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聖騎士は街中では壺は割りません

皆様の声を聞かせてくださると幸いです

感想、評価お待ちしております

 アサギ達は食堂をでてさらに船の後方へと進んでいく

 そこには上へ行く階段と下へ行く階段があった


「とりあえずは下からかな?」


「そうね、前の方も下へは一階しかなかったから多分ここもそうだと思うわ」


 階段の前に居た下っ端を倒しアサギ達は階段を下る

 扉の前には檻があった部屋と違い外へ逃がさないというよりも中へいれないといった様子で下っ端が立っていた


「あれ、なんか物々しい警備って感じ?そこらへんにいる下っ端よりちょっと強そう」


「そうだな、下っ端は下っ端だけどガタイがでかいな、あれ?ここが船長室なのか?」


「んー・・・どうなのかしら、とりあえず開けてみましょうか」


 扉の前にいた下っ端を倒して扉を開ける、部屋の中では女性が一人、部屋の奥にある竈の前で壺の中身をぐるぐると回していた


「うわー、完全に魔法使いだ!!海賊じゃあないのかな?」


「一応・・・敵だな、HPバー見えてるし」


「そうね、別に捕らえられてるとかそんな感じじゃあないみたいね」


「あー、じゃあこの人が銃とかロボット作ったって事?」


「なるほど、マッドサイエンティストポジションだな」


「ああ、そういう事、わかりやすい例えだね」


「確かに部屋の中もそれっぽい壺とか多いね」


「範囲攻撃使ってきそうね、足元に魔法陣広がったら声かけあっていきましょ」


「うん、そうだね!じゃあ準備はいいかな?いくよー!!」


「「「「「おー!!」」」」」


 アサギは部屋の中へ勢いよく走り出す


「よろしくおねがいしまーす!」


 挨拶と突進攻撃を同時に繰り出したアサギはまず相手の攻撃がどのようなものかを見極める為に盾を構えた


「きゃぁ!何よあんた達!下っ端共はなにをやってるの!ほんと使えないわね!!」


「お、喋った、でも・・・普通のAIだね」


「海賊船の中は賑やかなボスが多いな」


 魔法使いは金切り声をあげながら右手に杖、左手に銃を持った

 どうやら遠距離攻撃を得意としているようだ


「やっぱ魔法防御装備考えてみるか・・・」


 魔法使いは杖で大きな魔力の塊を飛ばし、銃で小さいが速度の速い魔力の塊を飛ばしてくる

 やはり魔力を伴った攻撃はしっかりと防御を下としても軽減率が低い、幸い攻撃速度はそこまで速い訳ではないので通常攻撃で倒れる事はないとは思うがアサギに魔法防御を高めた装備を持つ事を再度考えさせるには十分な威力だった

 それでもしっかりとアサギはヘイトを固定していく、ダメージはあるがセッキーとオネからすぐに回復魔法が飛んでくるので装備が無ければ勝てないという訳でもないのだ

 魔法使いがアサギの方へ向いて攻撃を繰り返してるのを見て火力陣も動き出す

 相手が魔法使いだけあって魔法防御、魔法抵抗が高いのかマーリンは若干苦労しているみたいだがまぁちゃんとダガーは物理防御力がそこまでない相手に楽しそうだ


「あー、俺も魔法命中装備作るかな、レジスト結構多いわ」


「威力重視の装備だからね、そういうのもあっていいんじゃないかしら?とりあえず武器だけでも魔法命中高いの装備してみるとかね」


「とりあえず今日これ一周終わったら「ログボール」のポイントで武器交換するかな、あれ魔法命中結構高かったし、「テンプルウォーズ」でもそのまま使えるだろうからな」


「そうね、それがいいかもね」


「おっと、魔法陣きたぞ!」


 攻撃を開始してそこまで経ってはいないが魔法使いは範囲魔法を繰り出してくるようだ

 魔法陣が広がりきり少し時間が経つと部屋の中を猛烈な風が駆け抜ける


「あっ!!私の本が!!」


 猛烈な風により本棚から複数の本が地面に落ちてきた


「おいおい、自分の魔法で部屋の中ぐちゃぐちゃにしてるぞ、こいつ」


 どうやら魔法を使うと部屋の中が汚くなっていく設定が施されているらしい、なかなかにドジっ子な感じである

 だが笑ってもいられない状況がその後アサギ達に起きた

 本は魔物だったのだ、地面に落ちた本がそのまま動き出しセッキーへ噛みついてきた

 アサギはそれを見てセッキーの方へ駆け出し範囲挑発を使いその本のヘイトを自分に向ける、魔法使いは遠距離攻撃しかしてこないのでアサギの方へ向かってはこないが向いている方向が変わったのでまぁちゃんとダガーは慌てて後ろへ飛び退いた


「ごめん!戻る!」


 アサギは本に噛みつかれながらも走って元の位置へ戻り魔法使いの背中を皆に向ける


「悪い悪い、俺も反応遅れた」


「ダメージ的にはそこまででもないからアサギはそのままでいいわよ、火力陣で対処して頂戴」


「「「了解!」」」


「いやー、ちょっと焦っちゃった、ドジだなー、って思ってたら急にセッキーに本が向かっていくんだもん」


 アサギに噛みついていた本は大してHPが無かったらしく火力陣によりすぐに倒された


「だな、範囲魔法の後は雑魚がでると思った方がいいかもな」


 そして少し落ち着いた所でアサギが気付く


「あれ、ダメージ上がってる?なんか杖も銃も飛ばしてくる塊の色が変わってる!」


 先ほどまではどちらの魔力の塊も少し灰色っぽい塊だったが今は緑色の塊になっている

 どうやら先ほど使った魔法の属性が付与されているらしい、火力があがり速度も上がっているようだ


「範囲魔法が来たら火力アップか、ますますアサギはボスに集中してもらわないとだめだな」


「うん、サインはどうする?つける?」


「んー、タイミング的に厳しそうよ、下に落ちた本全部が魔物になった訳でもないからどれが来るかもわからないし、HP少なかったから別になしでもいいんじゃないかしら」


「うん、わかった」


 そして攻撃を続けていくとまた魔法使いの足元に魔法陣が広がっていく


「また来た!気を付けてね!」


 次もまた部屋の中を猛烈な風が吹き抜けていく

 そして散らばった本が飛びあがりアサギ達に襲い掛かった

 先ほどは油断していたが今度はそうではない、火力陣がしっかりと本のヘイトをとり素早く消滅させていく


「よし、本終了!」


「はーい!」


「しかし嫌になるわね、範囲攻撃の度にあの声聞くのかしら、それに最初の時は周りの本棚の本が減ったけど2回目は減ってないわ、ずっとやってくるのかしら」


「特殊行動って感じじゃあないから多分そうなんだろうね、さっさと倒しますか!」


 一度目の風の魔法から魔法使いの通常攻撃である魔力の塊の攻撃力は変わっていない、どんどんと火力が上がっていったら厄介ではあるがそれは大丈夫なようだ


 それから3度ほど本の魔物を倒し魔法使いのHPを半分ほどに減らした


「もう怒ったわ!!」


 魔法使いの周りに風が吹いていく、その風に当たってもダメージはなかったので特殊行動の前触れだろう

 風がどんどんと強烈になっていく、そして本棚が倒れると同時に大量の本が飛び出してきた

 アサギはその瞬間に範囲挑発を発動し本のヘイトを取りそれから剣を地面に突き刺す

 範囲挑発と範囲攻撃によりほぼ全ての本がアサギへ向かっていく、その本を1冊ずつ火力陣が片付けていく

 大してHPはないが火力は高い、セッキーとオネは必死にアサギへ回復魔法を飛ばす

 魔法を唱え終えたのか魔法使いもアサギに向かって攻撃を再開しはじめた

 HPはかなり削られたがなんとかアサギ達はその攻撃の波を乗り切り本を全て消滅させる


「ふー、ちっと危なかったな」


「魔法使い自体の火力も結構あるから魔法防御装備着たいけどそれだと今の所防ぎきれないかもしれない、いやな敵作るなー」


「途中から魔法使いも攻撃してきてたから魔法防御装備で居たくなるけどね、その時はなるべく本のターゲットを分散させるしかないわね」


「今の所無敵スキル決め打ちでもいいかも知れなかったなー、まぁ、今度次第だけど」


「ねぇ、それより本棚倒れたからもう本は襲ってこないのかな?」


「あー、確かに本棚全部倒れたな、もう雑魚召喚は終わりか?」


「後この部屋に大量にあるものと言うと・・・」


「壺だな」


「ええ、壺ね、今から割って置く事とかできないかしら」


「あはは、それができたら楽なんだけどね」


「まあ、それができりゃ苦労はないな、アサギ、壺が動き出しても魔法使い優先でいいからな」


「うん、1匹くらいだったら光の腕で引っ張るから、セッキーかオネさんにヘイト向かったら使うね」


「頼んだわよ」


「2人に行ったらセッキーちゃんの方優先でいいからね、アサギちゃん」


「はーい」


 それから攻撃を続けていくと魔法使いが足元にまた魔法陣を広げ始めた


「お、きたぞ、範囲だ」


「了解」


 アサギ達が急いで魔法陣の外へと走る、そして魔法陣が広がりきると魔法使いを中心に部屋の隅に置いてあった壺から飛び出してきた水がぐるぐると周り渦を作った


「きゃぁ!壺が!」


 予想通りである

 水が飛び出すと同時にごろごろと転がった壺が口から妙に長い黒い腕を1本だし起き上がったのである

 先ほどの本よりは数が少ないのでアサギはセッキーの近くで起き上がった壺を光の腕で手元に引き寄せる

 壺はその長い腕でアサギに殴りかかってくる、一発一発は遅いが先ほどの本よりもダメージがある

 魔法使いの攻撃もまた魔力の塊の色が変わっており更に火力があがっている


「一々叫ぶなら範囲魔法やらなきゃいいのにな!」


「確かにな!」


 マーリンとダガーが壺に攻撃をしかけながら愚痴る


「それだとめちゃくちゃ弱いボスになっちゃうね」


「全くだな、そしたら銃がマシンガンに変わるかバズーカに変わるかくらいなってそうだな」


「それは私防ぎ切れるか心配だなー」


「アサギで防げなかったらそもそもでてこないから大丈夫よ」


「そうそう、バランス悪すぎるもんね」


「しかし壺割ってもなにもアイテムがでないってのはいやなもんだな」


「あはは、確かに薬草くらい入っててもいいのにね」


「「まおクエ」で他人の家のタンス開けたりしたプレーヤーいるのかしらね?」


「一応NPCだってAI入ってるしそんなんされたら確実に通報するだろ、王都の騎士とかに」


「流石にそんな事やってる奴はいないだろうな」


 そんな会話をしながら範囲魔法ごとに動き出す壺を割っていくアサギ達

 そして魔法使いのHPが25パーセントになる


「きぃぃぃ!!もう絶対に許さないからね!!!!」


 魔法使いがまたセリフを言いながら呪文の詠唱を始める


「よし、壺も終わった!次はなんだ!!!本棚でも動き出すのか!?」


「本棚の上にマー君が乗ってれば動き出さないかもよ?」


「あはは、いい案だな、マーリン、乗ってたらどうだ?」


「風の次は水だろ?なにで本棚動かすんだよ?」


「んー・・・次はなんだろうね、まあ、もうすぐわかるよ」


「あはは、そりゃそうだ、よーし、何が来てもいいように注意しとけよー」


「そうね、マーリンのお尻がなにに噛まれるかわからないものね」


 その時魔法使いの詠唱が終わったらしく部屋の中に炎の渦が駆け巡る

 そして部屋の中にあった魔法使いっぽさを1番醸し出していた竈からまるで人の様な形をした炎がアサギ達に向かって襲い掛かってきた


「次は火かよ!流石中で範囲魔法使っても燃えない海賊船だぜ!!」


「アサギ!魔法使いの詠唱終わったみたいよ、そっちに集中、火の魔物は他で処理!」


「「「「「了解!」」」」」


 火の魔物は通常攻撃にやけど状態を付与してくる敵だった、やけど状態だと時間でダメージが入っていく

 火の魔物が全て倒れた時セッキーが回復と同時にやけど状態を治す魔法も飛ばしてくる


「ふー、雑魚は雑魚なんだけど一気に来るとしんどいな、最初から最後まで雑魚召喚か」


「あともう少しよ!頑張りなさい!」


「おうともよ!」


 魔法使いのHPはあと少しである、今では魔法使いが飛ばしてくる魔力の塊も赤くなり最初と比べ相当威力が上がっている

 それをしっかりと耐え、それから2度ほど範囲攻撃が行われ火の魔物が召喚されたが一度目の火の魔物を倒し二度目の火の魔物は無視した

 もうすぐ魔法使いのHPが尽きるからである


「おしきってー!!!」


 アサギの叫び声と一緒に放たれた攻撃はついに魔法使いのHPを0にした


「きぃぃぃぃ!!!もうほんとにほんとに許さないんだから!!!!」


 魔法使いが怒鳴りながら竈の前まで走っていく

 アサギ達は流石にもう追いかけはしない、こいつもかと思うだけである

 そして魔法使いはなにやらぶつぶつと呪文を唱え始める、そしてその呪文を唱え終わったのか杖をぐっと頭上に掲げた時竈から魔法使いに向けて炎が巻き起こりやはり髪の毛がアフロの様になり魔法使いは消滅した


「なんで海賊たちは毎回アフロになって消えていくのかしらね・・・?」


「んー・・・運営の趣味・・・か・・・?」


 一応地下の檻がある部屋で海賊の怖さを表現していた運営が怖いだけなのはどうなんだ?と考えた結果全員アフロで退場させて怖さを中和させようとしてこうなったのだがプレイヤー側であるアサギ達がそれを知る事はなかった


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