聖騎士と目指した強さ
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日付変わる前と変わった後どっちに更新した方がいいのやら
「よし、アサギ行くぞ」
「はーい!」
そう言ってダンチョーとアサギがダンチョーの部屋から出て行った
「俺に本気を出してほしいなんて言うって事は大分強くなってんだろうなぁ?ひよっこのままだったらタダじゃすまねぇぞ?」
「ふふ、確かめてみてくださいね!」
「言うじゃねぇか!」
2人は笑いながら稽古場へと入った、その時いつもと何か様子が違うのをアサギは感じ取った
「お?わかったか?闘技場あるじゃねぇか、あそこは神様の力が働いていているからあの中で戦って仮に殺すほどのダメージを負わせようが腕の1本や2本ぶった切っても戦闘が終われば元に戻る訳だろ?でよ、今度大規模な模擬戦を予定しているんだよ、そうだな、全部で1000人くらいが参加できる規模だな」
「あ、それって・・・」
「お?どっかで聞いた事あったか?ああ、そうかアサギは創造神様の所の教皇だもんな、そりゃ天啓が下ってもおかしくないか、一応内緒にしておけよ?まだいつ始まるかの調整とかあるんだからな、それでよ、その模擬戦で俺達教会の人間が外遊人達と戦う事になっただろ?だから模擬戦の舞台に闘技場と同じ結界を神様に張っていただいて負傷や死亡を無くすついでにここの稽古場にも結界を張っていただいたんだよ」
「え!?そんな事できたんですか!?」
「ああ、そうだ!と、いってもこれは半分がお前のお陰でもある、土の神ドロニコフ様はお前がここでよく稽古をしているのを知っていたんだ、だからお前がもっと強くなれる為にとドロニコフ様自らが結界を張ってくださったんだ」
「ええ!?そうなんですか!?」
「ああ、そうだ、俺もびっくりしたぜ、いきなり教皇様に呼ばれて部屋に行ったらドロニコフ様が降臨されていたんだ、ハッハッハ、そしたら今の模擬戦の結界の話をされてな、そしてドロニコフ様はここの稽古場にも結界を張るから7番目のパラディンロードを強くしてやってくれと仰った」
「そ、それって!!」
「ああ、これで俺もそしてアサギも相手の怪我なんか気にする事なく力を振るえるって事だ!!」
「い、いや、それもそうなんですけどお礼を言った方がいいんでしょうか!?」
「あー、そりゃ、まあ・・・そうだな、今度礼拝堂で手を合わせてちゃんとお礼言っておけ、それで多分届くだろ」
「ええ・・・そんなアバウトな・・・」
「神様は基本人前に現れる事はないんだ、仕方ないだろう」
「うーん・・・いいのかなぁ・・・」
「俺だって会ったのが・・・何年ぶりだ・・・?10年・・・?と、まあ、そんなもんだ、だからそれでいいんだよ」
「はい、わかりました、じゃあ終わったら礼拝堂に行きます」
「ああ、それでいい、じゃあ早速稽古と行くか、これからはお互い真剣だ、お前はパラディンロードの剣を使え、俺はこいつだ」
「わぁ!すごいカッコいい剣ですね!なんの剣ですか?」
「ん?これはドロニコフ様から賜った剣だ、お前のそれとそんなに引けをとらんぞ」
「おお・・・それがダンチョー団長の本気の装備なんですね」
「ああ、そうだ」
そう言ったダンチョーの目が真剣なものになった
「これを使う以上半端な事はしない、わかっているな?」
それを聞いてアサギは少し緊張をした、目の前にいる男の表情がいつもと全然違っていたからだ
「はい、ダンチョー団長、よろしくお願いします!!」
アサギも視線に力を込める
「では行くぞ、準備はいいか」
目の前に『ダンチョーからの決闘を受けますか』というアイコンが出る
「大丈夫です」
アサギはそれを口頭で了承する、同時にカウントダウンが始まった
3、2、1
「では、参る!」
アサギはダンチョーから基本を教わった、つまり構えはダンチョーと同じである
盾を左手に持ち少し身体から離して前に出す、右手に持つ剣は少し力を抜くかのようにだらりと垂れ下がり切っ先は下を向いている
「やぁ!!!」
緊張のあまりアサギは待てなかった、直線で行けば盾と盾がぶつかる、それでは与えるダメージなど微々たるものだ
そんな事はアサギは理解している、しかし目の前の男の眼光の鋭さに、体中から発せられる殺気にアサギは耐えられなかったのだ
アサギは突進した、盾と盾が音を立てぶつかる、直後アサギは空中に投げ出された
当たり負けをしたのだ、空中に居るアサギには見えていないがダンチョーは微塵も動いていない、完全に当たり負けである
だがアサギはそうなるであろう事くらいわかっていた、そしてダンチョーが追撃の為に光の腕を伸ばしてくるだろうという事も
だからアサギはその前に光の腕を発動させていた、盾が当たる瞬間に光の腕を剣先から伸ばし後ろに吹き飛ばされながらダンチョーの腹を掴ませる
吹き飛びながら剣を後ろに引きダンチョーを自分の方へと引き寄せると同時に自分の体勢をなんとか正常に戻そうとした
引き寄せられたダンチョーの体勢はまるでぶれていない、それどころか引き寄せられる反動を使って攻撃に移行してきた
光の腕に捕まれた相手は数秒移動する事ができなくなる、アサギはその剣を盾で防ぎながらその勢いで後方へ飛び距離を取る
距離は離れ相手は動けない、追撃はまだないと思ったアサギは盾を前に構え直し剣の切っ先をダンチョーへ向け近づこうとする
「くっ!!」
前に出した盾に光の玉が炸裂する、ダンチョーの魔法だ
アサギは自分があまり使わないのと火力が低いので戦闘パターンに組み込んでいなかったがダンチョーが使うそれは十分な攻撃手段だった
自分よりレベルも経験もすべてが上の相手である、自分が出来る事は当然出来るし、自分が出来ない事だって出来る相手なのだ
アサギは認識を改めた、パラディンは・・・ダンチョーは近距離攻撃しかできない訳じゃあない
ならばどう攻めるか?答えは決まっている
ただ前へ、それがアサギの聖騎士道である
光の玉が容赦なく降り注ぐ、アサギはそれを盾で防ぎつつ距離を縮める為に前に走る
だが前に出てすぐにダンチョーの剣から光の腕が伸びてくる
アサギは光の腕に捕まり一気にダンチョーのそばに引き寄せられその直後に振り下ろされた剣に盾を合わせたのだが剣を止める事ができずに・・・死んだ
「ハァ・・・ハァ・・・ダンチョー団長・・・もしかして最初の攻撃でも私の事斬れてました?」
「ん?あー、あれはこっちの勢いが足りてなかったのと盾で防ぐ事ができると思わせる為の攻撃だからな、元々あれで決めるつもりはなかった、これでいいか?」
「はい・・・ありがとうございます・・・」
「ふむ、もう1回くらいならまだ時間あるだろ」
「はい!お願いします!!」
アサギは疲れも見せずに立ちあがる
「ビビッてんじゃあねぇぞ?パラディンだろう?」
「はい!!」
カウントダウンが終わりアサギが走り出す、前回と同じような突進、だが今回はスキルを使っている訳ではない
アサギはダンチョーに近づいていく、ダンチョーも前に出た、もうお互いの剣がお互いの命に届く距離である
ダンチョーが剣を振るう、剣を防ぐ事が出来ないと知ったアサギはそれを盾で受け流す・・・はずだったのだが攻撃が来ない
「そりゃ防げないとわかったらそうするだろうな」
次の瞬間アサギの盾は上下に切断され・・・死んだ
「も、もう1回!!」
「おう、あまりにも弱っちくて大して時間かかってねぇからな」
「行きますよ!!!」
「おう!!」
計5回ほどの戦闘が行われた
当然アサギは全て負けている、それも全て完膚無きまでにである
3回4回5回と徐々にアサギの動きはよくなってきている、だがそれでもダンチョーには一切届いていない
「も、もう1回お願いします!!」
「おう、だがまぁ・・・次が最後だな、まだ今のアサギでは俺の本気を受け切る力がねぇ、だからやってても意味がねぇ、わかったな?次が最後だ」
「・・・はいっ!お願いします!!」
カウントダウンが始まる、アサギは目を閉じ深呼吸をする、熱くなってしまった頭を少しでも冷やそうとしているのだ
そしてアサギは目を開ける、もう目の前の男への恐怖感はない、アサギはふっと息を吐きだしカウントダウンが終わると同時に駆けだした
「またそれか!何度やっても同じだ!頭を使え!」
ダンチョーもアサギに合わせ前にでてくる、アサギはそれでも前に出る事をやめない、盾を前に構え一直線にダンチョーの元へ駆けていく
ダンチョーは同じ構えで前に出る、そして右手を上げアサギの命に剣が届く距離まで近づいた時に一気に振り下ろした
だがそこにアサギは居なかった、ダンチョーが剣を振り降ろしアサギに当たると思った瞬間にアサギが視界から急に消えたのだ
「なっ!?」
その時右側から衝撃が走る、ダンチョーはすぐさま身体をそちらに向けるが・・・そこには誰もいない
「がはっ!!!」
ダンチョーは背中から衝撃を受け仰け反るように吹き飛ばされた
当然やったのはアサギである
最初に近づいた時アサギは右の方へ光の腕を伸ばしていた、それはダンチョー相手ではなく稽古場の壁へである
アサギは光の腕で物を近くに寄せれないかと思い色々な物に伸ばしては掴ませていた、その時大きな木を掴んで引き寄せようとしたら自分が木の方へ近づいて行った事があった
大きな物や重い物などを引き寄せようとすると体重が軽い自分が動いてしまうのだ
それを使いアサギはダンチョーの視線から一気に消える
その時にダンチョーの右側、つまりアサギにとっては左側に光の玉を発動した、だしてから少しの時間操る事ができるそれをダンチョーがアサギが視界から消え驚いている時に食らわせあたかもそちらに居るかのように思わせたのだ
アサギは壁へと自分がぶつかる前に光の腕を解除しダンチョーの背中へ突進をする
無防備な背中に攻撃を当てる事が出来たので流石のダンチョーも大きく吹き飛ぶことになった
ダンチョー前方へ飛ばされたがすぐに起き上がり後ろを、アサギが居る方向を向く
だがそこには、アサギの持っている剣には輝かんばかりの光が集まっていた
「エクスッ!!カリバー!!!」
「・・・ダンチョー団長最後の攻撃わざと食らいませんでしたか?」
「あーん?俺も年だから足に来てたんだよ、思いっきり背中に攻撃を喰らったからな」
稽古が終わった2人は礼拝堂で土の神へ祈りを捧げていた
わざとだ!再戦を要求する!と騒がしいアサギの頭を軽く叩きダンチョーが稽古の終わりを宣言したのだ
そう言われてしまってはどうしようもないのでアサギは皆がいる団長室に戻る前に礼拝堂で土の神に感謝をしようとこちらに来たのだ
だが祈る為に下げた頭を上げた瞬間にこれである、アサギは本当に神に感謝しているのであろうか?教皇でもあるアサギがちゃんと感謝をしているのかどうか少し考えたダンチョーだが逆に教皇だからこそちゃんとしているのだろう、とも思った
「おら、さっさと皆んとこ戻るぞ、本当に感謝したんだろうな?」
「はーい、しましたー!ドロニコフ様から返事も来ました」
「な、なんだと!?本当か!?な、なんて仰ったんだ!?」
「再戦してくれるなら教えますけどどうしましょう!?」
「よし、帰るぞー」
「あー!待ってくださいよー!!!」
アサギは笑いながら前を走るダンチョーを追い教会内を駆けていった




