、何か言いましたか?」


「いや、ここに隙がある、って言ったんだよ」


「あっ!!も、もう一回お願いします!」


 空き地には木剣と盾が響いていた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ