表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/137

教皇爆誕

「ああ・・・今日も空が青い・・・」


 私は軽やかに道具屋さんへと駆け出していた


 何故私が道具屋さんに来たかというと道具屋さんの裏に古びた物置があったのを見ていたからだ

 物置・・・多分、物置・・・

 いや、見るからにぼろくて使ってません!!って感じの建物だから多分物置であっているだろう

 交渉して使わせてもらおう!

 1日か2日くらい、いや、リアルの時間の3倍の速さだから3日は借りないとダメかな・・・?


「すいませーん!後ろの建物についてお聞きしたいのですけどー!」


「ああ、さっきのお嬢ちゃんかい、おかえり、後ろのってあのおんぼろな物置の事かい?」


 ビンゴ!やっぱり物置だった!


「はい、ちょっとの間でいいんですけどあそこを拠点に使わせていただけないかなぁ、って、あ!冒険に必要な道具はここで揃えますし、他の外遊人にもしっかり宣伝しますんで!!」


「んー、どうせ使ってないから別に使うのは構わないけど・・・はっきり言って汚いよ?いくら外遊人とは言え貴女みたいなお嬢ちゃんが寝泊まりするのはねぇ・・・虫とかでるかもしれないよ?」


「虫・・・は、い、嫌ですけど・・・大丈夫です!寝泊まりするんじゃなくて、あ、いや、するかもしれませんけどあそこを一時的に教会にしようかな!って思いまして」


「教会だって?まさか6柱の教会に喧嘩を売るって言うのかい?それならお断りだよ」


 この世界の住人は大体が6柱のいずれかの教会を信仰しているらしい

 確か教会で優しそうなおじいさんがそんな事を言っていた

 それなのに新しい教会を作るって言ったらそりゃ貴方の土地で教会に喧嘩売るので貸してください、って言っているようなものだ


「いえ、いえいえ、違いますよ!もちろん6柱関係の教会なので喧嘩は売りませんし、外遊人の友人の為にちょっとしたサプライズをしようと思ってですね」


 ま、まずい・・・どうするどうする・・・


「ふーん、まあ、私はこれでも道具屋で何人もの人間を見てきたからお嬢ちゃんが悪い事をするとは思えないけど・・・本当に大丈夫なんだろうね?もしなんかあったとしても私は何も知らなかったって言い張るよ?」


「はい!本当に大丈夫です!喧嘩なんて売りません!!!」


 大丈夫、喧嘩を売るわけじゃあない、ただちょこっと教皇になってささっとパラディンロードになるだけだ

 他の教会の教皇を襲って成り代わる訳でもないしでもない、脅して無理矢理任命させる訳でもない

 ていうかまだ私レベル1だし現地の人の方がレベル高くてそんな手は使えない

 よしんば使えたとしても私の聖騎士道には反してる


 私が目指している聖騎士は弱気を助け悪を挫く、そんなテンプレ通りな聖騎士なのだ


「んー・・・まあ、じゃあ掃除してから使いなさいね」


「はい!ありがとうございます!」


 私の聖騎士への道がこれでまた前に進んだのだ







 私は正直に言って掃除が嫌いだ

 掃除をしない為になるべく持っているものは少なくする

 それでも私は女の子だ、洋服や化粧品、少しくらいのアクセサリー、本棚を占領する聖騎士や聖剣に関する漫画、小説、ゲームそれくらいしか部屋にはない

 聖騎士関係の物は綺麗にできるのになんで他は汚いのか、普通逆じゃないのかと家に遊びに来た事がある席子ちゃんに言われた事もあったけれども聖騎士関係の物を綺麗にしすぎてるだけであって別に部屋が汚いという訳ではない・・・はずだ・・・いや、でも掃除嫌いだし、でも遊びに来るって言うからちゃんと掃除したし・・・うぅぅ・・・


「それでもこの汚れを全て倒したら私は聖騎士になれるのだ!」


 なんでゲームの中で嫌いな掃除をしなければならないのだろうかと言う当然の悩みが頭の中に浮かびかけたけれど私はその悩みを聖剣で切り裂く事にして掃除を進めていくのであった


 それから何十分が経ったろうか・・・


「おーわーったー!!!!!」


「よし!ここを創造神の教会とする!そして私は教皇となる!!」


 高らかに宣言をした、それはもう大声で


「「こんにちわ、外遊人」」


 ・・・はい、こんにちわ・・・?






「君はここを教会とするんだって?」


 私は正直ビビっていた

 何故なら目の前に居て私に挨拶をした人、人?とりあえず人は明らかに人間じゃあないからだ

 このゲームは人間以外にも獣人とかエルフとかも選べる事は知っているけど、多分この人達は違う

 絶対に違う・・・だって・・・・


 なんかめっちゃ光ってるし軽く浮いている気がする


「え、はい、ここを・・・教会に出来たらなー、なんて、思っておりますです、はい」


「創造神って事は僕たちの教会なのかな?一応ここは王都で教会の本拠地もあるから外遊人と言えどもあまり勝手な事をされると困るんだよねー」


 なんか白く光ってる人が僕たちの教会とか、僕たち・・・そうか・・・この2人、いや、2柱は光と闇の神様だ、まさか神様が実在するタイプのゲームだったとは・・・

 しかもやんわりと教会の新設はダメだって言っている

 まずい・・・どうする、考えろ考えろ・・・


『皆様、「魔王クエストオンライン」こと「まおクエ」へようこそいらっしゃいました!ゲームが開始されてから数時間が経ちました、システムについてわからない事があったら視線を右下の方へ向けるとヘルプ機能がありますのでそちらから問い合わせてくださいね、またこのゲームはフルダイブとなっておりますので体調の変化などを感じ難くなっております、右上の方のアラームが点滅しましたら連続ログインがこちらの世界で12時間を超えた合図です、一度ログアウトをしていただき30分間リアルの世界でリラックスしていただいてから引き続きゲームをお楽しみください!ではこれからも「まおクエ」の世界で自由に楽しんでくださいねー』


「ああ、天の声か・・・」


「「えっ?」」


 天の声、つまり運営からのプレイヤーに向けた一方的な発言である

 このゲームを始めてから初めて聞いた天の声につい反応してしまい独り言を言ってしまったが目の前にいる神様達はその独り言に何故か目を見開いている


「今天の声って言った?」


 今度は黒く光っている神様が話しかけてくる


「この世界で天啓を授けられるのは6柱のみのはずなのに一体どこの誰からの声が聞こえたって?予言の通りに外遊人が増えた事は喜ばしいし、僕達が直接手を出す事はしないと決めていたけどあまりにもふざけていたら流石に看過できないよ?」


 考えろ、考えろ・・・頭を使え、聖騎士!


「い、いえ、私の言った創造神とはこの世界を作ったとされる貴方方を生み出した方の事なんです」


 2柱の表情が険しくなる


「ほう・・・ではその名前を聞かせてもらおうか・・・」


「・・・えーっと・・・創造神ウ、ウミノピーです!!」


「「ウミノピー?」」


「はい、この方は世界を作る前の何もなかった所に貴方方を生み出しました、そしてお二人が天地を作り、他の神様を生み出したのを見て成功した!とこの世界を託したそうです」


 これは海野プロデューサーがインタビュアーに語っていた事だ

 天地を作りそして他の神を作らせる、そうプログラミングしたAIを2つ作りそこから世界がどうなっていくかはそのAI次第、だから生みの親とは言ってもそこまで何もしていない、そんな事を笑って言っていた


「創造神ウミノピーは笑って言ってました、この世界は僕の自慢の世界だって、だから私たち外遊人に自由に遊び出会いを楽しいんでほしい、って」


 険しかった表情が少し和らいだ気がする


「そして君は天啓を聞き、ここを教会にするように言われたと、そういう事なんだね?」


「ふむ、僕達は確かに天地を作った、しかしどのように生まれたかは知らなかった・・・創造神ウミノピー様が僕達の生みの親って事か・・・」


「はい、その通りです、ちなみに男性なのでお父様です」


「そうか・・・ちなみにお父様はどこにいるのかはわかるかい?」


「あ、えと、外の世界・・・です」


 あ、2柱ともちょっと残念そうな顔になった


「ふむ、会って見たかったが外の世界に行く術を我々は持っていない・・・いつかお父様が我らの所に来てくれるといいのだが・・・しかし、そうか・・・自慢の世界か、そうかそうか」


 あ、今度は嬉しそうな顔になったぞ


「ああ、お父様が直接天啓を下すほどの外遊人に自己紹介をするのを忘れていたよ、すまないな、見ての通り私は光の神ヒッカリーだ」


「私は闇の神ヤ・ミーだ、よろしくな」


「あ、アサギと言います、よろしくお願いします」


「まあ、よろしくと言っても我々は普段人の前に現れる事はまずない、たまに教会にいるに人間に天啓を下すくらいだ、ただ今日は予言の通り外遊人が増えてきている事を確認しにきたら創造神とか教会とか聞こえたからな、これは捨て置けぬ、と現れてみたんだが・・・いや、放っておかずに正解だったな!なぁヤ・ミー」


「まさにそうだな、行幸と言える、我々すら知らなかった我々のルーツを聞けたのだから」


「アサギよ、我々とこうやって面と向かって会話をする事はおそらくもう2度とない、まあ、魔王が目覚めるかもしれぬからその時は人々の前に出てくる可能性もあるが流石に個人的な会話なんかしている暇はないと思うしな」


「だから今しか我々が恩を返す機会はない、アサギはここを教会とすると言っていたな?普通なら教会という物を新しく作る事は不可能だ、だがしかし我々がそれを許可しよう、なに他でもない父上の教会だ、我々の信者達が何と言おうが関係ない、何故なら我々が許可するのだから」


 こ、これは!?

 この流れは!!!???

 先ほど私がここを教会にする、と宣言した所で私は教皇の職には就けなかった

 ステータスを見てもソードマンのままである、つまり自称聖騎士でしかない

 だが!?この世界における6柱のうちの2柱が許可を出してくれるなら!?

 しかも光と闇なら他は子供だもん!きっと親のいう事聞いてくれる

 ていうか光と闇の神が父親の事であんなに態度を柔らかくしてくれるんだから絶対に許可を出してくれるはずだ!


「アサギよ、光の神ヒッカリーと」


「闇の神ヤ・ミーがここに許可する」


「「創造神ウミノピーの教会の教皇となれ!!」」


 ここに本来ならなれるはずのない職業「教皇」に初日になってしまった奇跡のプレイヤーが誕生した





「ついでにパラディンロードにもなれ、私!」


 あとパラディンロードも誕生した

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 主人公がこの先どう動いていくかなど今後の展開が楽しみです。ブックマークに登録させていただきました。今後とも執筆頑張って下さいませ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ