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聖騎士と再びの剣戟 その2

皆様の声を聞かせてくださると幸いです


感想、評価お待ちしております

 ついに私は待ち望んでいた再戦をこれから果たす

 再戦・・・いや、今日は戦いに来たんじゃあない、勝ちに来たんだ

 思い出せ、初めて出会った時の一撃を、骨の迷宮の奥で出会った時の攻撃を

 私は、ううん、私達は今日「ガオーン」を倒す


「居た、こっちに向かって歩いてきてる」


「チトトーイ荒野」を進んでいくアサギ達の前に「ガオーン」が姿を現す

「ガオーン」はまだこちらに気付いていない様子だ


「セッキー、オネさん、支援お願いね」


「ええ、わかったわ」


「うん、任せて」


 セッキーとオネはパーティメンバーに支援魔法をかけていく

 その間もアサギは「ガオーン」から視線を離していない


「さ、これで準備万端ね、もう料理とか食べてるんでしょ?」


「うん、大丈夫、さっき使った」


「いよいよだな、何だアサギ、緊張してるのか?」


「あはは、そうかも・・・ううん、緊張してると思う」


「あっちゃん大丈夫?なんなら今からでもアーサーさんたちどっか行ってもらう?」


「ううん、大丈夫、多分始まったら気にならないというか気にしてる余裕なんかないと思うし」


「それもそうだな、俺達も外野の事なんか気にしてられなくなるだろう、特にアサギさんとまぁちゃんと俺はあいつの近くで戦う事になるんだし」


「それもそっか、私も余計な攻撃喰らわないようにしないとね」


「大丈夫よ、ちゃんと回復してあげるから、ね、オネさん」


「そうそう、セッキーちゃんの言う通りだよ、流石にずっと食らう所にいるのは勘弁だけどちょっと当たっちゃったくらいならすぐ回復してあげるからあんまり気負わなくていいからね」


「よし、じゃあいこっか、多分そろそろこっちも気づかれると思うし」


「「「「「おー!」」」」」


 アサギ達は1歩、また1歩と少しずつ「ガオーン」へと近づいて行く

 すると「ガオーン」が歩くのをやめた、どうやらこちらに気付いたらしい

 段差だらけの「チトトーイ荒野」とは言え流石にここまで近づくとわかるようだ

 すると


「見て、「ガオーン」の顔、ちょっと笑ってるように見えない?」


 セッキーの声に5人が表情をよく見て見ると確かに笑っているように見える、しかも


「私の事・・・見てる・・・?」


「ガオーン」の視線の先にいるのはアサギだ、アサギ以外を見ていないのだ

 それがわかった瞬間アサギは下を向いてしまう


「ふぅー・・・覚えてる・・・のかな?そっかー、前に会った時は凄く弱かったしちょっとは油断してくれるかな?それとも最後に喰らったあの一撃が最初から来ちゃうかな?いやー、困ったなぁ」


「何が困ったよ、その顔のどこが困った顔なのよ、口角がめちゃくちゃ上がってるわよ」


「え、くふふふ、そうかな?くふふふふ」


「全く、さ、「ガオーン」にこの前とは全然違うんだって事見せつけてやりなさい」


「くふふふ、うん、そうだね!!やろう!!」


「「「「「おー!」」」」」


 歩みを止めた「ガオーン」に向かい近づいて行くアサギとその後ろを歩く仲間達

 そしてそれを当然の事の様に待っている「ガオーン」

 互いの距離がどんどんと近づいて行くと・・・スッ・・・「ガオーン」は手に持つ金棒を振り上げる

「あの頃と今とどう違うのか見せてみろ」

 アサギは「ガオーン」がそう言いたいのだとわかった


「皆、ちょっとだけ手を出さないでね」


 アサギは1人、「ガオーン」の元へと近づいて行く、その距離はもうお互いの命を削り合う距離だ

 アサギは盾と剣を持つ両手をだらりと垂らし、そして笑った

 それを見て「ガオーン」も再度ニヤリと笑う

 次の瞬間お互いの表情が同時に真剣なものとなり

 ガキーン!!上から振り下ろされた金棒と下から振り上げられた盾が激しい音を立てながらぶつかった

 ぐぐぐぐぐと上から強力な力で押し込まれるもアサギは一瞬下半身の力を抜きそして飛ぶかのように身体を起こし金棒を振り払った

 お互いの視線が交差する


「グオオオオオオオォォォォォッッ!!!」


「ガオーン」が叫んだ

 叫んだ、嬉しそうに、まるで待っていたぞと言わんばかりに叫んでいた

 アサギはもうその咆哮を聞いてもパニックにはなっていなかった

 あの時聞いた声は今でも耳に残っている、あの恐怖感すらも、しかし同じ咆哮、いや、あの時よりも強い咆哮を聞いたのにアサギはただただ嬉しかった、成長できた、私は「ガオーン」に本気を出させる事が出来るまで成長できたのだ


「アサギ、そこがゴールじゃあないでしょ?」


「うん、当然!私達は勝ちに来たんだ!!」


 アサギの表情を見た「ガオーン」が再度金棒を振るってくる

 今度はさっきよりも速い、だがアサギはそれをもしっかりとと盾で防いでみせた

 そして盾の角度を変え外側へと金棒をずらしながらアサギは前へ出る

「ガオーン」の腹部をすれ違いざまに切りつけながらアサギは身体の向きを変える

 アサギの方へ向きを変えた「ガオーン」の腹に盾をぶつけ爆発させながら


「皆!攻撃お願い!!」


 アサギの声を、攻撃開始の瞬間を今か今かと待っていた仲間たちの攻撃が「ガオーン」の背中に降り注ぎ始める

「ガオーン」は特殊なAIだ

 それはまるで意思があるようなAIである

 アサギは「ガオーン」に限らずそういった敵達と何度か戦った事がある

 アサギは思う、意思があるのなら自分以外を狙えば私達はすぐに負けてしまうのではないかと

 アサギは思う、意思があるのなら自分から目を離したら危険だとわからせてやらなければと

「ガオーン」の攻撃は初めて会った時とは全然違っている、だがアサギはあの時の攻撃程度で終わる「ガオーン」ではないと思っていた、いや、信じていた

 だから躱せる、防げる、耐えれる、そして攻撃できる

「ガオーン」が本気で振り下ろすその金棒を止めるのは難しい

 だから盾で防ぎつつその軌道を変えればいい、これは稽古場でダンチョーと練習済みだ

 金棒の軌道を左右に散らしながらダメージを防ぎつつ攻撃に移る

 無理はしないでいい、自分は最低限でもいい、最低限自分から視線を外させなければいい

 振り下ろした金棒を左に流すと「ガオーン」はそのまま片手で金棒を自分の身体の横に戻し真一文字に振るってきた

 その強烈な攻撃にアサギは吹き飛ばされそうになるもなんとかその場で耐えきる事に成功する

 だが次の瞬間何も持っていない「ガオーン」の左拳がアサギの腹に突き刺さる


「ぐあっ!!」


 アサギは後ろに吹き飛ばされた

「ガオーン」はすぐに距離を縮めアサギの頭に向かい金棒を振り下ろしていく

 だがアサギは吹き飛ばされながらも足を延ばし地面に着いた瞬間に突進スキルを発動しその金棒を潜り抜け「ガオーン」の身体にぶつかっていく

 力の差があるからなのかVITの計算でなのか、もしくは運が悪かったのか「ガオーン」の身体は吹き飛ばない

 しかし「ガオーン」の振り下ろした金棒はアサギには当たらなかった


「一度でダメなら何度でも!!」


 アサギは腹部にぶつかった盾から爆発を起こし再度「ガオーン」を吹き飛ばそうとする

 その時身体ごと前に体重をかけた事が功を奏したか「ガオーン」の足が地面に線を描きながら後退していった

 アサギはそれを見て前へと再度進む

 だが盾の奥に見えたものは金棒を両手で握り今にも振り下ろしそうな「ガオーン」の姿だった



「ガオーン」が渾身の力を込め金棒を振り下ろす

 ズドン!!辺りに強烈な音が響く


 だがそれは金属に金属が当たったような音ではなかった

 アサギは「ガオーン」が金棒を振りかぶってるのを見たが前に行こうとしている身体を止める事ができなかった

 なので急いで剣から光の腕を伸ばし「チトトーイ荒野」にある岩を掴み移動する事で攻撃を避けた

 もし「ガオーン」がもう少し力を抜いていたら、渾身の力をいれずにアサギに合わせるように金棒を振ろうとしていたなら金棒の軌道は真っすぐ縦ではなく横へと移動していくアサギに合わせて横に薙いでいただろう

 そこは運が良かったのかもしれない

 だが生還を喜んでばかりもいられない

「ガオーン」はしっかりと両手で金棒を持ち始めたのだ

 それにより強さが、殺傷力が明らかに違いを見せ始めた

 なによりも振り下ろしてくる金棒を左右に散らす事が出来なくなってしまった

 ダメージは軽減できているがそこから攻撃につなげる事ができない

 STRにVITを乗せるアサギお得意の攻撃も攻撃の回転が速くなった為に使う隙が無かった

 上から、横から、前から・・・「ガオーン」の攻撃が続いていく

 アサギはそれに盾に合わせる事はできていた

 だが、それだけだ

 辛うじてダメージの軽減はできている、セッキーやオネの回復魔法があるからなんとか死なずにいれている


「ガオーン」のHPは順調に減ってきている、減ってはいるのだが仮にアサギが今30秒間だけ無敵になったとしても大して意味はないだろう、30秒のうちに「ガオーン」のHPを全て減らす事などできないのだから

 そして減っていったHPがアサギを更に苦しめる事になる


 アサギは「ガオーン」の攻撃を防ぐ事に集中していて気づいてはいなかった

「ガオーン」のHPバーが半分近く黒くなっている事を

 アサギが耐えている間にも仲間は「ガオーン」のHPを減らし続けている

 そしてアサギは気づいた、HPバーを見た訳ではない

「ガオーン」の身体から赤色の炎が上がり始めた事に


「っと、バフがかかったな!次は青か?紫か?」


「さあ、わからないけど問題はそこまで持つかどうかね!アサギ、行けるの!?」


「う、うん!!・・・そうだ!!」


 アサギは右手に持った剣をインベントリへと仕舞い込む

 骨の迷宮の奥で角と生えた骨が紫色の炎を出した時と同じだ

 なまじ攻撃をしようとするから耐えられない、ならば攻撃は捨てればいい

 生き残る事が一番なのだから


 赤色の炎を纏った「ガオーン」は先ほどよりも強く鋭く、両手で持つその金棒を横から振り回してきた

 だがその金棒はガキン!と音を立てながら両手で構えられたアサギの盾にその動きを止められたのだった


「まだまだ私は倒れる訳にはいかないからね!」


 その後幾度も振り回される金棒をアサギは防ぎ切る

 だがそんなアサギの目の前で「ガオーン」は身に纏うその炎の色を赤から紫に変えていった

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