聖騎士と不穏な儀式
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アサギ達は「トークノ森」を目指し歩いている
「それでダンチョーの本気はどうだったのかしら?」
「あはは、全然ダメだったよ、ちょっとダンチョー強すぎだね、あ!そうそう!「ログボール」の時の告知で大規模対人戦が始まるとか言ってたじゃない?それもうちょっとで始まるっぽいよ、なんか教会の人と戦う事になるみたい」
「は!?NPCと!?だって復活しないだろ?」
「いや、それが闘技場の結界?を張ってる場所で戦うからNPCでも死んだりはしないみたいだよ」
「ふーん、対人戦なのにNPCと戦うってどういう事なんだろうね?あっちゃんそのへんは聞いた?」
「あ!確かに変だね!あはは、全然聞いてない」
「三つ巴か・・・お互いにNPCが仲間にはいるか、って所か」
「なるほど、ダガー君の言う通りかもね、でもアサギちゃんで全然ダメってくらいの実力のダンチョーさんを相手にして勝てるのかな?」
「あー、なんか1000人くらい?の大規模線だとか言ってたよ」
「んー・・・予想がつかないわね、まあ、でもこれで「ログボール」で溜めたポイントの使い道が出来てよかったわね、とりあえず変えれるのに変えちゃおうかしら」
「私は盾からかなー」
「俺は杖だな、やっぱり火力が1番だ」
「マー君は火力を発揮する前に落ちる可能性があるけどねー」
「ん、そん時はアサギの後ろに隠れるだけだよ」
会話が絶えないパーティである、アサギ達はとても楽しそうだ
「よし、この先が「トークノ森」だぞ、出現モブは・・・セッキーなんだっけ?」
「知らないなら言おうとするんじゃないわよ、この先にはパーティ用のモブがいるわ、主にオークとトレント、ゴブリンとか動物系も多いわね、今の時間は居ないけど夜になると蝙蝠とかもでるから気を付けてね」
「その中に未知がいるのかな?」
「どうでしょうね、イベントは「トークノ盆地」でやる事になってるし未知ってくらいだかいないモブが出てくる可能性もあるわね」
「むー・・・確かに・・・」
「なんにせよ早く森を抜けて「トークノ盆地」の手前まで行きましょう、それできっとクエスト完了よ」
「楽なクエストでいいな」
「それで終わると良いんだがな」
「なんだよ、ダガー、なにかあるって言いたいのか?」
「フ、そりゃあクエストになってるくらいなんだ、何かはあるだろう、何かはな」
「そうなの?じゃあちょっと慎重に進んでいくね」
アサギは進行速度を少しだけ落とした、といっても元々森の歩き方に慣れている訳ではないので最初からそこまで速いという訳でもないのだが
アサギ達は森を大きな音を立てて進んでいく、その音に気づいたのかただ単にそのモブの索敵範囲にはいったのかアサギ達は何度もモブに襲われた
そこまで強い訳ではないが予想外の所からくる攻撃と気を休める時間がない事がアサギ達の精神を蝕んでいく
「フルダイブのゲームで森って・・・きついんだな・・・」
「ほんとそうね・・・ちょっと舐めていたわ・・・」
「そうね・・・疲れないはずなのになんか疲れてきた気がする・・・」
セッキー、マーリン、オネの顔に疲労の影が見て取れる
だが他の3人はなんだか余裕そうだ
「セッキー大丈夫?無理そうなら言ってね?休むよ?」
先頭を歩くアサギは慣れている訳ではないがダンチョーとの試合でテンションが上がっているのだろうか疲れは顔にでていない
「ゲームとは言え森は森だからね、慣れてないとつらいよねー、ダー君は結構余裕そうだね」
「ああ、森には趣味でよく行くからな、だから慣れていると言えば慣れているよ、まぁちゃんも慣れてそうだな」
「田舎のおばあちゃん家の近くに森があるからね、昔からよく遊んでるのよ、あっちに比べたら全然歩きやすいわ、この「トークノ森」は」
「そんなに違うのかしら?」
「そうだよー、せっちゃん、まずあっちの世界の森はこんなに光が入ってこない所もあるからね、空が見えてるだけで十分歩きやすいよ、方角も間違えないしね」
「まあ、マップもあるし方角を間違えるって事はないだろうな、モブはでるけどすぐに倒せるくらいの火力もあるし・・・ちょっと経験値少ないけどな」
「狩りをするのが目的じゃあないからな、でもそろそろ目的の「トークノ盆地」だろう、アサギさん前になにかあるか?」
「んー・・・ここから先は行けないみたい、実装されてないのかな、硬い木が隙間なく生えてるから前に進めないや」
「えー、ここの奥が「トークノ盆地」だぞ?一応道っぽいの通ってきたのに・・・周辺ちょっと探るか」
「まってマーリン、マップ見て、「トークノ盆地」映ってるでしょ?なにかアイコンあるよ」
「あら、本当だわ・・・でも入れないんじゃ何のアイコンかわからないわね」
「ちょっとこのまま横に行って入れる所あるか調べてみよう」
アサギはそう言って「トークノ盆地」をぐるりと囲んでいる木に隙間がないかを探す為に歩き出した
「そうね、このままだとクエスト終わらないものね」
そう言ってみなアサギの後についていく
そこから1分ほど歩いた所に人が一人なら通れそうな隙間を見つけた
「あ、なんかここ通れそうだよ!」
アサギは返事を聞かずにその隙間に身体をねじ込む
「アサギ!待ちなさい、なにかあったらどうするの!」
「あ、ご、ごめんね!でも大丈夫みたいだよ、皆おいでー」
5人は1人ずつその隙間を通りアサギを追いかけ「トークノ盆地」の中に入った
「実装・・・されてたのか?」
「どうかしらね、クエストを受けたから来れる場所なのかもしれないし」
「なんにせよ、前に進むしかなさそうね」
「うんうん!じゃあ皆行くよ!」
「「「「「おおー!」」」」」
盆地なので周りは高い山に囲まれている
本来の入り口であろう窪みから少し横に逸れてから盆地にはいったので目的の場所には少し迂回する必要があり今は直接確認ができない
アサギ達はマップに表示されていたアイコンが何なのかを確かめる為に近づいていった
「ここを曲がれば着くんだけど・・・」
アサギ達は目的の場所まであと少しという曲がり角の手前で足を止めた
明らかに何かいる気配がする、しかもその気配はけしてアサギ達に友好的ではないとわかるほどである
「とりあえず私がハイディングして見てくるからちょっとここに居てね」
「まぁちゃん気を付けてね、危なかったらすぐ戻ってくるんだよ」
「ありがと、でも大丈夫よ、あっちゃん、じゃあ行って来るね」
そう言ってまぁちゃんはハイディングを使い半透明になる、同じパーティ内に居る時はうっすらと姿の確認ができる
まぁちゃんが前に進み曲がり角を曲がる
「どうだ?なんかいるか?」
「ちょっと待ってよ、マー君、まだそんなに近づいてないんだから・・・んー・・・なんか・・・邪教徒が居るわね、なんか祈ってる?何してるんだろ」
「邪教徒だとハイディング見破られてもおかしくないわ、あんまり進みすぎたらだめよ!」
「うん・・・そうだね、でも・・・なにかやってる・・・?儀式的な物・・・?」
「まぁちゃん!クエスト完了したって出たから戻ってきていいよ!」
「うん・・・わかった、戻るね」
まぁちゃんがハイディング状態でアサギ達に元に帰ってきた
「どうやら邪教徒がここでなんかの儀式をして、未知が出てくるみたいだね」
「なるほど、これを報告するとすぐに退治しろってなるな!それでイベントが進むのか」
「えー、でもイベントはリアルでの明日だよ?すぐに来ちゃったらまずくない?」
「ん?それは準備とかに時間がかかるんじゃないのか?知らないけど」
「わからんならわからんでもいいがそろそろ戻った方がよさそうだぞ」
「ん、そうだね、戻ろうか」
6人はバッグから帰還スクロールを取り出し使い始めた
その時辺りに氷の嵐が吹き荒れた
幸い誰一人死んでもいないし帰還スクロールが発動していていなかった
何処から来た攻撃なのかアサギ達は周囲を見回す、だが周囲に人の影はなかった
「まずいわ!儀式の邪魔になるとかで攻撃されるかも!最悪イベント中止とかになりかねないわ!!」
「で、でも誰の攻撃だろう?敵が見えないよ?」
「静かに!・・・あそこだ!」
ダガーが斜め上の方を指差す、その方向を見てみると木の上に1人の邪教徒が居た
見つけた瞬間アサギは武器を「邪教徒の隠れ家」で入手した両手剣に持ち替えた、スネークソードなので攻撃範囲が若干広い、アサギは剣を出来るだけ伸びるように振り切っ先から光の腕を伸ばしその邪教徒を掴み手前に引っ張った
邪教徒がアサギの目の前にドスンと落ちる
呪文を唱えようとしていたのでダガーが邪教徒を蹴とばしその後スキルを使い攻撃したので邪教徒はすぐに光のエフェクトに変わった
その時上からドサッと何かが落ちてきた
「あぶないあぶない、もう1人居たみたい」
まぁちゃんがもう1人の敵を見つけそいつの後ろに瞬間移動をしてスタンさせたので落ちてきたようだ、こちらにも光のエフェクトになってもらった
「完全に邪教徒がなにかやろうとしているらしいな、歩いて「トークノ森」に戻ってから帰還スクロールを使おう」
6人はアサギを先頭に「トークノ森」に向かって歩き中に入ってから帰還スクロールを使い王都へ帰還した
「ふー、あぶねぇあぶねぇ、まあでもこれでクエスト完了だな」
「ふー、あの量が全部来たら流石にまずかったかもね」
「え、まぁちゃんそんなに居たの!?」
「え、あ、うん、結構な数が皆何かに向かって祈ってた感じだったよ」
「そっちに見つからずに済んでよかった、って事か」
「無事にクエストが終わってよかったわね、ダンチョーの所に報告に行きましょう」
「「「「「おおー!」」」」」
「トークノ盆地」の中にある建物の中の一室に上等の洋服を着た男が窓から外を見ていた、そこに慌てた様子で粗末な鎧を着た男が入ってくると何かを話し出した
「なんだと?信徒の数が足らないだと!?外遊人にでも見つかったか?・・・だがもう遅い、今見つかったとしても王都の奴らはすぐには動けないだろう、構わん!儀式を続けろ!」
「ハハッ!!」
男がその場を走り去る、その場に残った男はどかりと椅子に座りこんだ
「・・・外遊人か・・・奴等は最近力をつけているらしいな・・・特に「7番目にして最初の神の教会のパラディンロード」なんかは力を封印されていたとは言え上級将校を倒したとか・・・だが邪魔はさせんぞ外遊人共!我らを邪教徒と呼ぶ異教徒共!この地には我らが神の力の一端が封印されている!来るなら来い、返り討ちにしてくれる!!」
男は高らかに笑いだした




