聖騎士とネバネバ
皆様の声を聞かせてくださると幸いです
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結論から言えばカブトムシの討伐には成功した
しかし何もなかったと言えばそうは言えなかった
2回目の食事を終え回復をしたカブトムシのHPを減らしていたらカブトムシがまた回復をしようと木へと近づいて行ったのだ
もはや木に蜜はないのでアサギ達はもう回復される事はないと安心しきっていた
しかし木までたどり着いたカブトムシはそうも言ってられなかったようだ
木まで来たのに蜜がない、それに気づいたカブトムシは少し辺りをキョロキョロと見回した後急に怒り出したのだ
怒りだしたカブトムシは外殻の色を赤くさせ羽根を広げアサギの元に角で突き刺すようにつっこんできた
その一撃はガードに成功したもののダメージはさっきまでよりも相当上がっていた
「発狂モードかよ!!!」
マーリンが叫ぶ
多分この怒りは蜜が吸えないと収まらない
だがもはや蜜はない、それに蜜を吸われるとHPが回復してしまう、それだけはもうできない相談だ
「羽根が常に広がってるから防御力は減ってるはずよ!ごり押して!!」
攻撃役からしたら確かにダメージの入りはよくなっているから減らすだけと考えると楽ともいえる
しかしその攻撃を一身に受け止めているアサギはというと
「わっ!わっ!さっきまでと攻撃の仕方が全然違う!避けにくいよ!!」
カブトムシはまるで駄々をこねるかの如くやたらめったら腕を振り回してきているのだ
怒りだす前のように飛びあがりアサギ目掛けて角で突いてくるといった攻撃はなくなったがぶんぶんと振り回す2本の前足にセッキーとオネの回復が追い付かないほどHPを削られて行っている
「これは・・・仕方ない!使うよ!」
アサギはそういうと1時間CTがある無敵スキルを使った
「わかったわ、30秒間の間にやっつけましょう!」
無敵スキルを使った事により防御中心だったアサギ、そして回復中心だったセッキーとオネもカブトムシへの攻撃へ加わる事ができた
それによりカブトムシのHPをなんとか全て削り切る事ができたのだ
「あー・・・焦っちゃった・・・流石にここのボスまでにはCT回復しないよなぁ」
「まあ、今のは仕方ないわよ、初めてなんだしね」
「まさか蜜が吸えなくなってるからってあんなに怒るとはな、身体まで真っ赤にしちゃってさ」
「はー・・・まあ、倒せたからよかったよ、さてドロップの確認するよー・・・おー、兜だ、カブトムシだけに」
「全く「まおクエ」の運営はそういうの好きよね、で?性能は?」
「んーとね、物理職用だね、防御力はそこまでって感じだけど攻撃力あがる、どうやったら頭装備で攻撃力あがるんだろうね」
「そんな事言ったらアサギのそれだって付けただけでINTあがるじゃないの、似たようなものよ」
「あー、確かに、じゃあまぁちゃんとダガー君でダイスだね」
その結果ダガーの振ったダイスの数字がまぁちゃんのダイスの数字を上回っておりダガーが入手する事となった
「確かに火力はあがるけどセット効果が外れちゃうな」
「ああ、ダガー君は今セット効果あるんだっけ」
「自作の装備で火力あがる奴を少しずつ作ってるからそれができたらこの頭と組み合わせたら相当火力があがるぞ、HPと防御力はその分さがるけど」
「なら大丈夫だな」
「うんうん、私がちゃんとヘイト管理すればなんとかなりそうだね」
「そうだな、ありがたく使わせてもらおう」
「よし、じゃあとりあえずカブトムシの掃除も終わったし一応ここらをぐるーっと掃除してから神殿の中にはいるとするか」
「「「「「おー!」」」」」
初回は敵を全滅させるのだ
「まおクエ」は敵やダンジョンの情報を公開していないのでとりあえずは全部見ておかないとレアなモンスターの取りこぼしがあるかもしれないのである
まあ神殿の外に残っていたのはただの雑魚モンスターだけだったが
神殿の外の敵を全て倒しアサギ達は再度神殿の中へと入って行く
未来の遺跡では入ってすぐに目の前の広場へと行けたのだが過去の神殿ではそこには重厚な扉があり侵入者の行く手を防いでいた
「んー、つまり左の道にこの扉を開くなにかがある、と」
「扉を開くギミック的なのは見た覚えがないから鍵を落とす奴がいるのが濃厚だね」
「まあ、それにボスが居そうな所に最初に行く訳にも行かないしね、さ、まずは左のルートよ、蜘蛛のいた道も気になるわ」
「まあ、流石にあそこはないだろ、こんだけ綺麗なんだし、邪教徒だっているんだからな」
アサギを先頭に左の道へと進んでいく
未来の遺跡では石が積み重なって入れなかったりした部屋にもはいれるようでその部屋の中にいた敵も全て経験値に変えていった
そしてどんどんと先に進んでいくと
「マップ的にはこの先に蜘蛛の道があったはずよ、やっぱりないか」
「んー、そうだねぇ、ないねぇ」
仕方がないのでそのまま通り抜けようとするといきなり壁が崩れ目の前に蜘蛛が現れた
「うわぁ!!!」
「なによ、この壁が崩れるのってこのタイミングなの!?」
「マップもあの未来と同じになったな、そいつ倒したら奥進もうぜ」
目の前にいるのは未来でも倒した蜘蛛だ
ただの雑魚モンスターのようでそれほどの苦労はなかった
その蜘蛛が開けてきた穴を通り奥へ奥へと進んでいく
通り抜けた先は未来で行った所と特に変わりは感じられなかった
しかし一番奥には今まで倒してきた蜘蛛よりも一回り大きいな蜘蛛が居た
「なるほど、やっぱりここにはボスが居たって事か」
「そうなるわね、ここで倒されてるから未来には女王様はいなかったのかしら」
「ふんふん、なるほど、そうかもしれないね」
「んー・・・女王か・・・となるとやっぱり・・・」
「そうね、女王蟻と同じく子供がわんさか襲ってくるでしょうね」
「だよなぁ・・・、まあ、弱い奴だったら俺とダガーの範囲攻撃で蹴散らすとして強かったら1匹ずつだな」
「強いのがわんさかでるってのは流石に無いとは思うけどね、それこそ蟻の時みたいに酸で死んでいくならわかるけど」
「んー・・・まあ、そうだな、やってみりゃわかるし、アサギ頼んだぞ」
「はーい、じゃあいくよー!」
アサギは女王蜘蛛に向け走り出す
どんどんと近づいて行く
そしてアサギが女王蜘蛛の索敵範囲に入った瞬間女王蜘蛛はアサギに向けて糸を噴射してきた
アサギはそれを横に跳び躱そうとするが地面に当たった糸はそこで止まらずにアサギに向かい跳びはねてきた
「ありゃ、物理じゃなくて魔法扱いなのかな?」
アサギの左足に糸が絡みつく
その糸は地面としっかりとくっついてアサギに移動不可のバッドステータスを与えてきた
「げ、移動不可でしかも解除不可だ」
「まじかよ、ヘイト管理失敗したら大変な事になるな」
「でも当たったのが左で良かったよ」
「ん?なんでだ?斬りにくくなるのか?」
「ううん、左だと蹴りにくいから」
「あ、なるほど」
そんな事を喋っていると女王蜘蛛の方からアサギへと近づいてきた
そしてアサギの目の前に来ると後方へ糸を噴射し始める
「これって後ろから攻撃できなさそうだな」
「そうね、どんな攻撃がくるかはわからないけどあの糸がある所には行かないほうがよさそうだもの、横から攻撃していくしかないわね」
アサギは挑発スキルを使いヘイトを集めていく
大体3種類目の挑発スキルを使い終わったら大体攻撃開始だ
「よし、動けないのはちょっと不便だけどそろそろいいよー、あれ?セッキーどしたのー?」
「ああ、初めてもかまわないわよ、キノコの時みたいに火かなにかで糸を焼くのかな、って思っただけよ、でもここにはそんな感じのは無さそうね」
「ああ、そういやそんなのあったね、確かにあればなんとかなりそうだけどここにはないね」
「というか蜘蛛の糸って燃えにくいとか聞いた事あるぞ」
「え?そうなの!?」
「なんか燃え広がらないで熱で溶けるように切れるとかなんとかって聞いた事がある気がするぞ」
「ふーん、じゃあギミックに採用されなさそうだね」
「だからここはファーストアタックの奴は移動不可で頑張るしかないんだろうな」
「そうするとアサギ以外に初手を取らせた方がいいのかしらね」
「まぁちゃんは?瞬間移動なら糸抜けれるとかない?」
「ん、あのスキルは移動不可がかかってる時は使えないよー、その糸移動不可かかってるんでしょ?私がファーストアタックは厳しいな」
「そっかぁ、じゃあやっぱり私が受けるのが1番なのかな?」
「逆に遠距離攻撃のマーリンを生贄にしてみたら?」
「ああ、その手があった!!」
「何がその手があった、だ!それで蜘蛛が来る前にヘイト取り切れなかったら普通に死ぬぞ」
「んー・・・確かに、残念」
「流石に死んでデバフを外すのが定石って感じには作ってないでしょうからいつかは取れるとは思うけどね」
「まぁね」
女王蜘蛛の攻撃は前足で殴る、噛みつく、そして糸をぶつけてくる、とりあえず今の所はこれだけである
カブトムシと比べれば重さも速さもない前足による攻撃、女王蟻や「悪竜エドラ」と比べると怖さも迫力もない噛みつき、そして食らうと毒状態になるがセッキーがすぐに治してくれる糸による攻撃
正直な所この女王蜘蛛に怖さはなにもなかった
左足が動かせないのがアサギにとっては多少のストレスではあったものの女王蜘蛛の顔を下から思いっきり蹴り上げてストレス解消をしていた
女王蜘蛛のHPを25パーセントほど減らした所で小さな蜘蛛の子がばらばらと周りから湧き始めてきたがマーリンとダガーによる範囲攻撃でその子供はすぐに倒されていった
「なんかカブトムシと比べると凄い弱く感じるのは俺だけか?」
「んー・・・確かに、せめて順番が逆ならまだしもこれは・・・」
女王蜘蛛のHPが半分になるくらいまでそんな事を話ながら攻略していった
だがそこから女王蜘蛛攻略がガラッと変わって行った
まずはアサギの足に絡みついていた糸が解けていく
「お、解けた解けた、これで動ける」
とアサギの足に皆が注目した時に女王蟻が糸を思いっきり空中にばらまいたのだ
まずい!皆がそう思ったがその糸は予想に反して女王蜘蛛の身体に巻き付いていく
そして女王蜘蛛の全身に糸が絡まり見えなくなった
するとその糸が下の方から急に解けていく
中から現れた女王蜘蛛は先ほどよりも一回り大きくなっており、ある変化が訪れていた
「うわ!身体が生えた!しかもスタイル抜群!!」
先ほどまで顔があった所の上の辺りに人の身体が腰の上だけ生えているのだ
「あー、なんだっけ、アラクネ?だっけ?」
「そうね、HPもばっちり回復してるわね、このダンジョンは回復するボスしかいないのかしらね」
「前半が弱かったのはこれからが本番だからかな?とりあえず気を引き締めていかないとね!!行くよ、皆!」
「「「「「おー!」」」」」
変化した女王蜘蛛はどんな攻撃をしてくるのか
散々だったアサギ達の評価を覆す事ができるのであろうか




