聖騎士はその攻撃を知っている
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アサギ達は「邪教徒の採掘現場」を奥へ奥へと進んでいく
衛生面が悪いのか場所のせいなのかはわからないが途中ででっぷりと太った大きなネズミ型のモンスターが出た時はちょっとした騒ぎになった
動きが早かったのもあったがビジュアルが気持ち悪かったのだ
幸い数がそこまで多くなかったけれどうじゃうじゃと出ていたらそれだけで周回するという選択肢がなくなっていたかもしれない
まだまだ残っていた見張り役の邪教徒やネズミなどを倒していくと目の前に階段を見つけた
上の方を見て見ると明るくなっておりどうやら地下から地上へとでれる階段のようだ
「ん、外でるんだ、「邪教徒の採掘現場」って名前だしずっと地下だと思ってたよ」
「そうね、私もそう思ってたわ、まあでもネズミが出なくなりそうだから外へ出るのは歓迎ね」
「うんうん!私もそう思う!!」
「外からも穴掘ってるのか?それならもう1回中に入って行く可能性もあるぞ」
「それは・・・確かに・・・」
「まぁまぁ、行ってみればわかるわよ、どうせ道は前にしかないんだしね」
アサギ達は目の前にある階段を昇って行った
そして外へ出てみると
「おー!明るい!広い!!」
「んー・・・世界地図的に見ると・・・ここにはここから入ってきたから・・・」
「インスタンスダンジョン内だし地図には表記されてないんじゃないか?」
「んー・・・そうねぇ・・・方向はわからないけど歩いた距離を考えてみるとこの山の中のどこかじゃないかしらね」
「そうかもしれないねー、周りは山で囲まれてるもんねー」
「で、俺達が目指す場所は・・・まあ、あそこだろうな」
「そうね、あそこしかないでしょうね」
山頂をまるでスプーンで掬い取ったかのようにできているこの場所にはまるで似合わない真っ白な建物がそこに建っていた
「見た目は広いけどあんまり回り道できないような設定になってるんだね」
アサギは今出てきた場所と建物を繋いでいる道から離れ周りの山の方へと進もうとしたが少し歩いたら越えていけない木々に阻まれてしまった
「となるとここに採掘ポイントはなさそうね、さっきの所にもなかったし・・・やっぱインスタンスダンジョン内にはないのかしらね」
「残念だねー、まあ、でも仕方ないか、じゃああの建物に行ってみよう!」
「「「「「おー!」」」」」
アサギ達は採掘現場にいた見張り役と同じ姿だが少しレベルが上がった敵と戦いながら真っすぐ道に沿って建物を目指す
そして建物の前に立つと
「んー・・・また地下に行くのかな?」
「そうね、外観はどう見ても1階しかないものね」
「ボスが中に1人だけしか居ない・・・訳じゃあないだろうからな」
「流石にボスが2体って事はないでしょ」
「そうね、流石にね」
「だな、となると建物の前にボスが居ないとなると・・・」
アサギが建物の扉をゆっくりと開いた
「うん、奥に行く扉の前に明らかに強そうなのが立ってるね」
そこには重厚な鎧を身に纏った邪教徒がここを通りたりたいのなら俺を倒してみろと言わんばかりに仁王立ちしていた
「他は居ないか」
「そうだね、あいつ倒せば奥の扉の鍵が落ちるかな」
「見た目は完全にナイト系だな」
「うん、そうだね、あ!くふふふ、やっと取れたスキルをここでお見せしよう!!」
「ん?何か取ったのか?」
「うんうん、ずっと欲しかったけどスキルツリーの関係でなかなか取れなかったのがやっと取れたんだよ、レベル制限もあるスキルだからね」
「ああ、そういや何個かジョブレベルじゃなくて俺らのレベルで使える使えないってスキルが俺のにもあったな、あれでも結構スキルツリーの奥の方だろ、よく取れたな」
「まあ、ほら、私最初からパラディンのスキル取れてるからね、ソードマンで使わないスキルは取ってないからその分パラディンの方に回せてるし、レベル制限があったから取れてなかったけどやっと解放されたんだー」
「さっきのミッハリーニでは使ってなかったの?」
「ん?あ、いや、あれは別に使わなくても行けそうだったから・・・防御系のスキルだから使った方がよかったかもだけどなんというか・・・あまりにも問題がなかったからというかなんというか」
「へぇ!防御系か!これでうちのパラディン様がますます硬くなったのか!」
「ダメよアサギ、防御系ならちゃんと使わないと、それで攻略が楽になるなら私もオネさんも攻撃に参加できるかもしれないんだから」
「うー・・・気を付けます・・・」
「それでどんなスキルなの?レベル制限はなんとかなったけどジョブレベル的にはまだ取れないようなスキルならあんまり外では使わない方がいいのかしら?」
「あー、んー・・・どうだろ・・・?もうちょっとレベル上がっていけば皆使えるようになるかもだけど・・・スキルの説明文だけでもかなり有用なのはわかると思うからきっと皆取るはずだし」
「ふーん、でもアサギは結構外でパラディンのスキルも使ってるでしょ?それなのになんで取れてるんだって言う人もいるんじゃない?」
「んー・・・そっか、ならもうちょっとだけ隠しておこうかな、なんかまた秘密ができちゃったな」
「まあ、インスタンスダンジョン内なら私達しかいないんだから思いっきりやっちゃいなさい」
「うん!!じゃあ行くね!えーっとあいつの名前は・・・「守護者イカセン」か、よーし、始めるよー!!」
「「「「「おー!」」」」」
アサギは「守護者イカセン」に向け走り始める
それは後ろから見てる5人からしたら見慣れた光景だった
しかし次の瞬間
「新スキル!光の盾!!」
アサギがスキルを発動すると構えた盾が光り出し巨大な盾となった
そして突進スキルを発動し「守護者イカセン」に真っすぐ突っ込んでいく
キーン!
アサギの盾と「守護者イカセン」の盾がぶつかり合う
その音は今までの金属音ではなくもっと高い音がでていた
「アサギ!どういうスキルなのかくらい教えてから行きなさいよ!!」
「あ!えっとね!盾で防げる面積が広がるのとダメージ軽減と盾での攻撃のダメージがちょっと上がるんだよ!!!」
「でもそんな広がっちゃったら剣振れなくないか?」
「それに地面とかにも当たりそうじゃない?」
「大丈夫!敵の攻撃は通さないけど私の攻撃とか地面とかは通す!ご都合主義の塊だから!」
「まあ、攻撃が出来なくなったり何かにぶつかっちゃったりするなら確かに誰もあのスキル取らないか・・・」
「そうね・・・まあ攻撃が出来ないってリスクがあって防御力が上がる、ってのスキルならわからなくはないけど」
「そうだな、盾での攻撃スキル結構あるみたいだしな、そうじゃなくてもアサギはよく顔狙って盾でぶん殴ってるけど」
「バッドステータスに鼻血があったら絶対出てるわよね、あれ」
「ああ、できれば食らいたくはないわな」
わかるわかると皆が頷いていると
「おーい!もう攻撃していいよー!」
話し込んでいるうちにアサギはもうとっくにヘイトを稼ぎ「守護者イカセン」の背中を5人に向けていた
全員がいけね!という表情を見せた後すぐに行動し始めた
セッキーは食らったダメージの回復を、マーリンは呪文の詠唱を、まぁちゃんは瞬間移動を、ダガーは槍を構え突撃を、オネはその場に小さな木を生やし始めた
「建物内で見るとほんと違和感でしかないな、ドルイドのそのスキル」
「あはは、さっきまでは一応地面が土だったけどこんな場所では確かにね」
その木はその場で揺れ続けパーティーメンバーを少しずつ回復していくというスキルで時間の経過で消えてしまうというスキルだ
1回の回復量は乏しいが継続して回復出来る事と木を生やせば勝手に回復してくれるので便利なスキルである
なので
「んー・・・これは私も攻撃に参加できそうかな?」
「そうね、あの盾のスキルの効果なのか相手がアサギが1番戦いやすいだろうナイト系、しかも剣盾装備だからなのかまったく危なげがないわね、一応木は連続で生やしててほしいかも、あとは半分になりそうになったらで」
「うん、そうだね、パターンわからないもんね、変わりそうになったら回復に専念するよ」
そう言ってオネは回復用の短杖から攻撃用の棍に持ち替え自分にも支援魔法をかけると「守護者イカセン」の方へと走り出した
「オネさんが攻撃に参加できるならさっきのミッハリーニの所でも使っておけばよかったね」
「まあ、そうじゃなくても結構攻撃魔法は飛ばしてたけどね、ただ攻撃魔法に近距離専用にもあるから今の方が火力はあがるよ」
「これでまた強くなったね!」
「ふふ、そうね、アサギちゃんもね」
「そう?くふふ、嬉しいな」
そう喋りながらもアサギは「守護者イカセン」から一切目を離していない
そして一度も防御に失敗していない
光の盾と言うスキルで防ぎやすくなったのはもちろんあるが今アサギの目の前に居る敵はアサギが今までで1番戦ってきたスタイルの敵なのだ
流石の「まおクエ」も人型で出して来たら関節の可動域が人のそれを上回るような無茶な動きはさせない
アサギは戦ってきた土の教会の稽古場で、フィールドで、インスタントダンジョンで
そして自身の頭の中で
目の前に居る敵の繰り出す攻撃はすでにアサギはどこかで経験している
それはアサギに向けられていた攻撃なのかアサギが繰り出した攻撃なのかはどちらでもいいだろう
大事なのはアサギがその攻撃を、軌道を知っているという事
あとは速度、強さ、タイミング
何度か攻撃を防御しているうちにアサギはそれを覚えた
そして段々と相手の攻撃を盾で防ぐ事から受け流しさばく回数が増えていき
「守護者イカセン」は一度もアサギにまともな攻撃を当てれぬまま光の粒子となった
「ふー、お疲れさまー」
「お疲れ様、結局最後は私まで攻撃魔法使ってたわね」
「私もこんだけボスの近くにいたのは久しぶりだったわ」
「ああ、大分削るの速かったな」
「もうあっちゃんあの手の敵はよっぽど速いかノックバックかスタンが付いてる攻撃してくるかじゃないと負けないんじゃない?」
「1対1ならアサギさんならやれそうだな、そうなると雑魚召喚も問題になるな」
「まあ、その辺は俺等でカバーできる部分でもあるし常に雑魚を召喚しっぱなしって敵は・・・んー・・・居ないとも言い切れないか?」
「そうね、6人用のボスならまだしも12人用、48人用となるとわからないわね」
「よーし、ドロップ確認するよー!おー・・・なし・・・でも見た事ない形のメダルがたくさんだね」
「ああ、邪教徒の?」
「うんうん」
「んー・・・となるとここはメダル集め用のダンジョンなのかしらね・・・でもそれならなんでミッハリーニはそこまで出さないかったのかしら」
「んー・・・下っ端は持ってる数少ないとか?」
「ありそう!」
「あれはクエスト用だったのかもよ?」
「なるほど、そういえばあいつ倒さなくても奥進めるような配置だったような?」
「それもそうね、だから少なかったって可能性はあるわね」
「次確認してみよう、とりあえず今はこの鍵で奥へ進もう!」
アサギは「守護者イカセン」からドロップした鍵を使い建物の奥への扉を開けた




