聖騎士の鎧は重いから泳げない
皆様の声を聞かせてくださると幸いです
感想、評価お待ちしております
「これであいつらももっと訓練に励むようになるだろう、ありがとうな」
部屋に戻ったセンシンは笑いながらそう言った
「いえ、私も楽しかったですよ」
「それはそうとアサギは土の教会によく顔を出しているからVIT型のナイトだと思ったら違ったんだな、ソードスへの最後の攻撃は見事であった、STR特化のVIT型なのか?それならパラディンじゃなくナイトマスターにならんか?まだクラスチェンジはできないんだろう?」
「あ、いや、私はVIT特化でSTRにも振っているだけですよ、最後の攻撃はダンチョー団長の技ですね、だからあの威力がでただけであって、それに私はパラディンが好きなので、申し訳ないですがナイトマスターには」
「む、そうか・・・いや、これは横紙破りだったな、すまんすまん、アサギが余りにも強かったから余計な事を言ってしまった、そうだな、あのダンチョーに鍛えられてるんだもんな」
「はい、ダンチョー団長には本当にお世話になっています」
「そうか、奴は俺のライバルであり頼りになる仲間だ、少しなんでも力で解決しようとするきらいがあるがな!ま、そこらへんは俺も同じだから気が合うんだろうけどな!はっはっは!!」
そう言って大いに笑ったあとセンシンは急に真面目な顔になる
「アサギ、もし何かあったら俺も力になろう、先ほど失礼な事を言った詫びと思ってもらってもいい、まあ、それと俺もお前が気に入った、多分そうなると思ってダンチョーもアサギをここに寄こしたんだろう」
「あ、ありがとうございます、なんか特になにもしてないのにそう言ってもらえるとなんだか恐縮ですけど」
「はっはっは!いや、なに目を見ればわかるというものだ、お前の中には信念があるようだ、ダンチョーの言葉を借りれば聖騎士道という奴がな」
「はい!それは常に持ち続けようと思ってます!」
「はっはっは!アサギ、これからこの王都を含めて国が荒れるだろう、少しでも強くなっていくべきだ、鍛錬を怠るなよ」
「はい!」
「よし!練兵場にはいつでも来い、今度は俺が相手になってやろう」
「はい!ありがとうございます!」
センシンは豪快に笑う、そんな所もダンチョーとよく似ているなとアサギは思った
さて、アサギと別れた他の5人はと言うと海底神殿に関する情報を集めようと掲示板を眺めながら王都をぐるりと周っていた
「アサギ関連のスレッドの伸びがいいな」
「そりゃあ今までそこまで目立ってない子がいきなりメインタンクをやり遂げたんだからそうなるでしょうね、一応中にはあのスライムの時にもいい動きしてた、って言ってる人もいるみたいだけど」
「あー、あの時も結構動いてたもんね、あっちゃん、今度またレイドボス来たらあっちゃんとアーサーどっちがメインタンクやるんだろ?」
「アサギちゃんは自分からやるとは言い出さない子だからね、きっとアーサー君がやるんじゃない?アーサー君だってもっと練習する、って言ってたから今頃頑張ってるだろうしね」
「だろうな、やはりアサギさんの動きを見てタンク連中はただ単に攻撃に向けて盾を合わせたりオートガードじゃダメなんじゃないかって話題になってるしな、中には動画を撮ってた奴もいたそうだからそこからアサギさんがどう動いているのか研究してる奴もいるぞ、やっぱり足を踏んでるのが話題になっているな」
「そりゃああれは気になるだろうな、でもなかなか難しいんじゃないか?」
「アサギは来ないんじゃないかって言ってたけど・・・多分誰かしら聞きに来るんじゃないかしらね、やっぱり本人の口から聞くのが1番手っ取り早いしね」
「だろうねー、私だって二刀の上手な使い方してる人がいたら教わってみたいもん、でもすんなり教えてくれるかどうかよね、んー、あっちゃんの見た目だと聞きやすいと言えば聞きやすいかな?ごっつい人よりは女の子の方が話しかけやすいしね」
「そうね、アサギちゃんは確かに話しかけやすい感じよね」
「それは確かだな、お、海底神殿の話をしてる所見つけたぞ、んー・・・でもインスタンスダンジョンの話は出てないか・・・ふむ、どうやら奥の方に沈没船があるらしい、そこが怪しいと書いてあるな」
「そりゃ怪しいわ、一応王都の図書館行ってみるか?受付の人に聞けば沈没船の話とか聞けそうじゃないか?」
「沈没船・・・海賊船かしら?その辺りだと騎士団の人とかに話を聞けばなにかわかるかもしれないわね」
「この国どっかと貿易でもしてるの?何狙いの海賊だったんだろ?」
「いや、そこはゲームなんだから深く追求しちゃいけない所だろ」
「そこらへんは港に行けばわかるかもね、確か「セカンドウ」にあるんだっけ?」
「ああ、一応あそこに船着き場があったな、じゃあ図書館と騎士団と「セカンドウ」の3つに分かれるか」
「よし、じゃあ俺は「セカンドウ」行って来るか、ダガーも来いよ」
「ああ、わかった」
「じゃあ私は図書館行って来るわね、1人でいいわ」
「じゃあオネーさんと私で騎士団だね」
「そうね、じゃあまぁちゃん行きましょ」
「んじゃ各自適当に話聞いたらアサギの教会集合で」
「「「「おー!」」」」
そして全員がアサギの教会に集まった
「さて、アサギも戻ってきた事だし話を纏めるか、まず「セカンドウ」の船着き場で話を聞いたがこの世界には有名な海賊船があるらしい、船長の名前は「キャプテンセンチョー」だ、この前討伐隊が組まれて退治しようとしたんだけど逃げられたらしいぞ、時系列的には俺らがゲームを開始するみたいだけど」
「図書館で調べたのはその「キャプテンセンチョー」の海賊船は大昔から暴れまわってるって事ね、だから大分お宝を持っているんじゃないか、って書いてあったわ、後は討伐隊が昔から組まれてるらしいけど結局1回も捕まってなくてどこを拠点にしてるかもわからないんだってさ」
「騎士団で話を聞いたのも同じ感じだよ、どこから来てどこに帰るのかわからないんだって」
「あれ?海底神殿の話じゃないの?」
アサギの頭の中に?マークが複数浮かび上がった
「ん、ああ、掲示板にな、海底神殿の奥に船が一隻沈んでるって聞いてな、それがインスタントダンジョンじゃないか、って話になってな、船と言えば海賊船だろう、って事で海賊船の話を聞いてたんだよ」
「なるほど、でもその「キャプテンセンチョー」の海賊船って現役なんでしょ?じゃあ沈没船とは違うんじゃない?」
「だろうなー、討伐隊が組まれるって事はこれはイベントで来ると俺は睨んだね」
「その可能性が高いわね、海賊船が現れたから討伐隊を組んで退治しにいってください、みたいな感じかしら」
「なるほど、ありえそうだね」
「んー、じゃあ海底神殿の沈没船については手掛かりはないのかな?」
アサギの発言に教会内を沈黙が支配する
「ま、まあ海底神殿に行けてるプレイヤーもまだ少ないとは言えインスタントダンジョンの情報はでてないしな!これから探していけばいいんだよ!!これから!!」
「そ、そうね、こういう捜査は足で稼ぐのよ!!」
「うん!じゃあ早速行こうよ!くふふ、それに色々わかってから行くより皆で色々考えながら行く方が楽しいよ」
「ん、そりゃそうだ」
「それを言われると情報を集めようとしたのが馬鹿みたいじゃないのよ」
「え、いや、そういう事じゃないんだけど・・・」
「わかってるわよ、よし、じゃあ早速行きましょうか!海底神殿に!」
「「「「「おー!!」」」」」
アサギ達は王都を真っすぐ真っすぐ南下していく、道中はもはやアサギ達では苦労する相手もいないので何事もなく海底神殿の入り口についた
「ここね、この門の中の階段を下りていくと海底神殿よ」
「おー・・・海の中に入っていくんだ・・・え、息とか大丈夫なの!?」
「何言ってんだ、それならダンジョンにならないだろ」
「それもそうか・・・よし!じゃあ入ってみようか!!」
「「「「「おおー!」」」」」
アサギを先頭に一行は門をくぐり階段を下っていく
中は思ったよりも広く全体的に青みがかっていた
「一応全部海の中の設定なのね、地面はあるし泳げはしないけど魚が空中を泳いでるわ」
「この地面から横には出れないようになってるんだね、うわー、上見てよ、上にもいっぱい魚が泳いでるよ」
「これは観光目的だったとしてもなかなかいいな、光が綺麗だ」
「観光地に魚人がでるのはちょっと勘弁してもらいたいけどねー」
「そうね、ちょっとそれはいやね」
「早速その嫌な奴がおでましみたいだぞ」
海の中にはいったアサギ達の前に魚人が現れる、青色の鱗を体中に持つそれは手に三つ又の槍を持っていた
アサギはすかさず相手の懐に潜り込む、長物相手には近づいた方がやりやすいのだ
アサギが魚人の顔に思いっきり盾を当てスタンさせると共にヘイトを稼ぐ、そこへまぁちゃん、ダガー、オネが攻撃をする為に近づいてくる、アサギはくるりと魚人を囲むように向きを変えた
3人から攻撃を受け魚人のHPはすぐに0になり光の粒子を残して消えていった
「そこまで強くはないね、まあ、まだ入り口の所にいる敵だしね」
そんな中マーリンが渋い顔をしている
「ん?どうしたんだマーリン、そんな顔して」
「ん・・・いや・・・」
「そういや今の魚人にマーリン魔法撃たなかったの?攻撃飛んでこなかったけど」
「いや、それがな・・・魔法は撃ったんだよ、でもレジストされた・・・」
「ダメージ0って事?まあ、水の中の生物だし火はあんまり効かないって事なのかしら?それとも魔法抵抗が高めのマップって事?」
「わからんがすまんが次また一匹ででてきたらちょっと実験させてくれ」
「うん、わかった、一匹だけ残すね」
アサギ達が前に進むと今度は二匹魚人が現れた、アサギは両方のヘイトを取りマーリンの注文通りに一匹だけを片付ける
「あー・・・こりゃ魔法耐性も結構あるな、でもそれ以上に火属性の魔法が全然効かねぇ、まいったな」
「マーリン火属性以外は取ってないの?」
「いや、あるにはあるんだけどな、使い慣れてなくてな、ちょっと待ってくれ、アイコンの位置変えるわ」
「まおクエ」では考えたりするだけで一応スキルは発動できるのであるがCTなどを確認する為に視界の中にアイコンを並べられるようにもなっているのだ
特に魔法は全てにCTがあるのでマーリンは視界に複数のアイコンを浮かべている、見やすい場所に火属性の魔法があるとどうしてもそれに釣られそちらを使ってしまうのでそれらを無くし水と言えばこれだろう、と雷属性の魔法のアイコンを並べた
「よし、悪いな、雷属性で行くわ」
「うん、じゃあどんどん進んでいくよー!」
「「「「「おおー!」」」」」
アサギ達は海の底を進んでいく、この先にあるという船は一体なんなのだろうか?
その答えはこの海の奥に眠っている




