聖騎士と黒い茸
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それからもベニテングダケは何度も何度も身体を震わせ胞子を撒いてくる
しかしやはりそれはただのダメージだけのスキルのようだ
まだ特殊行動に入る前のHPであるからダメージだけなのかもしれないととりあえず25パーセントを削るまでは胞子の事は考えない事にした
ベニテングダケはさくさくとHPを減らしていく
そして特殊行動に移るであろう75パーセントまで削る事ができた時ベニテングダケは明らかに先ほどとは違う震え方をしだした
「アサギ!一応離れておきなさい!」
セッキーの言にアサギはベニテングダケから距離を取る
目の前のそれはまだ大きく震えていた、やがてピタっと震わせるのをやめるとぶおおおおお!!!とかなりの勢いで胞子を辺りに撒き散らし始めた
そしてその胞子は壁一面に(と言ってもこのダンジョンの性質上壁の様に木が生えているだけなのだが)付着する、するとそこからテングタケという今戦っているベニテングダケを半分の大きさにしたくらいのキノコマンが複数現れた
「皆!おねがい!」
アサギは範囲挑発スキルを即座に使いながら小さなキノコマンにサインをつける
マーリンが足止めのサインの敵に拘束する魔法をかけ、まぁちゃんやダガーがサインの小さい数字順に攻撃し敵の数を減らしていく
でてきた雑魚はそこまで強くないので時間はさほどかからずに処理する事ができた
そしてベニテングダケ本体に火力を集中させていく、するとまたベニテングダケは震え始め胞子を撒き散らした
どうやらここからは胞子を出すと同時に雑魚が2匹湧くようだ、胞子自体のダメージも多少ではあるが上がっている
「あと2回どんな変化するかしらね」
雑魚が湧きだすようになったので多少時間は先ほどよりもかかったが特に問題らしい問題もなくベニテングダケのHPは半分まで減らす事ができた
「さぁ、またくるよ!」
アサギが震えてるベニテングダケから距離を取りながら叫ぶ
先ほどよりもまた震え方が大きくなった、そしてまたピタッと止まり先ほどよりも更に勢いを増して胞子がキノコの傘より発射された
「色が紫に変わったわよ!」
部屋中が紫色に染まる、だがその胞子はまた壁になっている木にくっついたのですぐに視界は晴れた
「皆!キノコ生えてる!」
アサギ達の身体に紫色のキノコが生えていた、全員のHPが徐々に減っていく、どうやら毒キノコを生やされたらしい
アサギ達はまたかがり火でキノコを焼こうとしたが部屋をよく見て見ると先ほどのテングダケが紫色に変わってまた複数現れていた
「とりあえずアサギ!範囲挑発!このままじゃ回復できないわ!」
回復魔法を使うとヘイトを稼いでしまう、この数のテングダケに襲われたらセッキーのHPはすぐに無くなってしまうだろう、毒のダメージもあるのだから
アサギは範囲挑発スキルを発動しセッキーやオネが回復をしてもそちらにヘイトが向かないようにした、そしてサインでマーリンに足止めしてほしい敵を知らせ少しでも自分に来る攻撃の数を減らした
「アサギ以外キノコ焼いて!焼き終わったら私も焼くからそれが終わったら雑魚処理!雑魚が終わったらアサギもキノコ焼いて!」
4人はすぐにキノコを焼く為に移動する、そして自分に生えたキノコを焼くとサイン通りに攻撃を始めた
それを確認してセッキーもキノコを焼く、焼いている間少しアサギから距離が離れるので回復魔法が届かなくなるがオネがいるのでなんとかなるだろう
幻覚を見せるようなキノコを生やされるのでは?という疑問からアサギがすぐにキノコを焼けるようにアサギがかがり火の近くに居られるような配置で攻撃を始めたのだが50パーセントまでは後衛側がかがり火の近くに居た方がよさそうだ
セッキーがキノコを焼き終わったのでアサギもキノコを焼きにいく、その間に今生えてきたテングダケの数はどんどんと数を減らしていった
全ての雑魚の処理を終わらせ6人はまたベニテングダケに火力を集中させる
ここからの胞子からは先ほどの紫色のテングダケが出るようになった、しかも倒す時に胞子を出しキノコを生やしてくる、なるべくアサギは倒さないようにとセッキーに言われたので後衛火力の3人が倒すようにしてキノコが生えたら走ってかがり火の元へ行きキノコを焼いた
「最後の25パーだよー!」
忙しくはなったがむしろそれも楽しいというものだ、6人はベニテングダケのHPを残り25パーセントという所まで減らしていた
最後の特殊行動がくる、6人は目の前でかなり激しくぶるぶると震えているキノコを見ながら気合を入れなおした
そしてベニテングダケがピタッと止まり・・・まるでお辞儀をするように身体を丸めアサギの方向に傘を向け黒い胞子を発射した
「うわあああ!びっくりした!」
アサギは寸での所で躱す事に成功していた、だがベニテングダケが頭をぐるぐると回し始めたので結局胞子を浴びる事になってしまった
もちろん後ろに居た5人も全員胞子を浴びている
そして心配していた効果がついに予想以上の効果で現れた
目の前にはベニテングダケ、胞子の色からして黒いテングダケ、そしてパーティメンバーの5人がいるはずなのであるが全てがベニテングダケにしか見えないのだ
本来なら頭上に名前やHPバーが表示されているはずなのだがそれも文字化けして見えなくなっている
そしてご丁寧にベニテングダケにつけたサインも見えなくなっている
この黒い胞子には幻覚を見せる効果が含まれていたのだ
アサギはとりあえず先ほどと同じように範囲挑発スキルを使う、これでこちらにこないキノコがパーティのキノコなはずだ
その範囲挑発を見て前にでるキノコと後ろに行ったキノコと動かないキノコとはっきりとわかれた
後ろに行ったキノコがきっとマーリン、まぁちゃん、ダガー、オネだろう、さきほどセッキーは残っていたので動いてないのがセッキーだろう
そして目の前にいるこいつが多分ボスであるベニテングダケだろう
アサギはボスじゃないと思うキノコにサインを振る、振ったとしても文字化けを起こして見えなくなっているので数字は確認できないが自分で振っているので別に見えなかったとしても関係はない
その時パーティの声が聞こえなくなっている事にアサギは気づいた
この胞子にはそのような効果もあるのかとびっくりしていると後ろに走ったキノコが戻ってきて動いてないサインがついてないキノコが後ろに向かって走っていった
やはり残っていたのはセッキーで当たっていたらしい
多分セッキーだと思われるキノコが戻ってきたのでアサギ自身もキノコを焼きに向かった
そしてかがり火で背中に生えていたキノコを焼くと
「アサギ!よかった、これで声も聞こえるようになったわね!」
「いやー、一瞬焦ったよな、アサギがスキル使うまでパニックになってたぜ」
「ほんとほんとどうしようかすっごい迷ってた!あっちゃんのお陰!」
「そうだね、あれでさっきと同じでいいんだ!って思えて動けたからね」
「ああ、あれが無ければやられていたかもしれない」
「ほんとびっくりしたよね、でも皆がキノコになったのは、くふふ、ちょっと面白かったな」
アサギ達は雑談をしながら雑魚の処理をしていく
そして雑魚を処理し終わった時にベニテングダケがまた震えだし黒い胞子を撒き散らし始めた
マーリンはその胞子に合わせて魔法を発動したがどうやらこの胞子は燃えないらしい
「くそ、燃えないのか、で、雑魚も召喚される、っと・・・え!?ド、ドラゴン!?」
マーリンの目の前に突如ドラゴンが現れる
しかもそれは「「悪竜エドラ」の夢」の外であったあの「悪竜エドラ」だ
マーリンは突然の事に思わず後退りしてしまう
だが少し後ろからパーティメンバーを見て見れば誰も慌てていない
はっと気づいて自分の頭の上に手をやるとそこにはまた黒いキノコが生えていた
「幻覚かよ!!」
マーリンはそう言うと再度かがり火に向かって走り出しキノコを焼いた
「マーリンどうしたの?キノコ生えた時に凄いびっくりした顔してたよ?」
「あー、今召喚された雑魚が「悪竜エドラ」に見えた、しかも外の奴」
「それはびっくりするわね、今まで戦った1番強いモブでも見せる幻覚なのかしら」
「ちょっと面白そうだね、じゃあ雑魚のラストアタック私とってみてもいい?」
まぁちゃんが面白がって黒い胞子から召喚された雑魚を倒す
そして胞子を浴び周りをきょろきょろと見回した後にかがり火でキノコを焼いて戻ってきた
「ボスの奴直接じゃないとだめかも、皆がキノコに見えただけだったよ」
「なるほど、可能性はあるな」
「さっきなんでマーリンが幻覚喰らったんだ?胞子は部屋中に広がるのに幻覚みたのはマーリンだけ見たいだったが・・・ランダムか?」
「そうかもしれないわね、まぁちゃんとしては残念かもだけれど」
「うーん、ちょっと喰らってみたいけどランダムじゃあね~」
その後また胞子は数回行われたが1回もまぁちゃんは幻覚がかからなかった
幻覚では皆「悪竜エドラ」が見えたらしいのでやはり戦った事がある1番強い敵なのだろうか
そろそろベニテングダケのHPが無くなりそうになった時またベニテングダケがぶるぶると震えだした
まぁちゃんが幻覚を見たがっていたのでこれくらいはと皆が攻撃の手を止める
そして胞子が撒かれた
今回幻覚がかかったのは・・・
「エクスッ!!!!!カリバアアアアア!!!!」
アサギがいきなりスキルを放つ
「ど、どうしたのよ!?」
「今話しかけても黒いキノコ生えてる時は声聞こえないぞ」
「あ!そうだったわね」
アサギがかがり火の方へ向かいキノコを焼く
「アサギも「悪竜エドラ」が見えたの?」
「ううん、「ダクパラ」だった、ついテンション上がっちゃってスキル使っちゃった」
「あー、いきなりなんでもエクスカリバー叫んじゃったのはそのせいか、なるほど」
「いやー、恥ずかしながら見た瞬間に撃ってしまいましたよ、えへへ」
「よし、とりあえずドロップ確認しようぜ」
「はーい!・・・む、セッキーまだ悪夢で武器だしてなかったよね、セッキーの杖だよー」
アサギはニヤニヤと笑いながらセッキーの方を向いて言う
「なんか嫌な予感がするんだけど・・・どれどれ、うわ!やっぱり見た目がキノコじゃない!!しかもベニテングダケの色してるし!んー・・・性能は良いわね・・・悪夢で杖取れるまでは外見変えて使おうかしら・・・」
それはベニテングダケの柄をながーく伸ばしただけの杖だった、他の武器の形状がどんなものか気になる所ではある
「皆、もうちょっとだけここ周回しない?」
突然まぁちゃんが言う
「ん?そんなに幻覚喰らいたかったのか?」
「んー、それもゼロじゃあないんだけど1個前の部屋、気にならない?」
「む、確かに私も気になる」
「そうね、あそこにはなにか居るわよね」
「ここの攻略はそこまで時間はかからないしいいんじゃないか?周回しても」
「そうだな、セッキーさんの杖の性能もそこまで悪くないみたいだし良いと思うぞ」
「私も賛成よ、でも!今日はそろそろ無理!!明日も仕事よ!皆も学校でしょ!」
「おっと、もうこんな時間!!じゃあ明日からはもうちょっと「トークノ盆地の栽培地」の周回という事
で!」
「「「「「おおー!」」」」」
「あ!その前に明日ダンチョーのとこ行こう!」
全員頷くと帰還スクロールを使いアサギの教会へ帰り全員がログアウトをした
どうやら明日も色々と忙しく、そして楽しい1日になりそうだ




