盗賊は海賊になりたい
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鍵のかかった扉の前にある部屋にいた海賊たちを全滅させたアサギ達は寝ている海賊を倒した時に手に入れた鍵でその扉を開け先へ進んでいく
そこはかなり大きな部屋である、部屋の奥に何やら少し強そうな海賊が居るのが見えた
「ゲームじゃなかったら絶対すぐに襲われてるよな」
「そりゃそうよ、あんだけ大きな音たてながらここまで来てるんだから本来はわらわらと出てきているはずよ」
「とりあえずあそこの強そうなのが次の鍵かもしくはなんかのクエストの敵かな、じゃあ近くの敵残して掃除するよ」
「「「「「おー!」」」」」
アサギ達は部屋の中に居た初めて会う下っ端以外の敵とその近くにいる敵を残して部屋の中にいた敵を倒す
今の所カットラスを装備している下っ端以外は出てきていない
「んー、ここじゃあ練習にならないな」
「ん?なんのだ?」
「んとね、アーサーさんはなんで海底神殿に居たのかなって思ってね、経験値的には多分同じくらいかもしれないけどドロップ的にはインスタントダンジョンの方が美味しいじゃない?それでもあっちを選んでたのはやっぱ練習相手が欲しかったのかな、って」
「なるほどね、魚人は色んな武器を持っていたものね」
下っ端達の攻撃パターンは常に同じだ、これでは練習になるはずがない、アーサーが海底神殿の魚人を練習相手に選んでいたのもうなづけるという訳だ
「まあ、ここも魚人も囲まれたらちょっとめんどくさい事には変わりないけどね、よし、あとはあいつらだけだね」
部屋の中には少し強そうな海賊と下っ端が数人だけとなった
「「まおクエ」の中にも一応鉄砲ってあったのね」
その少し強そうな海賊はベルトに鉄砲をいれている
「あ、ほんとだ、ますます海賊っぽいね、んー、でも火縄的なのがついてない・・・となるとマーリン、きっとあれだね」
「ああ、多分あれだな」
「ん?アサギちゃんもマーリン君もあの銃がどんなのかわかるの?」
「うん、魔法がある世界の銃と言えば魔石とかに魔力を込めて発射するってのがよくあるんだよ!まあ、漫画とか小説とかの中でだけどね」
「そうそう、魔法が使えない奴が何とか魔法を使おうとして考えた結果的な感じのな、弾は必要なのか魔法そのものが飛んでくるのかはわからないけどな」
「なるほど、そんなものなのね」
「流石に私も鉄砲相手の練習はした事ないな、よし、気合いれてこ、とりあえずは雑魚からよろしくね、じゃあいくよー!」
アサギは少し強そうな海賊へ向かって走り出す、索敵範囲内に入ったからか海賊は銃を抜きアサギに向かって引き金を引いた
ボンという現実的ではない銃の音が響きアサギに向かって火の塊が飛んでくる
「あ、魔法そのものを飛ばしてくるタイプだね、よかった、流石に見えない速度で銃弾が飛んで来たら筒の角度とかで盾ださないといけないのかって心配してたよ」
アサギは火の塊を速度を落とさずに盾で受ける、そしてその勢いで海賊に身体ごと盾をぶつける
海賊は壁の手前に立っていたので吹っ飛ばされて壁にぶつかる、そこだと背中を向けれないのでアサギは転がっている海賊を光の腕で引っ張り壁から離した、そしてまだ転がっている海賊を1度踏みアサギは壁を背にする
踏まれた海賊はその後にすっと立ち上がり右手にカットラスを持ちアサギに切りかかってくる
アサギはそれをしっかりと盾で受け止めると相手の大体の攻撃力を判断する、どうやら別に守り主体にならなければいけないほどの攻撃力は持ち合わせていないようだ
となると問題になってくるのは先ほどの銃から放たれた火の塊である、しっかりと盾で防いだとしてもダメージは火の塊の方が大きい、連射できるのかはわからないがそれをしてきたらやっかいだろう
2、3回火の塊を防御した時くらいに下っ端は全て倒され残る敵は一人だけとなった
「んー、魔法防御高めの装備セットでも作ろうかな」
「そう言えばアサギが鎧作ってる所全然見た事ないわね、一応ドロップで防具整ってはいるけど作って見れもいいんじゃない?」
「金属鎧で魔法防御高めるのってどうすればいいんだろ?「ログボール」のとか「テンプルウォーズ」のポイントで取れる防具で魔法防御高い奴取ってもいいかな、とは思うんだけどね」
喋りながらもアサギはカットラスでの攻撃も火の塊もしっかりと盾で防ぎ切る
「アサギさんも金属鎧取ってるのか、魔法防御が高い奴を作る時は魔石とか宝石とかを使うんだよ、その分金属を入れれなくなるから物理防御が下がるって設定なんだろ、多分」
「なるほど、あ、ダガー君も金属鎧なんだね」
「ああ、と言ってもパーティを組んでからは全然やってないけどね、ドロップでかなり強い装備が手に入ってるからそこまで魅力を感じないな、でも多分将来的には必要になってくるとは思うから時間がある時には鉱物掘りに行ったりインゴット作ったりはしてるよ」
「なるほど、私もレベル上げだけはしておかないとだめだね」
その時目の前にいた海賊が急にアサギに背を向け走り出す
「あれ?ヘイトずれた!?」
アサギはすぐに光の腕で海賊を掴むが海賊の動きを止める事ができない
海賊のHPは特殊行動をするだろうと思われる75パーセントまで減らしてはいないのだがどうやらなにかフラグが立ったらしい
海賊は部屋の中を走りまた先ほどの位置から右側の壁の前で止まる
「くそ!これでも喰らえ!」
海賊はそう叫びながらアサギに向かって銃の引き金を3回引いた
ボンボンボン!と音がなり火の塊が3つほど飛んでくる、海賊を追いかけていたアサギは引き金が引かれた所で立ち止まり火の塊をしっかりと盾で受ける、そしてちょうどたまった反撃スキルで海賊を攻撃した
「んー?何がトリガーになって今の行動をしたんだろ?」
「それはわからないけど一つだけ言える事があるな」
「そうね、部屋の掃除をしておいてよかった、って事ね」
「あ!確かに!」
もしこの部屋の中にいる他の下っ端を無視して攻撃を始めていたら海賊が逃げた時に下っ端達も戦闘に参加してくるだろう、弱いとは言え数は脅威である、流石にアサギも部屋の中の下っ端全員から一斉に攻撃を受けてしまえばやられてしまうだろう
「次からもこの部屋は掃除してから殴りかからないとだめだね」
アサギはまた壁に背を向ける位置取りに立ち攻撃を再開する
その後何回か走り出して銃を撃ってきたが走り始めるタイミングが掴めなかったのできっとスキル扱いなのだろうという事で落ち着いた
そして海賊のHPを0にする、だが海賊はすぐに光の粒子にはならなかった
「くそ!これでどうだ!!」
どうやら銃への魔力チャージは本人が行っているらしい
海賊が左手に持つ銃へ魔力を注いでいるのが可視化されはっきりと分かった
「おいおい、最後っ屁にそんな攻撃ありかよ!!」
マーリンが叫びながら魔法を撃つがもはやHPがないからなのか一切攻撃を受けているそぶりも見せずに銃へ魔力を注いでいる
「皆とりあえず離れて!あんだけ力いれたらどれだけの大きさで撃つかわからない!」
アサギは剣を鞘へ仕舞い両手で盾を持ち構えた
「死ねえええぇぇぇぇぇ!!!!!」
海賊が銃をアサギに向ける、そして引き金を引き・・・
ドッガァァァァァン!!!!!
大きな破裂音をたて銃が爆発し海賊は宝箱を残し光の粒子となった
「「「「「「・・・・・・・」」」」」」
大きな音の後部屋は静寂が支配した
「・・・なんだよそれ!!!」
1番最初に沈黙を破ったのはマーリンである
「あー、びっくりした、まさかの爆発オチだとは」
「ぷぷっ、あっちゃん見た?あいつ最後消える時ちょっと髪型アフロになってたよ」
「え!?盾でガードしてたから見えてない!うわー!見たかったな!」
「それにしても最後にこんな動きする敵初めてみたな」
「何か理由があるとか?」
「んー・・・ドロップしませんよって事じゃない?」
「考えられるとしたらそうね、私達で装備出来る物じゃあありませんよ、って事を言いたかったのかしらね?」
「なるほど、確かにちょっと欲しかったからドロップしないかなー、とは思ってたけどね、さてじゃあなにを落としたのか確認しないと、お!おー!なるほど!」
「どうしたの?なにがでたの?」
「金属製の靴なんだけどね、説明分読んでみて」
アサギがチャット欄に海賊がドロップした装備の詳細を貼る
「へぇ、一応分類は鉄板なのに見た目は海賊風になるんだな」
「へー、面白いわね、でもこれで王都とか歩けるのかしら?」
「あー、うん・・・どうなの?いや、其処らへんは大丈夫なんじゃない?あれ?どうしたのまぁちゃん真剣な顔して」
「いや、これは集めないといけないと思ってね!!ここは周回!決定!」
「まあ、確かに見た目装備にも使えるか」
「うん!可愛いといいなぁ!どんな感じだろ!楽しみー!」
「じゃあとりあえず取るね、セット効果が火力だからダガー君持って行って」
「え、それは悪いんじゃ?」
「ううん、私が火力装備持ってても大して効果ないもん、それよりダガー君が強くなってくれたの方がパーティーの為だよ」
「そ、そうか?ありがとう、じゃあ防御系のセット効果がついている金属鎧はアサギさん優先でな」
「うん、ありがとう!」
「またここも全部でボス5体かしらね、「悪竜エドラ」とキノコは防具くれなかったしここ周回するのは悪くないわね」
「そういやそうだったな、武器の見た目的にもキノコよりはいいだろ、ぷっ!」
「そうね、本当にこのキノコの杖性能はいいのに見た目がね・・・」
「せっちゃん杖の見た目変えて使ってるもんね、流石にあの見た目はね・・・うぷぷ」
「あら、まぁちゃんだってあの全身タイツ持ってるじゃない、着ないの?」
「あ、あれは!もうマー君にあげたし!それに天使の羽根が生えたキノコなんて可愛くないじゃない!」
「確かにミスマッチだな、傍から見れば面白いと言えば面白いが」
「お、俺ももう2度と着ないぞ!キノコは!」
「最初にキノコの話題振ったのはマーリンなのにねー」
6人は新たなるモチベーションを見つけ海賊船の周回を決めより一層と気合を入れるのであった




