聖騎士と新たな攻略法
「どういう事なのよ、アサギ」
「最初に「アルージー」が言ってたじゃない、「ダクパラ」の力を封印した宝珠がこれだ、って!」
「あ!なるほど!あの会話そのものがヒントだったっていう訳ね、うーん、色々な戦い方をするボスもでてくるのね、ちょっと反省だわ、これからは色々な可能性を考えないと」
「はは、今までは正直ごり押しが多かったからな」
「そっか!あっちゃん凄い、じゃあ机の上の宝珠を使って・・・どう使うの、これ?」
まぁちゃんは机の上に置いてあった光っている宝珠を手に取る
「え?・・・さ、さぁ・・・?」
「まぁちゃんとりあえずそれ近づけてみるとかどうかしら?」
「うん、わかった!やってみる!」
「アルージー」のHPを25パーセントほど削ってから攻撃を加えているのはアサギだけであった、どう考えてもアサギが「アルージー」に与えてるヘイト値が少ないからだ
だがこれで何か変わるかもしれない、4人はそう思いながら宝珠の効果に期待する
「近づけても何も反応しないよ!?」
「ぶつけてみるとかか!?」
「投げちゃだめよ、壊れたらどうするのよ」
「それ持って触ってみるとかじゃない?」
「頭の上に掲げてみるとかはどうだ?」
「えー、全然反応しないよー」
「「「うーん・・・」」」
「ただ持って近づけるんじゃなくてなんかこう・・・魔力的なものを籠めてみるとか!?」
「え、ええ・・・こんな感じ・・・?」
まぁちゃんは右手に宝珠を持ちながら魔力を流すかのように力を籠める
「違うか・・・」
「えええ、じゃあどうするのー!?」
「待って、まぁちゃん、その宝珠って「ダクパラ」の力が封印されているものなんじゃない?多分1回使ったら解除しないと使えないのよ、同じのなかった!?」
「え?え?あーー!!光ってないのがある!!これだ!」
机の上には光っていないただの大きなガラス玉のようなものが転がっていた、それを手に取りまぁちゃんは「アルージー」の近くに走っていく
「グ、グオオオオオオオオ!!!!それは封印の宝珠!!し、しまったああああ!!!」
「アルージー」は宝珠を近づけた瞬間に倒れこんだ、そして宝珠は「アルージー」の身体からなんかを吸収しているようだ、ぐんぐんとなにかが宝珠の方へ流れ込み宝珠は輝きだした、どうやら弱体化させる事に成功したみたいだ
「いやいや、ゲームとは言え自分に効く奴を近くに置いておくからだろ」
「それに気づくのに大分かかったけどね、私達は」
「というか肌の色変わるんだったらもうちょっとわかりやすくしろよ!せめて戦闘開始したら濃くなるとかさ!あ!支援かけたな!って思うじゃん、それなら!」
「支援魔法かけるボスなんていくらでもいるわよ、そうなったとしても私達の行動は大して変わってなかったわ、もし「アルージー」がもうちょっと物理ダメージに弱かったら私達は絶対気づかないで攻略してたでしょうね・・・」
「あはは、私もそう思う」
「う・・・それは俺もだ・・・」
「そうだね、私の攻撃がはいらなくてもあっちゃんの攻撃がはいってれば大体なんとかなるもんね、あはは」
「そんなことないわ、まぁちゃんも立派なうちの火力よ!さあ、反省はここまでにして「アルージー」を倒すわよ!」
「「「おおーー!!!」」」
「く、クソッ!力が封印されてしまった・・・だがそれでも貴様等なんかより俺の方が強いんだ!!いくぞぉぉぉ!!!」
「どれどれ、じゃあまずはヘイト固定からやり直すね」
アサギは起き上がった「アルージー」へいつもの体当たりを当てる、最初に当てた時よりも「アルージー」の身体は宙に舞い上がった
「おお、大分VIT減ってるっぽい」
続いて剣で攻撃を加える、先ほどのようにキンッ!という音もせずに攻撃は「アルージー」の身体に深くめり込まれていく
「おお!全然違う!肌を硬化するスキルが完全になくなったみたい!これならターゲット固定できると思う!皆攻撃していいよー!」
「んー・・・中級将校だしシャーマンタイプじゃなくてモンクタイプだったのかもしれないわね、モンクのスキルの方がより硬くなる効果があるスキルがあったはずだし・・・クラスチェンジしたばかりが来る場所って先入観が大分考えを狭めてたみたいだわ・・・」
「おいおい、セッキー反省はさっき終わっただろ?今はあいつに攻撃が通りやすくなったことを喜んでさっさと倒す事だぜ」
「そうだよ、せっちゃん、攻撃攻撃!」
「ええ、そうね・・・でもね、まぁちゃん、私の本業は回復なのよ?アサギが連打ですら避けたり盾で防いだりできる変な子だから攻撃に参加してるだけなんだからね?」
「さっきより攻撃速度も落ちたから全然避けれるよー!ほい、10発!反撃スキルだー!」
アサギはさっきまで苦労してた連打すら盾で完全に防ぎ切り「アルージー」に反撃スキルを当てた
「ほんとさっきまで弾かれてたのがウソみたいね!さくさくだ!」
最初の25パーセントを削るのにかかった時間よりかなり短い時間で「アルージー」のHPを50パーセントまで減らす事ができた
そして2回目の特殊行動がくるだろうとアサギ達は注意深く「アルージー」の動向を観察している
「き、貴様ら!よくも!!」
「アルージー」は部屋の奥にある机の上に飛び乗った
「死ねぇ!!!」
すると4人の足元に光の輪が浮かび上がった
「皆!輪っかの外にでるのよ!」
セッキーの声に3人は反応しすぐさま移動を開始する、直後にその光の輪の上に「アルージー」が放った光る球が降り注いだ
「へー、こんな攻撃をするボスもいるんだな」
「これって多分今攻撃できないパターンだよね?」
「だろうねー、今は4つだけど多分これ増えるよねー」
「私こういう対戦相手時間かかるから嫌いだわ・・・」
「「「わかる・・・」」」
しかし攻撃を避けない訳には行かない、次々と浮かび上がる光の輪から逃げていると次第に光の輪が4人を追いかけるように動き出した
「追尾かよ!しかもさっきより降ってくるのはやくなってきたぞ!」
「ちょっと!めんどくさく!なってきたわね!!」
それも避けきると今度は「アルージー」の足元からアサギ達1人1人の方に光の線が伸びてきた
「ここで別パターンかよ!!!」
「アルージー」が足を振るうとその線の上を攻撃が通り抜けていく、全員なんとか躱せたみたいだ、しかし攻撃があまりにも早かったのでマーリンは転んでしまっていた
「マーリン起きなさい!次がくるわよ!」
また「アルージー」の方から光の線が伸びてきて・・・
と思ったら線が消え「アルージー」の足元に光の輪が浮かぶ、それも消えまた線が伸び、輪っかが浮かび、線が伸び、また輪っかが浮かび・・・「アルージー」の頭上から光の玉が落ちてきた
「「「「えええええ・・・・?」」」」
どうやら今の球に机を壊されたらしい「アルージー」がそこに立っていた、HPは削れていないので今ので特殊攻撃は終わりなようだ
「なんか・・・拍子抜けというか・・・なんなのこのボス・・・」
「うーん・・・こんなギミックあるボスもでるよ、っていう案内みたいな・・・?」
「ふー、先が思いやられるわ・・・」
アサギは光の玉を頭に喰らいスタンしている「アルージー」に再度近づき攻撃をしかける、攻撃は楽にはいるがテンションがあがっていかなかった
「「ダクパラ」との戦闘の後にこれは・・・ちょっときついな・・・」
「そうだね、あっちゃん・・・落差が・・・あまりにも落差が・・・」
「そうはいうけどあれがイレギュラーなのよ、気持ちはわかるけど本来はあっちがないんだからしゃんとしなさい」
「うー・・・セッキー・・・でもー・・・」
「途中までは俺もよかったんだけどさっきのギャグ的な要素はいらなかったかなぁ・・・」
「それには私も同意見よ」
4人はなんだかんだで攻撃を繰り返す、相手の攻撃にはアサギは完璧に対応しているので何の問題もない
「さて・・・最後の25パーセントよ、3人とも気を引き締めなさい!」
「そ、そうだね!ここで負けるとかありえないよね!!」
「おし!やるか!」
「「「おおー!!」」」
「アルージー」最後の特殊行動がくる、そう思い4人はさっきまでのだらけ切った気持ちを払拭させた
「こうなったら・・・こうなったらぁぁぁぁぁ!!!」
そう叫びながら「アルージー」は右手を上にあげる、するとそこに宝珠が移動してきた
「え?封印とけるのって時間かかるんじゃないの?」
「また最初の硬さか?やっぱり最後はゴリ押しになるんだな!」
「封印を無理やり解除すると力が暴走するかもしれないから貴様らを始末してからゆっくりやろうと思ったがそうも言ってられないようだ・・・力が不安定すぎて自分のスキルも制御しきれない・・・忌々しい奴らめ、だがもう安全策を取っている場合ではないようだな!貴様らはここで死んでいくのだ!!」
「アルージー」が右手を胸元まで降ろし宝珠を砕くすると先ほど宝珠に吸収されていったなにかが「アルージー」の身体へと流れ込んでいった
「グ、グオオオオオ!!!」
「おいおい、なんで今ので服が破けるんだよ、つーか肌が真っ黒じゃねぇか!これが暴走なのか!?」
「どう考えてもそうみたいね、さっきより硬化されてたらマーリン、貴方以外は攻撃効きにくいんだから頑張るのよ!!」
「あー、25パーに入る前に大きい攻撃入れておくのがベストな感じだね、次はそうしようね」
「あっちゃん冷静だね!?」
「イクゾ!キエサレェェェェ!!!」
「アルージー」はアサギに向かって右拳で殴りかかる、それをアサギは盾で受ける、受ける事はできたがアサギの身体が後方へ少し押されていた
「うわ!大分強くなってる!」
「アルージー」はアサギを追いかけるように近づき再度右の拳で殴りかかってくる
「でも単調な攻撃だからやり返しやすいねっと!」
その拳を盾に斜めに当たるように調整し、当たった瞬間にアサギは膝蹴りを「アルージー」に叩き込んだ
ズボッと音がしそうなほどアサギの膝は「アルージー」のみぞおちにめり込んでいる
「あれ?全然硬くないよ?うわ、めっちゃHP減ったね」
「ほんとね、1発で目に見えてHPバーが減ったわね」
「魔法ダメージは最初から最後まで大してかわんねぇぞ?」
「これも暴走の効果って訳なのかな?硬くするはずがかえって柔らかくなっちゃったって事?」
「んー、よくわかんないけど攻撃にさえ気を付ければすぐ倒せるね!」
その後アサギの言う通り相手の攻撃をなんとか防ぎ躱し耐えながらも4人は「アルージー」の討伐に成功した
「ふー・・・最後の25パーは結構危なかったかも、連打はちょっと喰らっちゃったし、でもまあおつかれさまー!」
「「「おつかれさま!!」」」
「最後のあの攻撃力を単発とは言え受け流せるのがまず難しいと思うんだけどなぁ」
「ん?まあ、そこは努力の賜物って奴だからねー」
「ダンチョーは化け物をこの世界に生み出したのかもしれないわね」
「あはは、まずダンチョーが化け物染みてるからね」
「あ、まぁちゃんダンチョーに言いつけよっかなー」
「や、やめてあっちゃん!それだけはやめてー!!!」
「えー、どうしようかなー?くふふふ」
「やめて、あっちゃん!そうだ、それよりドロップよ!ドロップの確認しましょ!?ね?」
「くふふふふ、はーい、どれどれ・・・うわ!ここのボスドロップの武器ユニーク級だよ!」
「まじかよ!?」
「ほんと!?うーん、周回頑張らないと」
「それで?それでなにがでたの!?」
「じゃーん、両手剣ー、私のだっ!!」
「おー、アサギおめでとー」
「片手剣じゃないのが若干おしいわね」
「あっちゃん両手剣装備する事あるの?」
「うん?・・・今まで1度もない・・・てかこの両手剣でもパラディンロードの剣より弱いから・・・」
「「「ああー・・・」」」
「でもでも!フリーダンジョンとかならきっと使っていけるはずだよ!あ、みてこれ!スネークソードだって!!」
アサギは剣と盾を仕舞い両手剣を装備する
「おー・・・?なんだこれ剣身に切れ込みがはいってる・・・?」
「見ててね?振るよ?」
アサギが両手剣を振るとその切れ込みの部分が離れていく、しかし光が1つ1つを繋いでいるようで剣身がバラバラになる事はなかった、振り終わると元の形にしっかりと戻っていく
「おお!?攻撃範囲がいつもより広い武器ってことか!?」
「うわ!うわ!いいな!短剣もあるのかな!?」
「私とマーリンの武器にはきっとついていないでしょうね」
「片手剣もあるかなー?あるといいなー」
「あっちゃん!!!」
「は、はい!なんですかまぁちゃん!」
「私これ2本欲しい!」
「う、うん、でるといいね」
「うん!頑張ろうね!!」
新たな武器を想像するまぁちゃんの口元に少しよだれがでていたのは・・・黙っておこうと思ったアサギであった
 




