聖騎士と謎の行き先
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アサギ達は「セカンドウ」まできて海賊船関連のクエストを受ける
下っ端を何体倒して来いとか攫われていった人の行方を掴めだとか銃という物を見て見たいから持ってきてほしいだとか様々だ
「よし、とりあえずクエスト情報に載ってるのは全部取ったな」
「うん、でもなんか一つ変なのがあったね」
「そうね・・・なんなのかしらね、このクエスト・・・」
アサギ達の頭を悩ませているクエストの詳細にはただ手掛かりを掴めとだけ書かれていた
「まあ、とりあえず海賊船周回して、時間が来たら「ログボール」だね、魔法防御装備にそっち当てちゃおうかな」
「でもアサギこれからきっと「テンプルウォーズ」でメインタンク回ってくる可能性あるぞ?そっちはいいのか?」
「んー、んー・・・一応周りの皆が回復してくれて前回なんとかなったからねぇ」
「でもちょっとひやってした所もあったのは事実ね、まあ、エルダープリーストは魔法結構撃ってきてるからエルダープリースト戦では楽になるんじゃないかしらね」
「そうだね、まだパラディンロードとエルダープリーストは全部やった訳じゃないからやってみないとわかんない部分はあるね」
「なんだかんだで「ログボール」は勝率いいんだし最悪もう一組取ればいいのよ、そしたら使い分けできるわよ」
「んー、いつになる事やら、それまでに色々また新しい事増えそうだしね、よし、とりあえず海賊船いくよー!」
アサギ達は「セカンドウ」からまた王都に戻り海賊船まで歩いていく
「やれやれ、また歩くのか、なんか騎乗動物実装しないかな」
「はい!はい!私馬がいい!!白いの!!」
「アサギはそうよねぇ・・・まあ、でもありそうなのって言えば馬とかドラゴンとかかしら?」
「そうだな、俺は骨しかない動物がいいかな」
「おー、ダガー君らしい!」
「騎乗動物でたとしても空は飛べない仕様になるのかな?私は出来ればペガサスがいいかな、背中の羽根とお揃いだし」
「空は飛べないんじゃないかなぁ?飛んでるとしてもそこまで段差は越えられないとかかな」
「何はともあれいつかは出てくるんじゃないかしらね、きっとカッコいい騎乗動物は課金制よ、課金制」
「あー、それは勘弁、ただでさえお小遣いが少ないっていうのに!」
「それは私もだー、オネさんはこの中で唯一社会人だけどもし課金でそんなの来たらやるの?」
「んー、値段次第ね、でも「まおクエ」はどうかな、バランス重視にしてる訳だしそんなに課金で差は付けないんじゃない?」
「んー、だと良いなー」
アサギ達の移動中は相変わらず賑やかだ
王都や「セカンドウ」で他のプレイヤーやNPCからも注目されていたのにも気づいていないほどである
アサギ達は海賊神殿の入り口の横にある海賊船の入り口までたどり着いた
「よし、着いた着いた、んじゃアサギ、入っちゃってくれ」
「うん、じゃあはいるよー、ん・・・あれ?」
「どうしたの、アサギ、もうCTは開けてるでしょ、流石に」
「えっとね、前来た時はこの入り口から海賊船だけにしか飛べなかったんだけど今はその入り口の下に????って項目があるんだよ、どうする?」
「????ねぇ・・・うさんくさいな、なんだそれ」
「さっきの手がかりを探せってクエストはそっちの方かしら?」
「うんー・・・かなぁ・・・?よし、とりあえず入ってみようか」
アサギはそう言いながらウインドウに表示されてる????を選んだ
するとウインドウには????に入りますか?と表示されたのではいを選ぶ
いつも通りインスタンスダンジョンに飛ばされたがそこは見た事がない場所だった
いや、見た事はある、見た事はあるのだが前見た景色と大分変わっていたのだ
「うわー、ボッロボロ、やっぱ幽霊船になっちゃったんだね、しかも凄い霧、遠くが全然見えない」
「そうね、ダンチョーの話でキャプテンセンチョーが倒されたって言ってたからそうなんじゃないかって思ってたけどここまでボロボロになるとはねぇ・・・」
「これどうするんだ?同じルート進めるのか?」
「んー、わかんないね、あ、でもダンチョーのクエストは進んだみたいだよ、船長室へ行こうってさ」
「よし、じゃあとりあえず前回のルートで行ってみましょう、もしダメだったとしても他の道ができてるはずよ」
「そうだね、じゃあいこっか」
「「「「「おー!」」」」」
「あ!セッキーとマーリンは灯りだしてねー」
アサギ達は海賊船だった頃に通ったのと同じように歩き出す、しかし船首の方にある扉は壊れていて中にれない状態になっていた
「んー、壊れてるね、入れないや」
「じゃあこのまま甲板を真っすぐ進んでいくしかないな、霧の中だけどマップ見ながらなら行けるだろ」
「アサギ、敵に気を付けてね」
「あ、そうだね、うん、わかった」
甲板を船の後方の方へ進んでいくと目の前に壁が見えた、海賊船だった頃は甲板から直接後方へ行く事を防いでいた段差であるが幽霊船となった今では端の方が崩れ落ちそのまま甲板の後方へ行けるみたいだ
「んー・・・おっと、敵の反応が一つでたよ、あの大砲があった部屋のちょっと前くらいだね」
「待て、その前にこっち側から船の中に入れるか調べておく」
そう言ってマーリンが海賊船だった頃に船の内部から再び甲板に出てきた扉を調べる
「こっちもダメか、どうやらあの敵の所に行くしかないみたいだな」
「アサギ、少しずつ進むのよ」
「うん、わかった」
アサギ達は慎重にマップに一つポツンと映った敵を示すアイコンの方へ向かって歩いていく
その敵の近くに行けばいくほど霧は少しずつだが霧が濃くなっていく気がする、それでもアサギは前へ進んでいった
大分近くなってきた、アサギがまたさらに一歩足を前に出す、その瞬間急に辺りを覆っていた霧がぱっと晴れた
「晴れた、あ!キャプテンセンチョーだ!」
その声に反応したのかただ単に索敵範囲内にとっくに入っていたのか、目の前に居たちょっと奥が透けて見えているキャプテンセンチョーがアサギに向かってカットラスを振り上げ走って近づいてくる
「アサギィィィ!殺す殺す殺す殺す殺す!!!!」
『あっちゃー、完全に悪霊じゃないのあれじゃ』
『悪竜に好かれたら今度は悪霊かよ、パラディンじゃあ当然の流れか?』
アサギはそのカットラスを盾で防ごうと盾を構えた
だがそのカットラスは盾を通り抜けた
目の前に迫ってくるカットラスにアサギの身体は硬直する
だがカットラスはアサギの身体をも通り抜けた
『あれ・・・?』
『なんだ?攻撃が通り抜けた?』
『どうなってるのかしら?』
「アサギィィィ!!!貴様の所為で!貴様の所為でぇぇぇぇぇ!!!」
「なによ、キャプテンセンチョー、私が何したっていうのよ!」
『ていうかアサギの名前を叫んでるって事は特殊AIが続いてるって事?』
キャプテンセンチョーは当たらないカットラスをアサギに向けて何度も何度も振り下ろす
「俺が背中をあの男に刺された後あいつらは俺達の船全てを邪教徒の神の生贄にしやがった!!俺達の船は全てがこの船のように海を彷徨っている!!それもこれも全てアサギのせいだ!!!殺してやる殺してやる殺してやる!!!」
そう言ってキャプテンセンチョーは急にカットラスを振り回すのをやめた
「そうだ・・・お前は外遊人だ・・・だから殺せない・・・なら港を襲えばいいんだ・・・そうだそうだそうだ!フハハハハハハ!!!これでアサギを殺せる!!!ハーハッハッハッハ!!!!そうだそうだ!!!」
「ちょっと港と私と何の関係があるのよ!文句があるなら直接きなさいよ!!」
「フハハハハ!そうと決まれば俺の船を全て集める必要があるな、フハ、フハハハハハ!!!!!」
キャプテンセンチョーは笑いながら消えていった
「アサギ、ちょっと周り見てみなさい」
先ほどまでは霧で周りなんか見ようとしても見れなかったが今は周りが良く見える
この海賊船の周りを囲んでいる数十隻の海賊船まではっきりと
「こりゃ完全にイベントだな、次は海賊、いや、幽霊船の侵略を止めろって所か?」
「調査クエだからそうだとは思ってたけどね、しかし・・・どうなるのかしら、このままキャプテンセンチョーは特殊AIで来るの?そうしたらイベントでずっとアサギが狙われる事になるの?」
「いや、流石にそれは・・・いや、どうなんだ?」
「無いとは言い切れない、かな?」
「ずっとキャプテンセンチョーの幽霊が私に向かって殺す殺す言いながら向かってくるの?うえー・・・ちょっとしんどいな、それ・・・」
「確かにそれはきつい・・・あいつなにやったんだ、ってプレイヤーの中で絶対噂になるぞ」
「全部「ダクパラ」が悪いな、全部」
「そういや邪教徒がこの船を生贄にしたとか言ってたわね、手掛かりってそれの事?」
「ああ、幽霊船になった手がかりを掴めって事?」
「なるほど、それなら辻褄が合うかも、でもクエストは進んだ訳じゃあないからもうちょっと進んでみないとわからないかな?大砲の部屋は中はいれるみたいだよ」
アサギ達は大砲が置かれていた場所の下にあった部屋にはいる、ちなみに大砲はもうなくなっているようでその部屋の上には無かった
と思ったらなんと部屋の中に、いや、部屋にある大きな穴の中に大砲があった
「あの大砲、ちょうどいい感じにこの部屋と下を繋げてるな」
「幽霊船になっても移動手段に使われるのね、この大砲は・・・」
「あはは、そういやあれ楽しかったね、セッキー」
「全然楽しくないわよ!もう!早く行くわよ!」
アサギ達は大砲の上を歩き穴を下り下の部屋に行く
「ここは食堂ね、ここからは・・・うーん、出れなさそうかしらね?」
「そうだな、ぐるっと見回してもマップを見てもこの部屋からの出口はなさそうだな、厨房には行けるみたいだな」
「てことはここに手掛かりがあるのかもね、皆敵は居ないっぽいから手分けして探しましょう」
アサギ達は食堂の中を何かの手掛かりはないのかと探す、しかし何の手掛かりかもわかっていないのだ、何を探していいのかもわからない、食堂の中を全て調べたがクエストは一向に進まなかった
「となると残るは厨房だけだね、皆で行こうか」
アサギ達は料理人が走って大きな肉叩きを取りに行った厨房へと足を踏み入れる
「ねぇ、完全にあれじゃない?」
「あれ・・・だな・・・」
「なんで冷蔵庫からお尻が生えてるの?」
「透けてるから多分幽霊だよ、きっと」
「よし、じゃあ開けてみようか」
アサギはお尻が生えている冷蔵庫らしきものの扉をガバッと開ける
開けた瞬間にばっと振り向いたお尻の持ち主・・・持ち幽霊と目が合う
「ぎゃああああああああああああ!!!!」
『なんでお化け側が悲鳴をあげるのよ・・・』
「お、お前ら!この海賊船が幽霊船になった時にキャプテンセンチョーを倒した外遊人だな!?お前らの所為だぞ!!」
『ん?特殊AIか?』
「なんで私たちの所為なの?」
「お前らがキャプテンセンチョーを倒したあの日、俺は船長室の影で見てたんだ、あの時キャプテンセンチョーはまだ生きていた!でもお前らが出て行ったその後にいつもキャプテンセンチョーが商売をしていた邪教徒がいきなり船長室にはいって船長を殺したんだ!!それからそいつはこの船に呪いをかけた!!それからだ!俺の身体がこんな風に透け始めたのは!!お前らがキャプテンセンチョーを倒さなかったら邪教徒の奴等はこの船に呪いなんかかけなかっただろうに!だから全部お前らの所為だ!!!」
『どういう事だ?』
『この幽霊は特殊AIじゃあないわね、一応今の話がこの船が幽霊船になった手がかりって事なんじゃないかしら?』
『そうみたい、クエスト進んだよ』
『ふむ・・・手掛かりはわかった、問題はじゃああと1個だな』
『そうね、なんでこの手掛かりを「セカンドウ」に居た商人が欲しがってるのか、ね』
『え?何の話だ?俺が言っている問題は出口がどこかって事だぞ?』
『あ!・・・そうね、いつもならボス倒せば出口でるけどここはボスいないもんね・・・歩いて戻るのかしら?』
アサギ達がパーティチャンネルで出口はどこだと話をしている間、冷蔵庫から生えていたお尻の持ち主はずーっとアサギ達に文句を言っていたのだがそれを聞いている者は誰もいなかったのであった




