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聖騎士とレイドボス戦 その3

皆様の声を聞かせてくださると幸いです

感想、評価お待ちしております

 集まってきたスライムは今度は一つの球体になる

 最初の形体や次の2足歩行の形体の時よりもかなり小さくなっている

 この小ささをこの人数で戦うのはなかなかに難しい


 だからまだ形が変わるはずだ


 周りに居るプレイヤーはそう考えたのだろうか、誰も動くことなく辺りはシーンと静かなままである

 しかしいつになってもスライムは球体のまま動きださない、しびれを切らしアーサーが挑発スキルを使う


 だが何も起こらない、スライムは球体のまま止まったままだ

 次にアーサーは剣で斬りかかる、それを合図に魔法や弓矢などの遠距離攻撃が球体に降り注ぐ


 しかしなにも変わらない、球体の頭上にあるHPバーは少しも動いていない


『皆!何か案はあるだろうか!?』


 スライムはHPを減らされたから特殊な行動に移ったはずである

 それなのになにも行動をしない、こちらが攻撃を仕掛けてもHPが減る事もない

 バグったのか?そう叫ぶプレイヤーもでてきた


「うーん・・・?なんだと思う?」


「全くわからないわね、何かを見落としているのかしら?」


「見落とすって・・・周りか?」


 マーリンがきょろきょろと辺りを見回すとそれを見た周りのプレイヤーもそれに倣い周辺の確認をする

 その行動がプレイヤー全体に広がるといきなりあちらこちらから水でできた柱のようなものが立ち昇るのが見えた

 誰かが異変を見つけ攻撃を仕掛けたのだろう、そして全てのスライムの核が連動して動き出したようだ


『球体はダミーだ!!あの柱がレイドボスだ!!柱の中に核があるぞ!!タンクはそれぞれ柱の所へ走ってヘイトを固定するんだ!!タンクが行くまでむやみに攻撃するんじゃあないぞ!!』


 アサギはその声を全て聞き終わる前に、というか柱が立ち昇った瞬間にプレイヤーをかき分け柱の元へと走り出していた


「なるほどね、すごくいやらしいレイドボスだって事はわかったわ」


 アサギが動いたのを見て5人はすぐにアサギを追いかけた

 どうやらこの柱はプレイヤーがあまりいない場所に湧いたらしいのでアサギが駆け付けた時には誰も周りには居ない状況だった

 アサギはすぐに突撃し挑発スキルを使い柱のヘイトを固定し後ろから続いてくるプレイヤーに攻撃が行かないように柱の後ろに回りこんだ


 この柱はこの前戦った「魔竜エドラ」の尻尾のようだ

 激しく先端を振り回しながらアサギ目掛けてぶつかってくる、大きく動くため近接系の火力職は攻撃を避けながら戦うのが難しそうだ

 アサギは柱の動きをよく見て攻撃を盾で防ぐ、時折柱の中腹部分からも触手がアサギ目掛けて飛び出してくるがそれもアサギは盾でもって防ぎ切った


 そうしている間にもアサギ達以外のプレイヤーも柱の元へ辿り着き次々に攻撃を仕掛け始める

 柱の核の上に出ているHPバーの減り方も徐々に速くなってきた


『本体の方も動いたぞ!柱が終わり次第戻ってきてくれ!!』


 どうやらどこかの柱が倒されたらしい、それをきっかけに本体である球体が動き出したようだ

 アサギ達は目の前の柱を急いで倒すとまた走り出し球体に元へ駆け出した


「まったく色々やらせるレイドボスね、どうやら運営側に性格が悪いのがいるらしいわ」


「そうか?皆で1匹のレイドボスをボコるよりはやりがいがあるんじゃないか?」


「んー・・・私的には予想外だから楽しいかな、どうせ最後の25パーセントは皆でごり押しだと思うけどね」


「通常なら特殊行動はあと2回かな?一筋縄ではいかなそうね」


「フン、何があっても力で叩き潰せばいいだけだ」


「よーし!本体殴りに合流しようか!今ならターゲットも動かないでしょ!」


 アサギ達は先ほどまで球体があった所まで戻ってきた、だがそこには球体は球体でも浮かび上がりながら8本の触手を下方に伸ばす球体がそこにいた


「タコだ!やっぱり未知はタコなんだよ!」


 それは多分誰が見てもタコというだろう、ご丁寧に触手の数まで合わせてくるとは

 そのタコは回転しながら触手を上下させていた、どうやら触手の先から墨・・・じゃなく魔法を放っているようだ


「今回は触手ごとにヘイト値があるわけじゃあないんだな、ターゲットは一応アーサーに向いてるっぽいけど全部の魔法がアーサーに行ってる訳じゃあなさそうだ」


「ランダムターゲット系はめんどくさいのよね、普段ダメージ受けない私達も攻撃を気にしないといけないから」


「浮いてるからせっちゃんお得意の足払いもできないもんね」


「というか浮いてるから近距離系は攻撃一切できないな」


「遠距離職が貢献度稼げるようにかな?となると次は近距離職が貢献度稼ぐ番かな」


「色々考えてるのね、運営は、さっき性格悪いのがいるって言ったけど取り消した方がいいみたい」


「んー・・・セッキー、多分取り消さなくていいと思うよ」


「ん?なんでよ、アサギ」


 セッキーがスライムから目を離しアサギの方を向く

 アサギは攻撃が届かないからとセッキーの後ろに居たので振り返る形となった


 ドシーン!!その途端スライムが居た方から大きな音がした


「ね、やっぱなんかあると思った」


 先ほどまでは浮かび上がり球体の下の方から触手を出していたスライムが地面につき今度は上の方から触手を出していた

 しかも今度の触手はトゲがでていてうねうねと動き回っている


「多分今が近距離職の番だね、でもあのトゲ付きの触手を躱しながらじゃないと攻撃は加えられない、っと、セッキー、オネさん援護よろしく!」


「私も行く!せっちゃん、オネーさんよろしくー!」


「俺もだ!任せたぜ!」


 アサギはスライムへ攻撃が当たる距離まで近づいた、その距離だと当然触手も当たる距離ではあるがそれを盾で弾きながら剣で攻撃を当てている


 まぁちゃんも触手の動きをよく見て躱しながら短剣でザクザクとスライムを斬り付け始めた


 ダガーはアサギのように防ぐ盾もないしまぁちゃんのように躱す事はできないので触手が上に上がり始めたら近づいて攻撃をし、下がる前に当たらない場所まで後退するといった方法を取っている


「多分この25パーは遠距離で攻撃したら浮かんでるスライムが地面に落ちて近距離で攻撃したらまた浮かび上がるって感じの繰り返しだな、おい、アサギ!スライムがぷるぷるしだしたぞ、もうすぐ浮かび上がるはずだ、気を付けろよ」


「はーい!ありがとー!」


 近くで見ているとあまり気づかないがどうやら目の前のそれは微妙に震えているらしい

 触手を防ぎながら攻撃を更に加えると今度はアサギにもわかるくらいにスライムが震え始めた

 かなり大きく揺れていたスライムが上から生えていた触手を中へ戻した

 それと同時に触手が下から生えスライムがまた中に浮かび上がった、今度の触手は数がさきほどより増えている

 攻撃が届かなくなったアサギ達が後ろに戻ってきた


「うわ、魔法攻撃がさっきよりも激しいよ!これさっさと倒さないとひどい事になるんじゃない?」


「そうはいっても与えたダメージにより形体を変えるっぽいからなんともならないわね、ランダムターゲットだと思ってたけどどうやらこの魔法攻撃は遠距離職ばっか狙ってるっぽいわよ」


「ああ、どうりで!さっきから俺の方に攻撃が来ると思ってたよ!」


「ん?せっちゃんとオネーさんの方には攻撃きてないの?」


「ええ、私達攻撃してないもの」


「一応私も攻撃魔法あるけどね、1度も当ててないからなのかこっちに向かって攻撃してこないね、あのタコ」


「HPの減り方を見るに5パーくらいで上下が入れ替わるみたいだな、もうそろそろだ、やっぱ遠距離職の方がダメージでかいんだな」


「と言うか近距離職で8本の触手を防いだり躱しながら攻撃できる人間が少ないのよ、結構な数攻撃しながら吹き飛ばされてたわよ、途中からダガー君みたいにヒットアンドアウェイって言うの?そんな攻撃の仕方してる人が増えてきたから減りもはやくなってきたけど」


「アーサーはどんな感じだった?」


「アサギみたいにちゃんと盾で防ぎながら攻撃してたぞ」


「そう、アーサーで弱かったらどうしようって思ってたけどそんな事なかったみたいだね、流石トッププレイヤー」


「トッププレイヤーだしこれから長い付き合いになるでしょうからね、眉間には気を付けなさい、あ、そろそろ落ちてくるわよ」


「はーい、もう大丈夫だよー」


 アサギは球体の近くに近づくとスライムが再度落ちてきた

 やはり触手の数は増えていて先ほどよりもスライムに張り付いて攻撃が出来ている人間が減ったようで減り方が遠距離職に比べて緩やかだ

 それでもなんとか近距離職全員が協力してHPを減らしていく

 するとまたスライムはぷるぷると震えだし今度は下の触手を仕舞わずに上の触手を出し攻撃をし始めた


「なるほど、最後の5パーは両方一緒か」


「なら減りははやいね、次の特殊行動まであと少しだね」


 アサギが言うようにどんどんとHPバーが減っていく、色々あったこの特殊行動もこれで終わりだ


『次の特殊行動に移るぞ!皆何かに気づいたら遠慮無く言ってくれ!!」


「またアーサーをターゲットにした行動になるのかな?」


「んー、どうでしょうね、まったく先が見えないわ」


「ははは、ほんとほんと、まったくわかんないねー」


 まぁちゃんが笑った時スライムの残りHPが50パーセントに届いたようだ触手からの攻撃が止み全ての触手をバタバタと動かしながら徐々に上空へ上がっていく

 するとスライムが溶けるように滴り始めた

 ぽたぽたと地面に向かい滴っていくスライム、それが地面に着くと凍ったかのような塊になっていく


「んー・・・あれは・・・足かな?」


「んじゃまた人型に戻るのか?」


「あー、そうみたいね、どんどんと出来上がっていくわ、さっきと同じ形みたい」


「んー?あんな顔だったっけ?」


「さっきはぶよぶよしててわかりにくかったけどあんな顔だったんじゃないか?」


『皆!また俺がタンクをやるから頼む!さっきと同じように触手がでるかもしれないから気を付けてくれ!』


 そう言いながらアーサーは凍り付いた何かの形を模ったスライムに向かっていく

 次の形体はどのような攻撃がくるのだろうか、1つだけ言える事があるとするのならばこのレイドボスを考えた運営側の人間は相当性格が悪いだろう、それだけである


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