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聖騎士は光の剣で闇を切り裂く

ちょっとだけいつもよりながい

「さあ、どうかわるかな!?」


 アサギの声が響く


 咆哮を終えた後のナイットンは不気味なほど静かだ

 その静かさが3人を緊張させていく


 静かにナイットンが右手に持つ剣を振りかぶる、その骨の腕に青い炎のようなものが浮かんでいる


(あれは・・・火力があがっただけ、別の効果は?とりあえず止めて・・・っ!止まらない!?)


 いつものように攻撃の発動を止めようと剣の前に盾を繰り出す、しかし今までなら止まっていた攻撃が止まらずにアサギは攻撃を受けてしまう


「アサギ!?どうしたの!?」


「今攻撃モーションにはいったナイットンの腕に青い炎みたいなのあったの!それが出たら攻撃止められないっぽい!」


「あー、発生保証か!?アサギなんとかなるのか?火力落とした方がいいか?」


「私は多分大丈夫、大振りはやめて受け流しながら戦うからヘイトもそこまで流れないと思う、セッキーは回復厚めにお願い、多分被弾増える」


「任せて!」


 ナイットンの攻撃を潰せなくなりアサギのHPの減りは先程とは比べものにならないくらい増えた

 しかしそれでもセッキーからすれば余裕で全快を保てる程度のもので問題はなさそうだった


 マーリンからしても攻撃の仕方を変えるがヘイトは流さないと言われたのでそこまで事態が変わったとは思わなかった


「今まで潰してた行動にもしかしたら範囲攻撃とかあるかもだからナイットンの前にはこないでね、基本45度から60度くらいの扇状だからね、範囲攻撃と考えられるのはー、うーん、両手あげるパターンのやつかな?いつも肋骨に盾ぶつけて止めてるやつ、もしかしたら2パターンくらいあるかもだから注意で」


 アサギは大振りの攻撃を繰り出す事はやめにして元々の剣の強さと付与された魔法の火力のみに頼った細かい刺突を連続してナイットンに当てる事にした

 

 よくもまあ相手の攻撃を防ぐ、盾にあて受け流す、身体を捻り躱す、そして攻撃をすると言う行動を瞬時に判断して実行できるもんだ、とマーリンとセッキーは感心している


 相手の攻撃を発生前に潰せなくなったとはいえアサギは大して慌てなかった、相手の行動パターンは大体把握してるし直撃したとしてもすぐに回復が飛んでくる、感覚的にマーリンにヘイトが流れる事もなさそうだ


(問題はないね、大丈夫、選択を間違えなければ被ダメは増えないしこっちも攻撃を当てられる、ヘイトさえ流さなければ増援きたとしても・・・)


 そこで気付く

 この安定はアサギがナイットンのヘイトを固定しているからこそ、ナイットンがアサギに対してのみ攻撃をしているからこその安定だ


「まずい!ランダムターゲット潰せないよ!!」


 その時ナイットンは両手に青い炎を纏わせ高くあげる


「ああもう!!考え事中!!」


 珍しくアサギが慌てているがナイットンは気にもせずに高く掲げた二本の剣を空中に振り下ろした


「うわぁ!!ノックバックありか!」


 今までは一度も撃たせた事がなかったその攻撃を始めて食らう

 ナイットンを中心とすると前面60度くらいの範囲に剣撃をのせた風が巻き起こる

 アサギはその風に押され後ずさる

 距離を離されるのはまずいと考えたアサギは右足を大きく前に倒れ込むように出した

 アサギの身体が大きく沈む、その前傾姿勢により首が狙い易くなったナイットンは両手の剣を頭上で重ね叩きつけるかのように振るった

 しかしそれは誘われた一撃、ナイットンの行動パターンは例え名前が変わったとしてもそこまで変わっていない

 アサギはナイットンに対してどう動けばどう返してくるのかを今までの戦いから把握していた

 その経験からアサギは前に大きく足を出した後に突撃スキルを発動させた、それにより右足が固定され一気にアサギの身体を前に押し出す

 いつもの様に真横から当たりにいったのではなく少し下からの攻撃に対しナイットンは剣を地面に振り下ろすより早く宙に舞う


(うまく行った!発生保証が切れるギリギリに当たるのは難しかったけど今のは大分ヘイトを稼げたはずだ!!)


「で!ランダムターゲットどうすんだ!!?」


「えっとね!影がでたら2人とも私の後ろの方に来て!影の範囲外ね!私も少し後ろに下がる!ナイットンに範囲攻撃があるからなるべく影が来てからの方がいいと思う!今押し込んだから大分後ろに隙間あいたでしょ、で、影から増援でたら私が全部集めるからその後範囲魔法!いつも増援は出切る前に潰してるからランダムターゲットのタイミングがいまいちわからないけど多分出切ったらだと思う、それまでには私の後ろにきてくれないと防ぎきれないから知らないからお願いね!」


 攻撃の手を休めずにアサギは叫ぶ


「了解だ!」


 大丈夫、2人は守りきる、アサギは盾を持つ左手を強く握り攻撃を繰り返す、そして



「ガアアアアアアアァァァァァ!!!」


 3度目の咆哮


「来たよ!移動!!」


 影が出ると同時にセッキーとマーリンはアサギの後ろに移動する、ナイットンから視線を外さずにアサギも後退した

 影から骨が湧き出てくる、そこにアサギは範囲攻撃や範囲挑発を繰り出し骨を自身の元に集めきる


「詠唱はもうしてるぜ!3、2、1・・・今だ!!」


 集めきるのと少しの差で炎の嵐が増援の骨を塵にしていく


「グオオオオオォォォォ!!!」


 ナイットンは再度叫ぶ


(来た!誰にいく、視線は・・・私だ!!)


「離れて!!私だ!!」


 先程の増援に囲まれた時に削られたHPはすでに回復している

 流石セッキーだとアサギは少し笑いながら自分が使える支援スキルを自分にかけていく


(大丈夫、防御スキルは全部CTあけてる、・・・かけ直せた、後は防げばいいだけ!!)


 アサギはどのような攻撃がくるのかとナイットンに注目する、その瞬間唐突にガオーンに負けた事を思い出した


 右上段からの大振りの斬り下ろし

 アサギの記憶の中のガオーンと被る


「ラアアアアァァァァ!!!」


 アサギは叫んだ

 この攻撃には負けないと、2度と同じような負けは繰り返さないと思った瞬間に叫んでいた


 アサギはナイットンの方へ走る、あと少しでぶつかると言うところでまた右足を大きく前に出した


(さっきのタイミングで!!)


 アサギはナイットンが振り下ろし始めたのを確認し


(今よ!!)


 スキルを発動しナイットンの身体に盾をぶちかまし


「「アサギ!!!」」


 弾き返されHPを大きく削られた


 アサギは一瞬自分の状況が理解できなかった


(嘘!?タイミング間違えた、なんで?いや、それより立たなきゃ、2人に心配させちゃう)


 アサギは立ち上がりナイットンを見て納得する


(ああ、最後の25%は常時スーパーアーマーか!!だから弾き返された!!)


 のけ反りやスタン、ノックバックを無効化するスキルがどうやらあるらしくそれを発動させたのだろう、ナイットンの骨の体が全て青く燃えている

 これからは相手の体勢は崩せない、となるとアサギのとれる行動は更に少なくなる

 しかしその分火力を出せばいいアサギはそう考え


「セッキー!防御スキルフルで回転させる!マーリン火力だしちゃって!!ラスト25%!ゴリ押しでいくよ!!」


「任せなさい!」


「よっしゃあ!!」


 アサギはこのパーティーでは、いや、この世界で唯一のクラスチェンジ済みのプレイヤーだ

 しかもソードマン、ナイト、パラディンのどのスキルからも選んで取得できると言う本来ならあり得ないクラスチェンジの仕方をしている

 本来ならソードマンのスキルを持ち越してナイトにクラスチェンジするのでクラスチェンジしたからと言って使えなくなる、使わなくなるスキルなんてものは存在しない

 だがアサギはダンチョーからの教えと稽古によって『皆が取っているスキル』を『使わないから取得しないスキル』に落とし込んだ

 勿論スキルを使えばスキルを使わずに同じような行動をしたとしても火力に補正が入るので違いは出る

 だがアサギはその火力を、火力が出る行動をとれる時間をパラディンのスキルによって補っている

 その中には回転の悪いスキル、時間制限やCTが長いスキルが存在する


 それは今のアサギの切り札と呼べるスキルだった


「セッキー!30秒間全力火力よろしく!!」


 1時間に一度、30秒間効果が続くパラディンになった者のみが使えるスキル


「ガアアアアァァァァ!!!」


 ナイットンが叫びながらアサギを斬りまくる

 しかし攻撃されているアサギにセッキーは回復魔法を飛ばさずにナイットンに対して攻撃魔法を繰り出していた


 そのスキルは30秒間現状のステータスを固定化するスキル

 効果中はHPが減る事は当然なく、アサギにかけられた支援スキルのカウントダウンも止まる、新たに支援スキルをかけられなくなると考えればデメリットなのだろうがかけてから切れる前に発動すればよいだけなのでその辺はデメリットととしては弱い


 アサギはナイットンの攻撃を避ける事もせず攻撃を重ねる

 ナイットンのHPももうそろそろなのだろう、攻撃は更に苛烈なものとなっている

 だが今のアサギのHPは変わらない、この30秒間だけは誰も変えられないのである


 ナイットンの攻撃はそれに気づき焦ったかのように速さを増していく、しかしアサギの表情は変わらない


「これできっと終わり」


 アサギが右肩に剣を担いだ

 剣に光が集まり大きな刃に変わっていく


 HPを25%削った時に一度だけ使えたスキル

 CT的にははやい分類のスキルなのだがいかんせん使い所に困るスキル

 アサギはこの攻撃は敵が大きく転倒するか相手の攻撃を気にしなくていい時にのみ使えると思っていた

 今はどんな攻撃だろうが気にしない

 だからアサギはこの攻撃で終わらせようと考えた



 剣に集まる光が先程より大きな刃を形成していく

 このスキルはスキルレベルとともに若干行動が変わる

 低レベルの時は硬直は短いが火力が低い

 高レベルになると攻撃前と後の硬直がかなり長くなるがそれに比例して火力も攻撃範囲もかなり上がる


 その光の剣は時間をかけながら光を集め、いつしか一撃目と比べて2倍ほどの大きさになっていた


 低レベルバージョンで使ったとしてもアサギが単体に対して繰り出す技では最強の攻撃力


 それを高レベルバージョンで使用したら?


 アサギが剣を肩からゆっくりと離していき一度空中で止める


「とどめええええ!!!」


 その刃はナイットンの頭蓋骨の上から振り下ろされ


 剣が地面についた時にはもう誰もその場にはいなかった



「ふー・・・うおおおぉぉぉぉおーつかれーー!!!」


「お疲れ様、アサギ、マーリン」


「おーう、おつかれー!!いやー、ロイヤルナイトつえーなー!俺もナイトやればよかったかなー」


「ナイトマスターと差がありすぎでしょ、ナイットン、プレイヤーがなれるのはナイトマスターまでよ、マーリン、まあ、アサギの話からするとなれなくはないみたいだけど教会と違って練兵場は一つだから全プレイヤー中1人だけよ、どうするの?頑張るの?」


「あー・・・魔法使いでいいかな、廃人に勝てる気がしねぇし・・・」


「私もパラディンロードは運だからねー、そうそう最後のあれ、パラディンロードバージョンなんだよ、めっちゃ硬直ながいでしょ、パラディンまでだともうちょっと短いんだけどね?パラディンロードだけ上限から1つだけスキルレベルあげられるみたいだったから上げてみたんだ、でも使い所が限定しすぎでしょー、あんなの対人で使えないよ」


「あー、それであの火力なのか、やっぱ人数制限あるクラスは強いんだなー」


「他にもまだあるけどまだ取り切れてないんだよね、だからそれは取れたらのお楽しみで!くふふふ、楽しみー!」


「楽しみなのは他にもあるでしょ!アサギ箱あけてみてよ」


「え、セッキーあけていいよ?」


「今回1番頑張ったのはアサギだからアサギでいいわよ、それに私があけるとなんか武器出てこないかもしれないし、いや、100%なのは聞いたけどなんというか・・・」


「そう?じゃああけるねー、いい武器でろー!」


 中に入っていたのは


「おー、セッキー!おめでとう!!中見てご覧」


「え?ほんと!?どれどれ・・・キャー!やったー!!」


 そこにはクレリック系が主に装備するINTに補正がかかる短い杖がはいっていた


「やったー!嬉しいー!!」


「おー、やったなー、セッキー、羨ましいなー!」


「あと「呪いに阻まれた未来ロイヤルナイト、ナイットン」の魂、ってのがはいってたよ」


「おお、武器強化アイテムじゃん、しかも2パターン用意されてるのかよ、ナイットン!レアなアイテムの更にレアだな、効果は?」


 このゲームでの装備強化は3種類

 1つ、鍛冶屋に持って行き鉱石を使い行う武器強化

 2つ、敵が稀に落とす魂を使い行う魂付与

 3つ、採掘や採取などを行った際にでる大地の力を神に捧げる事で強化できる神の福音


 1つ目は純粋にやればやるだけプラス値がつき火力があがる、上限が設けられており失敗すればプラス値が下がる、もしくは上がらない

 武器が壊れる事があるが壊れると言っても強化できなくなるだけで使えなくなると言う訳ではない


 2つ目は付与する魂によって効果が変わる、ステータスを上げるものもあればその種族に対して火力をあげると言ったものもある、何かを下げる変わりに何かを上げるなどと言うデメリットを内包したものもある

 大体が強い敵の方が上がる数値は大きくなるがレアな敵の魂なども効果は大きくなる傾向にある


 3つ目はランダム性やギャンブル性も高い強化である、まず材料の大地の力もランダムなのに上がる数値も上がるステータスもランダムである

 神は気まぐれなのだ、ちなみに渡す大地の力の個数は選べるが多いからと言って必ずいい結果になる訳ではない、でもなりやすいかもしれない、かも知れないのだ・・・

 もう一度言う、神は気まぐれなのだ


「効果は攻撃速度上昇ね、他のを見た事がないからこれが強いのかどうかがわからないけど・・・まあ、レアボスなんだから弱い、って事はないでしょうね、その剣につけたら?他の装備は弱い訳じゃないからお金に変えてもねぇ、むしろその剣を強化した方がいいわ」


「え、でも3人で出したのに私だけじゃ悪いよ、お金にして分けた方がよくない?」


「いや、アサギ、そこは気にしなくていいんじゃないか?攻撃速度上昇ならこのパーティーの火力が上がる訳だから3人ともプラスだ」


「それにナイットンってなに?って事にもなるわ、インスタントだから広がってもいいけど別にわざわざ教えてあげる義理もないし、面倒になりそうだしね」


「んー、ならじゃあこの剣に付与するね・・・どうやって?」


「魂選んだら付与するアイテム選べるだろ?」


「ああ、なるほど、あ、でもダンチョーに見せてからにしようかな?」


「そう?じゃあひとまず帰りましょうか、時間的にこっちの世界も夜だからこのままログアウトで明日がいいんじゃない?」


「そうだね、じゃあこのまま落ちるね、おやすみー」


「「おやすみー」」




 現実世界に戻りヘッドギアを外す


「ふー、疲れたー!でも楽しかったなー!くふふふ、また戦いたいな、次はいつ会えるかなー?」


 戦いを思い出しながら目を閉じる

 戦いの興奮が醒めていないから眠れるか少し心配ではあったのだが精神的に張り詰めていたものが切れたようで私はすぐに眠くなってきた






 そして・・・


「・・・やば!遅刻しちゃう!お母さんどうして起こしてくれなかったの!?」


完全に寝坊である


「何度も起こしたって!?うそだー!!」


 ナイットンには勝てたが睡魔には勝てなかったようだ

戦闘シーンって難しい

頭の中のアサギ達は常に動き回ってるけどそれを文字に起こすとなるとマーリンとセッキーは魔法をうった!回復した!ってずっと書き続ける事になる


要所要所でいれてるけど2人はちゃんと働いておりますので

どうしたらもっと動きがわかる文章を書けるのだろうか・・・

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