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それぞれの騎士道

私は悔しかった

レベル差があった、そんな事は百も承知だ

負けた事自体は仕方ない部分がある


なにより悔しいのは自分が相手の強さに呑まれ動きを止めてしまった事


「次はもっと上手にやってやる・・・」


そう呟き、私は静かに目を閉じる




「おはよう、昨日は残念だったねー」


「おはよう、席子ちゃん、次こそ勝ちますよ、私は!!」


「そうね、誰かさんが凄く悔しそうに泣いてたから私も足を引っ張らないように頑張るわ」


「え!?ゲームやってた時は泣いてなかったよね!?」


「やっぱり泣いてたのね、貴女、あんだけ強かった相手なのにそんなに悔しいんだ?」


「うっ・・・ひっかけはひどいよ・・・んー、負けた事よりもちゃんと動けなかった事かな、私はまだまだ聖騎士として未熟なんだなー、って実感しちゃったと言うかさ」


「まだ始まって今日が3日目なのになにがまだまだよ、大丈夫よ、ガオーンを前にして1番最初に動けたのは貴女でしょ、頼りにしてますよ、聖騎士様」


「んー・・・頑張る・・・」


「で、今日なんだけど昨日の戦闘で思ったのはやっぱり私達ってまだ始めたばかりでしょ?動き方がなってないと思うのよ、前野君には悪いけど土の教会でちょっと動き方の勉強しない?」


「うん、なんにしろ稽古がもっと必要だなとは思うから私はいいけど・・・前野君は研究所行くのかな?」


「それはわからないけど・・・まあ、サブ職あげたりソロでレベル上げしたりなら1人でもできるでしょ、マジシャンなら、もしかしたら稽古に付いてくるかもしれないしね」


「なら前野君が来たら聞いてみようか、狩りに行きたい、って言うならその後にしようね」


その後登校してきた前野に話をしたら一緒に土の教会に行くと言ったので今日は3人で土の教会に行く事になった


学校が終わり帰路につく

今日も母親からメールにて買い物を頼まれはしたがその買い物で運命的な出会いがあったので苦にはならなかった

今日は特になにも出会いは無かったのだが


いつものように夕ご飯の時間を聞いてから「まおクエ」の世界にログインするアサギ

昨日教えてもらったフレンド機能を見てもまだセッキーもマーリンもログインしていなかったので話をつけた方がいいかと考え土の教会に向かった




 

アサギがログインしてようがしていまいが「まおクエ」の時間はゆっくりと過ぎていく

アサギがガオーンに倒される少し前、土の教会の団長の部屋には2人の男が集まっていた


「・・・ではここを出たアサギの後をついていったが特に他の教会による事もなく知人の様な外遊人と「チッケーナ草原」で狩りをしようとしたがモブが少なくて「マダチケーヨ草原」まで足を伸ばした、と」


部屋は薄暗いがはきはきとよく通る声は誰が発言しているのかがよくわかる

団長の部屋だから当然とは言えダンチョー団長の声だ


「その前にアサギはお前と稽古をしていたと言うのに、なかなか体力はあるな、いい事だ」


お前と呼ばれたのは昨日アサギと稽古をしていたフクフ副団長だ


「ええ、結構厳し目にしたつもりだったんですけどね、やはり外遊人と言えものはそんなもんなんでしょうか、その時はまだレベル1だって言うのに全然音をあげないので体力はあると思います、全力ではないにしろ、ね、やはりパラディンなのは濃厚かと」


「なんだフクフ、まだそこを疑ってたのか?仕方のない奴だな」


「ええ、まあ、自分で納得しないとどうにも気が済まない性格なのでね」


「ふん、まあ、それはいい、で、その後アサギはどうしたのだ?」


「ええ、それが後をつけさせた奴は3人で徘徊時間の「チトトーイ荒野」にはいったそうです」


「なに!?徘徊時間だと!?それでアサギは無事なのか!?いや、そうか、外遊人は死ぬ事はなかったか・・・だが大分無茶をしたな」


徘徊時間とはガオーンの出現時間の事だ

当然王都にはガオーンの情報は入っている

普段いるモブが見えない時間、つまりガオーンが出現している時間は少人数では「チトトーイ荒野」には入らない、これが聖騎士団のルールだった


「ええ、あまり人が居なかったからそれほど近づかなかった事と徘徊時間なので「チトトーイ荒野」には密偵は入らなかったんですがいつまでたっても南門には戻ってこなかったそうです、外遊人は倒されると自分が指定した場所に戻るらしいのでそれで帰ってきたんだと思います」


「つまり会ったのか、奴に」


「ええ、恐らくは・・・ですがね・・・」


「あいつは倒しても倒しても亡者のように蘇っては戦い続ける戦闘狂、折られてなければいいんだがな・・・で、そこでの戦闘は見れなかったとしても「チッケーナ草原」や「マダチケーヨ草原」での戦闘はどうだったと言ってるんだ?お前の口振りからするにパラディンのスキルを使ったのは確認できて無いみたいだが」


「はい、そうですね、一緒にクレリックとマジシャンが居たみたいですけどアサギが敵を止めてマジシャンが倒すと言う、まあ、一般的な狩り方をしてたらしいです、ただ密偵が言うには最初の数匹はマジシャンが攻撃する事なく敵が倒れたらしいので、どうやら本気を出せばそれなりの攻撃力はあるみたいですよ」


「ふむ、パーティーだからトドメを後ろに任せて敵に集中するのはよくある話だ、しかしそうかそこまで攻撃力があるようには思えなかったが・・・外遊人は皆いい武器を持っているのか?そこら辺で見かける奴はそうでもないが全員がそうとは言い切れまい」


「密偵もちょうど隊列が前後になっていて剣の方は確認できなかったと言っていたのですが盾の方は確認したみたいです、変な話ですけど一見凄そうな盾なんだけどよくよく見るとそこまで大した事のなさそうな盾だそうで、変なもの掴まされたのかも知れませんね」


「ふぅむ、それなら聖騎士で正式採用されている盾でも渡すか・・・」


「団長、ダメですよ、どこの教会かまだわからないのにうちのマークがはいってる盾を渡したら、それに予算がどーたらと勘定方にまた言われますよ、そうでなくても団長はよく装備を壊すんですから」


「む、大事に使ってはいるのだがなぁ・・・ちょっと強く振ったりするとどうにもなぁ・・・やれやれ仕方ない、我々土の教会は技術提供だけに留まるとするか」


「はい、それがよろしいと思いますよ」


「ふん、そうだ、さっき言ってた知人のクレリックだがどこかの教会に登録してたりはしないのか?」


「それは現在確認中ですね、何しろ見かけたのが昨日初めてでその方も「チトトーイ荒野」から直接帰還したわけではないので」


「そうか、そこから探れるとはあまり思わないが一応確認はしておいた方がいいな」


「はい、わかっています、さて、それで次の報告なんですが」


「ん?なんだアサギについてまだあるのか?」


「いいえ、我々の仕事はアサギの事以外にもじつはあるんですよ、ご存知ありませんでしたか?団長」


あー・・・めんどくさい、そう思ったのが顔にでてしまったダンチョー団長にフクフ副団長は容赦なく仕事の話を振っていく

ダンチョー団長が解放されフクフ副団長が部屋から出ていったのは深夜になってからの事だった




そんな話をしていたと思う訳もないアサギは土の教会につきダンチョーに会うといきなりぶちまけた!!


「ダンチョー団長!昨日私シールドチャージ覚えました!!」


「お、おお、そうなのか、やっとレベル1からは抜け出せたのか、それはよかった、ふむ、どれくらいの強さか見せてくれないか?」


「はい!じゃあ稽古場に行きましょう!!」


あれだけアサギが本当にパラディンなのかと密偵まで使って調べても確定できなかったのにまさかアサギ自身がスキルの事を話してくるとは、少し驚きが顔にでてしまったがそこはすぐに悟られないように話を変えた


そのスキルが本物ならば話は早い、あとはどこの教会なのかを確認すればいいだけである、問題はない


「あ、そうだ、友達のクレリックとマジシャンがパラディンとの連携を教えて欲しいと言っているんですが大丈夫ですか?」


「ん、構わんがそのクレリックはどこの教会にも所属してないのか?ここ以外に登録しているならダメとはあ言わないが筋は通さないといけなくなるな」


調べようと思っていた矢先にアサギ自らが話を振ってくる、実はその人物の事を調べようとしていたなんて事は顔に出さずあくまでも自然に団長は聞いた


「あー、いや、どうなのかな、ちょっと聞いてみますね」


そう言うとアサギの口から声がでなくなった

口は動いているのに声がでていない、なにやら奇妙だが外遊人という奴らはパーティーを組んだり個人間で会話をする時は声がでなくても通じるものらしい

唇を読めば何を言っているのか大体わかるがそもそも今聞いてみると言ってた事を聞いているのだろう、唇を読む気もしなかった

ただ内緒話をするには便利だな、と考えていた


「団長どうやらどこも登録してないそうです、ついでに土の教会に登録となにか受けれそうなクエストがあれば受けていきたいそうです」


「あ、ああ、わかった、じゃあ先に受付にそう連絡しておくから稽古場で待っておけ、ああ、アサギは自分の盾はあるか?装備と言うものは癖がある、慣れる為にあるならそれを用意しておけ」


「あー・・・んー、はいー・・・」


煮え切らない返事を不思議に思ったが団長はまず一緒に居たクレリックがどこにも所属していないと言う事実をフクフ副団長に伝える為に受付を通り越して伝えに行った


(んー・・・神様作の盾なー・・・ばれないかなー?)


アサギはアサギでどうしたものかと考えた、だが聖騎士は悩まないのだ、悩んだ所でいつかはバレる、いや、ここまでお世話になっているのだからダンチョーには話してもいいかな、アサギはそう考えていた


(その時は全部話そう!でも団長ですらパラディンロードには様つけてたのよね、団長より強いのかな、あー、なんか変に畏れたりしたらいやなんだけどなー、言えばなんとかなるかなー?)


そんな事を考えながら柔軟をしている所にセッキーとマーリンが団長と共にやってくる


「あれ?早かったね」


「ええ、話かけられたときにはもう近くにいたのよ、どうせ来るって話になってたでしょう?」


「なるほどー、団長、この2人は私の友達でクレリックのセッキーとマジシャンのマーリンです、2人ともこの人が土の教会の騎士団長のダンチョーさんだよ!」


「よろしくお願いします、クレリックのセッキーです、登録もさせていただいてありがとうございました」


「よ、よろしくお願いします!!騎士団長って事はパラディンロードなんですか!?強そうっすね!あ、俺マーリンって言います!」


「ああ、ダンチョーだ、よろしくな、残念だが俺はパラディンではあるがパラディンロード様ではないよ、ま、俺が強いってのは間違えてないけどな」


「え、あ、すいません、じゃあダンチョー団長より強い人が土の教会にはいるんですね?うわー、すげー想像ができねーや!」


「んー、パラディンロードは別に強いからなるものじゃあないんだよ、一般的にはそう思われてるれしいがな、だからここで1番強いパラディンと言えばやはり俺だろうな」


ダンチョーはドヤ顔を見せる


「本当であればダンチョー団長がなっていましたがね」


そのドヤ顔を塗り潰すかのようにいつの間にか現れたフクフ副団長が声を重ねる


「まあ、ダンチョー団長はロード様になると動きにくいから、って理由で固辞したんですよ、だから実質的にはロード様はダンチョー団長です」


「やめろフクフ、俺はパラディンロードじゃあない、あいつだって頑張っている、俺はやりたくなかった、ただそれだけの話だ、それに今は部外者もいるんだ、そこまでにしておけ、・・・ったく、この話になると口が軽くなりやがる」


「申し訳ありません・・・」


あの顔は絶対に申し訳訳ない顔だ、それは全員が頭に浮かんだだろう、だが誰もその話には触れなかった


「アサギならわかるんじゃねぇか?俺がロードを断った理由がよ」


「なんとなくですがわかります、それがダンチョー団長の聖騎士道なんですね」


そうするととても嬉しそうな顔で


「その通りだ、やはりわかる奴はわかるんだな」


そう上機嫌で頷いた

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