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念願の聖騎士になったぞ

この作品には数字はあまり出てこないと思います

理由は管理がめんどくさいから

レベル制でステータスにポイントを振る系のゲームを書いていこうと思うけど数字を出すとインフレしそうだし都合をつけようとするとめちゃくちゃになりそう


主人公はこれから強くなっていく予定ですがレベルが上がった!とかこの武器は強いぞ!とかで強化されたんだなー、と思っていただければ幸いです


計算もめんどくさいしね

「今日はいい天気だ・・・」


 高い高いビルの一室にいる男が窓の外に目を向けながらそう呟く

 彼の名前は海野音也、そう、「まおクエ」の生みの親であるプロデューサーである

 彼は満足していた

 寝る時間すら、いや、移動する時間すら惜しんで会社に泊まり込みながらも調整に調整を重ねたVRMMOが無事にサービス開始となったからだ

 もちろんゲームを作ったのは彼だけではない

 今も不具合がないか確認している社員もいる

 問い合わせのメールに対応している社員もいる

 同時ログイン数もなかなかの数字を叩き出した


 海野はその数字を思い出しながら空を見つつ満面の笑みを浮かべる


 だがそんな彼の笑みを一瞬で崩壊させる知らせが飛び込んできたのだった


「なんだって?NPC専用として作った教皇にクラスチェンジしたプレイヤーがいる!?」


 彼はなによりバランスを気にしていた

 そう安くないお金を払いこのゲームを選んでくれたプレイヤーだ、出来ることなら全員にこの世界を楽しんでほしい

 だからこそのバランスだ、色々な所でそのバランスが大事だと言ってきた

 社員にもメディアにもだ

 フルダイブという事で運動ができる人できない人に多少の差は出るかもしれないと言う懸念もあったがなんとかその差を軽微にする為に色々と努力もした

 時間をかけレベルをあげ、装備を整えたら誰しもがこの世界で強くなれる、そんなバランスを考えていた


「なんでだ!だって教皇はまだ死ぬ年齢じゃあないだろう!?まだ初日だし信仰度だってそうそう貯まるものじゃないからプレイヤーが任命される訳がない!まあ、いい、ログだ!ログを見せろ!!不正対策はしっかりしたはずだがどこかに穴があったのかもしれない、最悪緊急メンテナンスだ!くっそー!!」


 先程教皇はNPC専用と言ったがなろうと思えばなれる可能性はゼロではない

 ただそれをやるのは現実的ではない

 教皇が引退する時に誰か別の人間を指名するからだ

 当然ぽっと出のプレイヤーにすぐ指名がくるはずがない

 教会で受けるクエストをクリアしてクリアして信仰度をあげ、尚且つタイミングがよければなれる・・・かも知れないよね、と作られた職業だ


 まあ、他にも教会の重要職を全滅させ教皇を名乗ると言う手段もあると言えばあるがまず無理だろう

 相当な数のNPCが教会内には存在しているし、レベルも今のプレイヤーのレベル上限よりもかなり高めに設定してあるからだ


 ならば海野が不正を疑うのは仕方がない

 もちろん対策はしている

 だがそれを上回る事は絶対にあり得ないとは考えなかった

 プレイヤーは数多くいるのだ、可能性はある

 だがまさか初日にやられるとは思いもしなかった


 不正は見つけ次第絶対に無くす、そう己に言い聞かせて海野はログを遡るのだった







「ついでにパラディンロードにもなれ、私!」


 神に認められ、教皇になった瞬間に眩い光に包まれた冠が出現した


 だが私はそんなものに興味はなかった

 パラディンロードを任命できる教皇になれたのだ

 ならば私の選択は自らをパラディンロードに任命する事のみだ


 その瞬間、今度は剣が出現した


「その冠と剣は教皇とパラディンロードになった者のみが所有できる神聖な物、つまりアサギ、両方とも君の物だ、冠は不浄なる存在から君を守り、剣はそれを斬り裂くだろう、大事にするがよい」


 つまりこれで私もうすでにパラディンロードになれているという事だ

 喜びに身体が震えてくる

 ついに、ついに夢が叶った!

 ゲームとは言えゲームの中とは思えないこの臨場感、私は感動のあまり泣いてしまう

 あ、このゲーム涙でるんだ、そんな所までリアルに作って・・・


「しかし教皇になった瞬間にパラディンロードになるとはな、それも天啓なのか?お父様が君に魔王を倒す剣になれ、と?」


 魔王を倒すのが確かにこのゲームのストーリーである

 だが別にウミノピー、つまり海野プロデューサーは私にそんな事を頼んできた訳でないのでここは正直に言おう


「いえ、私はパラディンに、聖騎士に憧れていたのです、ですが勿論この力で皆を守る為に魔王の前に立つつもりです!私は皆の盾になります!」


 それがパラディンの、タンク職のお仕事なのだ


「盾に・・・か、よし、では新たな教会の誕生と教皇、パラディンロード就任のお祝いとして我らが盾を下賜しよう、だがしかしこれは内緒だぞ?我等は普段人の前に出ない所が人間に物を下賜するような事はした事がない、それを我等の教会の人間にでも見つかってみろ、どんな騒動に巻き込まれるか分かった物でない」


 盾を貰えると聞いた時は純粋に嬉しかった

 でも騒動に巻き込まれるかも知れないのは、うーん、ちょっとなー・・・


「そう嫌そうな顔をするな、我等の力が宿っている装備がこの世界にない訳ではない、ただそれの入手手段が特別なのと強さが少しだけ突出しているだけだ、だから何処で手に入れたのだと聞かれたら・・・そうだな、この世界にはダンジョンと呼ばれるものがいくつか存在する、そこで手に入れたとでも言えば・・・いや、それにしてはアサギ、お前は弱いな、レベルは・・・1か、来たばかりだったな、ふむ、しかし教皇とパラディンロードになったのだからジョブレベルはなかなかのものになったな、本来ならあり得ない偏りだな、これは」


 え?どんな偏りなのかと思い自分のステータスを確認してみる

 と言うか神様は人のステータス見えるのか

 流石神様だな


「なになに、ジョブレベルは・・・な、なんじゃこりゃー!!!!??」


 偏りと言う言葉を聞き私は思い出していた

 それは「まおクエ」が発表された時から色々なメディアに取材を受けてきた海野プロデューサーの言葉である


「この世界で皆が楽しく遊ぶ為にはバランスが大事なんですよ、バランスが」


 本来パラディンロードはパラディンの中から強い者が任命される

 この世界に初めて教会が、教皇が、パラディンロードが生まれてからずっとそうやって受け継がれてきた

 問題はNPC以外を任命する事はないと思われていたのでシステム的に制限をかけていなかった事

 それが教皇が使えるスキルの1つ、任命

 そのスキルのテキストにはただ単にターゲットの職業をパラディンロードに変える、とだけしか書かれていない

 今までパラディンからパラディンロードに任命された者は全て職を変えた瞬間に力が強くなっていた

 それは職業補正と言う事も勿論ある

 当然アサギもその恩恵を受ける事になるのではあるが今アサギに訪れた変化からしたら些細な変化だ


「まおクエ」では本来クラスチェンジする為には前提職のジョブレベルを最大にしなければならない

 パラディンになる為の前提職はナイトである

 そのナイトの前提職はソードマンだ


 パラディンロードはパラディンからのみ任命される

 そしてクラスを強制的に変える任命スキルにはジョブレベルを強制的に最大にする効果を持っていた


 この世界が生まれてから色々な理由で戦火は絶えなかった

 人と人、人と魔物、さまざまな理由で戦争は行われてきた

 その戦争でパラディンロードがもし死んだら?

 パラディンロードがいなくなると言う事は世界の損失であった、だからこその強制レベル上げ

 パラディンロードはこの世に6人居なければならない

 死んでしまった時、残ったパラディンの中にジョブレベルが最大の者が誰もいなかったら?


 あってはならない


 そんな事はあってはならない


 誰の思いでこのスキルにそのような効果がもたらされたのか、それはもはや誰にもわからない

 誰かが今後起こり得る危機を未然に回避しようとしたのだ

 そのスキルを使われるのがNPCなら、NPCだけなら何も問題はなかった

 パラディンロードは一つの教会に1人しか存在できない

 今は一つの教会に1人ずつ存在している

 だから何も問題ないはずだった

 今後プレイヤーの中から教皇が現れるかも知れない

 でもそれは限りなく低い可能性

 だからこそ1人ずつしか選べないパラディンロードとエルダープリーストをその人が友人を任命しても対して問題にはならない

 ちょっとしたご褒美だと、そう思って制限をかけられていなかった


 そんな運営側の思いをなにも知らないアサギはサービス開始初日に3つの職のジョブレベルを最大にし、ご褒美となるはずクラスについてしまった


「世界のバランスが乱れる・・・」


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