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聖騎士と船長 その2

皆様の声を聞かせてくださると幸いです

感想、評価お待ちしております


最初の方でキャラクターネーム「セッキー」を「ヒッキー」と書いていましたのでそれを修正しました

あと何個か漢字の変換ミスもあったと教えていただいたのでそれも直しておきました


ありがとうございます

 相手は自分で考えて行動する特殊AIだ、行動パターンなんてものはないと言ってもいいだろう、アサギはそう考えてはいるがとりあえずキャプテンセンチョーのSTRとVITがどのくらいなのか確かめる事にした

 キャプテンセンチョーの元へ最短距離を駆け抜ける、そして攻撃が当たるくらいの距離になった時右足に力をぐっと込めキャプテンセンチョーへと体当たりを食らわせる

 キャプテンセンチョーの身体が少し浮く、しかし大して体勢を崩せていない、キャプテンセンチョーのVITは結構高めと言えよう

 そしてダメージに繋がる肝心のSTRはどうだろうか、キャプテンセンチョーが振り回すカットラスを盾で受ける、流石は海賊団を束ねる船長、キャプテンセンチョーだ、今まで海賊団で会ったどの敵よりも一撃が重い

 だが、重いだけだ、アサギはその攻撃に怖さを感じなかった

 どうせこいつもアフロになるんだろうとの思いがあったからか、それもあるのかもしれない

 だが今まで会った特殊AI、「ダクパラ」や「悪竜エドラ」に比べると殺気が足りないのだ

 この2人のアサギへ対する敵意や悪意は相当なものだろう、それを感じない分アサギには余裕があった

 重たい攻撃ではあるがしっかりと盾で受け切れる、そして攻撃を加える事が出来る


「ははは、やるじゃねぇか、アサギ、流石あの男が警戒するだけの事あるぜ」


「それはどーも」


 キャプテンセンチョーがカットラスを盾に当てながら顔をぐいっと近づけながら言う

 そしてその顔が更に近くなった


「どうだ?お前なら俺と手を組めばかなりの金、稼げるぞ?俺の手下に、いや、お前は教皇様だったな、俺と対等でいい、どうだ?教皇様ならしこたま金を貯めこんでいる教会にだって乗り込めるだろう?」


「おあいにく様、私の聖騎士道はそんな事をする人間を叩く為にあるんだよ!!」


「はっはっは!だと思ったぜ、お前はそういう目をしている」


 その時アサギの腹部に衝撃が走った


「そしてこんな手に弱いって目だ、外遊人だから死にはしねぇだろうけどな」


 キャプテンセンチョーの左手には銃が握られていた、どうやら至近距離でアサギの腹部目掛けて銃を撃ったらしい


「こっちの人間なら今ので死ぬかもしくは足に2、3発撃ちこんでから頭狙うんだけどよ、まったく嫌になるぜ、外遊人がこっちに来てから仕事がやりにくくてしょうがねぇ」


「ふん、ならやめればいいだけじゃない」


「はっはっは!馬鹿いうな、今更こんな楽で楽しい仕事やめられるか、このカットラスの前じゃあ普段偉そうにしてる奴等もペコペコしだすんだぜ?」


「神様は、創造神はそんな事をやめさせるように私達を呼んだのかもね」


「はんっ!嘘つけ!へっへっへ、魔王が暴れたらさぞ働きやすい環境になるだろうなぁ?」


「そうだろうね、まあ、その時には私含めて外遊人の皆がお前なんかよりも相当強くなっていると思うけどね」


「けっ!嘘に聞こえねぇから外遊人は恐ろしいぜ」


 アサギとキャプテンセンチョーはお互いに言いたいことを言いながらも切り結んでいる

 相変わらず特殊AIの敵になるとアサギ以外は若干置いていかれている感じになるのはやはりアサギが教皇と言う職に就いているからだろうか

 教皇と言うのはそれだけ特別な職なのである


 キャプテンセンチョーのカットラスを盾で受けるとアサギは体勢を崩す為に左脛目掛けてローキックをお見舞いする

 キャプテンセンチョーは多少ぐらつきながらも銃をアサギの顔に向け放ち避けさせる事で次の攻撃を防いだ

 どうやら銃は魔力を込めなければいけないらしく連続で撃つような事は出来ないようだ

 だからどうしてもキャプテンセンチョーの攻撃はカットラス主体になる、アサギからしたらそちらの方がやりやすい、上から振り下ろされる攻撃も斜め下から突いてくる攻撃も問題なく防ぎ切る

 勿論その間にもアサギ以外の5人の手は止まっていない、しっかりとキャプテンセンチョーのHPを削りアサギのHPを回復させている

 キャプテンセンチョーが少しアサギと距離を取る、そして両手を肩くらいまで上げおどけた様なポーズを取った


「なるほどな、どうやらアサギ以外の奴等もなかなかの粒揃いって訳だな」


 キャプテンセンチョーが肩越しにちらりと後ろを見る、そしてすぐにアサギの方へ視線を向けた


「だが後ろを倒している余裕はお前が生きている限りなさそうだな?だから俺以外の奴等に倒してもらう事にしようか、野郎ども!でてこい!!!」


 キャプテンセンチョーが叫ぶと部屋の奥から下っ端がわらわらと部屋には入ってきた


「はっはっは、こんな事もあろうかとな、俺の部屋には色々と仕掛けがあるんだよ!野郎ども!こいつは俺が直接殺す!他の奴等を始末しろ!!」


「っ!!まて!」


 アサギは部屋の奥から入り口の方へ走っていく下っ端に向かい走り出そうとする

 だが目の前にキャプテンセンチョーが割り込んできた


「おいおい、お前の敵は俺だと言っただろう?喜べよ、俺とサシで対決できるんだぜ?」


『アサギ!あんたはそいつの相手してなさい!大丈夫、ちゃんと回復してあげるから!』


『そうだぞ、アサギ、こんな下っ端なんかお前がいなくても大丈夫だっての!』


『うんうん、あっちゃん、そいつ憎たらしい顔してるからがつんとやっちゃって!!』


『アサギちゃん、支援はしっかりかけてあげるからいつも通りやりなさい』


『アサギさん、こっちは俺達に任せてもらおうか!!』


「ふー・・・キャプテンセンチョー、残念だけど下っ端を向ける相手を間違えたね、後悔させてあげる、私の友達達は、仲間達はかなり強いんだからね!」


 アサギは右手に持つパラディンロードの剣をキャプテンセンチョーに向け言い放った


「ハッハッハ!後悔させてみろ!その前にお前がぶっ倒れんだよ!!」


 キャプテンセンチョーがカットラスをアサギに向けて振り下ろした

 だがそこにアサギは居ない、盾がカットラスに当たった時に少しだけ力を入れただけで横に逃げたのだ

 勿論逃げた先はキャプテンセンチョーの顔に盾を当てやすい左側だ


「ふんっ!!」


 アサギが渾身の力を込め盾でキャプテンセンチョーの顔面を殴る

 だがキャプテンセンチョーは後ろに飛び跳ねたらしくそこまでのダメージは通っていないようだ、そしてすぐに銃を放つ

 アサギはそれを盾で受けながら距離を縮める為に突進した

 ひらりと横に跳ぶ事で躱そうとするキャプテンセンチョー、だがその突進はスキルを使っての突進ではない、アサギはキャプテンセンチョーが着地したと同時に突進のスキルを使い向きを強引に変えた


「ぐはっ!!」


 もろにアサギが直撃したキャプテンセンチョーは後ろに跳ね飛ばされる、だが何かに捕まれ後ろに向かって飛んでいった身体がぐぐっと前に引き寄せられる

 キャプテンセンチョーは無理矢理引き起こされた体勢でアサギを見る、アサギの持つ剣から光が伸びそれが身体に巻き付いていた

 光の腕である、アサギは身体を捻るように剣を引き寄せる

 そしてキャプテンセンチョーがアサギに向かってくるその軌道上に盾を構える


「そいつぁ・・・いてぇな・・・」


 ガンッ!という音が響く、アサギが盾をキャプテンセンチョーに当てた音だ

 だが今度はキャプテンセンチョーは吹き飛ばなかった、キャプテンセンチョーはとっさに腕でガードしたのだ

 アサギは盾を縦にしてキャプテンセンチョーの頭目掛けて振り下ろす、だがそれはキャプテンセンチョーの剣に防がれた

 しかしそれとほぼ同時に右手に持った剣でキャプテンセンチョーの喉元目掛けて突き刺す

 攻撃を食らい慌ててキャプテンセンチョーが後ろへ飛ぶ事でアサギと距離を取ろうとする

 アサギはそれを見てパラディンロードの剣に光属性を付与した


「ちっ!!」


 キャプテンセンチョーは後ろへ跳ぶ事を諦めカットラスで襲い掛かってくる

 アサギは装備を一度解除する事で光属性付与を消した、もちろん剣は盾の影に隠してである

 アサギは光属性を付与する事で先ほどの光の腕を思い出して警戒するのではないかと考えたのだ、まんまと騙されキャプテンセンチョーは後ろへ跳ぶ事を諦めた

 後ろへ跳んでも引っ張られてまた顔面に盾を叩きつけられるよりは前へ進む方が幾分かましだと考えたのだろう

 だがそれはアサギの思い描いた通りの行動だ、アサギは盾を自分の身体より少し左でカットラスを防いでいたが盾の丸みを使いカットラスを滑らせながら自分の身体の前に盾を持ってきた

 自分の身体の前、そこはキャプテンセンチョーの身体の前でもある

 十回以上キャプテンセンチョーの攻撃を防ぎ切った盾がパラディンロードになった者のみが許される限界を超えたスキルレベルで反撃スキルを放った

 十回以上防いでも威力は上がらないがタイミングを見計らっていたのである、今このタイミングがまさに絶好であった

 キャプテンセンチョーは腹部にかなりの衝撃を受け後ろに吹き飛ばされる

 そして吹き飛ばされながらあの光の腕が来ると腕でガードを固めている


「残念、これはそんなんじゃ防げない」


 声が聞こえた方向が強烈に明るくなるのをキャプテンセンチョーは吹き飛ばされながら感じていた

 だが吹き飛ばされながらだとアサギの方へ視線を向ける事は出来ない

 吹き飛んでいた時間は何秒ほどだろうか、いや、もしかしたら1秒も経っていないのかもしれない

 キャプテンセンチョーが地面に落ちた、そしてすぐに立ち上がりアサギの方へ視線を向けようとする

 しかし、その強烈な光でアサギを直視する事ができない


「エクスッ!!!カリバアアアァァァ!!!」


 強烈な光がキャプテンセンチョーの部屋を支配する


『お、なんでもエクスカリバーが出たな、終わったのか?』


『いえ、下っ端が居なくならないわ、まだまだ見たいよ』


『アサギ!まだだとよ!油断するなよ!!』


『ありがと、大丈夫、いつもと感触が違ってたから終わってないとは思ってた』


「ははは、すげー威力だな、流石は7番目にして最初の神の教皇様だな、だがまぁ・・・俺もこの海賊団を力で押さえつけてる人間なんでね、まだまだ終わらせねぇよ」


 ボロボロになりながらキャプテンセンチョーは立ち上がる、まだまだやる気は十分のようだ

 その時アサギはキャプテンセンチョーについて一つ違和感を覚えた

 いつも見えていたHPバーがキャプテンセンチョーにはないのである、いや、最初は見えていた、と言うか光の剣を受ける前までは見えていたのだ、それが今消えている、何か道具か能力を使ったのだろうか

 アサギは一瞬そんな事を考えた、だが今そんな事はどうでもよかった

 今、目の前にいる敵から「ダクパラ」や「悪竜エドラ」に似た敵意を感じているのだ

 それを感じたアサギの膝が震える


「なんだ、今更ビビってきたのか?」


 キャプテンセンチョーが言う


「はん!そんな訳ねぇよな、こんなんでビビるような奴がそんな顔で笑う訳ねぇもんなぁ!!」


 アサギは笑っていた


「決着をつけるぞ、アサギ!!」


「うん!そうしよう!決着をつけよう!キャプテンセンチョー!!!」


 アサギとキャプテンセンチョーが同時に駆けだした

 その顔は二人ともに笑顔である


『あいつまたテンションあがりきったぞ』


『やっぱりね、じゃあライバルもう一人追加よ』


 そんな声すらもアサギの耳には入っていかないのであった



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