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聖騎士は骨とよく会う

 さきほどの声の主は「いでよ」と言った、つまりは何かを呼び出したのだろう

 声の主と直接戦う訳ではないようだ


「さっきの声って誰なんだろうね、やっぱ邪教の神様なのかな?」


「んー、どうでしょうね、6柱の神様だってあんまり人前に出ないんでしょ?あっちのもそうなんじゃないの?まだ2、3回しか声が流れてないからわからないわね」


「わかりやすく名乗ってくれりゃあよかったんだけどなー・・・っと、あそこになにかいるぞ」


「えーっと、なになに、「邪教が呼び出し者」か、見た目的には・・・リッチっていうの?骨の魔法使いだね、ん?あれ?頭の上にバーがついてる、なんだろ?」


 今まで倒した敵の頭の上にはないものがそいつにはあったのでアサギはもしや、こいつ強いのでは?と勘繰った


「ああ、あれさっきジョブレベル上がったから「ボスモンスター鑑定」ってスキル取った、俺がパーティにいるとボスのHPバーが表示されるようになるらしいぞ、これでアサギも戦闘が楽になるだろ?HPの減り方でモーション変わるボスとか多そうだからな」


「ああ、そうなんだ、ありがとう、マーリン、確かに戦いやすくなったよ!」


「なんでそんな便利なものがあるのにさっさと取らなかったの?」


「「まずは火力でしょ!!」」


 セッキーの問いにアサギとマーリンは声をハモらせて答えた


「ああ、はいはい、そうね、じゃアサギ、さっさとあれのヘイト固定して」


「あ、うん、そうだね、あれ・・・でも・・・」


「うん?どかしたのか?」


「セッキー!マーリン!どうしよう!!魔法系のボスってどうやって壁したらいいのかわかんない!!」


 アサギの絶叫を聞き2人は固まった


「え?タンクについてアサギがわからないものを私がわかる訳ないじゃない!?マーリンは!?」


「お、俺だってわかんねぇよ、え、でも別にヘイト固定はできるんじゃないのか?そこらへんの雑魚と一緒だろ?」


「そうなのかな?瞬間移動で消えたりとか私の後ろ側から魔法発動してきてダメージ軽減できないとかないのかな?」


「えー・・・まあ、ないとは言い切れないけど・・・大丈夫よ、アサギ!なんかあったら私が回復するから!ほら、他のパーティに取られる前にやるわよ!今の所レアアイテムはさっきのダクパラの魔石くらいなもんよ!!」


「わ、わかったよぉ・・・よし、じゃあいつものから行くよ!」


 そう言うとアサギは「邪教が呼び出し者」に向かって突撃していく

 ドーン!とぶつかったと思ったら「邪教が呼び出し者」の手前で止まってしまった


「わ!バリアある!」


 アサギの盾の前に透明な幕のようなものが広がっている

 それは今の突撃によりすこしヒビがはいった


「魔法はダメージ通るのかな、っとぉ!!」


 マーリンは「邪教が呼び出し者」に対して炎の矢を放つ、だがそれは透明な幕によりかき消されてしまった


「ヒビは!?広がったか!?」


「ううん、全然!多分物理攻撃しか効かない!私がバリア壊すからそれまでマーリンは温存で!」


 魔法を無駄撃ちしてしまえばMPはもったいないし当たっていなくてもヘイトが向くなら尚更問題は増える、アサギはさっさと幕を壊してからしっかり敵意を固定してそれからマーリンの火力に頼ろうと考えた

 先ほどメインアタッカーはアサギだとダクパラには言ったがそれが常とはアサギは考えていない、敵によってよく通る属性、通らない属性とあるからだ

 今の敵は魔法使い系とは言えアンデットである、よく燃えるだろうからマーリンの火力が出せないのは惜しい

 さっさとこの幕を壊してあわよくば2体目、3体目の「邪教が呼び出し者」も倒したい所だ


「ヘイトは固定できたみたい!遠距離攻撃が主体っぽいから動かないみたいだね!なら!」


 アサギは右の肩に先ほどまた交換した骨の迷宮産の片手剣を担ぐ、ナイットンを切り裂いたアサギの最高火力のスキルだ


「馬鹿!アサギ!人が見てたらどうするのよ!!」


「うわああああ、しまったぁ!!」


 口からでている言葉とは裏腹にアサギの身体は攻撃を続ける、このスキルは発生保障があるので途中でやめる事はできないのだ

 右手に持った片手剣の数倍の大きさをもった光の刃が「邪教が呼び出し者」を襲う

 その刃は輝きながら透明な幕を切り裂き、その骨の身体も切り裂いた


「あー、多分大丈夫そうだ、ハイディングしてる奴がいない限りここらには誰もいない」


「もう、ちょっとは考えなさい!」


「ううぅ・・・ごめんね、セッキー・・・」


「まあ、結果オーライだ、幕は消えたし敵のHPも削れてる、これで俺の魔法も通るだろ」


「掲示板に書き込まれたくなかったら次から気をつけなさい」


「う、うん・・・」


 言い合いながらもアサギ達の攻撃が止まる事はない

 最初は不安に思っていたアサギだか魔法使い相手のタンクも何も問題なくこなしている、むしろスキルの発動がわかりやすいからやりやすいまであった

「邪教が呼び出し者」の右手に闇が集結しそうになったら顔面に盾をぶち当てる、「邪教が呼び出し者」の周りに魔法陣が回りだしたら突撃し魔法陣の外に出す、「邪教が呼び出し者」が両手を上げたら光の手でアサギの方に少しだけ動かし詠唱の邪魔をする


「なんだ簡単なんだな、パラディンでマジシャンの相手するのって、俺も対人気を付けねーと」


「んー、スタンとノックバックと強制移動で無理矢理スキル妨害してるだけだけどね、詠唱がない奴は被弾しちゃってるから何とも言えないけどそこまで強いスキルじゃあないからなんとかなるかな、詠唱が必要なスキルを連続でやってきたりするとこっちのスキルが回らないかも、そうなるとスキルと同じ動きをしてスタンが発動するかどうかの確率勝負だねー」


「まおクエ」ではスキルと同じ行動をそのスキルのCT中に自ら行うとそのスキルよりは若干弱くなるがそのスキルが発動した事になりスタンやノックバックなどが発動する事もある

 しかし連続して使うとダメージの減少率やスタンなどの発動率も下がる為ずっと同じ行動を続けるのはあまりいい行動とは言えない

 スキルのCTが回復してる時に自らの同じ行動をするとスキルが発動する、CTが回復した時に威力や発動率の減少が0に戻る


「なるほどなー、じゃあ詠唱してます!って見せかけてスキル使わせるのもありかもな」


「あー、それは釣られるかも!でもスタンしたらそこから連続で攻撃入ると思うからそこで多分死んでるよね、VIT振ってないんでしょ?」


「ああ、そりゃそうだ、やっぱ近づかれたら終わり、ってくらいに考えてないとダメだな」


「バリアの耐久次第だけどね~」


「2人とも!敵に集中しなさい!!」


「「はいっ!!」」


 その時セッキーの怒号のせいかどうかはわからないが「邪教が呼び出し者」が右手をアサギの方に突き出し


「クラウガイイ・・・」


 ぽつりと呟いた


「あいつ喋れるのか!アサギ!潰しなさい!なにかまずいわ!」


 セッキーに言われるまでもなくアサギもなにかやばいと感じて攻撃を繰り出していた


「ダメ!スタンもノックバックもはいらない!絶対に撃たれる!」


「なら魔法防御力あげときなさい!!マーリン、私達はなるべく離れるわよ!」


「おうよ!!」


 セッキーとマーリンが十分な距離を取った時、どうやら「邪教が呼び出し者」の魔法は完成したらしい

 その瞬間骨だけで表情がないはずなのに「邪教が呼び出し者」が笑ったような気がした

 どす黒いような笑み、筋肉がないので笑えるはずがないのにアサギはそれを感じた


「シネ・・・」


「邪教が呼び出し者」が再び呟く


「食らうかぁぁぁぁ!!」


「邪教が呼び出し者」が魔法を発動させる前にアサギは左手の盾を地面に垂直に突き刺した

 それは防御系のスキルを発動させる為のモーション

 垂直に突き刺さった盾から光がでてアサギの周囲を囲った


「バリア使えるのはお前だけじゃないんだよーだ!!」


 そのスキルは物理防御、魔法防御、ヘイト値を一定時間上昇させるが効果中は一切行動ができない防御スキル

 発動すればヘイト値も上がる為敵意が逸れる心配は少ないが絶対ではない

「邪教が呼び出し者」の右手から放たれた黒い雷をバリアで受け止めながらもアサギは懸命に身体を動かそうとしていた、効果が切れたその瞬間に動こうとしているのだ


 黒い雷を受けたバリアはバキッ!と音を立て消滅する、その瞬間にアサギは「邪教が呼び出し者」の懐に突撃をした

 バリアは黒い雷を全て消してくれた訳ではないので多少HPが削れてしまったがアサギはそれを気にしている様子はなかった、すぐにセッキーから回復が飛んでくると信用しているからだ

 当然それはすぐに飛んできてアサギのHPを全快させる、信用が正しかったと知ったアサギの口元に笑みが浮かぶ

「邪教が呼び出し者」はもしかしたらその笑みを余裕の現れと勘違いしたのだろうか、知能があるアンデット故に一瞬動きを止めてしまう


「今度はこっちの番よ!」


 アサギは光属性が付与された片手剣を「邪教が呼び出し者」に向け振り下ろす

 それはアサギがソードマンで覚えることができる攻撃スキルで唯一取得しているスキルだ


「エクスカリバー!!」


 アサギはテンションがあがると技名を叫びたくなるタイプの人間だ、だが今発動したスキルとエクスカリバーはなにも関係がない、アサギが持っている剣もエクスカリバーではない

 ただアサギがエクスカリバーが好きなだけであって本人のテンションによっては口からでやすい単語であるというだけだ


「でた、アサギのなんでもエクスカリバー」


 付き合いの長いセッキーからしたらもはやお馴染みである


「いいの!好きなんだから!」


「邪教が呼び出し者」はなにがなんだかわからなかった

 今さっきの笑みは強烈なスキルを発動する為の笑みではなかったのか、こちらを滅ぼせると思っての笑みではなかったのか、しかし実際喰らった攻撃はどうだ、確かに光属性が付与されているらしいその攻撃によりダメージを食らった、しかし、しかししかし、大してHPが減っていない、先ほどから喰らっている炎の矢の方が連続で当たる為そちらの方が脅威だ


 先に潰すのは魔法使いだ、「邪教が呼び出し者」はそう考えた

「邪教が呼び出し者」の知能はそう判断した、判断してしまった


「邪教が呼び出し者」がマーリンに右手を向ける


 だがそれは、アサギにとってそれは


「こっちを向け!!!!」


 アサギの右肩に剣が担がれている、先ほど「邪教が呼び出し者」も喰らい、その火力に内心驚愕したスキルを撃つ前の行動だ


 しかし「邪教が呼び出し者」は魔法の詠唱を止められない、だから焦る、先ほどよりも強くなっていく光の刃の輝きに「邪教が呼び出し者」は完全に焦っていた

 しかし黒い雷を発動しようとしていた自分の右腕の向きを変える事はできない、魔法が完成すれば向きを変える事が、ターゲットを変える事ができるが今は無理だ、こうなったら自分の魔法の完成が先である事を祈るしか









「エクス・・・カリバー!!!!」


 アサギの攻撃は「邪教が呼び出し者」の祈る時間ごと全てを吹き飛ばした


「また使ってるし・・・」


「ああ、うん・・・ごめん、ちょっと焦っちゃった」


「ありがとな、アサギ、助かったぜ」


「助ける方法なんてもっとあるでしょ!まあ・・・危なかったから仕方ないとは思うけど」


「うーん、なんかちょっとイラっと来ちゃって、無視されたというかなんというか・・・」


「なんだそうなのか?アサギが怒るなんて珍しい事もあるもんだな」


「そうね、あんまり私も聞かないわね、大丈夫なの?」


「うん!めっちゃすっきりした!」


「ならいいけど、まったく・・・ほんとにすっきりした顔してるわね、じゃあドロップ確認するわよ、なにかいいのでたかしら?」


 セッキーは「邪教が呼び出し者」が先ほどまで居た場所に近づく


「んー・・・っと、あら、MNDが上がる首飾りよ、マーリンこれいいんじゃない?骨だし」


「おお!?めちゃめちゃかっけぇじゃねぇか・・・・」


「うわーうわー!いいなーいいなー!!私も欲しい!!」


「アサギが持ってても意味ないでしょ、次がでたらアサギに・・・うん、値段次第ね!」


「うわーん、セッキーそんな事言うんだー!?」


「私達そんなにお金持ってないんだから仕方ないでしょ!アサギは見た目装備よりももっとお金かけなきゃいけない所があるんだから我慢しなさい!さ、次行くわよ次!」


「アサギ、どうよ?杖と超合ってない?」


「うわー、かっこいいよー!」


「マーリン!自慢しないの!早く行くわよ!」


「「はーい」」


 次もし出たら絶対に私が装備してやる!アサギはそう決めていたのだがそんなアサギの考えがわからないセッキーではなかった


「アサギ・・・売る為の装備したら絶対怒るからね・・・」


「ヒィィィ!!!」


 アサギの絶叫がまたこだましていく

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