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聖騎士と闇の聖騎士

「セッキー!マーリン!どうしよう!!魔法系のボスってどうやって壁したらいいのかわかんない!!」


 アサギの絶叫があたりにこだまする少し前に話はさかのぼる




 初めて聞く声があたりに響いた時すでにゴブリンやオークはすべて消えていた

 そして草原に新たなる影が沸き上がる


「人型だね、邪教の信徒9等兵?って名前だよ」


「んー、あっちに8等や7等もいるわね、多分数字が小さくなればなるほど強くなるタイプだと思うわ」


「同じ名前でも装備が全然違うのがいるな、ナイトみたいなのもいればマジシャンみたいなのもいるし・・・なんつーかパーティみたいだな」


「なるほど、確かにそうね、4人から6人で集まっているみたい、いや、シーフ系の信徒がハイディングスキルで隠れてる可能性もあるわね、気を付けて削っていきましょう、まずはそうね、クレリック系から潰していこうかしら」


「そうだな、炎の壁じゃヘイトが飛んで危ないからアサギが全部引き寄せたら遠距離でクレリックやってマジシャンだな、ハイディングは俺のスキルで見破るから問題ないぞ」


「うん、わかった、じゃあどうしよう、んーとクレリックを引き付けるからとりあえずそれからかな」


「ええ、わかったわ、お願いね、アサギ」


「うん、いくよー!」


 アサギは片手剣を1番近くにいた1番数字の小さい6等兵のいる信徒のパーティに向けその先から光る腕を伸ばし邪教の信徒のクレリックを手前に引き寄せる


「よし、まずはそいつから、ん?わっ!まじか!!」


 マーリンが驚嘆の声をあげた時アサギは遠くに引き寄せられた


 アサギがクレリックを引き寄せた際に信徒のパーティ全員の敵意はアサギに向く

 それはそのパーティに初めて攻撃を加えたからだ、つまり敵は全員アサギに向かって攻撃をしかける

 信徒の中にはパラディン系のモブも混ざっていた

 その信徒がアサギに向かって剣をあげその先から黒い腕を伸ばしアサギを近くに引き寄せたのだ


「わー、このスキルこんな感じに移動するんだね、一瞬で引きずられたよ」


 2人と引き離されてはまずいと考えたアサギが走りながら戻ってきてそう言った


「どうやらスキルツリーはこっちのと同じようなものらしいな!ますます遠距離職を潰さないと範囲攻撃が降ってくるぞ!」


 マーリンが邪教の信徒のクレリックに炎の矢を数発当てHPを削りながら叫ぶ


「そうだね、まずはマジシャンからの方がいいかも!」


 2人の所に戻ったアサギがクレリックに止めをさしながら言う


「そんな事より他のヘイトも取って!弓が刺さるのよ、弓が!」


「ああ、ごめんごめん!」


 相手の元に引きずられたのが想定外の事過ぎてアサギはやらなければいけない事を忘れていた

 残った敵の敵意は完全に分散しており、特に回復魔法で敵意を稼ぎやすいセッキーに向かっているモブの数が多い

 それを少しずつ範囲挑発、攻撃スキルなどを使いアサギは自分へと向けさせた


「なかなか役割分担してる敵を倒すのって難しいね、よし、マーリン、範囲でやっちゃって大丈夫だよ!」


 スキルのCTが明けたのでマジシャンを手前に引き詠唱の邪魔をしながらアサギはマーリンへと範囲魔法の許可をだした、今なら多少の攻撃でも敵意がぶれる事はあるまい


「ん、まかせろ!喰らえ!!ファイヤーストームだ!!」


 炎の嵐は残った敵に襲い掛かる

 HPの少ないマジシャンや魔法耐性の弱いシーフは倒せたがHPが多くまだ攻撃を当てていないパラディンと範囲外にいたハンターは残ってしまった


「んー、なんでパラディンだけクラスチェンジしてるんだろ?他は初期職なのにね」


「ん?そうなのか?まあ、其処らへんはランダムなのかもな、一応6等兵ではあったから今の中では1番強いけど」


 マーリンは遠くにいるハンターに狙いを定め炎の矢を数本放った、初期職であるハンターはMND高めのマーリンの火力の前に反撃する事なく消えていった


「え?あれソードマンじゃないの?いきなり3次職がでる?他は初期職なんだから少し強いって言っても普通2次職までなんじゃない?」


「ううん、剣から手だしてきたでしょ?あれパラディンで覚えるスキルだよ」


 アサギは敵のパラディンの攻撃を余裕をもって防ぎ切りながら答える


「貴様が7番目の、いや、最初の神の教皇か、会えて嬉しいぞ」


「えっ!?」


 敵が、邪教の信徒が、AIが喋ったのだ

 アサギ達は全員驚愕していた


「クックック、何故わかったのか?という顔だな、いいだろう、折角こうして会えたんだ、教えてやるとも」


(え?全然そんな事考えてなかったけど・・・まあ、いいか・・・?)


 アサギはそんな事を考えながらセッキーの顔を見る

 セッキーは長年の付き合いからかアサギが何を考えているのかよくわかっているようで「何も言わずに喋らせろ!」という顔で首肯した

 もちろんセッキーの考えている事をアサギが理解する事もできるのでアサギは黙って頷いた


「そう緊張をするな、我らには貴様らがどこの神を信仰しているのかがわかるんだよ、我らの神の力によってな、だがその神から最近上の連中に天啓があったらしい、7番目にして最初の神の教会が生まれた、ってな、だから本来は上級将校である俺が力を抑えてまで見に来たんだが・・・クックック、どうやらとんでもない雑魚みたいだな、わざわざ来る必要もなかったか」


「上級・・・将校・・・?」


「ああ、そうだ、俺達の階級だ、今は力を抑えた影響で6等兵になっているがこれはここに侵攻する為に必要だからやっているのだ、本来はそのもっと上だ、知らないだろうから教えてやろうか、俺とお前の差を」


「そうね・・・お願いしようかな」


「クックック、殊勝な事だ、今ここに来ている中で6等兵である俺が1番強い、お前は7等、後ろの2人は8等って所か、ちなみに1等兵の上に下級将校、中級将校とあり俺の本来の等級である上級将校がある、つまりお前らは力を抑えた俺にすら勝てず、更に力を解放した俺の遥か下の方の実力って訳だ」


 説明を受け3人は茫然とする

 今ならこいつを倒せるだろう、だがしかし多分そんな事をやっても無意味だ

 こんなに余裕を見せながら喋るという事はなにかしら逃走手段があっての事なんだろう


「あー、これって負けイベントかな?」


 マーリンが3人にしか聞こえないチャンネルで話しかける


「いや、勝てなくはないけど逃げられるパターンだね、多分」


「なるほど、もしくはあれが幻影だのドッペルゲンガーだの、ってタイプも考えられるわね」


「あー、ありえるなー」


「クックック、どうやら言葉もでないらしいな、だがお前らにチャンスをやる、7番目にして最初の神の教皇よ、名前はなんというんだ?ああ、名前を聞くならこちらから言わないとな、俺の名前はダクパラ、ダークパラディンのダクパラだ」


「自己紹介ありがとうございます、私は創造神ウミノピーの教会の教皇、そしてパラディンロードを勤めていますアサギと申します」


「なに!?教皇とパラディンロードだと!?なるほど、じゃあ後ろのその女はエルダープリーストか?」


「いいえ、ただのクレリックのセッキーです、どうも」


「なんだと?まあいい、教皇とパラディンロードを1人でやっているとは思わなかったぞ、だがこれで全ての教会の教皇とパラディンロードが判明した、貴様の所にはどうやらまだエルダープリーストはいないらしいな、外遊人だから殺す事はできないがこんなに弱いんじゃ我が神の敵にはならん、放っておいてもよさそうだが・・・まあ、とりあえず殺すか」


 そう言うや否やダクパラは右手に持った剣の切っ先をアサギに向けて素早く動かした


「ふん!そんな簡単に殺せると思ったら大間違いよ!」


 その攻撃を盾で防ぎながらアサギも攻撃に移る

 得意のぶちかましをダクパラの盾に当て右上段から体重をかけ一気に片手剣を振り下ろす


「なんでお前はこんなに弱いのにパラディンロードになれたんだ?」


 アサギの攻撃のどちらも余裕をもって防ぎ切ったダクパラにアサギは内心で焦りだす


「そんなの!私が!この宗教を!作ったからよ!」


 アサギが連続で剣を振るう、しかしそのどれもがまるでダクパラの盾に吸い込まれるように防がれていく


「宗教を作った・・・?お前が・・・?宗教が生まれたばかりと聞いてはいたがまさか外遊人が作ったとはな、お前が強かったのなら計画に支障がでた所なんだが、まあ、雑魚だから問題はないか」


「計画って!どういう事よ!」


 防がれる事をわかったうえでもアサギは剣を振り、盾をぶつけ、何度も何度も繰り返し繰り返し攻撃を続けた


「あー?言う訳ないだろう、お前らは殺しても死なないうえにどこかに消えちまう、まあ、だからどこの誰が宗教を起こしたのか聞くのは難しいと思ったんだが丁寧に答えてくれて嬉しいぞ、仕事が1つ減った、王都の住人が起こしたのならお前を殺しても教皇が移る可能性があったがその心配はないらしい」


「よし、アサギ、マーリン、もうそろそろいいわよ」


「「了解!!」」


 セッキーの声を合図にダクパラの頭上に炎の雨が降り注ぐ


「はっ!お前がなんもしてこないからなにか考えていると思っていたがこんな攻撃はお見通しだ!!」


 にやり、マーリンが笑う


「馬鹿め、うちのパーティのメインアタッカーは俺じゃねぇ!」


 ダクパラがセッキーを睨む、だがセッキーは笑顔のまま


「私でもないわよ」


 すると誰だ?ダクパラはまだ他に、ハイディングスキルを使える職が仲間に居るのかと辺りを警戒する

 その瞬間急に腹部が爆ぜたかのような衝撃が加わる


「ぐふっ!ま、まさか!貴様!・・・アサギが!?」


「正解~!」


 アサギの手にはパラディンロードの剣が握られていた

 武器を変更する為に盾の影に身体を隠しダクパラに気づかせないようにしていたのだ


「その剣は・・・パラディンロードの剣か!くそっ!」


「ま、さっきの剣でも別に十分戦えるけどね!わざと武器をあんたに見せてオートガードのスキルを発動させてたから防がれていただけだし、でもここからは・・・スキルの効果だけで防ぎきれるかな!?」


 先ほどまで全て防がれていた攻撃とは速度も重さもはるかに上の攻撃がダクパラを襲う

 その攻撃は例え盾に阻まれたとしてもダクパラのHPを少しずつ削り取っていた

 そこに加わるマーリンの魔法、たとえダクパラが多少の傷を無視してアサギに攻撃をしかけてもすぐにセッキーから回復が飛んでくる、ダクパラのHPが全てなくなるのは時間の問題だった


「くそが!貴様等・・・覚えていろよ!!そこの男!貴様の名も教えろ!!」


「あー、やっと聞いてくれた?マーリンだぞ、よろしくな!そして死ね!」


 マーリンが待ってましたとばかりに名前を告げたあと炎の嵐を放つ


「アサギにセッキー、マーリンだな、覚えたぞ・・・貴様らは俺が殺す、何度も何度も殺す、死なない身体を恨め、何度でも殺してやるからな!!ハーッハッハッハ!!!」


 炎の嵐の中でダクパラの身体が崩れる、その中から大きめの魔石が零れ落ちる

 どうやらゴーレムやドッペルゲンガーの類だったようだ、この種類の敵は倒すと魔石をドロップするのだ

 しかしそのサイズは普通じゃあない、今アサギ達が戦えるゴーレムから出る魔石の2倍はあるだろう


「んー?これでイベント終わり・・・って訳じゃないのかな?」


「どうやらアサギが宗教起こしたから特別なイベントを起こしちゃったみたいよ」


「すげーな、多分邪教徒に敵認定されたぜ、俺達」


「そっかー・・・まあ、ちょっと話聞けたからよかったね、で、なんかわかったの?セッキー」


「んー、まあ、ちょっとくらいね、とりあえず骨の迷宮を作った邪教徒と同じっぽいわよ、教会を標的にしてるしね、まあ「ぽい」だから確信ではないわ、でも昔の事だろうし知らなさそうだし目的は言わなさそうだったからもういいかな、って」


「そっかー」


「イベントが終わったらまた何かアナウンスかなんかでわかるでしょ、それにあいつはまた来るらしいしね、その時にでも少しずつ聞いていけばいいわ、それにしても敵が話しかけてきて驚いちゃったわよ」


「そうだな、俺もびっくりしたぜ、それでなんか勘違いしてくれたみたいだけどな」


「そうだねぇ、等級みたいなの言ってたけど上級将校だってさ、多分本気を出したら強いんだろうねぇ、ガオーンとどっちが上かな?」


「んー、ストーリーミッションと関わるっぽいから何とも言えないわね、多分私達プレイヤー依存なんじゃない?」





『くはははは、やるな!やるではないか!外遊人どもよ!我が信徒共をこうも容易く蹴散らすとは!!では次はどうかな?こいつは先ほどの雑魚共とは一味違うぞ!いでよ!!』


「あ、なんかストーリーミッション進んだ」


「さっきでた邪教徒が全滅したのかしらね、じゃあいよいよ次がボスかしら?数がどれくらいでるのかが気になるわね」


「よし、じゃあ早速見つけにいくか!」


「「おおー!!」」


 3人は新たな敵に胸を躍らせ草原を駆けていく

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