聖騎士が突っ込んできたら気を付けろ
皆様の声を聞かせてくださると幸いです
感想、評価お待ちしております
「始まるまであと10分だね、そろそろ申請できるようになるかな?」
アサギがそう言った時視界の中にウィンドウが飛び込んできた
「お、ちょうど来たな、アサギ、申請してくれ」
「うん、パーティで参加する、っと」
アサギが「テンプルウォーズ」に参加しますか?という問いにパーティで参加すると答えると6人は光に包まれアサギの教会から「テンプルウォーズ」用のフィールドへ転送される
「おー、動画で見るより結構広いな、人もガンガン転送されてきてる」
「もうチーム分けは始まってるのかしら?周りにいるのがチームって事?」
「多分そうじゃないかな?チームチャンネルがあるからもう分けられてると思う」
「だね、赤チームって書いてあるよ、右上らへん」
そう言われ視線を右上にやると自分のステータスを表示しているウィンドウの上に赤チームと表記されていた
「あとは声がでかい奴が入ってくるかどうか、か」
『皆!俺は「円卓の騎士」のアーサーだ!ボスのメインタンクは俺がやるから安心してほしい!攻略について提案があるから聞いてくれ!』
「おっと、早速声が大きい人が登場したね、あっちゃん」
「んー・・・まあ、確率は2分の1だし仕方ないね」
「何言ってるのよアサギ、サーバー内に1000人しかいない訳ないでしょ?何か所かに分かれてるに決まってるじゃない」
「となると・・・結構な確率って事か」
「なんだよ、まだ根に持ってるのか?」
「いや、もうそこまでじゃあないんだけどねー、でもやっぱあの名前を見ると・・・こうフツフツと・・・」
「あはは、もうあきらめなって」
「うー、諦めてはいるんだけどやっぱ見ちゃうとー」
「それより話聞いてた?とりあえず全員で最初の砦に行って2番目は放置して3番目に行ってからボス行くんだって」
「あ、そうなの?」
「大雑把に言うとそんな感じね、500人に対して一々指示なんかできないし最初に決めておくのは悪くはないと思うわ、あとは空気と流れとニュアンスよ」
「つまりなるようにしかならない、と」
「そういう事ね、それで砦を3つ落とさないと教会の門は開かないのと砦を落とした方に火力のバフもつくらしいわ」
「え?そんな事書いてあったっけ?」
「動画のページじゃなくて「テンプルウォーズ」の説明の所よ」
「どれどれ、あ、本当だ、動画で全部の説明してあるのかと思ってたよ、んー、じゃあ結局Pvはどこかで必ず発生するね」
「毎回同じ500人とでチーム組むわけじゃないしそうなるだろうな」
「なるべく離れないようにしようね、死んだらセッキーに起こしてもらえるけどセーブポイントが近かったりセッキーも死んでたら復活して合流優先かな」
「そうね、それがいいわね」
6人が色々と話し合いをしている間にもチームチャンネルには大きな声が響き渡っていた
「ほんと声でけぇな、あいつ」
『これより「テンプルウォーズ」を開始します、開始まで10、9・・・』
「さあ!始まるわよ!準備はいいかしら?」
「「「「「おおー!」」」」」
『3、2、1、「テンプルウォーズ」スタート』
『皆!まずは真っすぐ行ってオベリスクの周りのNPCだ!セーブを忘れずに!!』
アサギ達は駆け出す、500人もいるのでもう少しごちゃごちゃと見難いかな?と思っていたがプレイヤーの色が薄く表示されているのでそこまで邪魔とも思えなかった
設定でプレイヤーのHPバーも消せばなおさらすっきりするだろう、アサギは死にそうなプレイヤーが居たら守る為に、セッキーは回復を飛ばす為に表示は切ってはいないが
「結構敵多いんだな、と言ってもこっちも多いから全部スルーしちゃってるけど、一応ダメージ量でボーナスあるんだろ?いいのか?」
「ダガー君あれは「テンプルウォーズ」用の装備が揃った人間が取るものよ、それにこの辺でちまちま倒すより奥に行く方が敵が多いと思うわ」
「なるほど、確かに」
「あれ?」
「どうしたの、アサギちゃん」
「えっとね、私「テンプルウォーズ」用の装備の防具で取ったんだけどそれだと被ダメMVPになれないんじゃない?」
「あー、んー、どうなんだろう?」
「死んで復活を繰り返すより耐え続けた方が被ダメ稼げるんじゃないの?」
「ああ、なるほど、まぁちゃんの言う通りかも」
「被ダメはタンクできるかできないかって事でしょ、声が大きい人は最初から被ダメMVP狙いだからメインタンクやるって言ってるんでしょうね、ヒーラーもあの人回復しておけば回復量MVP取れるかもしれないからきっと周りにうじゃうじゃいるはずよ」
「アーサーが持てなかったらアサギさんの出番だな」
「え、ダガー君、それはないよ、なんだかんだあの人も結構上手かったしね」
「ふふ、そうしたらアサギにヒールしていれば私が回復量MVPね」
「私は攻撃と支援両方できる型にしてるからMVPは取れそうにないなー」
「んー、確かにオネーさんの型だと難しいかも・・・?」
「まあ、500人いるんだしなかなか簡単には取れないだろうな、火力も結構厳しい戦いになりそうだ」
『皆!オベリスク前のNPCを狙うんだ!!』
「おっと、もうそんな所まで来てたのか、どれどれ、おい!こっちの敵土の教会だぞ!!」
「あらら、最初からダンチョーを相手にする事になったのね」
「これなにか仕組まれてるんじゃあないかしら・・・?」
「くふふ、楽しみだね!」
「アサギちゃんとっても嬉しそうね」
「頼もしいな、アサギさんは」
オベリスクの前に配置されているNPCの頭上には土の教会と表示されその横に名前が書いてあった
「あれ、あの人知ってる人だ、たまに稽古つけてもらってたよ」
「あはは、アサギは土の教会の人は大体知ってるんだな」
「でもこの数相手にしたらそこまで持たないでしょうね」
「だねー、もうHPがかなり削られてる」
「セーブポイントだしな、強すぎたらそれはそれでゲームバランスが悪い」
6人もそのNPCに多少攻撃を加えるがあれよあれよといううちにそのNPCは倒された
『オベリスクでセーブするんだ!そしたら右に曲がって砦を落とすぞ!』
「あ、さっきの人が服の色が白から赤に変わって復活した」
「うーん、わかりやすいね!!」
「さ、セーブしたわね、次は砦にいくんですって」
6人は流れに乗っかり砦を目指す、途中にもNPCはでてきたが全てが流れに埋もれ瞬時にHPを溶かされていった
「あったわよ、あれが砦ね」
「前から青チームも来てるぞー」
「どうする?中はいる?外でPv?」
「入り口には私達の方が近そうだから中入っちゃいましょ」
「はーい!」
赤チームが先に砦に辿り着いた、アサギ達は砦の中にはいる
「砦って行っても1階に部屋があるだけね、奥のNPCを倒すとこの砦がうちのものになるわ」
「アーサーがタンクやり始めたぞ、俺らもさっさと殴るか」
どうやら自分のターゲットとしているNPCがターゲットにしているプレイヤー、つまりタンクは濃く表示される設定らしく今まで薄かったアーサーが濃く表示されている
「さっきのオベリスクの所もそうだったのかな?全然きづかなかったな」
「すぐ溶けてたからな、俺も気づかなかった」
『砦のNPCを殴り始めた!中に青チームを入れないようにしてくれ!中にいるプレイヤーはNPCを倒すぞ!!』
「うちは全員入ってるわよね?よし、じゃあさっさとこっちも終わらせて砦もらいましょ」
「砦のNPCは土の教会じゃないんだな」
「3か所あるから次もそうとは限らないけどね」
目の前にいるNPCの頭上には火の教会と書かれている、どうやらクラスはパラディンのようだ
「んー、動きはAIそのものって感じだね」
アサギはタンクをしている訳ではないので後ろから攻撃をしながらも動きをよく観察している
「俺らだって今までそんなに多く高度なAIに当たってる訳じゃあないだろ?そんな頻繁に出てこないだろ」
「んー・・・もしかしたらだけどAIのパターンって3つなのかも」
「どういう事?」
「「ダクパラ」とか「悪竜エドラ」みたいにこっちと会話できるのとそれ以外って思ってたけど・・・「ナイットン」とかイベントの時の「邪教徒が呼び出し者」みたいにこっちの行動に合わせてくるAIもいたから、この火の教会の人とかこの前のスライムみたいに完全にパターン化されてるのとはちょっと違うんじゃないかな、って」
「なるほど、そう考えてみると3種類いるかもね」
「いつも背中から攻撃なんかしないからね、動きがよくわかるよ、この火の教会の人の攻撃だったら余裕で全部防げるね」
「んー、アーサーもしっかり防いでるしな、やっぱ上手いな、声でかいけど」
「そうね、上手いわね、声大きいけど」
「まあ、指示してくれる人がいるってのは良い事だけどね、声大きいけど」
『よし!もうすぐNPCを倒せるぞ!』
「結構早かったね、どんどん中に赤チームの人はいってきたからかな?」
「多分砦の前でPvになったから青チームが次の砦に向かったんじゃないかしら?」
「なるほど、だからどんどん赤が流れてきた、と」
『よし!倒した!次はオベリスクだ!戻るぞ!!』
「結構忙しくなりそうだな」
「そうね、遅れないようにしましょ」
そして赤チームは2番目、3番目のオベリスクの前にいる土の教会のNPCを倒し両方ともセーブポイントに変えた、ちなみにどちらのNPCもアサギは顔を知っていた
『最後の砦だ!これを倒さないと教会の門が開かないから青チームと絶対にPvになる!中に居る人はNPCを外にいる人は青チームを中に入れないように!!』
アサギ達は最後の砦に向かって走る、だが
「あらあら、なかなかそう上手くは行かないみたいね」
赤チームが砦の前まで来た時に青チームが砦の中になだれ込んでいくのが見えた
『先に入られた!中にいる青チームを全員倒すんだ!』
「これってNPCのHPをどれだけ減らしたかで砦の所有権変わるの?」
「ん、ラストアタックじゃないか?そうじゃなきゃ半分削られてたらタゲ切って回復させないといけないしな」
「んー・・・なるほど」
「アサギ、どうするの?突っ込むの?」
「もちろん突っ込むよ!!」
「はい、じゃあ支援魔法ね」
「ありがと、オネさん、いっくよー!!」
アサギは目の前の砦の前にいる青チームの塊に盾を構え飛び込んでいく
「とっつげきーーーー!!!!」
その衝撃に青チームの1人が吹き飛ばされる
だが周りには無数のプレイヤー、無数の視線がアサギの方へ向いた
「くふふ、楽しくなってきたね!」
まだ砦はお互い1個ずつ、勝敗には関係はないがバフがあるなしで教皇を倒す速度は各段に違うだろう
まさにここが勝負の分かれ目である




