聖騎士の盾は誰のもの?
またそろそろ戦闘させたい
でもダンチョーと絡ませて脳筋的な会話もさせたい
土の教会のパラディンロードは誰なのだろうか?一度会って見たいものだ
そう考えながらもそのような空気ではない事くらい私でもわかる
ダンチョーの聖騎士道、それは多分できるだけの人の前に立ちできるだけの人を守りたい、そのような所であろう
私もわかる、だってそれは私の聖騎士道でもあるのだから
「よし、じゃあ稽古場行くか、お前ら連携とか立ち回りについて教えてもらいたかったんだろう?ビシビシ鍛えてやるから泣き言言うなよ!」
「「「おおーー!!!」」」
3人とも気合をいれて拳を突き上げたのだった
「ハー・・・ハー・・・べ、勉強になるけど・・・厳しい・・・」
アサギが肩で息をしている
「ええ、ほんとね・・・後衛支援職って結構動き回らなきゃいけないのね・・・」
「ハァ・・・ハァ・・・確かにモブがどこから来るかわからないってのはわかるけど・・・なにも全方向から来なくても・・・動きながら魔法の詠唱できないから何発も殴られたし・・・」
「ハッハッハ、このくらいで音を上げるなんてまだまだだな、お前らはまだレベルが低いんだし考えながら戦わないとだめだ、そして考えて戦ってはダメだ、考えてる時間なんか敵は与えてくれないぞ!」
「言ってる事は・・・わかるような・・・わからないような・・・」
「アサギ、あれは考えなくても動けるようになれって事よ・・・」
なるほど、流石はセッキーだ
「とするとまだまだダメって事だな、詠唱が短い魔法だと火力がでないし、長い魔法だと緊急の対処が難しい、んー・・・ステータスをあげていくしかないなー」
「そう言えばアサギ、お前はどんなパラディンを目指してるんだ?外遊人は俺達と違って自分で上がるステータスを選べるらしいな、俺達はレベルが上がるまでにどんな経験を積み何を欲しがっているかによって上がっていく、だから最初から自分でどんなパラディンになるかを皆考えているんだが、まあ、自分でステータスを選べるとしても結局は最初にある程度考えないといけないのは同じ事だろう、どんな感じだ?」
このゲームではレベルアップで上げる事ができるステータスは6つある、レベルアップでステータスポイントを取得しそれを1つずつ振っていくのだ
数字が小さいうちは上げるのに必要なポイントは少ないが徐々に必要なポイント数が多くなっていく
だから最初からどのようなステ振りにするかは皆が考えている事だろう
STR、ストレングス、主に近距離攻撃でのダメージをあげる、あと上がれば上がるほど鞄の所持限界
増えていく
AGI、アジリティ、主に素早さが上がっていく、しかしこのゲームでは自分の素早さが上がるというか戦闘中に周りの時間の流れが少し緩やかに感じるという効果もある、まあ、そうでなければAGIに著しく振ったプレイヤーが通常の生活を送るのが難しくなるし逆にAGIを1も振らないアサギのような盾役は普通に歩くのですら遅くなってしまう、それは不便すぎると考えられた結果だ
どうやら会話だけは同じように聞こえるのでAGIが高い人と低い人がPTを組んでも意思疎通が難しくなるという事はないらしい
VIT、バイタリティ、主に耐久力、防御力が上がっていく、そして敵と戦った時に自分の体重を増加する効果もあるようだ
体重が増加するとは言え別に上げた本人がそれを感じる事はない、もしそうなってしまったら敵と戦う所ではないだろう、体重が増えるとはつまり敵の攻撃に対して安定感を得られるという事、このゲームではあまりにも大きすぎるモブは存在数が少ないらしいがいる事はいる、そんなモブの攻撃を受けきるのはアサギのリアルの体重では無理だろう、それはどんな人間にも言える事ではあるのだけれど
DEX、デクステリティ、主に遠距離攻撃のダメージと命中率をあげる、あと魔法の詠唱の早さにも関係してくる、これをある一定の数字まで持っていくと無詠唱で魔法が唱えられるらしいが火力と反比例するのは否めない
近距離攻撃時の命中補正もあるにはあるがそこは本人がカバーできるので近距離職でそこまで上げる必要性はあまりないようだ、製作系スキルに少しかかわっているようだがそこまでの誤差はない、多少効果が増す、その程度だ
INT、インテリジェンス、主に回復魔法の威力をあげる、攻撃魔法の威力も若干あげる、比例としては3分の1くらいか、あと魔法ダメージに対しての抵抗力もあがる
こちらも製作系スキルに少し関わってくるがやはりそこまでの誤差はでない
MND、マインド、主に攻撃魔法の威力をあげる、回復魔法の威力も若干あげる、やはり比例は3分の1くらい、こちらも魔法ダメージに対しての抵抗力もあがる
もちろん製作系スキルに関わってくるのだがやはり少しだけだ
製作系スキルに多少関わってはいるがそこまで誤差を作らなかったのはこのゲームがサブキャラを作れない事によるものらしい
何キャラも作れれば戦闘用のステータス、製作用のステータスと分けられるが見た目や種族も違うのに実は同一人物である、などとゲームの中で話そうものなら確実に混乱を生じるから1人1キャラとなっているようだ
「えっと、私は物理系のパラディンにしようと思っているのでVIT多め、STRちょっと多めのDEX少しですね」
「ほう、DEXをあげるのか、INTは?パラディンだって回復魔法を使えるぞ?それにスキルを使うのにだってMPは必要だ、どちらかと言えばMNDよりはINTの方がパラディンにはあっているからそれを上げないのはどうしてだ?」
「あー・・・えっと、DEX上げるのはなかなか思った通りに身体が動かないのでそれを補いたいなー、と・・・いや、努力していけば後で必要なくなるのかもしれないですけど必要かなー、って、INTの方はですねー・・・んー・・・まあ、一緒にやる友達がいるのでそっちに任せようかなー、なんてー・・・思いましてー・・・」
その発言にダンチョーは眉をひそめた
何かを言い淀んでいる・・・がそれがなにかはダンチョーにはわからない、しかし本人が言いたくないのだろう、ダンチョーはアサギの事を大分信用している
(まあ、今は聞くまい、いつかアサギが強さ的にも本当のパラディンになった時にでも酒の肴に聞くとでもしようか・・・)
「そうか、まあ、一緒にいる友人がいるんだから役割分担と言うものも大事ではあるな、全部一人でやる必要はないんだからな」
「あー、・・・はい」
「アサギよ、パラディンにとって大事な事について話したな?覚えているか?」
「あ、はい!それのお陰でガオーンと戦った時に何とか前に出る事ができました!」
本当はガオーンと戦っている事を知っているダンチョーだがさも初めて聞いたとばかりに驚いてみせた
「なに!?ガオーンだと!?奴と戦ったのか!?」
「あ、団長知ってるんですか?ガオーンの事」
「当たり前だ、あいつはここからそこまで遠くない場所にいるしな、騎士団で何度か撃破もしている、それでもあいつは蘇ってくるんだからな、魔王の影響とは言えあまり考えたくはない事だな、徘徊時間はそう長くはないんだ、あまりその時間にうろつくんじゃないぞ」
このゲームではモブのリポップを魔王の力の影響としているようだ
確かに同じ個体名のモブを倒しても倒しても何度も復活すると言うのは変な話だ
アンデット系のモブならまだわからないでもないけれど・・・とりあえず敵についての不思議な話は全部魔王のせいにしちゃえ、って事なんだろうか
それならこのゲームが進んだ時に魔王が倒されたらどうなるんだろうか
第2、第3の魔王が現れるような気はしているがここの住人は正気を保っていられるのだろうか、魔王を倒せばモブが居なくなると思っている人達はその後も暮らしていけるのであろうか
まあ、それを考えても仕方がない事だよね、アサギはそんな事を考えたがそれは仕方のない事と割り切った
「はい、やられちゃったのでしばらくはモブが居ない時は別の場所に行きます、でもいつかリベンジします!!」
アサギの心は折れてなかった、安心したのかダンチョーは微笑んだ
「ダンチョー団長、やられた後アサギったら泣いてたんですよ、悔しい!って滅茶苦茶格上のモブなのに」
「う、うわぁ、セッキー、やめてよ、恥ずかしいよぉ」
「はっはっは!そうかそうか!」
ダンチョーは今度は豪快に笑った
「アサギよ、その悔しさはパラディンには必要なものだ、よし、じゃああいつと戦うというならお前にもう一つ俺がパラディンに取って大事なものを教えてやる!いいか?心して聞けよ?」
「っ!!は、はいっ!!」
「俺の盾は、俺らの盾だ、お前の盾はお前らの盾だ、この意味がわかるか?」
「俺の盾は・・・俺らの盾・・・お前の盾は・・・お前らの、盾・・・」
「ああ、そうだ」
「・・・はいっ!私の盾は私だけを守る訳じゃなくて皆を守る盾でもあるんですね!!
「流石はアサギだ、聖騎士道を理解している!フクフなんかよりもな!」
「はいっ!ありがとうございます!!」
「よおし、とりあえず予定の時間までは稽古すっぞ!お前らまた連携の特訓だ!」
「「「おおーー!!」」」
「私の盾は・・・私達の盾・・・くふふふふ、私が皆の盾になるんだ!!」
やはりこの2人は似通っている、だからこそダンチョーはアサギを心配し技術を伝え、いつか自分と一緒に人々の前に立つ事を望んでいるのだろう
その気持ちはアサギも一緒だった、いつかダンチョーと一緒に、その思いを強くしたアサギは今日もダンチョーに吹っ飛ばされていく




