聖騎士と闇の聖騎士、再び
「なに・・・今の・・・?」
「あれ・・・?こんなスキルだっけ・・・?」
スキルを使ったはずのアサギまでもが困惑の表情をしている
「アサギ、今のが教皇のスキルなのか?」
「うん、一つ目の奇跡の天罰だよ、効果は範囲内にいる私に敵視を向けている敵最大6体に光属性の範囲攻撃なんだけど、なんか今前に1度使った時より雷が多かったような?」
「なるほど、そういう効果なのね、アサギ、ログを確認してみなさい、「ヒダリノー」を召喚してたのよ、しかも最初の時みたいに重なってね、だから全部で6発同じ所に攻撃がきたみたいよ」
「ああ、なるほど、そういう事か、通りで雷が大きいと思った、あ!ドロップ確認するね、どれどれー・・・お!セッキーの腕の防具だよ!レガシー級!よかったねー」
「え?ほんと?あ、しかも詠唱速度上昇もある、やったわー!」
「なるほど、「イカサネス」は足、「ミギノー」は腕を落とすのか」
「よーし!じゃあ早速次にいこー!」
「あっちゃん待って、天罰についてちょっと詳しく教えてくれない?」
「え?えーっと・・・さっき言った事以外になんかあるかな?」
「ほら、CTとか範囲がどれくらいか、とか」
「ああ、天罰は3時間に1発しか使えないよ、範囲は私から15mくらい、で雷は1mくらい広がるみたいだよ」
「3時間に1発・・・はまぁ、いいとして結構範囲広いな・・・詠唱も無いようなものだったし・・・敵視を向けているってのが怖いわね、ハイディング関係なしか」
「そうだね、試した事なかったけどハイディング中の敵もヘイトが無くなる訳じゃなくてよかったよ」
「今のを対人で使われたらちょっと勝ち筋が見つからないな・・・ちなみに後何個あるんだ?」
「全部で5つだね、「天罰」「祝福」「拒絶」「聖剣」「巨神降臨」だよ、ただ後ろの3つは表示はされてるけどまだ使えない、祝福はこの前使えるようになったんだ」
「全部効果わかるの?」
「天罰以外は祝福しか効果はでてないんだ、これは5分間のパーティ内の全員のHPと攻撃力、防御力上昇だね、やっぱりCTは3時間」
「はー・・・教皇はぶっ壊れクラスだな・・・」
「そうだね、人前ではまだまだ使えないかなー」
「そうね、それがいいわね、他の3つもきっと凄いんでしょうね・・・」
「「巨神降臨」についてはダンチョーがちょっと教えてくれたよ、使うと10分間変身するんだって、それ以上は教えてくれなかったけど多分私が「巨神」に変身するんだろうね」
「「「・・・」」」
3人はもはやなにも言い出せなかった
「よし、じゃあそろそろ進むよー」
「「「お、おおー!!」」」
4人はさくさくと前に進んでいく、入り口にいたモブと比べ若干強い敵がでるが問題はない、アサギが巡回をひっかけない限りは全滅する事はないだろう
そして左右と真正面に扉がある大きな部屋までたどり着いた
「おお、左に「ダクパラ」がいるぞ、3等兵だ」
「右はまた誰もいないわね、ランダムはほんときついわ」
「真正面は「アルージー」がいるね、どんな敵だろうね」
「まずは「ダクパラ」だね!!!」
「アサギ落ち着きなさい、もちろんラスボスは最後に残すけどまずは落ち着きなさい」
「うん!落ち着いた!行こう!」
「コラコラコラ、まてまて」
「あはは、あっちゃん凄いやる気」
「いい、アサギ、あっちにも光の腕はあるしあいつはAIがはいってる敵なのよ、いつも通りにヘイトを稼ぐだけじゃこっちにターゲットが飛んでくる事もあるのよ、わかってる?」
「うんうん!」
「あー、セッキー、これはだめだな、行くしかないか」
「しょうがないわねぇ・・・いい!?アサギ!危なくなったらさっきの「祝福」を使う事も頭に入れておきなさい?」
「うん!わかった!じゃあ行っていい!?」
「はぁ・・・大丈夫かしら・・・まぁ、いいわ、行くわよ」
「うん!」
セッキーからのGOサインが出たのでアサギは何に「ダクパラ」のみがいる部屋のドアノブに手をかけ・・・少し考えたあと扉を思いっきり蹴破った
「ダクパラァァァァァァ!!!!」
その音と声に部屋の中で壁に寄りかかっていた「ダクパラ」がこちらを向き、腰から剣を抜いた
「アサギィィィィ!!!!」
2人はお互いに突撃スキルを発動する
お互いの盾と盾が火花を散らしながらぶつかり合う
「アサギィ!貴様は殺す!絶対に俺が殺す!!」
「なんの!返り討ちだよ!!」
剣と剣が当たる、剣と盾が当たる、2人の攻撃はお互いに有効打がないままに何度も何度もぶつかり合った
「3等兵まで力を解放した俺と互角とはなかなかやるじゃないか、アサギィ!」
「3等までしか解放してなかったからここでお前は負けるんだぞ、「ダクパラ」!!」
「残念だが俺もさっさと全てを解放したかったんだがそれには時間がかかってなぁ、そうすればお前らを確実に殺しにいけるんだけどなぁ!!」
言い終わり「ダクパラ」は右手に持つ剣に更に力を籠めアサギの持つ盾を押す
「いつでもかかってこいって話だよ、「ダクパラ」!」
アサギはジリジリと押されている盾から力を抜き相手の体勢を崩そうとする
「馬鹿の一つ覚えが!」
「ダクパラ」はかなりの力で盾を押していたが全力ではなかったようで体勢を崩す事はしなかった、勝機と見たか「ダクパラ」はそのまま突進してくるかのように突いてきた
「私達の事見えてるの?」
まぁちゃんが瞬間移動で「ダクパラ」の背後に回る、いつの間にか「ダクパラ」はアサギ達が入ってきた扉に背を向けて3人が攻撃しやすいポジションにさせられていた
アサギが攻撃をしかけながら身体を使い180度動かしたのだ
「お前らなんかアサギさえ倒せばどうにでもなるんだよ!!」
瞬間移動でスタンが発動しなかった「ダクパラ」は身体を半分振り向かせながらまぁちゃん目掛けて横向きに切り払う、そんな隙はアサギが見逃すはずはない、が、アサギは攻撃を加えなかった
ニヤリと「ダクパラ」が笑う
「こないのか?アサギィ」
「その盾には10発攻撃加えてるからね、今行ったら反撃くらって私がスタンしたらそのまままぁちゃんがやられちゃってたかもだからね、今のタイミングは行かないかな」
「クハハハハ!それでこそ殺しがいがあるってもんだ、やはり貴様だ!貴様を殺せば他はどうとでもなる!!」
「そんな事言ってていいのかな?セッキーもマーリンもまぁちゃんもかなり強いよ?」
「それはお前がいるからこそ発揮できる力だ!だからアサギ!お前を殺す!」
「ダクパラ」の盾が黒く光る、反撃スキルを解放させたのだ、それをアサギは盾で防ぎ・・・ローキックで「ダクパラ」の左足を刈った
「ぐおっ!!」
「へっへーん、ダンチョー直伝のローキック!!盾と剣だけに集中してちゃ私には勝てないよ!」
強烈なローキックを左足に喰らい「ダクパラ」はその場に倒れこむ、倒れこんだ瞬間にアサギは右肩に剣を担ぎ
「エクスぅ!カリバー!!」
低レベルのモーション時間が1番短いバージョンで攻撃をした
倒れていた「ダクパラ」はこの攻撃を防ぐ事はできない、しかしダメージはそこまで高い訳ではない、アサギはさらに攻撃を加速させた
「アサギノリノリだな、対戦相手であってもパラディンだと生き生きするのな」
「ほんとね、お互いの事以外なにも考えてないんじゃないの、2人とも、なんかこっちに攻撃なんか来そうにないわね」
「そうだな、さっきのまぁちゃんへの攻撃もアサギに攻撃当てる為にわざと見せた隙だろ?ま、こっちは楽だからいいけどさ、しっかし強いな、ほんとに3等兵なのか?」
「他の3等兵とは別格の強さね、詐欺よ、詐欺、称号詐欺、あの強さで3等兵分のポイントにしかならないのよ?」
「なー、おかしいよな、誤植じゃないのか、あれ」
「ねぇ2人とも!離れてるからって随分余裕そうじゃない!私はすぐ後ろにいるんだから結構怖いのよ!もっと真面目にやって!!」
「「ごめんごめん」」
アサギと「ダクパラ」はもはやお互いの事以外見えていないし声も聞こえていないようだ
お互いでしか言葉のやり取り、そして攻撃のやり取りをしていない、その「ダクパラ」のすぐ後ろにいるまぁちゃんは攻撃こそ当たるものの全く気にされていないが振り回される盾や剣を避けるのに必死だった
それほど普通の3等兵とはなにもかもが違っていた
これはバグか仕様なのか、「ダクパラ」の抑えられていた力が徐々に解放されつつあるのだ
「まだまだだアサギィ!シネェ!!」
もはやこれは何度目だろうか、お互いの盾がぶつかる、その後には剣がぶつかる、それを繰り返してきた
「ハッハッハ、アサギィ・・・ここからは1等兵の力だ、耐えられるか!?」
再度盾同士がぶつかり合う、そして「ダクパラ」の剣が振られ、その剣は虚空を切る
アサギは盾の衝撃を殺し切れずに後ろに吹き飛んでいたのだ、それにより「ダクパラ」の剣を食らう事はなかったのだが
「ハーッハッハッハ!!いなかったのかアサギィ!!さっきまではそこに居たのになぁ!?どうやら力を解放した事でお前よりも相当強くなっちまったみたいだなぁ!!ハーッハッハ!!」
アサギが弾き飛ばされたのを見て3人の手が止まる
「あっちゃん!大丈夫!?」
「・・・まずいわね・・・力の開放って事はバフじゃないんでしょ?ってことは時間制限なんかないわよ、アサギが耐えられないってんなら勝ち目なんかないわ」
「アサギ!・・・いや、まだやる気はあるみたいだ、やれるだけやらしてみようぜ、うちの聖騎士様を信じてな!」
アサギはゆっくりと立ち上がる
「ふー・・・ちょっとびっくりした、「ダクパラ」!楽しくなってきたね!!」
その顔はとても楽しそうだ
しかしそれを見て「ダクパラ」は不機嫌そうに叫んだ
「楽しいだぁ!?すぐにそんな感情は持てねぇようにしてやるよ!!」
「ダクパラ」は盾を構えアサギに向かって突撃してくる
「ちゃんと数えてないとだめだよ、「ダクパラ」」
10発防いだ事による反撃スキルを突撃を躱しながらアサギは「ダクパラ」の横から当てる
今までは「ダクパラ」の位置を固定する為に真正面から打っていたので横からの攻撃を「ダクパラ」は回避できなかった
その衝撃により「ダクパラ」は吹き飛ばされてる
「吹き飛ばされた後は空振りだったよね、まあ、私の剣はでっかいから空振らないんだけどっ!!」
右肩に担いだ剣を「ダクパラ」目掛けて振り下ろす、光が大きく剣を形作っているので先ほどの「ダクパラ」の様に虚空を切る事はなかった
「アサギィィィ!!!!」
「まだまだ終わらないよ「ダクパラ」!!力が強いだけじゃあ勝てはしない!ステータスやスキルだけじゃない強さって奴を見せてあげる!!」




