悪竜は夢を見る
皆様の声を聞かせてくださると幸いです
感想、評価お待ちしております
月曜日、それは祝日ではない限り学生達は学校へ行く曜日である
「おはよ、前野君浮かない顔をしてるけどどうしたの?」
「ん、ああ、隣野か、おはよ、理由は後ろの奴に聞いてくれ」
「後ろって・・・あらあら、こっちも浮かない顔をしてるわね、どうしたの?」
「おはよう、席子ちゃん、あのね・・・私イベント参加しない方がいいのかなぁ・・・?」
「あー・・・パラディンだからって事?」
「うん・・・あんまり広まると楽しくゲームできないかも、って言ってたじゃない?レイドボスでタンクなんかしたら絶対目立つじゃない!?だから出ない方がいいのかなぁ・・・?」
「んー・・・そうねぇ・・・他の人が、例えばトッププレイヤーのアーサーさんがタンクできないのに出来たら目立つかもね」
アーサーの名前を出した途端に隣野席子の目の前に居る少女は眉間に皺を寄せた
「できるもん!出来ちゃうから目立っちゃうんじゃない!!絶対あの人には負けないんだから!」
「おーおー、うちの聖騎士様は本当にアーサーに敵対心を持ってるな」
自分が使おうとしてた名前を使われ、しかも相手もパラディン志望らしいと分かった事で一方的に敵対心を燃やしている少女がそこにはいた
「アーサーって名前!私が使いたかったのに!!
「そんな事言ったって早い者勝ちなんだから仕方ないじゃないの、しかもそんな有名な名前、空いてる訳ないじゃないの」
「む・・・それは・・・まぁ、そうなんだけど・・・いいの!だから私はあの人の上を行く、って決めたの!」
「まあ、それでうちの聖騎士様が強くなってくれるなら後衛としては嬉しいけどな、でもどうするんだ?俺達は別にいいとしても他の3人はイベントも一緒に行こう、って感じで昨日別れたろ?どうするんだ?」
「そうなんだよねぇ・・・折角皆と仲良くなれたのにこんな我儘言っていいのかどうか・・・レイド戦って事は多分貢献度とかでアイテム配布くるんでしょ、きっと、そうなるとメインタンクやってる方が貢献度は高いと思うんだー」
「んー・・・どうかしらね、「まおクエ」の運営はそこまでプレイヤーに差を付けたがらないっぽいから、この前の「王都襲来」の配布アイテムだって絶対に必要!って訳じゃあなかったじゃない?」
「王都襲来」のイベントに参加した人間は見た目装備が配られていた
報酬としては倒したモブのドロップ品があるのでそこまで報酬として能力が高いものの配布などは考えなかったのだろう
それに「まおクエ」はまだ始まったばかりでレベルキャップにすら到達してるプレイヤーも居ない現状で
ある、今配る装備がたとえ高性能だったとはいえどこまで使えるというのか
「まあそうだね、あの装備は可愛かったけどね」
「そうだな、鎧って感じじゃなくて普段着っぽい見た目装備だったからな、結構人気みたいでSS掲示板でも何度か見たぞ」
ちなみに配布された見た目装備はどの種類の防具であろうと反映する事ができる、アレンジもできるので配布されたそのままの見た目を使用してるプレイヤーの方が少なかったようだ
「となると今回のレイドボスも見た目装備なのかな?でも倒せるの1体だけでしょ?それなのに見た目装備配布するかなぁ?」
「そればっかりはわかんないわね、勿論一番貢献しているパーティがドロップを拾う権利があるのは変わらないでしょうけど1回しか取得でできないようなものを出す運営じゃあないと思うのよね」
「あー、じゃあ「悪竜エドラ」みたいにレイドでもでるけどダンジョンのボスにもなってる、みたいな感じか?」
「「悪竜エドラ」に関しても憶測でしかないけれどね、今回の「未知との遭遇」で戦う敵がそのまま森の奥でできるダンジョンのボスの可能性は高いと思うわ」
「えー、つまりー?」
「つまりまた貰えるかもしれないからそこまで頑張らなくてもいいんじゃない?って事よ、勿論倒さないと王都が危ないのはきっと今度のイベントもそうでしょうから流石にやばい時はやっちゃうしかないかもだけどね」
「んー・・・そこまで貢献度気にしないでもいいなら・・・参加するべきかな」
「そうね、皆アサギと遊びたがってるわよ、勿論私も含めてね、でも本当に嫌なら嫌でも構わないわよ?一緒にレベル上げでもしましょ」
「そんときゃ3人で竜人の住処のパーティ用モブ乱獲もありだな、きっと人少ないぞ」
「あら、別に前野君はイベント行っててもいいのよ?」
「んー?俺のタンクはアサギだけって決めたからな、他は気を使っちまうからな」
「うーん・・・」
「それにもしかしたらアーサーさんはアサギよりもタンクとして有能かもしれないわよ?」
「む!よし!それを確認しに行く事を第一目標とする!」
「ちゃんと攻撃に参加しないとそれも掲示板で書かれるからちゃんとやるのよ」
「それは勿論!見られたらまずい装備以外で行ってスキルもナイトの前しか使わないから大分火力は下がると思うけどね」
「んじゃ参加するって事でいいのか?」
「うん、どんだけ動ける人なのか見に行かないといけないからね!」
「まあ、とりあえずイベント始まる前に報酬とかの告知はあるでしょう、それを見てから決めても悪くないわ、他の3人にちゃんと先に言えばね」
「うん!わかった!」
「と、いう訳でもし報酬がそこまで良い物じゃあなかったらあんまり貢献度を狙いにいかない予定なんだけどだめかな?」
「あっちゃんがゴタゴタに巻き込まれたくないのもわかるし私はそれでいいよ、報酬もその1パーティだけになんか配布、って感じじゃあないと思うしね」
「そうね、私もアサギちゃんがそうしたいならそれでいいと思うな、楽しめなきゃゲームじゃないもんね」
「ああ、俺も構わん、それより早く強くなって皆で専門職になってアサギさん1人だけにしなければそんな事で悩む必要もなくなるだろう、今回参加しなかったとしても次までに専門職になってればいいだけの話だ」
「そうだな、さっさと強くなりたいな、先はまだまだ長そうだけど」
「ダガー君良い事言うわね、確かに私達だって専門職になればこんな事で悩む必要もなくなるわ、じゃあ今日も頑張って「悪竜エドラ」の睡眠妨害しにいきましょうか」
「「「「「おおー!」」」」」
6人は今日も「悪竜エドラ」の夢に入る、周回していくうちにどうやら「悪竜エドラ」の思念体が居る部屋は入り口の横についている蝋燭の火が強いらしいとまぁちゃんが気づいた
他の5人は言われてからよく見てみると確かに燃え方が違って見える、まあ、レベル上げも兼ねているのでどうせすべての部屋にはいるのだが
しかし「「悪竜エドラ」の夢」の事は昨日ログアウトした時にセッキーが掲示板に情報を流していたので複数のパーティが集落に来ている、きっとどこかのパーティが必要にする時が来るだろうから気付けた事は良い事だろう、早速セッキーが掲示板に蝋燭の事を書き込んでいる
「しかしまあ、アサギが「悪竜エドラ」の対処が完璧だからそこまで難易度高いダンジョンだって感じがしないな」
掲示板では「「悪竜エドラ」の夢」の攻略に手間取っている声も少なからず出ている
攻撃が痛いだの速いだの、雑魚が出た時の対処をどうするかだのと話題になっている
その辺は同じ顔のさらに強い奴を経験したのが大きいのだろう、アサギは1人でこのダンジョンの難易度を大きく引き下げていた
「攻撃をよく見れば似たような行動しかしてないのに気付けるんだけどね、後は盾をその攻撃の通り道に置いておくだけだよ、そしたらダメージも下がるから回復も間に合うようになると思うんだけどな、取り巻きが湧いた時はタンクってより周りの人が大事かな?全部で5体でるんだっけ?足止めと火力が重要だよ、流石に全部は・・・んー、スキル使えば全部持てるけどそうなると30秒で取り巻き何匹削れるかだよね、最低でも4は削らないとダメージきつい気がする、でもそこまで削れる火力があるなら対処できない、って事はないと思うしなぁ」
「その辺は野良だったりもあるから安定しないんでしょうね、各々の役目を全うするのはなかなかフルダイブだと難しいわ」
「難しいんだけどあっちゃんが安定してるから後ろは割と余裕あるよね、私野良で戦闘中に会話なんかできなかったよ」
「え?まぁちゃんそんなにお喋りなのに?」
「お喋りは余計!別に喋りたくなかった訳じゃあなかったよ?でもそんな暇がなかったのよ」
「そうね、上手い人はもう固定を組んでやってる事が多いからね、何回か固定のパーティに誘われて狩りに行ったけどここまで余裕は私もなかったわね、勿論アサギちゃんが安定してるのもあるけど皆がちゃんと自分の仕事をこなせているからってのもあると思うわ」
「ダガーはソロばっかだったんだっけ?」
「ああ、そうだ・・・だが・・・パーティで狩りをするのもいいものだな」
「そうだね、ダガー君、楽しいね!」
「ああ」
アサギ達は喋っているが実は5体目の「悪竜エドラ」の思念体との戦闘中である
片手間で倒された「悪竜エドラ」の思念体がパラディンロードの封印を解き放つと6人は部屋から出た
先頭にいるアサギがふと吹き抜けから「悪竜エドラ」の姿を見る
「あ!いつもと違う!」
そこにはいつもと違う「悪竜エドラ」がいた
「へー、そんな事があるんだ?何が違うの?」
オネがいつもと違う「悪竜エドラ」を見ながら問いかける
「ナイトマスターとロイヤルナイトは同じ名前の別人だったわね・・・」
「こりゃあ、気を引き締めていかねぇとやばいぞ」
「え?どうしたの?」
「あのね、オネさん、ダガー君!今までの「悪竜エドラ」は忘れてね!これから戦うのは外で戦ったのと同じだと思って戦って」
「オネーさん、ダー君、名前変わるとまじで強さ変わるからほんと気を付けて」
「あ、ああ・・・そんなになのか?」
「「「「そんなにだ(よ)!」」」」
4人が真剣な表情で言うのでオネとダガーは気合を入れなおした
「まず特殊攻撃だけど同じのが来るとは思わない方がいいから、基本強くなってる、最悪死ぬ可能性もあるよ」
「掲示板にはこっちの「悪竜エドラ」の事は書いてなかったな・・・俺達が初めてなのか倒した奴らが書いてないのか・・・」
「オネさんは支援中心でお願い、余裕があったとしても初回だし攻撃に参加しなくてもいいと思うわ、最後のごり押し以外はね」
「う、うん、わかった!」
「ダガー君とまぁちゃんは範囲攻撃に気を付けてね、あいつ尻尾が長いからもしかしたら外の時みたいに使ってくるかもしれない」
「あ、ああ、わかった、気を付ける」
「わからないのは50パーの時だね、範囲が広くなるのか速くなるのか・・・」
「あー・・・やばい、嫌な予想しちゃった」
「どうしたの?アサギ」
「50パーの時の最後に直線のレーザーあったじゃない?あれ振り回して来たらどうしよう・・・」
途端5人の表情が険しくなる
「それは・・・まずいね、「悪竜エドラ」と戦い始めたら階段に戻れないようになるから遮蔽物がないし・・・」
「降りてきそうな時に背中側に回るしかないか?でもそうなるとアサギの方向いてるからアサギだけは喰らう事になるけど」
「最悪その時はスキル使うしかないかな」
「だがそれが1発で終わるとは限らないだろう?その時はどうするんだ?」
「う・・・それは・・・」
「まあ、まだ戦ってもないから何とも言えないけれど、相手が高度なAI入りじゃない限りは攻撃には絶対対処法があるはずよ、50パーになった時いつもとなにか違う部分があれば絶対にいう事、それで何とかなると思うわ」
セッキーの発言に5人が首肯する
「じゃあ、とりあえず雑魚全滅させようか」
6人は雑魚を全て倒し残るはあと1体だけとなった
「よし、ご飯食べたね、支援もオッケー、ポーションの数も確認したね、よし、行こうか、「魔竜エドラ」をやっつけに!」
「「悪竜エドラ」の夢」の中の最下層に「悪竜エドラ」はどのような強さを夢見ているのだろうか
 




