聖騎士と1人の少女
誤字報告ありがとうございます!!!
「おまたせー!」
「おお、おかえり」
「おかえりなさい、どうやら杞憂だったのがわかったみたいね」
「うん、大丈夫だった、あ、そうそうダンチョーから伝言でそこら辺に邪教徒が出るようになったからそいつら倒してメダル集めるとポイントにしてもらえて装備と交換できるようになったんだって、あと骨の迷宮をまだ私達はクリアしてないんだって、強くなったらその時に言ってくれるらしいよ」
「ああ、邪教徒の方は今掲示板でも話題になってるわね、どうやら教会とか練兵場とかクエストを発行してる施設のNPCからその情報を聞けるようになるらしいわ、骨の迷宮に関しては・・・まあ、まだまだ奥がありそう、って感じかしら?なんにせよ強くなってからって言うなら頑張ってレベル上げするしかないわね」
「うんうん、あー、あとね、うっかり骨の迷宮が出来た時の話もしちゃったんだけど・・・」
「マジか!?あれはセッキーがダメって言っただろう?」
「それで?ダンチョーはなんて?」
セッキーの目が光った気がした
「うん、ごめんね、でもねあそこで邪教徒絡みの事件とかは起きてないし失敗作って言ってたらしいからもうこないんじゃないかー、って、だから今まで通りプレイヤーが使っていいって言ってたよ」
「んー・・・つまり何かあったら使えなくなる可能性があるって事ね」
「あ!そ、そうだね・・・」
「とにかく言っちゃったものはどうしようもないわ、なにもない事を祈るのとダンチョー以外には言わないようにしましょ」
「まあ、アサギが言ってなかったら俺がついポロっと言ってたかもしれないからな、気にすんな気にすんな」
「そうよね、よし、もし他の人にマーリンが言って閉鎖しれたら全部マーリンのせいにしましょ!」
「おいおい、それはないだろ、せめて3人で罪を被ろうぜ!」
「だめよ、私はアサギとまだまだ遊びたいもの」
「えー!そうなったら俺ゲームやめなきゃいけないのか!?うわー、これは気をつけないと、アサギ!お互いやばそうなら教え合おうな!!」
「そうだね!私もセッキーと遊びたいもん」
「俺はー!?」
「はいはい、残念ね、でね、今マーリンと今後について話してたんだけどこの後にプレイヤー主催のPVイベントが闘技場であるんだって、そこに行ってみない?」
「え?パラディンのスキル使えないと私強くないよ?他の人に見せちゃダメでしょ?」
「もちろん参加はしないわ、アサギも私達もね、イベントの主催者はゴリゴリのトッププレイヤーよ、1秒も無駄にしたくないはずなのになんでこんなイベントやるかわかる?」
「え?えーっと・・・PVの練習とか?」
「そんなのトッププレイヤーからしたらレベル差でごり押すだけよ、一応そんな事を主催者は言ってはいるけどね、ゲームである限りPVイベントはあるだろうから今のうちに慣れておこう、ってな感じでね」
「わかった!強い人を見つけて警戒する為だ!!」
「んー、それもあるかもしれないわね、でも多分それじゃ理由としては弱いわ、むしろ逆だと私は考える」
「逆?」
「ええ、多分トッププレイヤーも行き詰まってるんじゃない?レベルとステータスだけで対処ができない敵が出て来たとかね、まあ、そこもレベルあげればごり押しできるようにはなるかもだけど多分狩り場が混んできているのよ、だからこのイベントを開催して強い人を見つけて勧誘する、それがこのイベントを主催した理由だと思うの、掲示板見てみれば割と名前をよく聞く人が出てくるらしいわ、この人達は私達とはレベルが合わないからいいとして私達は私達のレベルに合った仲間を探してみようかな、って」
なるほど、それは確かに見つかるかも知れない、アサギは一度そう考えたが疑問も同時に沸いた
「でもそれだとスキル縛ったままの戦いになるよ?」
「どうせフリーダンジョンはスキル縛らないといけないでしょ、だから問題ないわよ、フリーダンジョンに行く為の一時的なパーティでもいい人を探すの、元々フリーダンジョンじゃスキルを隠さないといけないからね、野良でフリーにいくだけなら問題ないわ、もちろん良さそうなら教えてもいいかもしれないけどね」
「なるほど、うん、わかった、じゃあ見に行こう」
「アサギはどんな職が今のこのパーティに必要だと思うか?俺としては火力ならなんでもいいとは思うんだがタンクとしてはどうなんだ?」
「えーっと・・・ハンター系だと射線通すのどうなんだろ?クレリックとマジシャンだと装備かぶるし・・・んー、火力系ナイトかシーフ系?あとどんな職あったっけ?」
「そうね、ソードマン系がナイトマスターとパラディン、シーフ系がシャドウマスターと忍者、ハンター系がエクススナイパーとトラッパー、クレリック系がハイプリーストとエクソシスト、チャント系がドルイドとモンク、マジシャン系がハイウィザードとスピリットマスターよ、アサギと装備が被るのはナイトマスター、私はエクソシストとチャント系と被るといえば被るわ、マーリンはスピリットマスターとやっぱりチャント系ね、チャント系の特にドルイドはもてる種類が豊富だからね、でも殴り系なら私と種類は被っても補正は被らないわ、マーリンもINTよりMNDだから突き詰めれば被らないわ」
「となるとやっぱりシーフ系かハンター系かな?私としては武器は被ってもパラディンロードの剣があるから大丈夫だとは思うけど、防具もレベルがあがっていけば細かく細分化されていくみたいなんでしょ?パラディン専用、とか今はまだソードマン系のみ、とかだけど」
「別にそんな長い目でみなくてもいいんじゃないか?最初からそんな先のこの事考えても合う合わないがあるんだしな、弓だってモブの背中向かせてそっから撃てば射線も気にならないだろ、エンドコンテンツまでまだまだだし装備が被ったっていいじゃないか、まだ、通過地点だよ」
「それもそうだね、じゃあ火力系、でいいかな!」
「そうね、じゃあレベルが同じくらいの人が参加してるのを願って見に行くとしましょうか」
「「おおー!」」
アサギ達は王都にある闘技場に向かった
そこは古代のコロッセオを確実にモチーフにしただろう、と誰もが思うくらいにそのままの作りだった
特にアサギはこの手のものも大好きだったのでよく写真を眺めていたので見た瞬間にそれに気付いた
「わー!こんなところあるならもっと早く来てればよかった!すごいすごい!流石に壁画とかは違うけどそっくりだよー!」
「そうなの?あまり詳しくないからわからないけど・・・でも見た瞬間にここは闘技場だ!ってわかる造りね」
「ああ、流石にまんまは無理だろうからなー」
「わー、一度本物に行きたいなー、でも本物は中にはいれないのかな?じゃあこっちの方がいいのかなー」
「アサギは本当に前衛系の職業が好きよねぇ、昔からよね」
「そうだねー、別に筋肉が好きって訳じゃあないんだけどねー?あー、でもがっちりしたおじさんとかお爺さんがゴッツイ鎧着てるとか小さい子なのにガッチリした鎧着てて大きい武器持ってるのとか好きだねー」
「んむんむ、わかるぞ、アサギ、それはロマンだ」
「あら、マーリンは綺麗なお姉さんがビキニアーマー着てる方が好きじゃあないの?アサギに教えてもらったSS掲示板でそんなのばかり見てると思ったけど違うのかしら?」
「いや、それはまあ・・・そういうのも好きだ!!それもロマンだ!」
「えー、ビキニアーマーじゃ防御力がないよ、防御力が、お腹刺されたらどうするのさ」
「そ、それはこのゲームは外見を移せるからいいんだよ!」
「まあ、そうだけどさー、私は着ないなー」
「当然私もよ、残念だった?」
「馬鹿、そんなもの着られて目の前にいられたら集中できないだろ、だからいいんだよ、そんなの、ほら、さっさと椅子の方に行こうぜ、よく見える所取られちゃうぞ」
「「はーい」」
アサギとセッキーは笑いながら足早に歩くマーリンの後を追いかけて行った
闘技場の内部のPVエリアには20人くらいのプレイヤーが他人に攻撃を加えないように気をつけながら主催者の話を聞いていた
レベル帯は特に制限がかけられていたら訳ではないが集まったのは皆イベントでアサギ達と同じ王都南に集まっていた上位のプレイヤーばかりであった
そこには純粋にPVを楽しみに来た者、他人を観察に来た者、やはり行き詰まって新たなパーティメンバーを探しに来た者、ソロに飽きた者などさまざまなプレイヤーが己の目的を果たそうとしていた
そんな中主催者も当然自分の目的を果たそうとしていたので
「えーと、じゃあレベル順という事で並んでいただいて、そうですね、じゃあ半分に分けて2グループのトーナメントでいいですかね、24人なので12人ずつ、レベル低い方と高い方に分けて先に低い方から、と言う事で」
少しでもレベルが高い方がいいとレベルで半分に分け低い方をさっさと終わらせて帰そうとしていた
しかし本人には全く悪びれた所はない
周りの人間がやらないだけでこういう交流も必要だと考えているからだ
それにこのPVイベントを見に来てる奴らは何もしないで他人の実力を見に来て勧誘しようとする奴もいるはずだ、だから感謝してほしいくらいだ、そのくらいの事を考えていた
それならレベル制限をすればいいのでは、と主催者側で話し合ったがそれだとパーティを補充しようとしているのがバレる可能性があるし人が集まらない可能性もあったので制限を設けるのはやめた、終わった後に声をかける際に横から割り込まれてもめんどくさいのでなるべく裏の目的の匂いを消そうとしたのである
先にレベルが低い方の12人が1対1で戦っていく
レベルが低いと言っても最前線を走る主催者からしたら低いだけでその12人はアサギ達と同じようなレベル帯だった
「んー、やっぱりパーティの補充が目的みたいね、最前線の人達同じギルドにいるけど支援2人とタンクはいるけど火力が2人しかいないわ、だからPVイベントなのね、まあ、野良で探すよりは早いのかもね」
「ああ、火力枠だけの募集なのか、なら戦わせるのが1番早いよな、でもそいつらはイベントに参加するのか?」
「そりゃ少しでも怪しい所を減らす為に参加するでしょ、今動いた12人の中にはあそこのメンバーは居ないからあっちは最初から勧誘する気がない方ね、私達と同レベルくらいだから欲しいのが被らなくてなによりだわ」
「ああ、それは確かだな、流石に俺達よりあっちのギルドの方が誘われたら行く人多いだろうからなー、と言うかレベル低いのに誘われても断るか、なあ、アサギ、ん?アサギ?どした?なんて顔してるんだ?」
「ん?あー、マーリン、あの奥のソードマン、多分主催者ね、あの人の名前とギルド名見て何かおもわない?」
「ん?えーっと、アーサー・・・ギルド名が円卓の騎士・・・あー、そう言うことか」
「そうだよ、マーリン、あの人がアーサーかー!くそー!私のアーサーがー!」
「しょうがないでしょ、早い者勝ちなんだから」
「うー、でもでもー・・・」
「それに私はアサギって名前気に入ってるわよ、だからいいじゃない」
「そうだな、俺もアーサーって呼ぶよりはアサギって呼んだ方が呼びやすいな」
「え?そう?くふふふ、気に入ってくれた?んー、じゃあいいかなー」
「っとそろそろ最初が始まるみたいだぞ、最初はソードマンとシーフか、どうだろうなー、一応ソードマンは槍持ってシーフは短剣だから装備は被ってないけどクラスに差ができるのって3次だからなー、現時点でどっち狙いかわからないな」
「まあ、正直パラディン目指しててPVくるとは思えないけどね、それにタンクは人気職だからギルドとか固定パーティ入ってるんじゃない?狙いとしてはあのシーフの子ね、どっちになろうが被る心配はないわ」
「シーフはシャドウになって物理系のシャドウマスターか遠距離魔法もできる忍者のどっちかか、確かどっちも短剣メインだよな」
「ええ、シャドウマスターは短剣二本が主力で忍者は刀か忍者刀が主力らしいわ、どんな型にステータスを伸ばすかにもよるでしょうけどね」
「あのシーフの子動きいいね、多分AGI、STRの順に多くてちょっとDEXも振ってるかな?短剣の振り方が綺麗だから補正あると思う」
「へー、そんなのわかるもんなのね」
「土の教会の人にDEX上がった人と上がってない人がいてね、どんな差がでるのかなー、って思って観察したんだよ、若干だけど攻撃速度にも補正がはいる気がする、綺麗に振れるからその分早くなる、みたいな感じで」
「なるほど、そんな効果もあったのか」
「装備も被ってないし攻撃もなかなか良さそうね、レベル帯もほぼ同じ、声かけてみようかしら?」
「そうだね、顔の作り的にもいじってなさそうだから同い年くらいじゃないかな?」
「はー、よく見ただけでそんなのわかるな」
「教会で色んな人に稽古してもらってるからね」
「よかったわね、マーリン、また女の子が増えるわよ、しかもあの子の装備結構可愛い感じの外見に変えてるんじゃない?」
「だー!またそう言う事を言う!まあ・・・そりゃ可愛い格好の方が好きだけど・・・でも一番は相性だぞ!ちゃんとパーティメンバーの事を考えながら行動できない奴とは同じパーティで狩りができるとは思えん!」
「うんうん、それはそうだね」
「ええ、当然ね、できれば一緒にインスタンスダンジョンにもいけるくらい仲良くなれればいいんだけどね」
3人が1人のシーフの少女についてあれこれ言っている間、少女は目の前にいるソードマンに集中していたので3人が自分を勧誘しようとしているなどとは全く考えていなかった
ただただ目の前にいる相手、槍と言う相性の悪い武器を持つ相手にどうやって勝つか、そしてこの戦いは楽しい、ただその2つのみを考えていたのだった
職業は3次職まで考えていて基本職、上級職、専門職と強くなっていく設定です
ソードマンはナイトになり、攻撃型のナイトマスター、防御型のパラディンに分かれ
シーフはシャドウになり、物理火力と攻撃速度に優れたシャドウマスター、遠距離攻撃を豊富に持つ忍者に分かれ
ハンターはスナイパーになり、より強い射撃ができるエクススナイパー、罠などを活用できるトラッパーに分かれ
クレリックはプリーストになり、回復魔法や支援魔法を強化したハイプリースト、光系攻撃魔法を強化したエクソシストに分かれ
チャントはシャーマンになり、自己を強化し戦うモンク、自然の力でパーティを強化し戦うドルイドに分かれ
マジシャンはウィザードになり、より強い魔法を求めたハイウィザード、精霊の力を活用し一緒に戦うスピリットマスターに分かれる設定です




