俺の相手は聖騎士であってお前じゃない
皆様の声を聞かせてくださると幸いです
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急に現れた小さな、それでいて凄い勢いのなにかに周囲は一時的に混乱する
アサギはそれを見逃さない、下から救い上げるように盾を相手にぶつけどんどん砦の前から青チームのプレイヤーを弾き飛ばしていく
青チームはその異様さに圧倒され足を止める
そしてアサギは砦の入り口の前に立った、横からは赤チームのプレイヤーがアサギに続き砦の前にいる青チームのプレイヤーに攻撃を仕掛けていく
「はっはっは、流石アサギだな、俺らも負けてらんないな」
「突っ込むとは言ったけどまさか加速して突っ込んでいくとは・・・」
「いやー、でも目の前で人が吹き飛ぶとそりゃ誰でも足止めるわよね、作戦成功って感じ」
『今だ!中にいる奴等を全部倒してNPCに行くんだ!』
砦の中に赤チームがその声に呼応しなだれ込んでいく
アサギは砦の前で睨みを利かし盾を構える、フルダイブだからだろう、それだけでアサギに対して向かってくる時間を少しだけ稼げた
だがその時間もすぐに終わりを告げる、青チームのナイトが1人アサギに向かって斬りかかってくる
アサギは上段から振り下ろされる剣を盾で防ぎながら左に重心を動かす、全力で振り下ろしてきたらしい剣は急に盾から力が抜けたのでそのまま地面を斬った
そうするちょうどいい高さに顔が来る、アサギはスキルを発動し容赦なくプレイヤーの顔面に盾をぶつける、ガツンという音と共にそのナイトは後方へ吹き飛んでいった
これが1vs1ならその後を追いかけるのだろうがアサギへの攻撃はそれだけでは終わらない
目の前に繰り出される槍を躱しながら剣で薙ぎ払う、吹っ飛びこそはしないがなかなかのダメージを与える事はできたはずだ
しかし囲まれてるのは変わりない、なるべく飛んでくる矢や魔法は盾で防いではいるが全てをカバーする事はできない
ここまでくるとアサギも相当な人数から攻撃をされているのでセッキーやオネや周りにいるヒーラーが全力で回復してもだんだんとHPが削られてきている
まあ、本来これだけ囲まれながら生きてるだけでもおかしいと言えばおかしいのではあるが
アサギは集中している、相手のプレイヤーも薄くはなっているが避けれる攻撃は避けながら盾に当てれる攻撃を選び盾で防ぎ反撃スキルを発動していく、勿論上限突破していない方を使ってはいるのだが
砦の前に立っているのはアサギだけではない事もアサギのHPがいまだに尽きていない理由でもあるだろう、狙われている数はアサギが1番なのだが周りもしっかりとフォローしてくれている
背後から歓声が聞こえる
『よし!NPCを倒したぞ!砦の前のプレイヤーを一層して教会の門へ急げ!でも追いかけすぎないように!』
どうやら時間は十分稼げたようだ
砦の中から出てくるプレイヤーの中に潜り込みアサギはその場から離れた
「ふー・・・あー・・・楽しい!」
「おつかれ、アサギ、あの数良く捌けたな」
「あー、なんか結局範囲攻撃じゃないと一人にしかダメージ行かないから自分に向かってくる攻撃とそうじゃない攻撃を見極めたらわりと防げるようになったかな、流石に途中に数が多いから少し下がって周りの人を攻撃するように仕向けたりしたしね、それでも死んじゃう人そこまで居なくてよかったよ、セッキー、オネさん回復ありがとうね」
「・・・その自分に来る攻撃と来ない攻撃の差は?」
「えっと・・・見た目・・・?自分に来る攻撃の方がちょっと濃いかな、まあ、でもそれはあんだけの人に囲まれて攻撃されてたからわかっただけだよ、最初のうちは全部を避けようとして逆に当たっちゃったりしてたもん、それに前からの攻撃ばっかりだったからね、攻撃を欲張らなきゃまだまだいけたはず」
「そう言えばHPが減り始めてから盾を当てるのと反撃くらいしかしてなかったわね、剣も敵の攻撃を受ける事にしか使ってなかったし」
「あのまま攻撃も一緒にしてたらちょっとまずかったかもね」
『よし!教会の前に着いたぞ!あそこのNPCを倒せ!!」
「ここにもNPC出るのか・・・げっ!来たか!ダンチョー!」
「あー・・・ここでくるのね・・・・」
「うーわ、なんかいつもよりでっかくない?あれもバフなの?巨神降臨?」
「相手に不足なしだな!!」
「アサギちゃん、アサギちゃんどうしたの?」
ダンチョーを視界に入れた時アサギの足は止まってしまった、目が合ったのだ、ダンチョーと
「あの装備、ダンチョー本気の装備だよ、やばい、身体が震えてきた」
「あん?どっちの震えだ、アサギ」
「馬鹿ね、マーリン、聞く必要なんかないわよ、ねぇ、アサギ」
「当然!あの人の相手は私だ!誰にも渡さない!!皆!いくよ!!」
「「「「「おおー!」」」」」
アサギはダンチョーの元へ駆けていく、勿論盾を構えながら
ダンチョーがそれに答えるように戦っていたアーサーを盾で弾き飛ばす
ガツンと盾と盾が合わさる、アサギは全力で盾を押す、ダンチョーもそれに答える
そしてアサギは力を急に抜き後ろに飛び退く、しかしダンチョーは釣られない、体勢も悪くなっていない
飛び退いたアサギを追いかけながら右手に持つ剣で顔周辺を突き刺そうとしてくる
それは多分喰らっていれば死に戻りは確実だっただろう、それほどの勢いだ
だがその剣はアサギには当たらなかった、ダンチョーが横から飛び込んできたアーサーに押されぐらついたからである
その隙を逃さずアサギはダンチョーの顔に盾をぶつける、いつもなら敵を吹き飛ばしたり仰け反らせたりする攻撃だが今回ばかりは違った、ダンチョーはその場で耐えたのだ
横から不意にされた攻撃と違って目の前で行われた攻撃である、耐えられるのも仕方がないだろう
アサギはダンチョーにぶつけた盾を引きながら今度は剣で斬りかかる
その攻撃は当然のように盾で防がれてしまう、しかも間が悪い事にそれが10発目だったらしい
アサギの目の前でなにかが爆発したかのような衝撃が襲い掛かりアサギは後方へ吹き飛ばされた
だがアサギはなんとか歯を食いしばり後ろへ倒れこむのを回避した、仰け反りそうになった身体を無理やり丸め再度ダンチョーに向きなおす
「アサギ!危ない!」
体勢を立て直し向きなおした時、そこには巨大な光の剣があった
アサギはなんとか自分とダンチョーの前に盾を持ってくる
しかしそんなものは何にもならないとばかりにダンチョーは光の剣を振り下ろす
一応ガードは成功したらしい、アサギはHPを半分以上削られたが何とか生き残っていた
しかし周りにいたタンク以外のプレイヤーはそうはいかない、一応背中を攻撃させようと向きを調整してはいたのだが数が多すぎて全員がダンチョーの背中側に居た訳ではないのだ
この距離を離れていれば攻撃は当たらないだろうと思いながらダンチョーの前にいた火力陣のほとんどが光の剣によって死に戻り、あるいは瀕死の状態になった
『背中側からだ!背中側から攻撃するんだ!範囲攻撃あるぞ!!』
「見たか、あれやった時のダンチョー、嬉しそうな顔しちゃって」
「アサギと戦えてそんなに嬉しいのかしらね」
「これは今回勝ちは薄いかもね!」
「多分相手の騎士団団長は普通のAIだろうからな」
アサギには周りのヒーラーからも回復魔法が飛んでくるのですぐにダンチョーに斬りかかる事ができた
アサギが耐えれば耐えるだけ周りの火力陣がダンチョーのHPを削る事が出来る、アサギはダンチョーの動きをよく見てしっかりと防御を固めた
「ていうか結構目立っちゃってるわよね、大丈夫かしら、これ」
「どうだろうな、アサギがしっかりヘイト管理できるタンクだってくらいの評判で終わればいいけど・・・最初にダンチョーがアーサーの奴吹っ飛ばしてからずっとタンクやってるからなぁ」
アサギとダンチョーがお互い笑い合いながらお互いを攻撃し合う
勿論ダンチョーを攻撃しているのはアサギだけではない、ダンチョーは500人分の火力を受け徐々にHPを減らしていく
それでもダンチョーは笑顔を崩さない、一撃一撃まるで会話をするかのようにアサギに向かい剣を振るう
アサギもそれに答えるかのように盾で防ぐ
そしてダンチョーと戦い始めてから何度目かの反撃スキルの発動条件が揃った
「これで!終わり!!」
アサギはダンチョーの腹部目掛けて盾をぶつけ、そこで反撃スキルを発動させる
2つの衝撃がダンチョーを襲う、流石のダンチョーもそれには耐えられなかったようで後ろに大きく弾け飛ばされた
そしてダンチョーは光の粒子になりアサギの目の前から消えた
『よし!教会の中へ行くぞ!!!』
「はー・・・はー・・・ありがとうございました!ダンチョー!」
「お疲れ様、アサギ、大活躍ね」
「え?ああ!しまった!」
「おいおい、大丈夫か?」
「でもダンチョーもそこまで理不尽な事してきてる訳じゃなかったし大丈夫じゃない?私との稽古でも動きはあれくらいだったと思うから」
「んー、確かに本気でやってもらった時より全然遅いし力も入ってなかったよ、最初に盾合わせたじゃない?本気のダンチョーだったらあんなことできずに私が吹き飛んでるはずだからね」
「流石にダンチョーもこっちのレベル帯に合わせた強さになってるのか、まあ、そうじゃないと勝てないもんな」
「さて残るはパラディンロード、エルダープリースト、そして教皇の3人か・・・最初はどれがくるのかしら?」
アサギ達は教会の中へと入る
「造りは全然違うっぽいね」
「あはは、そりゃそうだ、受付さんなんかいないだろ、一応模擬戦って形なんだから」
「あはは、そうだね、あはははは」
『最初は雑魚からだ!その後にエルダープリーストに火力を合わせるんだ!』
「おっと、最初はエルダープリーストからか、どんな攻撃してくるんだろうね」
教会の中に入りそのまま真っすぐ進んだ所に部屋があった、エルダープリーストはここにいるみたいだ
アサギ達はその部屋へと入っていく、入った瞬間視界に飛び込んできたのは空中へ浮かぶ白い服を着た女性の姿だった
「あれがエルダープリーストか、若干浮いてるのがめんどくさそうだな」
「アーサーがタンクやってるね、通常攻撃は杖から光の玉を飛ばす事かな?そこまで速くないから受けやすいね」
「経験上あの手のタイプは雑魚召喚さえ乗り越えれば楽に勝てる、でもそれを乗り越えるのが難しい」
「あー、わかるわかる、しかもエルダーなプリーストなんでしょ?最悪雑魚倒しても即時復活よ」
「あー!それもわかる!私も昔そんなゲームで苦労したなー」
アサギも見た事がないエルダープリースト、果たしてどのような攻撃をしてくるのであろうか




