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聖騎士への道

  「空の青さが憎い・・・」







 私がそのゲームを知ったのは3か月前

 家族で夕飯を食べながらテレビを見ている時に始まったCMを見た時だ

 テレビの中でキャラがぬるぬる動いている


「これがフルダイブ・・・?」


 今までの私の知識にあったVRゲームとはあまりにも違う

 やりたい、このゲームなら私は聖騎士になれる

 確信があった

 この「まおクエ」なら私の願いが叶う!!


 CMの最後にでた金額を見て私の願いは消え去ったのであった・・・


 その日から私はため息をつく回数が増えた


「なんでお父さんには妹が12人いないのかしら」


 そんな事まで口から漏れてしまう


「居たってどうせお年玉は他の物に使っちゃうでしょ?」


「そんな事ないよ、席子ちゃん、私あのゲームで聖騎士になるんだもん」


「はいはい、持ってなきゃなれないわよ」


 くぅ、悪魔のような奴め・・・


「そんな目で睨まないでよ、私だって一緒にできるかなー?ってちょっと期待してたのよ?」


 なぬー!?


「貴女の好みを知ってるなら多分皆やりたがるだろうな、ってわかるわよ」


 ふむ、確かに・・・・

 私は聖騎士好き、聖剣好きを隠していない

 教室で漫画、ラノベは読むしスマホでゲームもやっている

 職業が選べるゲームは大体がタンク系

 パラディン、聖騎士が火力がなくて不遇だと言われてもなにも気にしないで選んできた


 だからこそ残念だ、私はこのまま「まおクエ」で聖騎士になれないまま大人になっていくのだろうか・・・


「はぁ・・・どこかにお金、落ちてないかな・・・」


 いや、届けるよ?届けますよ!?

 でもほら、お礼にね?

 どこかの会社の社長が一億くらいいれた鞄を置き忘れてそれを見つければヘッドギアの一つや2つ・・・


「ないよなぁー・・・」


 とりあえずお父さんに頼んでみよう

 多分駄目だろうけど頼まないうちから諦めちゃ駄目だよね!



 それから2ヶ月以上が過ぎ空の青さを憎む日々が続いていたある日帰宅中の事


『エクス・・・カリバー!!!』


 メール誰から、お母さんか、なになに、商店街でお買い物してきて、か

 めんどくさいなー、でも行かないという選択肢はあり得ないのだ


「仕方ない、商店街に行こう」


 今日、私が商店街に来たのは運命だったのだと、私は思った


「商店街のクジの一等がヘッドギア!?なんで!?去年は温泉旅行だったのに!?」


 これだ・・・当てなくては・・・

 当てる為には・・・・


「善行を!積むのだ!!」


 この日、妖怪善行つませろが誕生したのだった



 あれから私は親のお手伝いや困っている人を見つけたら率先して手助けし善行を積んだ

 大丈夫、当たる!私の聖騎士道は今日ここから始まるのだ!


 商店街のガラポンの前、目を見開き変な呼吸をしている私をみた商店街の会長がなんだこいつ、という目で見ていたのに私が気付ける訳もなく・・・


「おじさん!5回お願いします!」


「お、おお、5回だね、はいよ、いやー、今回思い切って商品を旅行からゲームに変えたら若い子を商店街によく見るようになってね、お嬢ちゃんもこれ狙いだろ?ガラポンから金色がでたら当たりだよ」


 くぅ、やはり狙っている人数は多いのか

 いや、でもそういうと言う事はまだ出ていないと言う事!!

 行くぞ、私、今まで貯めた善行を使い切れ!!


「4連続でポケットティッシュだね、あと一回だよ」


 くっ、唸れ、私の豪運!

 私は叫んだ


「エクス・・・カリバー!!!」


 カランカランカラーン


「大当たりー!!」


 ああ・・・今日も空が青いなぁ・・・



 そんな事を思い出しながら私は気付いたら知らない街に立っていた

 このゲームにおける王都、始まりの街


「なんだっけ?ハジマーリだっけ?」


 名前なんてなんでもいい

 私はついにこの世界に降り立った

 CMを見てからこのゲームの事は色々調べてみた

 内容とかストーリーはあまり触れないようにしていたので主にこのゲームの生みの親、海野プロデューサーのインタビューとかを中心にだけれども


「この世界は僕の自慢です!自慢のこの世界でプレイヤーは自由に遊んで欲しい!そして色々な出会いを楽しんで欲しいんです!」


 わかりましたよ、海野プロデューサー・・・私はこの世界で聖騎士となり楽しんでいきますよ!!


 じゃあ早速教会だ!

 まずはクラスチェンジできるNPCのクラス名と教会の作り方をリサーチだ!


 気付いたら私は駆け出していた、そしてしばらく経ったあとにどこからどう見ても道具売ってます!って看板を出している店に駆け込んだ


「あの、すいません・・・どこでもいいので教会の場所、教えてもらえませんか・・・?」


 私の聖騎士道はわからない事をわからないままにしないのである

 そう、道に迷ったなら聞けばいいのだ!!


「え、教会?どこでもいいって6つあるけど・・・、ああ、もしかして光の神様の予言で言われていた外遊人なのかしら?それならわからないわよね、この街は広いものね」


 おや?一般の人にも予言は伝わっているみたいだ


「はい、今日この場所に来まして、ちょっと道がわからなくてですね・・・」


「それで教会だっけ?どこでもいいってどの神様の所でもいいの?ここは王都だから教会は6つ、どこの神様の所でも本拠地があるわよ?」


 本拠地!それなら多分クラスチェンジしてくれるNPCもいるだろう!


「はい、1番近い所でお願いします!」


 どうやら私は王都の北側にいたらしい

 1番近いのは光の教会だそうだ

 お礼を言い、ついでに薬草を買っていくと


「他の外遊人さん達にも宣伝お願いね」


 なかなか商売熱心なおかみさんだな

 どうせ薬草はこれからお世話になるんだから買う時はできるだけここで買おう

 他のプレイヤーに関しては・・・まあ、これから野良で会うだろうしその時にでも愛想のいい美人のおかみさんの道具屋とでも言っておけばいいだろう


 そんなこんなで光の教会についた!

 入り口の所に軽く武装をしている門番さんが居たけど止められなかったから見学や礼拝は自由なんだろう

 多分時間とかで入れない時間とかはあるとは思うけれど

 ゲームの中ではリアルの時間の3倍速く時が流れているらしい

 つまりこちらの時間で3時間がリアルでは1時間だ

 正直脳が老けるのでは?とか思うけれどどこかの天才の発明だ、なんとかなっているんだろう


 私の聖騎士道は考えてもわからない事は考えないのである


 教会の中に入れた私は早速知りたい事を教えてくれそうな優しそうなおじいさんに色々な話を聞いた


「職業を与えてくださるのは教皇様、そして教皇様が直々に任命なされたパラディンロード様、エルダープリースト様の御三方となります」


 なるほど、つまりそのどれかになれば自分で自分を任命できる訳か


「パラディンは通常はパラディンロード様が任命致します、まあ、教皇様が直接任命できない訳ではないのですけど自分の部下になる人間ですからね、やはりパラディンロード様が任命なさるのが一番なのでしょう」


 ふむ、パラディンになるには教皇かパラディンロードにならないといけないけど別にパラディンロードでもパラディンだしなれるならそれでいいな


「ありがとうございました!」


「いえいえ、貴女に6つの栄光がありますように」


 ふむ、一応6つに分かれてはいるけど仲が悪い訳じゃないのかな?

 まあ、光と闇の神様が他の4柱を産んだんだから当然と言えば当然か


 よし、クラスチェンジできる職業は聞いたし早速教会を作ろう!!

 教会に必要なもの・・・


「場所と神様と信者が揃えばそれが教会よ!」


 そう意気込んだ私は先程の道具屋さんに足を進めるのだった

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