聖騎士は期待に胸が高鳴る
皆様の声を聞かせてくださると幸いです
感想、評価お待ちしております
「防御無視ってどういう事?大丈夫なの?」
セッキーが邪教徒に近づいて行くアサギに向かって話しかける
「んー、今の所は大丈夫、かな?盾のダメージ軽減ができない攻撃みたいだよ、他の防具はどうだろ、ちょっとわかんないけどとりあえず盾には何の感触もなかった感じ」
「そう、さっきのがまた来たら避けられそうなの?」
「いやー、それはちょっと厳しいかな、私を追いかけて攻撃予兆のライン動いてたし1発目でノックバック発生するから2発目も避けれないかな」
「わかったわ、じゃあその時は回復多めにしておくわね」
「うん、それでお願い、一応止められるかどうかだけやってみるね」
アサギはそう言いながら邪教徒が同じ攻撃をしてくるのを振り回されるハルバードを受け止めながら待った
「まぁちゃん瞬間移動のCTあけそう?」
「うん、もうそろそろだよ、どして?」
「次さっきの攻撃来たら私もスタンいれてみるけどまぁちゃんも入れてもらっていい?スタン絶対入る訳じゃあないから重ねた方がいいかな、って」
「うん、わかった、じゃああれが来るまで使わないでおくね、予兆がでたら連続スキルも叩き込むね」
「よろしくー」
そう決めてからすぐに邪教徒からアサギに向かって攻撃予兆の魔法陣が伸びていく
それを見たアサギはすぐにスキルを発動させながら左手に持つ盾を思いっきり邪教徒に当てる
まぁちゃんも瞬間移動のスキルを使い短剣を振り回し蹴りを入れる連続スキルを叩き込む
「やっぱ止まらない、かな」
アサギの盾に大きく振りかぶったハルバードが降ろされる
そしてすぐに後ろに吹き飛ばされたアサギの身体を黒い光が貫いた
「横に逃げようかと思ったけどやっぱ動けないや」
セッキーとオネの回復魔法を浴びながらアサギはそう言ってまた邪教徒の元に駆けよった
「じゃあしょうがないわね、こうなってくると問題はあの黒い光を使った攻撃が増えるかどうかよね」
「だね、最後らへんなんかはずっと防御貫通だったらいやだな」
「そうなると・・・アサギもだけどまぁちゃんとダガー君のHPも注意しないといけないわね」
通常攻撃の内の4回に1回は範囲攻撃で邪教徒の後ろにいる2人も攻撃が当たってしまうのだ
その攻撃すらも防御貫通となったらダメージが一気に跳ね上がる
ダガーはステータスの振り方は攻撃と速度重視ではあるがジョブがナイトなのでHPはあるがまぁちゃんはそうも言っていられない
完全回避で避ける事は可能だが範囲攻撃の頻度が頻度である、全てを避けきるのは不可能だった
「結構嫌な相手だな、まあ、HPが少なそうだからまだマシか」
「カブトムシと蜘蛛が回復してきたからなー、こいつもするかもよー?」
「あー・・・そう言われるとありえないとは言えないな・・・」
もしかしたら前の2体のボスが回復をしたからこそ目の前にいるこの邪教徒のHPが削れやすいと思ったのかもしれない
だがかなりの速さで邪教徒の頭上に浮かぶHPバーが削れているのは事実だ
「んー・・・ほんとこの速さはありそうな感じ」
それから何度か黒い光に身体を貫かれたが特に変化もなく邪教徒のHPが半分となる
瞬間邪教徒の周りから衝撃波が出てアサギ達は全員その場から後ろに弾き飛ばされた
「おーっとパワーアップ確定演出」
「あはは、多分そうだろうね、とするとやっぱり回復かな?」
アサギ達の中心にいる邪教徒の背中から黒い光が大きな腕のような形で現れた
邪教徒はその黒い光の腕にハルバードを持たせる
「ここからが本番だ!!」
邪教徒がそういうとアサギ達を後ろに吹き飛ばしていた衝撃波が消えたのでアサギは盾を構えたまま前へと進む
そこにハルバードが突き出された
アサギはしっかりとそれを盾で防ぐ
だがハルバードの穂先から黒い光が放たれたのでダメージを思っていたよりは受けてしまった
「あー!やっぱり全部の攻撃に防御貫通付いたっぽい!ハルバード自体は止められるからそっちは軽減できてるけど追加の黒い光でダメージが入っちゃう」
アサギが攻撃を分析していると斧を背中から生えている手に渡したので何も持たなくなった両拳で邪教徒が殴りかかってきた
当然のようにその拳にも黒い光が纏わりついている
その拳を盾で受け止めはしたもののやはり黒い光だけは盾を突き抜けアサギの身体に当たる
「武器以外も貫通してるー!!」
「厄介ね、アサギ、貫通はしょうがないとしてそれ以外、きっちり防御するのよ!」
「うん、まかせてー!!」
アサギの声が言い終わるか否かの時背中から生えた腕はハルバードを持ち上げた
そしてぐるりと周りを薙ぐ払うように振り回す
アサギはそれをしっかりと盾で受け止めるがその攻撃は範囲攻撃だった
まぁちゃんは完全回避で避けれたがダガーのHPは削られてしまう
セッキーは削られたアサギとダガーのHPを回復しようとパーティ全体に回復魔法が飛んでいくが詠唱が少しある魔法を唱え始めた
だがその時邪教徒の足元を中心に魔法陣が広がっていく
「皆!離れて!」
近くにいたアサギ、まぁちゃん、ダガーは急いで魔法陣の範囲外へと駆け出した
魔法陣の外に出てすぐに邪教徒は背中から生えている腕で自分の目の前の地面にハルバードを叩きつける
すると先ほど広がっていた魔法陣に黒い光が荒れ狂う波のように広がった
「今のは当たったら相当なダメージだろうなぁ・・・」
波が消えるのを待っているアサギが呟く
大体この手の攻撃は避けれる可能性があるものほどダメージは大きくなっていくものだ
絶対に避けれないのに即死クラスのダメージというのは攻略の仕方を間違えてるかその攻撃を潰せる可能性があるのかのどちらかだろう
レベル帯が合っていればだが
「でも多分今ので全部のパターンを見せたんじゃないかしらね」
「そうだね、あとは気を付けながら殴るだけだね!」
波が消えたのでアサギはすぐに駆け寄り足を踏みながら攻撃していく
セッキーの言う通り攻撃パターンは全てで尽くしているようだ
しかし範囲攻撃の頻度がかなり上がっている
簡単に言えば突く、拳による殴打、そして範囲攻撃
拳は両方使っているが左右が連続ですぐにくるので先ほどまでが4回に1回ほどだったのが3回に1回ほどの速さになっている
もうここまでくると気を抜く場面などなかった
攻撃を防ぎつつ攻撃し、範囲攻撃は急いで範囲外へ駆けていく
それを繰り返していると
「ああ・・・主よ・・・申し訳・・・」
膝をつきながら邪教徒は倒れ込み光の粒子となった
「ふー・・・いやぁ、回復しなくてよかったね」
「ほんとだな、お疲れ様」
「お疲れ様、アサギ、ドロップに鍵がないか見てくれる?」
「うん、あー、あるある、「大広間の鍵」だって、あそこの事だろうね、後は腕がでたよ、革だからまぁちゃんだね」
「わーい、やったー、でも防具落ちるんだね、って事は今ボス3体目だから・・・あと2体か3体?」
「そうだな、普通なら全身でるから5か6はでるよな」
「でも頭はセット効果なかったでしょ?関係ないんじゃない?」
「んー・・・まあ、そうね、とにかく鍵がでたんだから後はあそこに行くだけね」
「うんうん、「ウゴクテツ」いるのかなー?」
「どうだろうなぁ」
「あ、そうだ、その前にちょっとこの部屋調べるんだったわね、何か手掛かりになりそうなものないかしら」
「ああ、そうだったね、んー・・・っと・・・」
アサギ達は手分けして部屋の中を物色していく
「何もなさそうだね」
「そうね、あると言えば壁に描かれているこの絵くらいなものかしらね」
「んー・・・まあ、確かに絵だな、それはわかる、でも何の絵なんだ、これ」
「さっぱりわからないわね」
礼拝堂の壁には絵が描いてあった
しかし過去に来ているとはいえこの部屋の壁はもっと昔に作ったのか、もしくは部屋自体は新しいが壁をどこかから持ってきているのか、とにかく壁だけがおんぼろで何の絵なのががよくわからない
「これは太陽・・・?太陽を何かが飲み込もうとしてる?」
「いや、こっちに棒状だけどいっぱいあるのは木か人だろ、多分飲み込もうとしてるんじゃなくて吐き出そうとしてるんじゃないか?ビーム的ななにかを」
「んー・・・ちょうどその何かの所が朽ちてるんだよねぇ・・・やっぱり意図的なもの?」
「そうねぇ、今まで邪教徒はでてきたけど何を信奉しているのか全然語られてないからね、ここまでくると意図的なものとしか思えないわ」
「んー・・・でもこっちの棒状が人だとすると相当大きいね、「悪竜エドラ」なんかよりも大きいかもしれない」
「もしかしたらこの太陽みたいなのってあの山で戦ったスライムなんじゃないか?」
「でもそうするとその横にあるくの字に曲がった線がわからないじゃない」
「まあ、そうだけど今んとここんな丸くてでかいのってあのスライムくらいだろ」
「それは否定できないけど・・・でも折角だけどこれだ!って言えるものが全然ないわね、仕方ない、広間の方へ行きましょうか」
「そうだね、残念だけどなんもわからないね、一応SSだけは撮っておくよ」
「そうね、でもまだ掲示板に乗せちゃだめよ」
「うん、大丈夫だよー、じゃあ広間にいくよー!」
「「「「「おー!」」」」」
アサギ達は何も見つからなかった礼拝堂を出て大広間の方へと戻っていく
敵は全て倒してきているので礼拝堂の絵についてあーでもないこーでもないと話しながら歩いて行った
「さて、じゃあ鍵使って開けてみるね」
アサギは広間に繋がる扉の前にくると先ほどの邪教徒が落とした「大広間の鍵」を使い扉をあける
その部屋の中には
「残念、「ウゴクテツ」はいないみたいだね」
「そうね、でもそれ以上にやっかいそうなのがあるわね」
「いやいや、あれは動かないだろ」
「でも未来にあんなのあった?崩れたとしても欠片も残らないとは思えないけど?」
「というかそっくりだね、絶対動くよ、あれ」
大広間の奥にはアサギ達が未来で倒した「防御システム」とそっくりな石像が腕を組み立っていた
「いやいやいや、あれがたとえ6人用に調整されてたとしても相当きついぞ!?普通ボスはあそこの前で土下座してるあいつだろ」
「防御システム」の前にはまさに土下座をしているように多分何かを祈ってる一目で邪教徒だとわかる人物がいる
こちらは部屋に入ったとしても気づいたりはしないようだ
「わかってないなぁ、マーリンは」
「ん?なんだよ、アサギ、何がわかってないんだ?」
「あの人が「防御システム」に乗り込んで戦うんだよ!!!」
「あ!なるほど!」
「何がなるほどよ・・・そんな事ある訳ないでしょ」
「「えーー!!」」
果たしてこの広間で戦う敵は石像なのか邪教徒なのか
石像に邪教徒が乗りこむ事を期待しているアサギとマーリンのワクワクはもはや止める事ができなさそうだ




