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耐える聖騎士と嗤う聖騎士

「おお・・・アサギがなんかカッコいい事いってるぞ」


「馬鹿、マーリン!茶化さないの、アサギが耐えきれなくなったら勝てないのよ?」


「そうだよ、マー君、今のあっちゃんの邪魔しちゃだめだよ」


「おお、悪い悪い」


 3人の会話はアサギには届いていない、実際はパーティチャンネルで話しているので耳にははいってるはずなのだがそれが聞こえないほどアサギは目の前に敵に集中していた


「なんか2人だけで戦ってるみたいな感じだけど・・・これ攻撃加わっていいのかな?」


「何言ってるのよ、まぁちゃんむしろ今がチャンスじゃないの、「ダクパラ」の注意がアサギに向かってるんだから攻撃に専念できるわよ」


「そうそう、俺なんかさっきから火力全開だぜ」


「そんなもんか、じゃあ位置が戻ったら攻撃参加するね」



「ダクパラ」はアサギの光の剣を喰らいHPを大きく減らされるが悠然と立ち上がる


「アサギィィィ、見せてみろ!その強さと言う奴を!」


 右手に持つ剣を大きく振りかぶりアサギへと一直線に向かう「ダクパラ」、3等兵の時より速さも強さも上がっているその攻撃をアサギは盾で防いだ


「グオッ!!!」


 盾に剣を当てると同時に盾を引きアサギは「ダクパラ」の腹部に膝蹴りをお見舞いする


「アサギってSTRあんなに振ってたっけ?VIT先行じゃねーの?」


「そうよ、VITの方にポイントを多く振っているわ、あの攻撃はダンチョー直伝のいわばスキル外スキルよ」


「え?せっちゃんなにそれ?」


「私も一応VITにポイント回してるからダンチョーに教わったんだけどね、VITって相手の攻撃を喰らった時に体重が増加するって知ってる?もちろん本当に増える訳じゃあなくて相手の攻撃で吹き飛ばされない為に数値だけ変わるようなものだけど」


「ああ、なんか言ってたな、いくら硬くても体重差や体格差があるモブに攻撃されていちいち吹き飛ばされてたらタンクなんかできないからVITを増やすと体重が増えるんだっけ?」


「そうよ、それで相手から攻撃されてもその場に踏みとどまる事ができるの、でも体重って攻撃力にもなるじゃない?重ければその分強い攻撃になるってのはわかるわよね?」


「うん?でもそうなるとVITあげればSTR上げなくても攻撃力上がっちゃわない?」


「だからこのゲームでは攻撃の判定を受けた瞬間だけ体重の数値が増えるみたいよ、ダンチョーが言うにはその瞬間に攻撃をすればSTRにVITを足した火力になる、らしいわ」


「ええ・・・受けた瞬間にって・・・ええ・・・?」


「ちなみにVITをいくらあげても体重が増えた感覚なんか一切ないわ、だからあれをやるには攻撃をしっかりと見て身体を動かさないといけないわけ、意味がわからないわよね」


「えー、でもあっちゃん何度も成功させてるみたいだけど・・・」


「そりゃずっとダンチョーに吹っ飛ばされてたからね、あの子、ちゃんと盾で受けないとダメージ軽減もされないから「ダクパラ」の攻撃力を考えたら身体で受ける訳にもいかないし・・・よくできるわよね、こちらとしては回復に使うMPが少ないからいいけど見ててヒヤヒヤするわ」


「えー・・・じゃあ今まで足踏んでたのってあの瞬間なのか?VIT分重くなった体重で足踏むのか・・おー、想像しただけでいてぇな」


「なるほど・・・そりゃあヘイトがあっちゃんにずっと向いてる訳だ・・・敵の行動阻害する以外にも色々やってるんだね・・・」


「アサギは本来私に気を使ってなのか攻撃をしやすくする為なのか盾で受け流す事を主流にしてるわ、でも今は本当に見せているのね、ステータスやスキルじゃない強さって奴を」


「ますますあっちゃんに勝てるビジョンが浮かばなくなったよ・・・」


「ああ、俺もだ・・・」


「職業の差かしらね、私なんか最初から勝てると思ってないわ」





「どうだ「ダクパラ」!!」


「クックック・・・確かに貴様は・・・アサギは強い、だが俺の攻撃を盾で防いではいるが完全には殺して切れないじゃあないか、体力はすぐに回復が飛んでくるから減ってはいないみたいだが、じゃあどうするか・・・?どうすればアサギを殺せるか・・・?答えは簡単だ、あいつのMPが尽きるほどにお前を攻撃えばいい!!!」


「ダクパラ」の速度がまた上昇する、防ぐ事が精いっぱいで先ほどの様に攻撃を当てる事ができない、反撃スキルが溜まって発動させたとしても「ダクパラ」はそれを防いでしまう、しかも常時スーパーアーマー状態にもなっているようで当てたとしてもスタンする事はなくなったし転倒させる事もできない

 攻撃がさらに激しくなる、流石のアサギも攻撃を防ぎきれなくなってきたようで徐々に鎧で受けざるを得ない攻撃が増えたきた


「クハハハハハハ!!!先ほどの勢いはどうした、アサギィィィ!!!!このままじゃセッキーのMPが尽きる前にお前の体力がなくなってしまうぞぉぉぉ!?諦めたのかあああぁぁぁ!?」


 だがアサギは諦めてなどいない、とても落ち着いていた、躱せる攻撃は躱す、防げる攻撃は防ぎながら攻撃へ移行しようとする、それもできなさそうならなるべく最低限のダメージで済む場所でその攻撃を受ける、アサギは「ダクパラ」の攻撃をできる範囲の中で対処していた


「せっちゃん、これまずくない?「ダクパラ」のHPは削れてるけどこっちの消耗も結構でかいよ!?」


「そうね・・・あと30パーセントか・・・このままでもちょっときついけど・・・どうせ25を切ったらまたなにかあるのよね、多分」


「だろうなぁ・・・」


「最悪アサギには30秒間無敵になるスキルがあるわ、それだけじゃあ削りきれないけどギリギリまで粘ってからゴリ押すわよ」


「んー・・・でも多分あっちゃんそれ使わないと思う」


「え?なんでだ?」


「だってあっちゃんさっきステータスでもスキルでもない強さって言ってたじゃない?ぶっちゃけて言うとあのキックはステータスの範疇だし・・・いや、タイミングとかシビアだと思うし厳密にはそれだけじゃあないのはわかってるけど、でもあっちゃんが見せたがってるのってそれじゃない気がするんだよね」


「そうね・・・確かに・・・わかる気がするわ」


「おいおい、じゃあこれからアサギはまだなにかするってのか?」


「わからないわ、とりあえず私達はできる事をできる範囲でやるだけよ!」


「そうだね、それしかないもんね!」





「先ほどの威勢はどうした、アサギィ!そうやって防いで他の奴に攻撃させるのがお前の言う強さなのか?」


「そりゃあ皆は強いからね、防いでるだけで勝てると思うけど!信頼しているけど!そんなんじゃあ終わらないよ!」


「ならそろそろ見せてみたらどうだ?見せようが見せまいがこちらは全力で行くがな!!!」


「ダクパラ」のHPが25パーセントを切った、身体から赤いオーラを迸らせながら攻撃はさらにはやく、激しくなっていく

 だが・・・


「くっ!何故だ、何故先ほどより攻撃速度ははやくなっているのに当たらない!?防がれるんだ!?」


「そりゃあ「ダクパラ」こんだけ攻撃受ければ慣れるってもんよ」


「慣れるだと!?この短時間でそんな事できる訳が!!」


「そりゃあそうよ、でもね、残念ながら私は多分「ダクパラ」より強い人達に吹っ飛ばされながら色んな攻撃を受けてきたのよ、ようやく貴方の攻撃速度がダンチョーと同じくらいになった!さっきまではちょっと遅くて逆にやりにくかったんだよね!!」


「「「・・・は?」」」


「なんだとっ!?この俺が!この俺の攻撃が遅かっただと!?」


「なんかねー、いつもよりちょっと遅くてね、微妙にあわせにくいというか、なんというか・・・」


「マジかよ・・・いや、ほんとに全然攻撃喰らってない・・・ええ・・・?」


「ええ・・・最近稽古見てないけど普段どんな稽古してんの・・・?」


「あの攻撃が遅い・・・あの攻撃が遅い・・・嘘だぁ・・・」


「ちなみにフクフ副団長はもっと早いよ、ダンチョーが本気だしてないだけかもしれないけどね!」


 喋りながらもアサギは「ダクパラ」の攻撃にあわせて先ほどまでできていなかったSTRにVITを乗せる攻撃を連続で成功させる


「残念だったね、「ダクパラ」、いくらステータスが上がろうが強いスキルを使おうがそれよりも高い所にいる人達がいる以上私には届かない、それよりも攻撃の仕方を考えた方がいいよ、こんな風に」


 アサギは「ダクパラ」が突き出した剣の上を滑らせるように自らの剣を振るい剣をずらしながら「ダクパラ」を斬り付ける

 アサギは「ダクパラ」のHPが25パーを切ってからは一度もスキルを発動していない、練習の成果のみで戦っていた


「強いスキルで発生保障されてるからって絶対当たる訳じゃあないんだから考えて使わないと、お互いパラディンなんだから持ってるスキルがどんなものなのかはわかるでしょ?」


「ダクパラ」が闇雲に右肩に剣を担いだ所でアサギは「ダクパラ」の顔面に盾を当てる、これだけでこのスキルが止まる事はないが目隠しと攻撃を同時に行ったのだ、「ダクパラ」の闇の剣は誰にもあたる事なく地面に切れ目をいれる


「アサギ・・・アサギアサギアサギィィィィ!!!!」


「残念だね!今回も私達の勝ち!!次は上級将校まで解放してから出直してくるんだね!!!」


 アサギが右肩に剣を担ぐ、本来なら絶対に当たらない隙の大きく溜める時間の長いスキル、だがアサギは確信があった、「ダクパラ」はこの攻撃を避ける事はないだろうと


「じゃあね!「ダクパラ」!もっと強くなって会いに行くね!」


「ああ!次は俺も本気を出す!今のままでは絶対に勝てないぞ、アサギ、精々強くなってから会いに来い!」


「エクス・・・カリバー!!!」


 光の剣が「ダクパラ」を飲み込んでいく、光が消えた時にはそこには1つの箱が落ちているだけだった


「ふー・・・おつかれー」


「馬鹿!アサギの馬鹿!最初から本気だしなさいよ!!」


「えええ!?怒られた・・・だってほんとにいつもとタイミングがずれてて気持ち悪くて受けきれなかったんだもん!「ダクパラ」が悪い!!」


「途中で負けるかと思ったでしょ!」


「えー、セッキー私の事信じてなかったのー?」


「そ!それは・・・信じきれるような行動をしなかったアサギが悪いわよ!!」


「えー・・・ちゃんと勝ったからいいじゃ~ん」


「ん・・・そうね・・・おつかれさま、アサギ」


「うん!セッキーもマーリンもまぁちゃんもお疲れさま!」


「「お疲れ様」」


「さてドロップの確認だ!」


「イベント用だろ?なんかいいの落ちるのか?」


「えーっと・・・うわ、メダルすっごい、かなりのポイントになるよ、これ!あとは・・・あ!パラディン専用の腕装備だって!!やったー!」


「パラディン専用って・・・適正レベルおかしくない?ここ上位職にクラスチェンジしたら来る場所なのよ?」


「「ダクパラ」を強くさせすぎたんだろうなぁ・・・それこそ専門職が相手するくらいのレベルまで力が解放された、と・・・あいつだけなんかAIが凄いってゆうか中に誰か入ってんじゃないかってレベルだよな」


「確かに・・・ちょっと「ダクパラ」の事掲示板とかで調べてみようかな?」


「んー・・・なんかのスイッチはいっちゃったのかな?上級将校だけどパラディンだし、最初会った時の私ってレベル低い癖にパラディンロードだったから嫉妬でもしちゃったとか?」


「あー・・・AIの誤作動みたいなものなのかしら・・・?それにしてもあいつ・・・」


「ああ、そうだな、セッキー・・・あいつ・・・」


「私も思ったけどあいつ・・・」


「え?なになに?」


「「「最後にライバルっぽい事言って死んでいった(な)(わね)(よね)!」」」


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