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聖騎士は慌てると色々忘れる

皆様の声を聞かせてくださると幸いです


感想、評価お待ちしております

「じゃあダンジョンからでるよー」


 アサギはそう言いながらボスが倒された事で「カクシテル神殿」の広間にでたワープポータルを操作した

 普段であればその操作をすればダンジョンの入り口の所へと戻る事が出来る、しかし光に包まれ別の場所へと飛ばされたアサギ達が付いた場所は入り口ではなかった


「ん?あれ?浮いてる!?」


 アサギ達は「カクシテル神殿」を見下ろせるくらいの高さに移動させられていた


「え?なんで?どういう事なの!?」


「なんだ?バグ?」


「いや、バグとかそういうのは無さそうだけど・・・下にあるのは綺麗だから神殿の方ね、遺跡じゃあないわ、って事はまだ過去から抜けれていない・・・?」


「次元のはざまに取り残されたんだ!!!」


「んー・・・そういう事ではないと思うけど・・・」


 その時「カクシテル神殿」の屋根の上に黒い煙のようなモヤのような、そんななにかが集まり始めた


「んー・・・視界にスキルが表示されなくなった訳だし・・・という事はつまり・・・」


「え?セッキーなに、なにがわかったの!?帰れるの?ログアウトできそうなの!?」


「大丈夫よ、アサギ、これはそうね・・・言ってみればムービー演出よ」


「どゆこと?」


 アサギはよくわからなかったので首を傾げた

 首を傾げるついでにエモーションで?マークを頭上に浮かべる事も忘れない


「まあ、見てればわかるんじゃない?見て、どんどん黒いのが集まって大きくなっていくわ」


「うん、なんだろあれ」


 アサギは「カクシテル神殿」の上で大きくなっていく黒い煙でできた球状の塊に視線を向ける


『ユルさン・・・ユルさンゾ、キさマラァァァァァァ!!!』


「あっ!!さっきの!!」


「カクシテル神殿」の屋根の上で黒い球状だったものが先ほど倒した悪魔へと形を変えていく

 その大きさは先ほどとは比べ物にならないほどに大きかった


『キさマラダけハァァァァァ!!!ゼッタイにユルさナァァァァイ!!!』


 そう言いながら悪魔はアサギ達の方へ向かって両方の手のひらを向ける

 さっきの戦闘では肉弾戦を仕掛けてきた癖にこういった所では魔法を使うようだ

 悪魔が手を向けた時アサギは今まで気づいていなかった事に気付く


「あれ?私剣と盾がないよ!?なんで?」


「そりゃあ戦わないからよ、多分そろそろくるんじゃない?」


 セッキーが指をさすするとちょうどその時「カクシテル神殿」の天井を突き破り「防御システム」が現れた!


「えっ!えっ!?飛べるの!?」


「飛んでるっていうかホバリングっていうんだっけ?ああいうの、まさか神殿の天井を突き破ってくるとはね・・・でも「カクシテル遺跡」って天井に穴開いてかしら?」


「えー・・・天井にあんだけ大きな穴開いてたら流石に気付くと思うけど・・・開いてたっけ・・・?うーん・・・」


 広場に安置されていた「防御システム」はどうやらアサギ達の目の前にいる悪魔を敵と判定したようだ

 右手をグルグル高速回転させながら空を飛び悪魔へと近づいて行く

 悪魔が焦り手のひらを「防御システム」に向け手のひらに貯めた魔力を「防御システム」へと撃ちこんだ

 しかし「防御システム」はその攻撃で全壊する事はなく行動を止める事もなかった


『あノオカたカラノタまワリモのナノニ・・・・ナぜダァァァァァァ!!!!』


 叫びをあげた時には悪魔の腹に「防御システム」の右拳が突き刺さっていた、そしてその拳ごと「防御システム」は悪魔の身体を貫通すると「カクシテル神殿」の方へと向きを変え地面に降りていった


「ん?あれは「ウゴクテツ」か?」


「防御システム」は地面にまで降りると背中を開き背中から「ウゴクテツ」を出した

 そしてそのままノシノシと歩き出しアサギ達も倒した「カクシテル神殿」の外にいたカブトムシを一撃の元に叩き潰す、そしてまたノシノシと歩き出しどこかへと消えていく

 一方背中から出された「ウゴクテツ」はというと・・・


「「ウゴクテツ」が・・・なんか急に・・・速くなって、あ!分身した!?」


「そうじゃないだろ、天井を直してるのを全部見せる訳にも行かないから早送りしてるだけだろ」


「あ、なるほど」


「んー、とりあえず「カクシテル神殿」が「カクシテル遺跡」になった理由はなんとなくわかったわね」


「だな、「ウゴクテツ」が直してるとは言え天井突き破って出てきたのとあの悪魔の魔法でボロボロになった訳だしな」


「悪魔が死ぬ時に「防御システム」はあのお方の賜り物なのにー、って叫んでたわね、それが自分を倒したんだからやってられないわね」


 そう言っているとアサギ達はまた光に包まれ場所を移動させられた


「んー・・・結局邪教徒が何を信仰しているのかのはっきりとした証拠はつかめなかったわね、多分最後のムービーを出した訳は調べても無駄ですよ、ってのを暗に言っているんだと思うのだけれど・・・」


「一応これもダンチョーに報告だな」


「あ!そうだ!ダンチョーのとこ行かなきゃ!!!」


「なによアサギ、さっき話した事もう忘れたの?」


「いや、そういう訳じゃあないんだけど・・・あんな風に飛ばされたり映像見せられるのって初めてだから、ちょっと頭から抜けてたと言うか、ほら、びっくりしちゃったから!」


「まあ、そうね、アサギだってゲームをよくやってるんだからムービー演出くらい知ってるはずなのによくわかってなかったものね」


「いや、ムービーはわかるよ!?ほら、海賊のとこでも似たようなのはあったしね、でもどっかに移動させられて、とかは初めてだったしなんでここででるのかがわからなかったからちょっと焦っただけであってね?それに場所が悪かったんだよ、場所が!だって空の上だよ!?セッキーは高い所ダメなのになんで平気だったのさ!!」


「最近はゲームの中だって理解が追い付いてきたのかこの中でだけは平気になったのよ」


「まあまあ、さっさと帰ってダンチョーの所に行こうぜ、報告する事がこれ以上増えても困るしさ」


「そうね、じゃあ帰りましょうか」


「「「「「おー!」」」」」


 アサギ達は帰還スクロールを使いアサギの教会へと戻る

 そして教会から外へと出るとそこには知った顔があった


「あ、女将さんどうもー」


「どうもじゃないわよ、貴方達の事教会の人達が探してたわよ、何度もうちの店まで来たんだから・・・なにかやらかしたの?」


「え?いやいやいや、やらかしてませんやらかしてません!大丈夫です!!」


「そう?まあ、教会の人もそんな殺気立ってるって訳じゃあないから多分本当の事なんだろうけど・・・あんまり無茶しちゃだめよ」


「はーい、気をつけまーす、じゃあいってきますねー」


「はいはい、気を付けてね」


 アサギ達は女将さんに礼をすると教会の方へと駆け出した


「やれやれ、まあ、元気そうだからいいけどさ」


 女将さんはそう言いながら自分の店の中へと戻っていった

 アサギ達が土の教会の近くまできた時には教会の外まで喧騒が響き渡っていた


「あれ・・・いつも以上に忙しそうな感じだね」


「そうね・・・まあ、続けざまにあんな事が起きてる訳だしね、とにかく中へ入りましょ」


 更に協会へと近づくとアサギ達は教会の人達に見つかりすぐに団長室へ行くようにと言われたので団長室まで急ぎ足で行った

 普段は扉が閉まっている団長室だったが今は扉が開けっぱなしになっていた


「ダンチョー団長、アサギです~」


 アサギが開いている扉から顔だけ出すと中でダンチョーが忙しそうに書類に目を通している真っ最中だった


「お!やっと来たか!とりあえず全員入れ!扉は開けたままにしとけ、今日は人がひっきりなしに入ってくるから開けたままでいい」


「はーい」


 ダンチョーに促されアサギ達は部屋の中へとはいりいつものようにソファーに腰かける


「で、とりあえず「悪竜エドラ」は倒したのは間違いないんだよな?」


「あ、はい、倒せました、倒せましたけど・・・」


「ああ、「悪竜エドラ」は死んでなくて封印されただけなんだろ?」


「はい、そう言ってました」


「そうか・・・そう遠くないうちにまた戦いになる予感がするな・・・」


「でも神様が封印するって言ってましたからそんなすぐって訳じゃあないんじゃないかなー、って」


「まあ、それはそうだろう、だがその神の力をもってしても封印しかできない化け物だからな、あの「悪竜エドラ」は」


「はぁ・・・まあ、そうですね・・・」


「で、その件とは別でなんかでかい石像が「ハバガヒロ街道」を歩いてたらしいがそれについての心当たりはなにかあるか?」


「えーっとー・・・それはー・・・」


「ん?何か言いにくい事でもあるのか?ん?」


「ダンチョー団長、とりあえず今の所はでいいんで内緒にしておいてくれます・・・?」


「ん?わかった、ちょっと待ってろ」


 団長は座っていた椅子から立ち上がり部屋の外へと出て行く


「おい!お前ら!今から俺の部屋で内密な話がある!俺がこの扉を開けるまで絶対に入ってくるな!もし入ったら給料がどうなるかわかってるだろうな!!周りの奴等にもそう言っておけ!!」


 そしてバタンと扉を閉め自分の席へと戻った


「これでいい、この部屋は一応防音の魔法がかかっているから声が外に漏れる事はない、で?」


「私達見つけちゃったんです」


「あの石像をか?」


「あー、いえ、まあ、あれも私達が見つけたんですけど、そうじゃなくて遺跡です、「カクシテル遺跡」です」


「遺跡・・・遺跡ってーとあの穴掘りしてる所からついにでたのか?おかしいな、それならすぐに報告が入ると思うんだが」


「いや、実はあそこは入り口じゃあなかったみたいでして、むしろあっちは横だったと言うか」


「ふむ・・・まあ、とりあえずわかった、お前らも金稼ぎがあるだろうから内緒にしておくのはいいんだが・・・あまり長い事内緒にしておくのもこっちの人間としては困るのはわかってくれ」


「あ、はい、それは・・・あっ!「ウゴクテツ」の時間調べてくるの忘れた!!」


「「「「「あっ!」」」」」


「ん?なんだそれ?」


「あ、いや、こっちの話です、大丈夫です、えーっと私達としてもそこまで長く秘密にしようとは思ってないです、ちょっと調べものしてからがいいかなー、ってだけで」


「そうか、そりゃあ助かるな、ふむ、つまりモンスターがでるような遺跡なのか」


「え、あ、はい、そうです、それと・・・」


「それと?」


「カクシテル遺跡」の事を言えばダンチョーは何と答えるだろうか

 過去に行って「カクシテル遺跡」が壊され、そして直された理由を話して信じてもらえるだろうか

 アサギ達はそんな不安を抱えていたが離さない訳にはいかないだろう


「実は私達、ちょっと過去に行ってきまして・・・」


 さあ、ダンチョーはどんな顔になるだろうか

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