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挨拶と突撃は聖騎士にとっては同じ事

今日2話目です

「ゴホッ!ゴホッゴホッ!馬鹿!突っ込んでくるんじゃないわよ!」


「ご、ごめんよー」


 そう言いながらもアサギはセッキーから離れようとはしない


「わかったから離れなさいよ、まったくもう」


「くふふ、ごめんね」


 謝りながらもその顔はどうにも嬉しそうで


「あー、わかったわかったってば、もう離れなさい」


「はーい」


「そうか、セッキーは一応は土の教会所属なんだっけ?」


「そうよ、で、それをアサギの所に変えてもらったって訳、これで私は7番目にして最初の教会のプリーストになったのよ、ちなみにクエストとかは普通に土の教会でも受けれるから何も心配する事はないわ、ダンチョー団長がそう言ってるんだから間違いないでしょう」


「くふふふ、嬉しいなぁ」


「ねぇ、そこの教会に私も所属する事ってできないの?どうせなら私も入っておきたいんだけど」


「ああ、俺も俺も」


「そう言うだろうと思ってちゃんと変えといたってダンチョー団長が言ってたわ、私は一応教会に関係する職業だからちゃんとした手続きを踏む必要があったけど、2人はそうじゃないから大丈夫なんだってさ」


「うーん、相変わらずこっちの考えが全部読み取られている・・・」


「ダンチョー団長は見た目と違って頭がいいからね」


 そう言ってフクフは紅茶を飲んだ


「さて、皆さん、クラスチェンジおめでとうございます、邪教徒が出現してきてなにやらきな臭い事になってますがますます精進してますます強くなってくださいね」


「「「「はい!」」」」


「で、早速なんですが教会からクエストのお願いがあるんですよ」







「クラスチェンジしたら早速隠れ家関連のクエストが発生したねー」


「そうだな、しかも結構な数だな、中から計画書を取って来いだの、邪教徒ソードマンタイプを何体倒せだの、多分このアルージーってのが隠れ家のラスボスだろ?こいつの討伐なんか結構報酬うまいぞ」


「そうね、経験値も結構もらえるしお金もいい感じね、じゃあ行ってみますか」


「「「おおー!!!」」」


 4人は「邪教徒の隠れ家」がある「ダイブキタ鉱山」に行く為に王都から転送装置を使って第3の町「ツギノッギー」までやってきた


「わー、王都以外の町はじめてだー、ちょっと転送位置解放してくるね」


 本来なら行った事のない町への転送はできないがパーティ内に転送位置解放を済ませたキャラがいれば転送装置によって移動する事ができる、これによりアサギは来た事がないこの町まで転送する事ができたのだ


「え?あっちゃんなんで来た事ないの?」


「そりゃアサギが教会の稽古で大忙しだからよ」


「ええ、ほんとにパラディン好きなんだね・・・稽古が好きなのか・・・?」


「んー・・・後者も否定できっこないだろうなぁ」


「うん、両方とも好きだよー!毎日強くなってる感じがする!」


 目の前にはいないがパーティチャンネルで会話をしている為にアサギから返事がくる


「ほんとあっちゃん強いもんね、強いっていうか上手いっていうか」


「まぁちゃんも大分動けるようになってきたってダンチョーがこの前褒めてたよー」


「ほんと?じゃあボコボコにされて正解ね」


「あはは、そうだねー、おまたせ、じゃあ行こっか!あ、でも今徘徊時間なんだっけ?」


「あー、いや、もう大丈夫みたいだぞ、何人かあっちの方に向かってるプレイヤーがいる」


「結構強そうな人もいるわね、あの人たちも隠れ家狙いかしら?」


「どうだろうな、「ダイブキタ鉱山」の内部も結構強い敵でるらしいぞ、ダンジョン用モブじゃないから一人二人でも狩りできるしな」


「狩場が多くて結構ばらけるから他と狩場が重ならないのはありがたいわよね」


「そうだね、インスタンスダンジョンのCTがどれくらいかにもよるけどナイットンの魂がでたら内部で狩りするものありだねー」


「いや、結構遠いぞ、鉱山の入り口は手前だろ?隠れ家の入り口は山の横だ」


「それはちょっと移動距離ありそうだね」


「モブがでなければそこまでは、ちなみに鉱山の外にはオーガがそこそこ湧くからな、んじゃいくぞー」


「「「おおー!!!」」」


「ツギノッギー」から「チトトーイ荒野」を抜け「ダイブキタ鉱山」へと4人は向かう

 元々フィールドに生息しているモブは少数のプレイヤーで対処できるようなモブしか配置されていない(場所にもよるが)ので道中は何も問題はなかった

 ガオーンと直接戦闘をしたアサギ達にとっては名前もないようなオーガは敵ではなかった、オーガを見た事は初めてだったまぁちゃんはオーガが持つ武器を振った時の風切り音に多少驚いてはいたが次々と殲滅えていくオーガを見て隠れ家の入り口に辿り着いた時は少しも怖いと思わなくなっていた


「よし、ここね、なんというか・・・隠れ家ってよりただの祠じゃない?」


 セッキーがそう思うのも無理はない、クエストの情報で見た場所にはぽつんと小さな祠が建ってるだけだったのだ、どこにこの鍵を使うのだろうか、4人はそう思いその祠を隅々まで観察してみる事にした


「あ、あった、あったよ、鍵穴!」


 まぁちゃんが祠の裏にある鍵穴を見つける、しかし裏から開けたとしても人がはいれるような大きさの祠ではない


「んー・・・まぁ、ゲームだしね、なんでもありじゃないの?とりあえず私から鍵使ってみるね」


 アサギはそう言って鍵穴に自身が持つ鍵を差挿し込む、その途端辺りが急に光りだしてアサギは知らない場所に1人立ち尽くしていた、どうやら強制転送されたらしい


「アサギ!?大丈夫!?周りに敵はいないかしら!?」


「あ、セッキー、ええと、うん、大丈夫、なるほどね、って感じ」


「どういう事だ?」


「来てみればわかるよ、大丈夫、鍵挿すだけ」


 アサギの言葉に1人、また1人と転送してくる


「あー・・・これは確かになるほどだわ」


「ね、そんな感じでしょ」


 転送された場所は辺り一帯が山に囲まれている盆地だった、そこに大きい洋館のようなものが立っている


「どうやらもうインスタンスダンジョンの内部みたいね、邪教徒が巡回しているわよ、足元にある魔法陣からでなければ見つかる事もない訳ね」


「じゃあとりあえず1人釣ってどれくらいの敵か調べてみますかね」


「うん、そうだね、じゃあやってみよう」


「「「おおー!」」」


 アサギはまず洋館の入り口に入る為に入り口の前を巡回している邪教徒を1体光の腕で近くに引き寄せた、どうやら他のモブとリンクしている訳ではないらしく他のモブは襲い掛かってこなかった


「5等兵のソードマンタイプのダンジョン用モブ、か」


「そうね、外で会った時6等兵よりはHPが多いみたいね、でも対して変化はないわ」


「まあ、まだ隠れ家の外だからな、えーっと外観からすると3階建てだな」


「ゲーム的に考えるとどっかで鍵を持ってる中ボスがいてそいつを倒しながら進んでいく、とかありそうよね」


「ああ、まぁちゃんそれありそう!」


「でしょでしょ?昔やってたゲームにそんなのあったのよ」


「まあ、初回だしまずは虱潰しかな、経験値も結構美味しそうだからな」


 洋館の外をぐるぐると回っているモブを少しずつ切り崩しながら4人は入り口の前に進んでいった


「よし、じゃあ入ろう、おじゃましま~す」


「あっちゃん多分それ必要ないよ?相手からしたら私達敵だもん」


「アッハッハ、笑わせるなよ、アサギ!!」


「パーティチャンネルだから聞こえてないしね、というか全部が全部会話に反応するモブならゲーム成り立たないわよ、1体が声あげたら皆来ちゃうじゃない」


「な、なんかやっぱ家にはいるときは・・・ねぇ・・・?」


「わからなくはないけどな、アッハッハッハ」


「もう!笑いすぎ!」


 アサギはマーリンは放っておく事にして扉を全開にした


「おー、いるいる、マップみても反応がうじゃうじゃだ」


「んー・・・巡回も多いね、流石にこの数は全部来ちゃうときついな、少しずつやっていこう」


 アサギはわりと慎重な性格である、無理する必要がない時には無理はしない、少しずつ少しずつ複数のモブに絡まれないように敵を呼んでいく


「まぁちゃん、ハイドモブがいないかだけ見ててくれるー?」


「あ、はーい・・・うん、この部屋はいないけど隣の部屋にいるね、シーフタイプ」


「じゃあクエストアイテムがどこにあるかわからないからそこも行こうね」


 アサギ達は教会で得たクエストのアイテムやモブを倒しながら1階部分を探索していく、途中ハイディング状態になっている敵を倒す為に近づいたら辺りの敵をリンクさせ少々危ない所もあった


「ごめんねー!失敗したー!」


「大丈夫大丈夫、あのくらいは余裕よ」


 隠れ家にはいってからアサギ以外の3人のジョブレベルも上がってきているので新しくできる事が増えているらしく3人とも色々試しながら狩りをしている


「お、2階への階段があるのはあそこだな」


 1階部分の端に2階へと続く階段がある、その前にはその階段を守るように分厚そうな鎧を着る大きな男が立っていた


「なるほど、このパターンね」


「こっちもよくあるよねー」


「敵はあいつだけかしら?リンクする場所にハイディングしてない?」


「うん、せっちゃん大丈夫だよ、なにもいない」


「じゃああいつだけっぽいな、物理ダメージ入りにくそうだからヘイト上げすぎないように気を付けるとするか」


「そうだね、マーリン、ちょっとの間抑え目でお願い、じゃあ行くよ、階段の守護者「マモッテルン」!よろしくおねがいしまーっす!!!」


 挨拶と突撃を同時に始めるアサギであった

 ガキーン!金属と金属がぶつかる音が響く、同時に相手の身体が少し揺れる、それをみて4人は大体どれくらいの防御力なのかを知る、アサギの突撃で吹っ飛ばない敵は防御力が高い、これは4人の共通認識だった


「やっぱ物理防御は高いな」


「ええ、そうね、マーリンの独壇場かしらね、私達はお休みしようかしら」


「おお!マー君頑張って!後ろで見てるね!」


「いやいや、セッキーもまぁちゃんもちゃんと働いて!?」


 そんな事を言ってる間も金属と金属がぶつかる音が止む事は無かった、むしろその音はどんどんと激しさを増していく


「あれがあっちゃんの本気の装備なんだね、改めて見ると確かにいつもより早いし攻撃が重そう」


「あの剣なー、いいよなー、強いよなー」


「世界に7本しかない訳だからねぇ、この時期に最終装備候補持ってるなんてありえないわよね」


 ガンガンガンとアサギは攻撃を繰り返している、その内アサギは場所を変え「マモッテルン」の背中を3人に向けた、それは殴ってどうぞ!というアサギからの合図だ


「待ってました!」


 まぁちゃんが瞬間移動で「マモッテルン」の背後に移動し連続スキルを叩き込む、やはり鎧が固いのかそこまでのダメージははいってないようだが


「このレベルの敵に全部のスキルを繋げられるなんてほんと最高ね!」


 シャドウは武器が2本となりシーフよりも手数が多く火力が高い、故にヘイトが移りやすい、多分同じレベル帯のナイトがタンクを勤めてるならばよほど装備が揃っていなければ火力を少し落とさないとターゲットが移ってしまうだろう、だがアサギは相変わらず挑発スキルとヘイトが上がる行動を繰り返しきっちりとヘイトを固定していた


「全くだ!火力特化の俺の前衛はアサギ以外は考えられないな!」


 ウィザードになってますます火力があがったマーリンもやりすぎるとすぐにヘイトが移ってしまう、もちろん2人ともただ全力を出している訳ではなくヘイトが減少するスキルを発動したり多少攻撃を抑えたりはしている、しかし目の前にいる鎧の男は後ろからの攻撃に気づいていないかのようにアサギだけを攻撃している


「あんまりアサギが油断しちゃうような事言ってちゃだめよ、回復するのは私なのよ」


 そんな事を言いながらもセッキーも攻撃に参加している、ボスを狩っている時にヒーラーが火力貢献をするというのはタンクがしっかりと保っている証拠だろう、回復魔法は元々ヘイト値が高い、そこに攻撃を加えるのであればさらにヘイトは上昇する、しかもMPを攻撃に回しているので回復魔法へ回すMPはその分少なくなるのだ

 だが目の前のパラディンは、目の前のアサギはそんな事くらいでどうにかなるタンクではない

 ヒーラーが毎回いるのにちゃんと回復ポーションを使ってくれている事も好ましい、少しでも負担を減らそうとしてくれている、だから口ではあんな事を言いながらも1番アサギを褒めたいのはセッキーであった


「マモッテルン」のHPが半分になろうとしていた、ここまでは特に問題はなかった


「HP半分!なんかくるよ!!」


 アサギの声がきっかけとなったのかはわからないが「マモッテルン」はその場で少し攻撃をやめ固まり・・・凄まじい衝撃と音を立て爆発した

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