最高の聖騎士になるには足腰が大事
皆様の声を聞かせてくださると幸いです
感想、評価お待ちしております
凍り付き人型に変身したスライムがアーサーに襲い掛かっている
どうやらアーサーもVITを多めに振っているらしく回復魔法が多めに飛んでいる現状ならば崩れる事はないだろう
火力職はスライムを横や後ろから攻撃している、たまに振り回す腕に当たり吹き飛ばされているプレイヤーもいたが1発でやられる事はないようなのでそこまで心配する事はないだろう
だがイベントに参加しているプレイヤーは今までの事があるので誰も油断していなかった
このままで終わる訳がない、誰もがそう思っていた
しかしそんなプレイヤーの考えを他所にスライムのHPはどんどんと削られていく
凍った両腕を振り回すと辺りにも冷気が襲い掛かるらしく攻撃範囲にいるプレイヤーのHPも削っているがそこまで広い訳でもなくダメージもそこまで大きい訳ではない
攻撃を続けていくプレイヤー達も疑問が大きくなっていく、しかし攻撃の手を休める事はしなかった
なにもないならなにもないで構わない、特殊行動はもう1回残っているのだ
凍り付いたスライムのHPが減っていくと同時にスライムにヒビが入っていく
それがどんどん大きくなっていきHPを25パーセントまで減らした時そのヒビは人型に変形したスライムの顔の部分に亀裂を入れた
するとそこから光が漏れ出していく、光が漏れ出している所が顔の部分から徐々に下がって行きついには凍り付いたスライムにできたヒビの全てから光が漏れ出した
『一応全員距離をとっていてくれ!何が起こるかわからん!』
アーサーの声に距離を取るプレイヤー達、ますます漏れ出す光が強くなっていくスライム
そしてスライムは大きな音を立て崩れ落ちた
次はどう来るのか?プレイヤー達はスライムの残骸から目を離さない
その行動はすぐに起きた、スライムの残骸がぶるぶると震えだしたのだ
そしてその残骸は宙へと浮き始め高く昇っていく
『足元に魔法陣がでたぞ!中から出るんだ!』
その声にプレイヤーは見上げていた視線を下へ戻す
地面には複数の魔法陣があった、プレイヤーは我先にとその魔法陣の外へ逃げ始める
その途端魔法陣目掛けてスライムの残骸が降り注ぐ、逃げ遅れたプレイヤーは1発でHPを全て失っていた
「上向かせてから下に判定だすとかほんと何考えてるのかしら!性格悪すぎるじゃない!?」
「いやー・・・気づくの遅れたら大部分が死んでたな、あんだけ楽させてこれかよ、流石だな」
「でもようやく次が最後の25パーでしょ、あとはごり押しでいけるでしょ!」
アサギの言う通りスライムの残りHPはあと25パーセントである
そしてそのスライムがまた人型となり上空から降りてきた
『皆!これで最後だ!やるぞ!』
アーサーがスライムに飛び出していくのを見て周りのプレイヤーもそれに続いた
それを見たのか人型のスライムがなにかを叫ぶような形をとった、声帯はないようなので声はでていないのだが
するとまた地面に魔法陣が浮かび上がる
『また上から来るぞ!!』
上空から降り注ぐスライムの残骸は終わってはいなかった
先ほどよりは少ないがまた地面に魔法陣が広がっていく、今度はこれを避けながらスライム本体を攻撃しなければならないようだ
今の本体は核が1つしかない、それは大きな核だ、多分それを叩けばダメージがより多く通るのだろう
しかしそれは楽にはさせてくれないようだ
人型のスライムの至る所から触手がでている、しかもその触手には先ほどのような核がない、つまりその触手の攻撃をタンクに集中させる事ができないのだ
なので自分で触手の動きをよく見て躱したり防いだりしなければならない
まあ、そこまで速い動きではない、アサギはそう考え触手を盾で防ぎながら本体を攻撃し始める
その時視界の端に「スライムの残骸」という文字が飛び込んできた
アサギはそこに視線を向ける、そこは先ほど上空から残骸が降ってきた場所だ
『降ってきた奴がモブになったぞ!!気を付けろ!』
誰かがエリアチャンネルで叫んでいる、アサギは駆け出した
本体への攻撃なんか他に任せておけばいいのだ
アサギは足元に広がる魔法陣を避けながら降ってきた「スライムの残骸」を処理していく
最初のうちはまだ処理が追い付いていた、しかしどんどんと降ってくる間隔が短くなって行く
このままではいずれ飲み込まれる
『降ってくる速度が上がってる!タンク以外は本体のごり押しをした方がいい!』
アサギは初めてエリアチャンネルで叫んだ
その声を聞いた火力職は残骸の処理をやめ本体へ向かっていく
タンクであるアサギは次々に降ってくる残骸のヘイトを取りながら走り回る
アサギは結構な数の残骸のヘイトを取っている、流石にこれだけの数から攻撃をされてしまえばアサギと言えども数秒で死んでしまうだろう
もし生き残ったとしても回復魔法が飛んで来たら回復してくれたプレイヤーにヘイトが移りかねない
だからアサギは相手の攻撃が届かずにターゲットが切れない程度の距離を保ちながら上空から降ってくる残骸を躱しその残骸のヘイトを取りまた走り出す
徐々に魔法陣の数が増えていきアサギが走れる場所も少なくなっていた
周りには同じような事をやっているタンクもいるので尚更である
そろそろまずい、ごり押しに行くのが少し遅かったか・・・アサギがそう思いながらちらりとレイドボスるスライムの本体の方を確認すると
「あー・・・終わったか・・・」
アサギはその場でへたり込む
大きな歓声が鳴り響く、スライムのHPが0になりついにレイドボスを倒す事に成功したのだ
『現時点でレイドボスの討伐が確認されました!これにてストーリーミッション「未知との遭遇」は終了となります!この後すぐに報酬が皆さんにメールで送られます!活躍などで貰える物の量が変わっています、あらかじめご了承ください、またこちらも1パーティ用のストーリーミッションが実装されますのでご参加できなかった方はそちらをプレイしていただければ幸いです、イベントについての詳細はシステム、お知らせ、イベントからご確認下さい、そして「トークノ盆地」を邪教徒から取り返した事で新たなるインスタントダンジョン「トークノ盆地の栽培地」が解放されました、それでは皆様お疲れ様でした、GMのゲマスでした』
「ふー・・・皆お疲れ様、結局最後は走り回るだけだったよ」
「おつかれさま、皆頑張ったわね」
「おう、おつかれー、なかなか色んな事をやってくるレイドだったなぁ」
「ほんとだね、報酬が待ち遠しいなー!」
「お疲れ様、私は色々慌てちゃったよ」
「お疲れ、なかなか手ごわい敵だったな」
『皆お疲れ様!協力してくれてありがとう!!』
アサギは大きく伸びをする、どうやらかなり疲労を感じているようだ
緊張の連続だったので無理はないだろう
そんなアサギの元に1人の男が近づいてきた
「アサギ、後ろ」
うん?とアサギが振り返る
「君が最後に攻撃を指示してくれた人だね、ありがとう、あれより遅れていたら壊滅していたかもしれない、その後も雑魚のヘイトを取って走り回ってくれたと聞いたよ」
「いえいえ、たまたまですよ、メインタンクお疲れ様でした」
「ああ、同じようなレベル帯だ、またイベントとかで会うだろう、その時はまたよろしく頼むよ」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします」
「ああ、ではまたな」
アーサーはそれだけ言うと去って行った
「ふー・・・緊張した」
「流石アサギ、トッププレイヤーから話しかけられるなんて」
「セッキーその顔はそんな事思ってないって顔だよー!」
「なんというかマメな感じな印象だな」
「それより報酬使いたいから王都に戻ろうよー」
「そうね、まぁちゃんもこう言ってる事だし帰ろうか」
6人は帰還スクロールを使いアサギの教会へ戻る
「あー、終わったねー、つかれたよー」
アサギは教会へ入るとすぐに椅子に座り机の上に突っ伏した
「早く装備届かないかなー、可愛いのならいいなー!」
まぁちゃんは報酬か届くのを今か今かと待ちわびていた
「貢献度的には結構頑張ってた方なんじゃないか?装備以外に何が届くか楽しみだな」
わいわいと先ほどのレイド戦や報酬の事を話していると視界の隅にあるメールのアイコンが光った
「あ!きた!きたきた!」
どうやら報酬が届いたようだ、中を確認してみると
「今回の見た目装備は選べるらしいね、んー・・・わ、これ可愛いよ、まぁちゃん」
「え、どれの事あっちゃん、あ!ほんとだ、私これにしようかな、でもあっちゃんこっちも可愛いよ、みてみて」
「女性陣は見た目装備がほんとに好きだな、そんな事より他は、と・・・なるほど、「ロブボール」と今度の大規模イベントのポイントか、結構な量もらえたな」
「ほんとね、これなら2か所装備更新できるかも・・・んー・・・鎧を取ると1か所だけか・・・頭と腕からなら2か所・・・悩むわね」
「俺は槍が取れそうだ、最初に核を攻撃した事で特別ポイントが入っているからな」
「え!ダガー君そんなのあるの!?私は何かあるかな・・・んー・・・ない・・・」
「え?そうなの?アサギ結構頑張ってたのにね、何かのフラグを踏んだ人だけだもらえるのかしら?」
「ふふん!見て見て皆!私これにしたよー!」
そう言うまぁちゃんの背中には白い羽が可愛らしくピコピコと動いていた
「あ!まぁちゃん可愛いね!うーん・・・でもそれにすると鎧とのギャップが・・・うーん・・・」
「それよりこれからどうすんだ?また夢にはいるのか?」
「んー・・・とりあえずダンチョーのとこ行ってから「トークノ盆地の栽培地」行ってみる?」
「また変な名前だよなぁ・・・なに栽培してるんだかな」
次のダンジョンはどんなところなのか、そしてどんな見た目装備をとるのかアサギは2つの事が楽しみで楽しみで仕方がないのであった




