聖騎士と封印の解放
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アサギ達の目の前にばたりと倒れたキャプテンセンチョーが宝箱と光の粒子を残し消えた
「で、「ダクパラ」は何しに来たの?」
アサギが疲労を隠しながら尋ねる
「品物を受け取りにきただけだ」
「ふぅん、でもその相手を殺しちゃったけどどうするの?」
「ふん、別に問題はない」
「あっそう、で、どうするの?」
「強がるのはよせ、今のお前なんか相手にする価値なんかない」
「へぇ、この前あんだけ私を殺す殺すって騒いでたのにね」
『アサギ、ちょっとなんで挑発するような事言うのよ』
『助けられた感じなのが気に食わないんじゃないか?キャプテンセンチョーとの勝負に水を差された感じだったし』
「ふん、なら少し遊んでやるか」
「ダクパラ」はそう言うと帯剣していた剣を抜いた
「アサギ以外は動くな、邪魔だ」
言い放つや否やアサギに向かって剣を振り下ろす
アサギはそれを盾で受け止めようとしたが弾き飛ばされてしまう
『まじかよ、受け切れてないぞ』
『あー、多分封印解除が完全に終わっちゃったのかしらね』
『この前見た時よりも全然早いね』
「どうした!アサギ!この前散々偉そうな事を言っておいてこのざまか!?」
「ダクパラ」の連続攻撃にアサギは必死に盾を合わせるも何度も盾を弾かれてしまう
このままではだめだとアサギは前へ出る
防御は一時捨て隙だらけの「ダクパラ」の顔へ向けて盾を振るった
「こんなものか」
アサギが振るった盾を左手で受け止める「ダクパラ」、アサギの攻撃を盾すら使わずに防いだのである
「ふん、これが俺の本来の力だ」
「ダクパラ」は盾を受け止めた左手を横に振りアサギの前から盾をどかす、そしてアサギの左肩から右腰に一直線に剣を振り下ろした
アサギは後ろに吹き飛ばされそのまま倒れこむ
『アサギ!!!』
セッキーがアサギに元に駆けよりかばう様に手を広げる
「ふん、ヒーラーに庇われるパラディンロードなんてお笑い種だな」
そう言うと「ダクパラ」は剣を収めキャプテンセンチョーの部屋から歩いて出て行った
「アサギ、大丈夫?一応回復は終わったけど・・・立てる・・・?」
「うん、ありがとう、セッキー・・・はー・・・今のが本当の「ダクパラ」の強さかー・・・」
「そうね・・・かなり強かったわね」
「そうだね、なにも・・・できなかったなぁ・・・」
「そうだな、俺達も何もできなかった、ごめんな」
「ううん、マーリンが謝るような事じゃないよ、大丈夫」
アサギはそう言うとがばっと一気に立ち上がった
「よし!なんか変な感じになっちゃったけどキャプテンセンチョーの宝箱の中身を見よう!」
「そうだな!よし、アサギ、じゃあ見てくれ」
「うん!えーっと・・・んー、片手剣か当たりと言えば当たりなんだけど・・・パラディンロードの剣あるからなぁ、まぁちゃんかダガー君使う?」
「んー、私は短剣以外だと攻撃速度落ちるからいいかな」
「俺も剣のスキル全然取ってないから使い道がないな、アサギさんが持って行っていいんじゃないか?見た目とかはどうなんだ?」
「えーっとね、ふふ、予想通りのカットラスだね」
「そうだな、見慣れたカットラスだな」
「とりあえずクエストの報告に行って今日はもう休みましょう、流石に疲れたわ」
「そうだね、じゃあ「セカンドウ」まで行こうか」
アサギ達は帰還スクロールを使いまず王都へ向かった、そして転送装置を使い「セカンドウ」まで転送する
その後商人の息子に会いクエストの報酬を受け取るとクエスト情報に色々な人の名前が浮かび上がった、どうやらこの人達全員から海賊船関連のクエストを受注できるらしい
「クエストがいっぱいでたわね、これは明日から進めていきましょう」
「おう、じゃあまた明日、アサギとセッキーは学校でな」
「そうだね、皆もまた明日ね」
「うん、おやすみ、また明日ね」
「おやすみなさい」
「おやすみ、また明日」
アサギ達は揃って「まおクエ」の世界からログアウトし現実世界へ戻る
「ふー・・・負けちゃった・・・くやしいなぁ・・・」
アサギはベッドの上でヘッドギアを外した後もなかなか動き出せずにいた
『エクスッ!カリバー!!エクスッ!カリバー!!エクスッ!カリバー!!』
ちなみに着信音である
アサギはもぞもぞと近くに置いてある携帯へ手を伸ばした
そこには「隣野席子ちゃん」と表記されている
「もしもし、どしたの、セッキー、いや席子ちゃん?」
「あはは、どっちでもいいわよそんなの、またアサギが泣いているんじゃないかって思ってね」
「あはは、えっとね、もうちょっと遅かったら泣いてたかもしれない」
「そう、じゃあこのタイミングでよかったかしらね、また明日から海賊船周回とクエストとレベル上げが待ってるわよ」
「うん、もっと強くならないとね」
「そうね、とりあえず本来のパラディンになれるレベルにならないと「ダクパラ」に追いつけないのよ?わかってる?」
「そう言えばまだまだ私達のレベルって専門職になれるレベルじゃあないんだよね」
「そうよ、だから悔しがってる場合じゃあないわよ?はやく「ダクパラ」に追いつかないと、今度会ったら私もひっぱたいてやるんだから」
「あはは、強烈な奴をお見舞いしないとね」
「そうよ、だからまた明日から一緒に頑張りましょ」
「うん、ありがとう、席子ちゃん」
「どういたしまして、あ、でも勉強の方もしっかりしないとダメよ?」
「うわぁ!今このタイミングでそういう事言う!?」
2人の会話は夜遅くまで続いていく
そして学校で同じような事を前野人男が照れ臭そうに言っていたので三人で笑い合った
学校が終わると家に帰り早速「まおクエ」にログインしてアサギになる
「まぁちゃんおはよー」
「おはよーって時間じゃあないけどね、あっちゃん、今日は凄いよ」
「うん?何が?」
「海賊船周回!私の防具全種類でるまで寝かさないよ!」
「えぇー!それは凄そうだ!!」
「「あはははは」」
「とりあえず皆揃うのは夜だし教会で稽古する?私もなんだか身体動かしたくってさ」
「そうだね、私も同じ気分、行こっか」
2人が教会で決闘を続けているとログインしてきたダガーが俺もやると言ってきたので教会にいるNPC達と共に稽古を続けた
そして金属鎧製作のレベルをあげる為に王都の中にある鍛冶屋に足を運びご飯の時間までレベルをあげる
その後ご飯とお風呂を済ませ再度「まおクエ」にログインすると全員がアサギの教会に揃っていた
「アサギちゃん、やっほー」
「オネさんやっほー」
「よし、これで全員揃ったな、んじゃクエストを片っ端から受けてから海賊船周回だ、今日はまぁちゃんの装備が全部揃うまで解散させてくれないみたいだぞ」
「えー、それは明日の仕事に差し支えが!」
「出せばいいのよ!出せば!!」
「うーん、まぁちゃんのリアルラックに任せるしかないのね」
「よーし、とりあえず「セカンドウ」でクエスト受けてから海賊船に行くぞー!」
「「「「「おー!」」」」」
その時アサギの教会のぼろい扉を叩く音が聞こえた
「アサギー、いるかー?」
『ん?今の声はワカイーノさんかな?』
「はいはーい、今開けますー、どうしたんですかー?」
扉を開けるとそこにはワカイーノが立っていた
「おう、アサギ、それに他のメンツも全員揃ってるな、ダンチョー団長が呼んでる、来れるか?」
その時アサギ達の目の前にウインドウが表示された
新しいクエストが始まるらしい、そのウインドウには「海の上に浮かぶものの調査」と書かれていた
『ん?海賊船絡みのクエストか?』
『海の上だから多分そうでしょうね』
『海賊船関係でなんでダンチョーに呼び出されるのかな?』
「あ!行けます!もうちょっとしたら向かうって言っておいてください!」
「おう、わかった、あんまり遅れないようにな」
そういってワカイーノはアサギの教会から土の教会へと戻っていった
「んー・・・なんだろうね?このクエスト」
「調査って書いてあるからこの前の「悪竜エドラ」とかスライムとかみたいにイベントが始まる前段階のクエストじゃないかしら?」
「ああ、今イベントが始まる訳じゃなくてまた一定数このクエストを終わらせたらイベントが始まるってあれか、そうだよな、だって海底神殿だってまだ行けてる人が少ない訳だろ?それなのにすぐイベント始まったらもしかしたら「セカンドウ」が壊滅しちまうかもしれないもんな」
「まあ、海底神殿は魚人が色んな武器を持ってるからやりにくくて人が少ないって部分もあるみたいだけどね」
「そこまで毛嫌いするほど大変じゃあないけどなー」
「あっちゃんからしたらそうなんだろうけど・・・でも海賊船のインスタントダンジョンの話が広まれば行く人増えるんじゃないかな?」
「そうだな、イベントの為にも話は広めておく必要がありそうだな」
「うんうん、そうしたら皆頑張ってレベル上げたり装備整えたりするだろうね」
「よし、とりあえず海賊船のイベントの為のクエストっぽいしさっさと受けてから「セカンドウ」まで行って海賊船周回だ!いくぞー!」
「「「「「おー!!」」」」」
アサギ達はアサギの教会を出て土の教会へと向かった
珍しくダンチョーが受付の置かれている部屋にいたので挨拶をして一緒に団長室へと向かう
「さて来てもらったのはお前らが海賊船に乗り込んだって話を聞いたからなんだが」
ダンチョーが団長室に入りソファーに座った後に早速話を切り出してきた
「ああ、お前らが海賊船に乗り込んだって話は「セカンドウ」に派遣されてるうちの教会の奴がそんな話をしてた奴がいたって報告が俺にあったから知っているんだがな・・・で、お前らが海賊船に乗り込んでキャプテンセンチョーを倒したってを聞いたんだがな・・・だがその後もあの海賊船の目撃情報が無くならないんだよ、むしろキャプテンセンチョーをお前らが倒す前よりも増えたと言ってもいい」
「えぇっと・・・?」
「ん?何が何だかわからないって顔してるな、お前らと違ってキャプテンセンチョーはこっちの人間なんだから倒したらもうあの船を動かす奴は居なくなるんだぞ?外遊人と違って死ぬんだからな、なのにあの船の目撃情報が無くならないんだ、だからあの船に乗り込みキャプテンセンチョーを倒したお前たちにどういう事なのかを調査してきてほしい」
「あー、なるほど・・・?」
「わかったか?話はこれだけだ、今回もしっかりと報酬は用意してある、早速で悪いが行ってきてくれ」
「はい、わかりました、じゃあいってきます」
「ああ、気を付けろよ」
アサギ達は団長室を後にする
「一応話の流れ的にはキャプテンセンチョーは死んだ事になるんだね」
「みたいだな、まあ、俺らからしたらまた戦いにはいけるけどな、海賊船はインスタントダンジョンだし」
「そうだよね、だからちょっと何言ってるのか理解するのに時間かかっちゃったよ、でもそうなると二代目キャプテンセンチョーが出てきたって事なのかな?」
「え?違うでしょ、あっちゃん」
「え?まぁちゃんはわかるの?」
「そりゃそうよ、いい?海賊船と言えばなんだと思う?」
「えーっと・・・宝箱とか・・・略奪行為とか?」
「違うわよ、幽霊船、幽霊船!」
「ああ!なるほど!じゃあ今度のイベントは幽霊船が襲ってくるって事!?」
「そうそう!闇属性とかアンデットに強いパラディンの独壇場よ!!」
「そっかー!幽霊船かー!楽しみだなー!そうとわかれば早く調査しなきゃ!場所確認するね!!んー・・・あれ?クエストの場所海賊船の入り口の所だよ?」
「ん?ほんとか?んー・・・そうだな・・・まぁ、行ってみればわかるか」
「そうだね、とりあえずは「セカンドウ」行ってクレスト受けてから、だね!じゃあ出発だー!」
「「「「「おー!」」」」」
アサギ達は新たなクエストを受け歩き始める、果たしてその先には本当に幽霊船が待ち構えているのであろうか




